死亡フラグが立ちました!

  • 2020.09.23 Wednesday
  • 11:53

【出演】 小関裕太、寺脇康文、塚地武雄 他

【放送】 2019年(関テレ)

 

ターゲットにジョーカーのカードを送り、二十四時間以内に必ず死なせる『死神』の事件をフリーライターと天才投資家の二人が解き明かすお馬鹿な脱力系ミステリー。『このミス』大賞ドラマシリーズ第三弾!原作は七尾与史著の『死亡フラグ』シリーズ。この小説は第八回『このミステリーがすごい!』大賞で隠し玉に選ばれた。

 

文蔵社の雑誌で都市伝説のフリーライターを務める陣内トオルは、ある日編集長からこの雑誌が廃刊の危機にあると知らされる。編集長はトオルが書いた記事の中で最もヒットした伝説の殺し屋『死神』の正体を暴けば廃刊を考え直すと言う。『死神』は依頼を受けてから二十四時間以内に必ず殺人を成功させ、その相手にはジョーカーを送りつけるプロの殺し屋。しかし何の手掛かりも残さない。早速お手上げ状態となったトオルは高校の先輩で投資家の本宮昭夫に相談しに行く。本宮は見た目こそチビでデブの不細工な男だが、頭脳明晰でやたらと女にはモテる。ろくに勉強もせずに東大に合格し、大学を卒業してからは投資家として成功している。トオルから話を聞いた本宮は『死神』とは狙った人間が死ぬよう罠をかけて誘導するタイプの殺し屋であると推理する。そんな中、木村組の幹部・松重竜次が組長が殺害されたのではないかと相談を持ち掛けて来る。トオルと本宮が組長が死んだ時の映像を見せて貰うと、大好きな動物の赤ちゃんの映像を見ている際に冷蔵庫を開けようとして派手に転倒する姿が認められた。組長はその際に頭を打って死亡。現場を調べている内に本宮は冷蔵庫の下にバナナの皮が落ちているのに気付く。また組長が見ていた映像にはサブリミナル効果を利用したビールを飲みたくなる細工が施されていた。

 

伝説の殺し屋の殺し方がバナナの皮で足を滑らせてとか、非常に手の込んだ仕掛けをしてくる反面お馬鹿感満載に見せる殺害方法で、それに対峙するのが容姿は全くイケテナイのだが、何故か頭脳明晰で女にモテモテで武道にまで秀でている有能なトレーダーというどこまでおちょくってんのか!という世界感を最後まで貫き通している。その路線でありながらミステリー要素はしっかりしていて、立派なミステリー作品に仕上げているのが笑って、いや、見事だと認めざるを得ないのがこのドラマである。主人公がやたらと悲鳴ならぬ奇声を発して騒がしいのが玉に瑕。

 

勿論、色々ツッコミどころも多い。幾重にも仕掛けられたトラップの内、ここから足がつくだろうと思われながら放置されている部分も結構あった。が、それはそれ。テンポの良い展開や脱力系のストーリーについつい見落としても構わないか〜という気分にさせられてしまう。まさに魔法である。つまりは面白い作品ということだろう。

 

満足度は★★★★★

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妖怪シェアハウス

  • 2020.09.21 Monday
  • 06:24

【出演】 小芝風花、松本まりか、大東駿介 他

【放送】 2020年(テレ朝)

 

不幸な人生を送って来たOLを助けたのは現代社会で生きる妖怪たちだった。妖怪たちの家をシェアする事になった彼女の摩訶不思議なストーリー。

 

借金取りに追われてキャリーケースを手に逃げ惑う目黒澪は、恋人の奥園健太郎の家に匿って貰おうと訪ねたが、そこには見知らぬ女がいた。澪は二股をかけられていたのだ。しかも優先順位は二番目。そもそも借金は健太郎に貢ぐために背負った借金であり、健太郎の仕事のミスさえ澪は被って来た。それもこれもゆくゆくは健太郎との結婚を夢見ていたからだったのだが、健太郎に澪と結婚する気などさらさらなかった。ただ金を引き出すために利用されて遊ばれただけだと知りショックを受けた澪は勤めていた会社もクビになり、住む場所も失って、行き倒れてしまう。そんな澪に手を差し伸べたのは四谷伊和という眼帯をした美しい女性だった。澪が目を覚ますとそこは伊和の暮らすシェアハウスだった。優しく接してくれる住人達に感謝する澪だったが、ここの住人は何か様子がおかしい。夜中に目を覚ました澪は部屋の中に集う化け物の姿を見てしまう。

 

妖怪が登場する話は多々あるが、ここまで大胆に妖怪エンターテイメントドラマを作り上げてしまうとは驚きである。妖怪と言えばこうであるという常識を完全に超越して、ドラマ内でこの妖怪がそもそもどんな時に現れる妖怪なのかという説明はされるものの、そこから道を大幅に外してしまう縛られない発想が魅力のドラマである。例えば番町皿屋敷に登場するお菊は日本の怪談話では有名であるが、身を投げた古井戸から皿を数えて一枚足りないとすすり泣く声が聞こえるという逸話から、現代社会では在庫管理のプロ。しかもハイテンションなアイドル女子。他にもコロナ禍で話題となったあまびえを登場させるなど、どこまでも遊び心に拘ったドラマ作りが斬新なドラマになっている。また妖怪の外見の不気味さとは裏腹にとにかく明るく笑い飛ばせてしまうのも魅力の一つ。夏には怪談やホラーが定番となっているが、これまでの妖怪=怪談の常識を完全に逸脱している。

 

毎回、様々なストーリーが用意されているが、一番の驚きはヒロイン・澪の決断だろう。妖怪と関わりを持ってしまったがために自らが妖怪化してしまった澪。そんな彼女はとある決断を迫られるのだが・・・。色々悩んだ末、澪が選んだ道はこのドラマならではの決断だったように感じる。澪を通じて脚本家の本音が垣間見え、なるほどと納得させられる。

 

満足度は★★★★★

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真夏の少年 〜19452020

  • 2020.09.19 Saturday
  • 11:35

【出演】 佐藤龍我、博多大丸、長谷川京子 他

【放送】 2020年(テレ朝)

 

現代にタイムスリップした鬼軍曹と現代の高校生が過ごすひと夏のストーリー。

 

雷の多い地域・富室市。市内にある富室高校二年B組には見た目はヤンキーだがクラスメートから『見掛け倒しトリオ』と呼ばれる三人がいる。リーゼントの風間竜二、ヤンキー漫画が大好きな瀬名悟、可愛いものが大好きな春日篤は大の仲良しでいつもつるんでいた。ある日、喧嘩上等の夢から覚めた悟はビルの屋上から人が落下する光景を見てしまう。竜二と篤を連れて三人でビルまで行くもののそこには誰もいなかった。草むらに落ちていた白い手袋を持ち帰って学校に戻ると、学校では理事長――山田ゲルハルト節子がやって来て大騒ぎになっていた。二年B組の生徒――財前康隆が自殺を図ったと言うのだ。幸い命には別条はないが面会謝絶の重体。節子は自殺の原因が何か調査しろと二年B組の担任教師――東村秀太郎に命じる。翌日、悟がいつものように登校すると、教師達に学校への出入りを禁じられる。東村は自殺の原因が悟のカツアゲだと決め付けてしまったのだ。勿論、完全な濡れ衣で、悟は三日前ジュース代が無くて財前に150円を借りただけだったのだが、悟の主張は認められなかった。謹慎処分となった悟がいつもの場所で竜二と篤と三人で屯っていると、放送部の小泉明菜が現場リポートの動画を送って来る。話はどんどん拡散され、悟の立場は悪くなる一方。しかし悟は壁にぶつかると逃げてしまう性格で、無実を証明する気はさらさらなかった。

 

映画『STAND BY ME』をイメージしたドラマですぐに諦めてしまう現代の高校生達が、戦時中からタイムスリップした日本兵との出会いから生き方を学び成長していく物語。戦争の悲惨さを伝える内容ではないが、夏休みや終戦記念日等を意識した全年齢向けの内容となっている。深夜帯に放送されているが、昔ならば昼ドラ枠やゴールデン枠に放送されていてもおかしくないようなドラマである。

 

ネットの情報をすぐに鵜呑みにしてしまう現代。情報の真偽を確かめる事無く拡散し、根拠のない嘘に惑わされて人を傷つけていく。そんな社会で生きる多感な高校生は、無駄な労力を使って疲弊するよりは諦める事を覚えて生きている。しかし戦時中は諦める事を許されなかった。全く価値観の違う日本兵の三平三平が彼等の良き教師となって、彼等に人間としてどうあるべきかを教えていく。ただ三平三平が日本兵だからと言って軍国主義を貫くようながちがちの頭の人間であったとしたなら、彼等との友好関係は築けなかっただろう。当時を生きる人間としてはかなり柔軟な思考を持つ特異な人間に設定されている。

 

クライマックスでは元の時代に戻るためのタイムマシンを、防空壕の基地でみんなが協力していく。タイムマシンがその辺の材料を使って高校生に作れてしまうのはかなり違和感があるが、少年達が何か一つの目標に向かって尽力する姿は清々しい。学校では全く違うグループで接することの無かった彼等が、同じ目的のためなら手を組み、友情を育んでいく。アイドルタレント中心のエンターテイメントドラマであるのは否めないが、ほどほどの脱力感もあり、田舎社会の良さも孕み、夏休みには相応しいドラマだった。

 

満足度は★★★★

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竜の道 二つの顔の復讐者

  • 2020.09.18 Friday
  • 10:39

【出演】 玉木宏、高橋一生、松本穂香 他

【放送】 2020年(フジ)

 

一人は顔を変えて裏社会を生きる者、もう一人はエリート官僚。一卵性双生児の兄弟が両親を自殺に追い込んだ男に復讐を果たす復讐物語。原作は白川道著の『竜の道』。

 

1997年、福岡で小さな運送会社『吉江運送』を経営する吉江夫妻は一卵性双生児の息子――竜一と竜二、まだ五歳の娘――美佐の五人で幸せに暮らしていた。ある日、会社に霧島源平という男が現れる。霧島はキリシマ急便の社長で業務提携契約を結ぶためだった。しかしそれは吉江運送を乗っ取るための霧島の悪質な常套手段だった。追い詰められた吉江夫妻はガス心中を図る。竜一と竜二が学校から帰宅すると既に吉江夫妻は息を引き取り、離れた廊下では美佐が巻き添えを食って倒れていた。幸い美佐だけは無事だった。竜一と竜二は警察に足を運んで霧島の悪事を訴えるが、全く請け合ってくれなかった。それから七年後、竜一と竜二、そして美佐は三人で一緒に暮らしていたが、竜一が一人で留守番をしている際に煙草の不始末で火事を起こしてしまう。遺体は黒焦げで顔の判別も出来ない状態だった。ところがそれから二カ月後、竜二の前に見知らぬ男――斉藤一成が現れる。この男こそが竜一だった。火事で自分を死んだことにして整形して別人となったのだ。全ては両親の復讐のため。竜一は裏社会から、竜二は表社会から、霧島への復讐を誓う。

 

復讐劇と言うのは復讐する相手が強ければ強い程話が面白くなる。あっさりやられてしまうようでは話が盛り上がらない。復讐をする側もされる側もやり返せるような強さとしぶとさを持ち、そのスリリングなせめぎ合いがドラマの面白さとなる。今回、復讐される男・霧島は自分の利益のためならどんな卑劣な手段も厭わず、相手に同情する心も持たず、自分以外、例えそれが家族でさえも信じられないという設定。まさしくラスボスに相応しい人物で、復讐する側が何をしても勧善懲悪っぽい構成に見えて来る。更にこのドラマはただ復讐するだけにはとどまらないのが魅力の一つ。復讐のために裏社会へと身を投じた竜一がヤクザと繋がりを持ち、そちらとの関係性でも話が発展する。また復讐を誓った兄弟が本当に守りたい血の繋がらない妹の存在。様々な人間関係によって話は二転三転していく。

 

ラストは復讐を果たした後日談で締めくくられるのだが、この結末は衝撃的と言うよりはほぼ予想通りだった。復讐を遂げたとしてもその先には何も残らない。誰一人幸せにはなれず、ただただ虚しいだけである。この復讐劇の被害者は誰だったのか? 考えてみれば復讐劇に巻き込まれた霧島の家族が一番の被害者では無かったのだろうか?

 

原作ありきのドラマなのでストーリーは決まった道筋を辿ることになるのだが、しばしば感じたのはとにかく決められた話数に収めるために重点を置きたいポイントに絞って繋げているため展開が早くてテンポは良いのだが、その反面人の心の葛藤などドラマ自体に深みを与える部分が少ない。そのせいだろうか、最後は意外とあっさり勝負がついてしまう点に拍子抜けした。

 

満足度は★★★★

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きょうの猫村さん

  • 2020.09.17 Thursday
  • 12:58

【出演】 松重豊、濱田岳、市川実日子 他

【放送】 2020年(テレ東)

 

猫なのに家事万能な猫が人間との触れ合いを通してのほほんと過ごす日々を描いた心温まるドラマ。原作はほしよりこのコミック『きょうの猫村さん』。

 

村田家政婦紹介所を訪れたのは猫村ねこという正真正銘の猫だった。猫村さんは家政婦募集の広告を見てやってきたと言い、勝手に上がり込んだかと思えばエプロンをつけて掃除を始める。何をやらせても家事は抜群の猫村さん。いつも徘徊しているのでどの店が安いかも全て把握していると言う。猫村さんの家事能力の高さに感心した村田の妻は猫村さんを家政婦の仕事を斡旋する事に決める。

 

一話当たり二分三十秒のショートストーリーで、どの回をとっても特別何かドラマティックな出来事があるわけでもなく、静かで穏やかな日常を家政婦をする猫村さんを通して描いたドラマで、何気ない話の中にぽろっと人の隠された本音が飛び出して、少しずつ何かが変わるかもしれないという期待を持たせて終了する。のほほんとした内容が心を癒してくれるドラマである。

 

そもそも猫村さんが家政婦になったのは、自分を育ててくれた優しい飼い主の坊ちゃんと再会するため。捨てられた事に絶望したり捨て鉢になったりする事無く、堕落せずに働くことを考える猫村さんの猫らしからぬポジティブシンキングは称賛にも値するが、そこはやはり猫。人間が考えている程高尚な目的があるわけではなく、ただただ坊ちゃんに会いたいと思っている純粋さが猫村さんの猫らしい良さなのである。しかし原作の漫画では擬人化されて登場する猫村さんを、まさか実際に人間が演じるドラマに仕上げてしまうとは思わなかった。なり切って演じている松重豊につい顔がほころんでしまう。

 

さて今回は家族の絆が希薄な村田家で働く猫村さんの姿を描いている。誰もが家族に関心を持たず、ばらばらの家族。猫村さんは猫なりに考えて家族が向き合うように少しずつ村田家の人々に働きかけていく。最難関であった長女の鬼子が、やっと猫村さんの食事を食べてくれた時には猫村さんの気持ちがようやく通じたのかと見ている方も嬉しくなった。

 

満足度は★★★

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