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眩 〜北斎の娘〜

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 宮崎あおい、松田龍平、長塚京三 他

【放送】 2017年(NHK)

 

絵に取り憑かれた葛飾北斎の娘の半生を描いヒューマンドラマ。原作は朝井まかて著の『眩』。

 

葛飾北斎の三女として生まれたお栄は小さい頃から絵筆を握る事が何より大好きだった。しかしお栄が嫁ぎ先から出戻ってきた事に母親の小兎は不満たらたら。器量も悪く女の嗜みすらないお栄は実家で他にやる事も無く、北斎の仕事の手伝いをする事になる。ある日、北斎の腕を見込んで一風変わった仕事の依頼が飛び込んでくる。異国の蘭絵なるものを書いて欲しいと言うのだ。北斎は仕事を弟子達にも割り振り、お栄は遊女の絵を描く事になる。ところが依頼主から遊女の絵が下手だと指摘され、ショックを受ける。そんなお栄が心の内を話せるのはかつて北斎の弟子であった池田善次郎だった。

 

天才絵師・葛飾北斎の絵の才能を色濃く受け継いだ娘・お栄。このドラマは彼女が女としての幸せより絵師としての人生を選んだその生きざまを描いたストーリーになっている。

 

今は男女平等を謳い男であろうと女であろうと自由に仕事も結婚も選べるようになっている。しかしお栄が生きているのは江戸時代。その時代に生きる女に仕事を選択する自由は殆どないと言って良いだろう。周囲は、特に母親はお栄を当たり前のように誰かと結婚して夫に尽くす人生を歩ませようとする。それが女にとって一番の幸せだと信じて。ところがお栄の幸せは結婚には無かった。父親から譲り受けた絵師としての才能が与えられた幸せを幸せとは受け取らなかったのである。勿論、お栄も恋はした。その相手が善次郎。実は善次郎との繋がりもやはり絵師なのである。善次郎は唯一お栄の色を求める心を見抜いていた。他の男ではこうはいかない。ところが皮肉な事にお栄の才能を見抜く力のある善次郎だからこそ、お栄の才能を高く評価し、お栄は自分の妻として生きるには勿体無い逸材だと見抜いてしまった。

 

女が絵師として生きるには生き難い時代を絵師として生き、そして最期まで自分の父親を越えられない壁として見続けたお栄の姿は非常に泥臭くもあり清々しくもあった。好きな事を仕事にすれば辛くなる。それは逃げ道が何処にも無くなるからである。お栄の苦しみは常にそこにあった。もっとうまくなりたい。でもどうすればそうなれるのか判らない。解決策の無い無限の苦しみに苛まれる姿でさえ、憧れてしまう。絵師としてのお栄の生き方に魅了されるドラマである。

 

満足度は★★★★★

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アイ 〜私と彼女と人工知能〜

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 香里奈、志尊淳、池田エライザ 他

【放送】 2017年(フジ)

 

上司命令で女二人の生活に人工知能の青年が加わった。その日から始まる三人の奇妙な日常。二週連続放送。

 

田中雫はリケ女で会社に入社して五年になる。現在、AI開発のプロジェクトチームに所属しているが、ロクに発言もせず、仕事の出来る後輩・真下麗華に美味しい所を全部持っていかれてしまう。そんな雫に上司の上村は呆れ果て、雫に最終通達を出す。それが現在開発中のAI『今泉3』と一緒に暮らす事だった。帰宅した雫は早速自分のパソコンに『今泉3』をインストールし、設定画面で名前を今泉聖司、性別を男と設定する。すると画面に端整な青年の顔が現れる。ところが聖司は人の神経を逆撫でするような発言ばかり繰り返し、挙句の果てに雫に服を脱いでと要求する始末。幸い途中で同居人の桜井ももが乱入し、雫は服を脱がずに済む。翌日、会社でまたもや嫌な想いをした雫は家でもももが男友達を沢山呼んでパーティーをしていた事が気に入らず、ついつい聖司に愚痴ってしまう。

 

三人(とは言っても一人はAIだが)の友達以上恋人未満の微妙な関係性を描いた内容なのだが、ヒロイン・雫のルームメイトであるももの関係性が伝わり辛いのが難点。オープニングでももが雫に対してどんな感情を持っているのか匂わせる演出が入っているので、何となく伝わって来るものの、始まってからはむしろそういった人に対する感情より普段の生活の愚痴の方が大々的に扱われてしまっているため、最初の演出の効果が何処かに置き去りになってしまった感じがする。後からとってつけたようにその感情を暴露する場面が登場するのだが、前後編のドラマ内ではももの繊細な気持ちまでを表現するには至らずに終わってしまった。

 

AIが学習するだけでなく、気持ちを持った体の無い頭脳だけの生き物として存在する。それはある意味これからの未来の世界ではあれば活躍できそうな感じはする。ただ危機を感じた時に自分の劣化コピー品を作って・・・という部分には疑問が湧く。おそらく開発者はそんな機能を搭載しないだろうし、もしも搭載されていないのに自ら思考してその考えに至ったのだとすれば下手をすれば昔のSF小説やアニメのようにAIに人間界が支配されかねない。そんな優秀な今泉のようなAIはまだまだ開発されないというより開発しないだろう。その辺りは人類の夢を実現したと考えて大目に見るべきだろう。しかしあの3D画像はいただけない。

 

まあ、それはともかく。相手はAIと言えど女二人の生活に男が一人入ってきた。そうなれば生活は少しずつ変化していく。これまでのようにはいかない。特に今泉は人が何を考えているのかまで察知し、心の中まで踏み込んでいく。やがてそれは崩壊を招いていく。言わば今泉は彼女達にとっての試練のようなものなのかも知れない。小手先だけの面白さはあるが、真面目に考えるとこれはホラーである。

 

満足度は★★★

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BORDER衝動 検視官・比嘉ミカ

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 波瑠、工藤阿須加、石丸幹二 他

【放送】 2017年(フジ)

 

2014年に放送された『BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係』のスピンオフ作品。本編では検視官として登場する比嘉ミカがまだ検視官になる以前、遭遇した猟奇的殺人事件の謎を追う。原案は金城一紀。

 

永正大学医学部法医学教室の助手を務める比嘉ミカはある事件現場をうろついていた事で警察に連行されてしまう。事情を聞かれたミカは自分の目で事件を捜査してみたくなったからだと答える。ミカは優れた観察眼と洞察力を持つ優秀な人材であるが、教授の浅川透の下で悶々とした日々を送っている。浅川はテレビやマスコミに顔の広い有名人ではあるが、ミカの能力を自分の売名行為に利用しようと手柄を全て自分の物とし、ミカを助手のまま囲い込んでいるのだ。ある日、女子中学生が奇妙な遺体となって発見される。その少女は木にロープで縛りつけられたまま殺害されていた。死因は絞殺。少女は制服を着たままの姿で手の指を一部切り取られていた。テレビ局からの依頼で事件のプロファイリングを浅川が担当するが、事件の情報開示の際に立ち会った担当の刑事・中澤史郎は浅川に胡散臭さを感じずにはいられなかった。

 

自分を目立たせる事しか考えず、自分の助手である比嘉ミカの手柄を全て自分の物とマスコミに売り込んでいく浅川が、能力的に自分より長けているミカを表舞台立たせないために男社会だの、ただ自分のために働いていれば良いと逐一ミカを言い包めようとする様に反吐が出る。お調子者で自己顕示欲が異様に強い浅川を石丸幹二が好演している。教授という肩書だけの馬鹿ではなく、一応それなりの知性を持ち合わせる役柄がぴったりはまっていた。それに対して今回のドラマの中心となる波瑠や工藤阿須賀の方はどうも演技に個性を感じられず、当たり障りのない警察の人間(正確にはミカは関係者という立場)に見えてしまう嫌いがあった。特に波瑠だけを見ていると、他局のドラマ『ON』と区別がつかない。

 

スピンオフ作品なので、本編の主役が登場しない。それは仕方のない事かも知れないが、『BORDER』の特徴的な部分が全て切り取られてしまったせいでただの猟奇的殺人事件を扱った刑事ドラマと何ら変わりない。本編が好きでこのスピンオフドラマも見た場合、落胆が大きい。らしさが何処にも感じられないのだ。

 

普通の刑事ドラマとしてみればそれなりに見られる内容なのだが、『BORDER』を掲げている以上、やはりらしさは損なわないで制作して欲しい。

 

満足度は★★★

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巨悪は眠らせない 特捜検事の標的

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 玉木宏、名取裕子、勝地涼 他

【放送】 2017年(テレ東)

 

老人介護施設政策の裏で不法な金取引はあったのか?東京地検きってのエリート検事が大物政治家の闇を暴く社会派ドラマ。原作は真山仁著の『売国』。昨年放送された『巨悪は眠らせない 特捜検事の逆襲』の続編。

 

民主自由党の新総裁に初の女性政治家・越村みやびが選出された。みやびは女性ながら有能でクリーンなイメージの政治家だけに、国民からの支持も厚い。しかしその裏では東京地検きってのエリート検事・冨永真一が率いる特捜部がみやびの不正を暴くべく動き出していた。実はヤミ検と呼ばれる弁護士・宮崎穂積が医療コンサルタント会社『JWF』が元社員と友に東京地検に対してみやびと『JWF』の社長・楽田恭平との癒着についてリークしてきたのだ。楽田からの賄賂を受け取り、『JWF』に都合の良いサービス付き高齢者向け住宅、所謂サ高住を取り締まる法案『社会福祉健全化法案』を成立させたのだ。確かに悪徳業者の巣窟となっていたサ高住を取り締まる法案を成立させたみやびの功績は大きいが、その裏で不正な金銭授受があったとされれば話は別である。しかし証拠は二人が会話している音声だけ。音声だけでは捏造が出来るので証拠能力が低いのだ。相手は次期総理と呼び声高い大物政治家だけに徹底した証拠固めをしなければ逮捕には漕ぎ着けない。一方、みやびはいよいよ次期総理に名乗りを上げるべく現総理大臣・黛新太に後見人を依頼して、着々と足固めの体勢に入っていた。

 

前作のキャストを活かして制作された続編として今回は政界の闇を切るべく主人公・冨永真一が動かぬ壁のような越村みやびを相手に切磋琢磨する姿を描いているのだが、かなり冨永に分の悪い戦いになっている。そんな冨永とは敵対関係にあるのが新聞記者なのだが、今回に限っては神林裕太というちょっと癖のある新聞記者の役割が重要になってくる。冨永は言わば正攻法で真実を見抜くタイプ。頭はキレるがその反面頭が固く融通が利かない。正義だと信じた方向へ真っ直ぐ突っ走っていくタイプである。それに対して神林は今やイイ子ちゃんだらけになりがちの新聞記者達の中で、常に信念を持って行動すると言えば聞こえは良いが、世論に流されずあくまで自己流で真実を見極めようとするため癖のあるタイプ。本来ならば東京地検と新聞記者が協力関係にあるのはどうかと思う。実際、最初は冨永はかなり神林を警戒していた。しかしこの二人、形が違うだけで真実を追う姿勢は良く似ている。最終的に協力する姿を目にした時はなかなか良いコンビではないのかとにやついてしまった。

 

さてストーリーはと言えば、確かに大物政治家をクロにするのは至難の業である。しかも賄賂をもらったというただそれだけの真実を暴くために冨永がどれだけ苦悩するかに焦点が当てられているため、闇を暴くと言っても終わってみれば暴いた闇ってこれだけ?と少々肩透かしを食らう。スペシャルドラマだけあって大層な面々が至る所で顔を出す贅沢な内容ではあるのだが、それだけに余計に暴かれし内容の薄さに落胆するのである。裏を返せばそれだけ大物政治家に罪を認めさせるのは大変だと言う事なのだが、大判風呂敷を広げた割にはあっさりしすぎである。但し玉木宏が颯爽と活躍する姿を拝むためのドラマであれば納得する。

 

面白いかと問われれば内容の薄さがどうしてもネックになる。そして闇を暴いた先に見えてきたのは、必ずしも大手を振って喜べる結末では無い。そのもやもや感が社会派ドラマの特徴でもあるのだが、すっきりしないのは事実である。

 

満足度は★★★★

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秘めた絆

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 手塚理美、神田正輝、森口瑤子 他

【放送】 1998年(TBS)

 

我が子の父親は夫じゃないかも知れない。夫から子供のDNA鑑定を迫られ、戦々恐々とする妻の不安な日々を描いたサスペンス。原作は夏樹静子著の『秘めた絆』。

 

短大を卒業しすぐに結婚した野々村珠子は三十歳の時に子供・純一にも恵まれ幸せを噛み締めていた。ある日、夫の康平は純一について苦言を漏らす。何故純平だけ左利きなのだろうと。これまで野々村家には左利きの人間は一人もいなかったのだ。その日、家に珠子一人になった時間を見計らって子連れの女が訪ねて来る。彼女は康平の愛人の薫。連れてきた子供は薫と康平の間に生まれた暁だった。彼女が訪ねてきたのはこれが二度目になる。六年前、いきなり訪ねてきたと思えば康平との関係を暴露したばかりか、結婚は望まないが康平の子供を産んで育てるのを了承して欲しいと頭を下げたのだ。当時子供に恵まれなかった珠子にとって屈辱的な出来事だった。しかし今回訪ねてきた目的は不倫を清算して、別の男性と結婚を考えているので、珠子に康平の説得を頼みに来たのだ。康平は野々村家の血筋の暁を手放すのは嫌がっていると言う。その夜、珠子が康平に話を持ち出すと、康平は暁を引き取ると言っているが、実は本当に自分の子かどうか疑っていると吐露する。珠子が見る限り暁は見た目も音楽の才能に恵まれているのも康平と良く似ていた。それでも康平が疑っているのは、純一が自分と全く似ていない事に起因していた。

 

突き詰めて言えば男と女の価値観の違いに目を向けたストーリーで、幸せになるには全てを明らかにするべきだと考える男と、不幸になる真実なら隠してしまった方が良いと考える女の考え方のギャップを上手く捉えたドラマである。またあまり見られない本妻と愛人の関係も面白い。愛人が夫の子供を身籠って本妻の座を狙うというストーリーは良くあるが、このドラマのように愛人が他の人と結婚するために本妻に夫の説得を持ちかけるというのはなかなか他では見られない。勿論、作者の意図あってのシチュエーションではあるのだが、愛人と本妻が対立するも手を組むも、それは状況次第。このドラマを見れば女が意外とタフで強かだと思い知らされる。こういったシチュエーションを作り出した事を評価したい作品である。

 

現代では割合一般的になりつつあるDNA鑑定であるが、このドラマが放送された当時は一般にはあまり浸透していなかった事を考えると、もしかするとこの作品がつくられた当時はDNA鑑定を取り入れる事だけで画期的な内容だったのかも知れない。勿論法医学等の内容のドラマではこの当時の作品でも使用されているケースはあるが、丁度変わりつつある時代だったのだろう。

 

さて本妻と愛人。ドラマでは非常に対照的に描かれている。自由奔放で思ったまま行動してしまう愛人と築き上げた幸せにしがみ付く事しか出来ない本妻。そのコントラストがはっきりしていてどちらも好演していた。

 

満足度は★★★★

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