<< August 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

満願 最終夜 満願

【出演】 高良健吾、市川実日子、寺島進 他

【放送】 2018年(NHK)

 

殺人を犯した下宿屋の女将の弁護を引き受けた弁護士が彼女の本心に辿り着くまでを描いたストーリー。原作は米澤穂信著の『満願』。

 

弁護士を目指す苦学生の藤井は火事に見舞われ、急遽知人の紹介で畳屋の二階を間借りする事になる。出迎えたのは淑やかな美しい女将の鵜川妙子。夫の鵜川重治は職人気質で、畳の需要が減り店の経営が立ち行かなくなったせいで酒浸りの生活を送っている。そんな駄目な夫を妙子は自らも着付けの仕事をしながら支えていた。彼女は祖先が功績を称えられ、殿様から掛け軸を貰った事を誇りに思っていて、虫干しをしながら藤井にその話を語る。また藤井が下宿代を払えなくなればこっそり用立てしてくれたり、試験で焦りを感じれば励ましてくれたり、藤井は妙子に感謝するばかりだった。しかし重治にはどんな苦境でも誇り高く凛として生きる出来過ぎた女房が重荷に感じていた。やがて藤井は弁護士となり多忙な日々を送り、妙子への恩を感じながらも仕事を理由に音信不通となりつつあった。そんな中、突如藤井は妙子と再会を果たす。妙子が金貸しの男を包丁で刺殺し、遺体を遺棄したと言うのだ。恩人の妙子の罪を少しでも軽くしようと藤井は妙子の弁護を志願する。

 

このドラマの一番のテーマは殺人を犯した妙子が何を守ろうとしたのかである。それが判るのはドラマの終盤。しかも妙子が服役を終えてからだった。藤井は妙子の弁護人を務めている間には決して見えてこなかった事実を、自分に何よりも守りたいものが出来た事でようやく掴む事になる。実はこの辺りの表現があまり明確ではなく、ぼんやりしているとあっさり見逃してこのドラマが一体何を言いたかったのかが全く判らなくなってしまうので注意が必要である。何気ない日常の映像表現には気を遣った作品だが、重要な部分が判りづらいのがこのドラマの欠点である。

 

このドラマでは下宿屋の女将である妙子が非常に際立っている。潰れかけた畳屋も酒浸りの夫も彼女にはあまりにも不似合なのだ。彼女は決して自分の置かれた立場を悲観せず、自分のするべきことを見つけて過ごしている。夫を愛しているかと言えばそれも違うような感じがする。彼女はただ自分の運命を抗いもせず慎ましく受け入れていると言うべきだろう。それが自分の進む唯一の道だと信じて。妙子が再会した藤井が弁護士になっている姿を見て感激する場面がある。それはあたかも巣立てない自分に代わって、立派に成長した藤井をまるで自分の事のように喜んでいるように見えた。返事の来ない年賀状を藤井に出し続けたのも、彼女にとって藤井は一縷の夢であり、それに繋がっていたいという願望だったのかも知れない。心根が立派過ぎる故の生き方なのであるが、寂しいものである。

 

満足度は★★★★

にほんブログ村 テレビブログ 推理・サスペンスドラマへ

満願 第二夜 夜警

【出演】 安田顕、吉沢悠、馬場徹 他

【放送】 2018年(NHK)

 

夫が妻を人質にとって刃物を振り回す事件で若い巡査が人質を庇って殉職した。世間からは大絶賛された美談となったが、亡くなった巡査の同僚警官は事件に疑問を抱き始める。原作は米澤穂信著の『夜警』(『満願』所収)。

 

みどり交番の警官・柳岡は殉職した若い巡査・川藤浩志の葬儀に複雑な思いを抱いて参列していた。川藤は夫が刃物を持って妻を人質にとった夫婦喧嘩の現場に駆け付け、人質を守るために発砲したものの、その際に夫から頸動脈を切られて死亡している。その現場には柳岡もいた。しかし建物の影に隠れて発砲した瞬間は見ていない。世間では川藤の殉職を称賛する声が高まっていたが、柳岡はある種の違和感を覚えていた。と言うのは柳岡が知る川藤はとてもそんな行動をとる人間では無いのだ。柳岡から見て川藤は飲み屋の喧嘩にさえ怯える小心者で、何かミスをすれば上司から叱られるのさえも恐れてミスをひた隠しにする姑息な男。到底警官に向いているとは思えなかった。あの日、本当は何があったのか。その疑問を晴らすべく柳岡は非番の際に川藤の兄・川藤隆博を尋ねる。

 

警官は勇敢である事が求められる。そして規律を守る強さが求められる。

 

警官に求められる要素は警官全てが持ち合わせているわけではない。中には臆病で弱い人間だっている。例え性格的に問題があったとしても何れ成長してそれを克服する可能性もある。だから一概に駄目だと吐き捨てるわけにはいかないのである。それが一般的な見方であるのだが、このドラマの特色的な面は警察官に求められるものが最初から決まっていて、ベテランである柳岡が警察官に向いているか否かを早い段階から判断してしまう所にある。勿論、実際に現場で働く人間であれば新しく入って来た人間に対して様々な偏見を持つ場合もあるだろう。しかしこのドラマの場合、柳岡が感じた向き不向きがドラマの根底に常にあり、それがドラマを川藤という人物像を作り上げていく事になる。

 

美談の主はただのクズだった。

 

ドラマを見ていくと正にこれに尽きる。新人の初々しい警察官がドラマが進むにつれて如何にクズかが判明していく。職場の空気が合わないとか、失敗ばかりで委縮したとかそんなレベルでは無い。どんどん明かされていくクズっぷりに唖然とさせられる。

 

同時に強調されるのが柳岡の人を見る目の確かさである。勿論柳岡は川藤がどんな人間なのかまでは兄から話を聞かされるまでは知らないのだが、何かがおかしい、何かが変だと感じる度に柳岡を演じる安田顕の大きな目が不穏な空気を感じて画面からこちらへ訴えかけて来る。あの目の演技は秀逸である。

 

満足度は★★★★★

にほんブログ村 テレビブログ 推理・サスペンスドラマへ

満願 第一夜 万灯

【出演】 西島秀俊、近藤公園、窪塚俊介 他

【放送】 2018年(NHK)

 

資源開発のプロジェクトを任されたエリート商社マンが業界の闇に落ちていく。原作は米澤穂信著の『万灯』(『満願』所収)。

 

総合商社東座商事の商社マンの伊丹は顔中に汗をかき、苦し気な息遣いでベッドに横たわっていた。靴も服も泥だらけ。見た目にも伊丹の容態が思わしく無いのは明らかだった。そんな中、伊丹はこの現状が裁かれていると考えていた。これまでの人生、伊丹は常に最善を尽くし、その甲斐あって多くの業績を残して来た。また社内での人望も厚い。海外で実績を残して来た伊丹に告げられたのは東南アジアでのガス開発事業だった。この事業を成功させれば今度こそ帰国出来るとあって伊丹は張り切っていた。現地へ到着すると、ベトナム支社から派遣された高野が空港まで迎えにやって来た。高野は日本人ではあるが現地に精通した好青年で、仕事に対する熱意も感じられた。しかし現状は思った以上に厳しい。事故で高野が片腕を失い強制帰国させられる事になった事で教訓を得た伊丹は、雨季でも水没しないボクシャ村に開発事業のための拠点を設立しようと考えるが、交渉に行った高野の後任が開発の事を口にした途端、交渉人のアラムの怒りを買ってリンチに遭わされてしまう。

 

順風満帆に見える伊丹の商社マンとしての人生。それは上司からガス開発のエキスパートとからかわれる程に輝かしい業績で、伊丹にとって勲章にもなっている。しかしそこにはいつしか傲りが生まれていた。成功のためならどんな手段も厭わない。例え良心を投げ売ってでもその先に成功と言う新たな勲章が得られれば全ては許される。罪の意識はいつしか麻痺していく。

 

まるで自分を神だと思いこんで暴走する人間の話のようだが、実際の所、やり手と呼ばれる類の人間はビジネスの上では重宝されるし、そういう人間が多くのさばっているのは明白。正攻法で苦渋を飲んでばかりいる人々にとっては実に腹立たしい現実ではあるが、このドラマはそんな伊丹に裁きが下されるというストーリー。成功を目前にしながらベッドの上で病に苦しむ伊丹はもはや成功者どころか崖っぷち。彼がこの後どうなっていくのか想像するのも面白いものである。

 

さて本筋とは関係無いが、このドラマを見て最も強く感じたのは日本が如何に安全な国であるかだろう。

 

満足度は★★★★★

にほんブログ村 テレビブログ 推理・サスペンスドラマへ

黒百合伝説殺人事件

【出演】 川原亜矢子、東幹久、国分佐智子 他

【放送】 2006年(フジ)

 

新人賞を受賞した注目の作家の結婚式の日、出席するはずだった親友が変死体となって発見される。友人として招待されていた売れない作家とカメラマンのコンビが事件の謎に挑む。原作は山村美紗著の『宮崎旅行の殺人』。

 

京都の出版社で働く夏川美帆は未だ作家として芽が出ず、編集長の沢田京子から駄目だしを食らっていた。一方、美帆と一緒に半年前まで同じ編集部でバイトをしていた長谷川理枝子は新人賞を受賞し、今や注目の新人作家として注目されている。理枝子の記事を見て心から友人の成功を喜ぶ美帆に京子はそのハングリー精神の無さにやきもきしていた。そんな中、当の理枝子が編集部にやって来る。実は今度結婚すると言うのだ。富山で行われる結婚式には美帆、美帆の幼馴染みで編集部でカメラマンとして働く長田吾郎、京子を招待すると言われて三人は大喜びする。ところが結婚式当日、式に出席するはずだった理枝子の親友・檜山鮎美が雨晴海岸で遺体となって発見される。奇怪な事に遺体の傍には黒百合が落ちていた。おまけに何故か理枝子のウェディングドレスにも黒百合が!警察は式の前日、鮎美と理枝子が言い争っていた目撃証言を受けて、理枝子を重要参考人として警察署へ連行する。

 

山村美紗の作品と言えば、言わずと知れた京都府警の狩矢警部が事件を担当する事になる。勿論、この作品も例外ではない。しかしこの狩矢警部の人物像と言うのはがちがちにはまる枠組みがあるわけではなく、狩矢警部が登場するドラマ毎にそれぞれ脚色され個性的な狩矢警部が登場する。今回の狩矢警部はさほど目立つ存在では無いのだが、どこかお茶目で笑ってしまう。主人公である美帆との繋がりは、美帆の幼馴染みの母親に恋する男という役柄だが、彼女が冬ソナに興味を示していると知った途端、携帯の着メロを冬ソナにこっそり切り替えるところが可愛らしい。

 

とは言うものの、最初からあからさまに疑わしい人物が一人いて、その人が殺人なんてするはずがないと信じた人が探偵役となって事件の真相を暴いていくという流れはお約束。特別目を引くトリックがあるわけでもなく、ミスリードしながら巧みに真犯人から視聴者の目を逸らしていく手法はサスペンスにはありがちである。但し、登場する人物が少ない事で探偵役が暴くまでもなく犯人は浮かんでくるので、2時間ドラマでは混乱するかも知れないが、海外ミステリー並みに登場人物を増やした方が良い。どうしてもお手軽ミステリーのイメージが強い内容である。

 

さてドラマ内では何故美帆が作家として成功しないのかを問う場面がある。まあ、恋愛のお題を貰ってなんちゃって冬ソナをお茶らけで書いてしまうのは御愛嬌だが、京子が美帆は一方向からしか物事を見ない面があるようなニュアンスで伝えている。これには激しく同意した。

 

満足度は★★★★

にほんブログ村 テレビブログ 推理・サスペンスドラマへ

鉄の王キム・スロ

【出演】 チソン、ソ・ジヘ、ユ・オソン 他

 

優秀な製鉄技術と海洋貿易で繁栄した伽耶国の初代国王となったキム・スロの人生を描いた歴史ファンタジー。

 

西暦十八年、漢の皇帝・光武帝は部隊を率いてある北方民族を襲っていた。実は先の戦いで北方民族の族長――キム・ユンは光武帝と敵対し、光武帝の弟を殺害していたのだ。光武帝の力は圧倒的で負けを覚悟したキム・ユンは身重の妻――チョンギョンに子供を守れと言い残し、単独で光武帝に突撃した。夫の言いつけを守るべくチョンギョンは必死に逃走し、高句麗行きの船に乗る。またチョンギョンの殺害命令を受けた光武帝の甥――ユ・チョンも同じ船に乗る。ところが運悪く海賊に船が乗っ取られてしまい、チョンギョンもユ・チョンも捕らわれの身に。そんな中、チョンギョンは船底で男の子を出産する。その直後、船は難破してしまう。船に乗っていた多くの人々は死に、狗耶国の海岸に打ち上げられていた。その中で元気な泣き声を上げていたのが生まれたばかりのチョンギョンの赤ん坊だった。鍛冶長のチョバンは死産をした妻に我が子だと偽ってこの赤ん坊を渡してしまう。一方、海岸で目を覚ましたチョンギョンは必死に我が子を探し回るが見つからず、深い悲しみに捉われていた。

 

製鉄技術で繁栄を誇っていた狗耶国で育ったキム・スロが、やがて王となり周辺の集落をもまとめた伽耶国を建国するまでの苦難に満ちた道のりを描いたストーリーで、野心剥き出しの者達が数多く登場する中でスロは王としての資質はあるものの、野心と言うものが殆ど感じられず、ただひたすら不条理な世の中や慣習から解き放ち、民を幸せにしたいという信念に従って行動する稀有な人物であるのが印象的である。またカリスマ的魅力にも溢れていて、それが逆に幼少期では仇となって疎まれてしまい、産みの母から徹底的に恨まれる要因となってしまう悲しい宿命を背負って生きていく事になる。罠にはめられて奴隷となる等、スロの人生は波乱万丈。しかしどんな過酷な現実さえも、神に選ばれし者である運命が吉と変えていく。おまけに絶対に死なない。スロは最強に強運の持ち主なのである。

 

確かに野心はなく、人々が幸せになれる方向性を探りながらのし上がっていくスロの姿を見るのは爽快だが、気になる点があったのも事実である。スロの出生の秘密がいつまでも影響し続けるのは如何にも韓国ドラマらしいと言える。しかしストーリーを転ばせるためにいつまでもその秘密を引き摺り続けるのはその意図が垣間見えて見苦しい。いや、それ以前にチョバンとイビガがもっと早く秘密を明かしていればこんなに関係がもつれる必要はなかったはず。何年たってもスロの養母に気兼ねして秘密を明かそうとしない主要人物に苛々するわ、結果論から言えばそのせいで多くの人々が不幸になっているのも事実である。他にもイビガは何処へ行ったのかという疑問も。テガンが権力を手に入れた後、イビガは逃走して何処かで生き延びている事になっているはずだが、結局最後までイビガの行方は不明のままだった。無責任すぎるだろ!と怒りが・・・。それ以外にも年月が経っているはずなのに、主要人物がまるで年を取らないというのもおかしな話である。

 

色々ツッコミどころは多いのだが、最もツッコミを入れたくなるのはスロの寿命。王妃と共に150歳超えって有り得ないだろ。

 

満足度は★★★★★

にほんブログ村 テレビブログ 推理・サスペンスドラマへ


カウンター

ブログパーツUL5

にほんブログ村

search this site.

profile

categories

latest entries

archives

recent comment

links

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM