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瀬戸内寂聴

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 宮沢りえ、阿部寛、佐野史郎 他

【放送】 2005年(フジ)

 

愛のために命さえも投げ出してしまう激しい生き方をする瀬戸内寂聴の半生を綴ったヒューマンドラマ。原作は瀬戸内寂聴著の『場所』。

 

戦時中に見合い結婚した晴美は夫の楠本淳と娘・迪子と共に終戦一年後に北京から日本へと引き上げて来た。眉山に住む姉の艶に迎えられた夫妻は母親が空襲で壮絶な死に方をしたと聞かされる。その時晴美は自分にも母と同じ激しい血が流れていると感じていた。翌年、夫が上京している間に晴美は木下涼太という夫の教え子と愛し合うようになり、密会を重ねていた。涼太とは出馬した河野ユキを共に応援した仲で、体の関係は無かった。その事を晴美は正直に夫に話し、東京へは行けないと謝罪する。涼太と晴美を別れさせるため夫は強引に東京への転居を決め、移り住んだ尾久の家で何かにつけ晴美に暴力をふるうようになっていった。それでも晴美の心は変わらず、とうとう夫と娘を捨てて無一文のまま京都の友人宅に身を寄せた。電報を貰った涼太は晴美に会いにやって来る。しかし二十一歳の涼太にとって晴美との愛は重過ぎ、二人は別れてしまう。旧姓の瀬戸内晴美に戻り、自立しようと思い立った晴美は出版社で働き始める。しかし働いた経験の無い晴美は失敗ばかりで、編集長から楠本とよりを戻すように言われてしまう。故郷の眉山に戻った晴美を唯一温かく迎えてくれたのは父親の豊吉だった。半年後、晴美の書いた少女小説が採用されたのを機に、晴美は本格的に小説家としての道を進むべく東京で一人暮らしを始める。また同人誌『文学者』の門を叩き、そこで小説家・小杉慎吾と出逢う。

 

期待が大き過ぎたのか、それともドラマが綺麗にまとめられ過ぎているのかは判らないが、確かにその時代を生きた女性としては激しい生き方なのだろうが、それがあまり伝わって来なかったというのが正直な印象である。その反面激しさよりもっと痛切に感じたのは晴美が自分に嘘のつけない性分である事である。だからこそ自分の信念に従い、馬鹿がつくくらい正直に生きている。もっと狡く賢く生きる事が出来れば、平穏な人生を送る事も出来ただろう。でもそれが出来ない彼女は世渡りが下手と言えるのかもしれない。そんな生き方しか出来ない彼女は破滅に向かって生きているようなものである。

 

しかし彼女には類稀なる文才があった。時代のせいで疎まれた内容(『花心』)だったかも知れないが、作家とはただ文を書くだけでなく時には自分の内面さえも切り裂いて文にしたためるものであるから、その意味では彼女は作家が天職であったように思えた。他の女には無い内面の激しさや頑固さや真っ直ぐさは全てが作家としての武器になる。ただの男遍歴と見るのではなく、作家とはこうあるべきと教科書を見せられたようなドラマだった。

 

満足度は★★★★

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部長風花凛子の恋

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 りょう、平山浩行、丸山智己 他

【放送】 2018年(日テレ)

 

島耕作シリーズ35周年企画!島耕作が会長を務める会社に勤めるキャリアウーマンの仕事もプライベートも充実したパワフルな生き様を描いたストーリー。原作は弘兼憲史のコミック『会長 島耕作特別編 部長 風花凛子の恋』。

 

株式会社テコットは島耕作が会長を務める会社で、現在社内は会長派と長須派の派閥争いが水面下で激化している。会長の島が海外出張中、IoTスマートビル開発プロジェクトの重役会議が開かれた。常務の長須が執行役員に推薦したのは営業部部長の速見貴文。それに対して社長の国分はプロジェクトリーダーに風花凛子を推薦した。凛子は十年前に中途入社で採用した女性社員で、音大出身という変わり種。しかも面接の際には島の人生の四分の三を仕事につぎ込むと言う発言を撤回させるべく、島の会社で初の女性重役を目指すと宣言した女性だった。現在はその宣言通り、テコット国際本部北米部部長を務める傍ら、プライベートでは恋人の高澤光太郎のジャズ喫茶『デューク』でサックス奏者を務めるという仕事にも恋にも一切妥協せずに人生を楽しんでいた。プロジェクトリーダーに就任した凛子は早速その手腕を発揮する。時短のために無駄を省き、資料はデータでのやり取りのみ、子持ちの主婦には保育園が休園の際は子連れで出勤を許す等々古い体質の社員には考えられない方針を貫く。これにはプロジェクトの一員でかつては凛子の上司だった須田は苦笑い。そんな中、凛子は大事なプレゼンを入社二年目の経理部・吉田に任せると言い出す。

 

命を削るように仕事に精を出す時代は終焉を迎え、これからは自分らしさを失わず公私ともに充実した生活を送るというのが風花凛子の理想であり、彼女はそれを実践している。しかしながら企業は未だ古い考えの人間が上に居座り、自らの考えを部下に押し付けようとする。これからの時代を生き抜くためにはこの古い体質を一掃して、凛子のようなリーダーが必要となる。

 

やや時代遅れ感の漂う内容ではあるが、凛子はさながら民衆のために立ち上がったジャンヌ・ダルクのようである。一企業の話であるのに、新たなリーダーを迎える何処ぞの国の話にも通じるものがある。終盤の見せ場では苦境に立たされた凛子が部下を守るために保身を一切考えずに自分の意見を述べる姿が潔く、見ていてスカっとする。また仕事より仲間を大切にする凛子の姿勢も感心させられた。

 

全二話の短いドラマであるのが残念だった。

 

満足度は★★★★

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昭和四十六年大久保清の犯罪

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 ビートたけし、佐藤慶、木内みどり 他

【放送】 1983年(TBS)

 

連続婦女暴行殺人事件を起こした大久保清の犯罪の実録ドラマ。原作は筑波昭著の『昭和46年、群馬の春大久保清の犯罪』。

 

昭和四十六年五月九日、瀬間宏子が行方不明になった事から始まる。その日、宏子は会社帰りに高校の美術教師と称する男から絵のモデルになって欲しいと頼まれ、浮かれ気分で帰宅する。宏子はその事を義姉に話すが、過保護な兄を懸念してこっそり出掛けてしまう。しかしその日、宏子は帰らなかった。心配した兄は警察へ連絡するが警察は家出だと決め付けて取り合ってくれなかった。仕方なく職場の面々に手伝って貰って探し回っていると、乗り捨てられた宏子の自転車の指紋を消している男を発見する。その男とは女性を強姦して二カ月前に出所したばかりの大久保清だった。一方、別の女性が大久保に強姦されたと訴えた事により、警察はようやく大久保の身柄を拘束する。その時、大久保は女子高生と一緒だった。女子高生から話を聞くと大久保は言葉巧みに彼女を車に乗せ、絵のモデルにすると言ってモーテルに連れ込んでいた事が判る。しかし大久保の供述は一貫性が無く、宏子を殺害して埋めたと自白した場所を調べると別の女性の遺体が発見され、大久保の犯罪が明らかになっていく。

 

八人の女性を殺害した実在の人物・大久保清の犯罪を実録ドラマとして制作した作品である。実録ドラマであるため、事実が優先となりドラマとして楽しめるかどうかはまた別の問題。何の先入観も無く見た場合、時系列が複雑に入り組んでいて構成が判りづらい。大久保の供述から突然何の脈絡もなく過去へ話が飛んでしまったりするので、ついていけない事も多々あるので注意が必要となる。尚、このドラマは犯罪を犯した大久保よりもむしろ、のらりくらりと事情聴取をやり過ごす大久保から大久保の心を掴み、大久保から真実を引き出した唯一の刑事の軌跡である。

 

大久保が事件を起こした背景には育った家庭環境が影響してる。父親は女好きで平気で息子の嫁に手を出すような節操のない男で、母親はそれを知っていながら目を瞑り、そのやり切れない気持ちを清を溺愛する事で晴らしている。大久保はそんな環境で育って来た。母親からの歪曲した溺愛、息子の前でも醜態をさらす父親。確かにまともな家庭とは言い難い。しかしだからと言って犯罪行為に走るのはまた別の問題である。

 

ドラマを見ていると見えて来る大久保の姿は非常に頭の良い人物。文学的センスを持ち合わせ、普段の姿は勤勉で子煩悩で人当たりも良い。ただ父親からの遺伝なのか女を犯す事に罪悪感を持たないのである。道徳心を欠いていると言えば良いのか、それとも父親を見て育ったせいで自分の中で女を犯す事を容認してしまっているのかは判らない。真相を語る大久保の姿に犯罪を悔いている様子は見られなかった。

 

ドラマは大久保の事件を担当した刑事が事件の真相を聞き出すまでの話となっている。その後、死刑となった事はただテロップだけで伝えられているので、大久保が死ぬまでの間にどんな生活を送ったかは判らない。しかし根気強く大久保から真実を聞き出した刑事の最後のさばさばした口調に、それまでどれだけ大久保の相手をするのを苦痛に感じていたかが窺い知れた。

 

満足度は★★★★

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断崖

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 山本陽子、水野真紀、小野寺昭 他

【放送】 2001年(テレ東)

 

落ちぶれた女優が映画制作費用を捻出するために内縁の夫の狂言自殺を計画。しかし計画は失敗し、内縁の夫は墜落死してしまう。一体、何が計画を狂わせたのか?原作は夏樹静子著の『断崖からの声』。

 

大女優・森宮環は五十歳を過ぎて主役を演じるチャンスに恵まれる。ところが出資予定だった内縁の夫・佐伯淳司の会社が倒産の危機に陥り、このままでは映画制作費用が捻出出来なくなってしまう。そこで環と佐伯は狂言自殺でせしめた保険金を映画制作の費用にあてる計画を立てる。その計画とはパーティーの夜に佐伯が断崖から飛び降り、渦潮に飲まれたように見せかけてそのまま海外へ逃亡。そしてしばらくして環と落ち合い、スイス銀行に預けてある十二億円の資産で暮らすというものだった。そのため佐伯は日々断崖から飛び降りる訓練をし、計画は万全のように思われた。ある日、その様子をカメラマンの桜木ケイに見られてしまう。しかし計画に絶対的な自信を持っていた二人はケイを目撃者の一人にしようと考え、パーティーにケイを招待する。一週間後、いよいよ計画遂行の時がやって来る。映画の出資者や映画評論家、新進女優などが集まる中、計画通り佐伯は断崖から身を投げるのだったが・・・。慌てて崖下へと駆け付けた面々が目にしたのは墜落死した無残な佐伯の遺体だった。

 

女優は芝居の中だけで演じるのではなく、普段の自分さえも偽って演じてしまう悲しい性がある。今回のヒロインは正にその女優であり、彼女といがみ合っている佐伯の本妻もまた元女優である。この二人はともに女優としても女としても盛りを過ぎている。それは本人も重々承知していて、自分の将来に悲観もしている。しかしそんな思いは外に出さず、プライドと意地でつい突っ張ってしまう。そんな二人の女優の本心がこのドラマの核だと言えるだろう。相変わらずミステリーの側面は置き去りだが、夏樹静子作品はヒューマンドラマが主体なのでその辺には目を瞑る。

 

探偵役となるのはカメラマンのケイ。ストーリー的にはこちらがヒロインと言えなくも無いのだが、往年の大女優二人に囲まれてはやや存在感が薄くなってしまうのも仕方が無い所だろう。まあ、それはともかくとしてケイの活躍で徐々に明らかになっていく二人の女優の本心とそして殺人事件の真相。ただこの真相に行き着くとつくづく女性の立場に立ったドラマだと感じずにはいられない。被害者は佐伯なのだが、佐伯の心の内はまるで無視。

 

さてラストではさりげなく環の出演する映画のタイトルが登場する。それがまさかの原作タイトルになっているとは……。こんな所にこっそり仕込んでいる演出がニクイ。

 

それにしても他の夏樹静子作品よりあまり心情が染みて来ないのは不思議である。女優という一般人とは少々違った職業のせいだからだろうか?

 

満足度は★★★★

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あにいもうと

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 宮崎あおい、大泉洋、瀧本美織 他

【放送】 2018年(TBS)

 

妹を大切に思うからこそ馬鹿な行動を起こしてしまう不器用で愛情深い兄と反発する妹。狂おしいまでの兄と妹の絆、そして家族の在り方を問うヒューマンドラマ。原作は室生犀星著の『あにいもうと』。

 

赤座工務店を営む赤座家は棟梁の忍を中心に三人の子供達に恵まれ幸せな家庭を築いてきた。ところが長女の桃子が子供を流産した事から家庭に蟠りが生まれる。元々は非常に仲が良かった兄妹の伊之助と桃子だったのだが、それがきっかけとなりとうとう大喧嘩を始めてしまう。結果、桃子は災いの種である自分が家を出て行くと決意する。半年後、忍の古希祝いを開く事になる。実はそれを口実に桃子を家に戻すつもりだったのだ。次女の佐知から話を聞いた桃子は父親の祝いを無碍にする事は出来ず、トラック運転手の仕事を調整して半年ぶりに赤座家の敷居を跨ぐと決意する。ところが桃子より一足早く赤座家を訪ねて来たのは小畑裕樹だった。小畑は桃子の元恋人で、子供の父親でもある。仕事で海外に赴任中に桃子と連絡が取れなくなり、帰国した途端桃子の行きつけの飲み屋の女将から桃子が流産した事を知らされたのだ。桃子と小畑にどんな事情があるのかを知らない忍夫妻は伊之助とは会わせないようすぐに追い返したのだが、運悪く地鎮祭から帰宅した伊之助とかちあってしまう。伊之助は一方的に小畑を責め、挙句暴力を振るう。

 

ストーリーが古臭いと言うのはおいといて、何なんだこのドラマは?と感動する以前に腹立たしさを覚える。重要な場面は全て抜け落ちていて、いきなり〇年後だのナレーションで説明されて終了だの、幾ら何でも酷過ぎる。お陰で大切な事が何一つ伝わってこない。話の筋は判るが、ドラマであらすじだけ見せられているような気分にさえなる。

 

確かにこのドラマで重要なのは兄と妹の心境の変化である。それを家族や周囲の人達を交えて、さながら昔のホームドラマのような雰囲気を醸し出しながら進んでいき、その心境の変化だけでもゆっくり丁寧に描いていればまだ良かった。しかし二人の派手なやり合いの方に重点が置かれてしまい、心境の変化もまたすっ飛ばされてばかり。そんなに急いで何がしたいのか、さっぱり目的を見失っているような感じだった。現代でこのドラマを丁寧に描いて実写化するのは辛いのだろう。ただでさえニーズが合わない内容なのだから。しかし早い展開と派手さで目を引かなければ視聴者はついて来ないとでも言わんばかりに肝心な部分をカット。これでは本末転倒である。

 

何が良かったかと問われると良さがなかなか思い浮かばないが、子供のいがみ合いに心を痛める父親の忍の姿だけは心に残った。忍は唯一の伊之助の気持ちを理解している人物。だからこそ馬鹿な行動しか出来ない伊之助をただ黙々と見守っている。とまあ、そんな美味しい立場にいるのだが、途中でいきなり遺影に・・・。

 

決して面白いドラマでは無く、悪い意味で唖然とさせられるドラマだった。

 

満足度は★★

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