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女系家族

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 米倉涼子、高島礼子、瀬戸朝香 他

【放送】 2005年(TBS)

 

老舗問屋の社長の死後、女系が続く一家で巻き起こる遺産相続争い描いたストーリー。原作は山崎豊子著の『女系家族』。

 

矢島商事の社長・矢島嘉蔵の葬儀が増上寺で行われている。喪主を務める長女・矢島藤代が葬儀を全て取り仕切る様子を次女・矢島千寿や三女・矢島雛子は冷ややかに見つめていた。しかしこの時、葬儀に訪れた若い女性・浜田文乃が波乱の火種になろうとは矢島家の面々は知る由もなかった。実は文乃は嘉蔵の愛人。二人は深く愛し合っていたが、二人の関係は矢島家の人間には内緒で、専務の大野だけが知っていた。嘉蔵は大野を特に信頼していて、遺言執行人にも娘達を差し置いて大野を指名している。遺言公開に当たって後日改めて親族会議を開きたいという大野に娘達はやきもきするばかりだった。事実娘達は遺産相続の事しか頭になく、誰も嘉蔵の死を悲しんでいなかった。翌日、矢島商事を継ぐ意思の強い藤代と、藤代に対する嫉妬心を滲ませる千寿が対立する。一方、葬儀の後姿をくらましていた大野は文乃に会い、矢島家の親族会議にそれとなく誘っていた。

 

五代続いた女系家族は常に女系家族としてのしきたりを守り、そして驕り昂ぶり、周囲の人間だけでなく婿養子までもを見下してきた。これは言わば死ぬまで虐げられて生きた一人の婿養子の壮大な復讐計画に他ならない。死んでからもなお影響力を持ち続けた故人の綿密な計画は見事としか言いようが無い。

 

しかし揃いも揃ってここに登場する人々は欲に目がくらんだ人間ばかり。たかが遺産相続、されど遺産相続なのかも知れないが、故人を悼むより前にまず自分の取り分を考える娘三人を始めとし、横領など好き放題の専務、その他娘婿にハイエナのような踊りの師匠など様々な欲深い面々のオンパレード。ここまで見事に欲深い人間が集まるとまあ華やかで、その戦いも見物である。そんな淀んだ空気の中にぽつんと舞い降りた文乃は果たして天使か悪魔か?いやはや毎回何らかの激闘があり、見応え抜群のストーリーである。

 

何と言っても面白かったのは最終回の修羅場。これまでの彼等の涙ぐましい努力が水泡に帰す場面は見事の一言。何となくこうなるんじゃないかと予想はしていたものの、ここまで大逆転する展開には思わず見入ってしまう。気の強い女達の鼻っ面をへし折るだけでなく、下心ありの狡賢い男達をも黙らせてしまう。この修羅場があるからこそ、それまでの陰惨なストーリーがあったと思えるほどである。単なる遺産相続を一大エンターテイメントにした作品だと言えるだろう。

 

満足度は★★★★★

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殺人被害者の妻

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 三浦友和、山本未来、金山一彦 他

【放送】 2005年(テレ朝)

 

殺人の前科を持つ実直な青年が結婚式の直後に再び殺人を犯して自殺する。未亡人となった青年の妻と青年の友人でもある刑事が事件の真相究明に乗り出す。三浦友和主演の『妻』シリーズ第三弾。

 

1998年春、悪質な地上げ屋・石田がアパートの一室で遺体となって発見される。その部屋に住んでいたのは働き者で妹想いの向井稔と、結婚を間近に控えた妹の美奈で、美奈がゴミを捨てに現れなかった事から事件が発覚した。警察に通報があった時には向井兄妹は何処かへ姿をくらました後だった。向井兄妹は石田から借金をしており、事件のあった当日、石田は金の取り立てだと言って冷酷にも美奈をレイプしていた。それを知った稔が逆上して石田を刺殺したというのが事件のあらましだった。散々弱者を食い物にし、警察にもマークされていた石田のあまりにも呆気ない幕切れに刑事達は言いようのない虚しさを感じる。その後、稔は警察へ自首。美奈は自殺し、警察へ兄を助けて欲しいと書いた遺書を送り付けた。事件を担当した杉本警部は稔の身の上に同情し、稔が刑に服してからも面会に来ては友情を深めていった。事件から五年後、出所した稔は故郷でやり直すと杉本に誓って別れる。

 

焦点が絞り切れていないという印象が強い。シリーズ物の一作である背景もあるのだが、如何にして事件に杉本を関わらせていくか、つまり導入部分にやたらと時間をかけてしまっていて、やっと本筋の事件に繋がるまでが非常に長い。勿論、その中で向井稔が如何に実直な苦労人かを判らせる必要性もあるのだが、それだとしても長過ぎる。その上、それだけある意味丁寧に語って来たにも関わらず本筋ではあっと言う間に死亡。そこからが本筋なのに、向井が苦労の末やっと幸せを手に入れた所で一旦ドラマ終盤のムードが漂ってしまっていて、気持ちの切り替えがしづらいのである。本筋を押し出したいのなら、もっと杉本と向井のエピソードを簡潔に流してしまっても良かったのではないだろうか。

 

また犯人に関しても端からこれをやりたかったという制作側の意図が丸見え。やるならやるでもっと多くの疑わしい登場人物を用意すべきだが、それもない。しかもマ行で始まる人間の占有率に唖然。もうこれはイニシャルを用いた展開をやりたくて名前をつけたと露骨すぎて笑うに笑えない状況である。

 

殺す側も糞なら殺される側も糞。最後は解決したものの、何か釈然としないドラマだった。

 

満足度は★★★

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農家の嫁は弁護士! 神谷純子のふるさと事件簿!! さくらんぼ殺人事件

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 浅野ゆう子、山下真司、高畑淳子 他

【放送】 2005年(BSジャパン)

 

正義を貫くために大手弁護士事務所を辞めた女性弁護士がさくらんぼ農家の嫁に!寒河江の農村で起きた連続殺人事件の謎に挑む。

 

転落死した男性の死に疑問を持った弁護士・宮内純子は勤務先の弁護士事務所の意向に添えず、正義を貫くために辞表を提出した。その夜、酒場で自棄酒を食らっている最中、神谷康介と意気投合する。あれから一年半後、純子は康介の妻となり、康介の実家であるさくらんぼ農家で暮らしていたが都会育ちのエリートである純子にとって田舎暮らしは慣れない事ばかり。康介の姉・明美からは『役立たずの嫁』と小言ばかり言われていた。その頃、康介の実家のある山形県寒河江市ではショッピングセンターの建設を巡って諍いが起きていた。建設会社の顧問弁護士として現れたのはかつて純子の弁護士事務所の所長。所詮農家の人間は法律に詳しくないと高を括っている様子がありありと出ていた。しかし農家側には純子がいる。純子の活躍で形勢逆転。建設会社側はすごすご引き下がるしかなかった。そんな中、青年団の一人・城山一郎が結婚式の当日、遺体で発見される。前日、一郎は元女優の水谷麗が経営するスナックで、同じく青年団の奥野龍次と金の返済を巡って喧嘩になりそのまま行方が判らなくなっていた。

 

嫁と小姑のコミカルなミステリーサスペンスかと思いきや、しっかりとしたミステリーの構成となっており、その中に一度は躓いてしまった女性弁護士が挫けず農村で己の信念を貫きつつ弁護士を続けるという一人の女性の生き様をも絡ませたストーリーになっている。またヒロインが弁護士とは言ってもがりがりのリーガルサスペンスでは無いのでお手軽感もあり、社会問題なども交えて、見ていて飽きない。

 

その反面青年団と言う割にはメンバーが少なかったり、要所要所で如何にもな状況で嫌味なライバル弁護士が登場したりと、不自然な点が無きにしも非ずである。また現実的で親近感がある分だけインパクトの面では薄いのが難点である。

 

それはともかく二時間サスペンスドラマとしては割合面白い部類に入る。シリーズ化したのも頷ける出来である。

 

満足度は★★★★★

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監察医・室生亜季子スペシャル 母子鑑定

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ
【出演】 浜木綿子、酒井和歌子、藤真利子 他
【放送】 2005年(日テレ)

突然倒れた蕎麦屋の店主の死因はボツリヌス菌が原因だった。火曜サスペンス劇場の人気シリーズ『女監察医・室生亜季子』シリーズ第三十六弾!

川越で三代続いた開業医で地域の監察医を務める室生亜季子は新しく出来たコンビニで女子高生・大川洋子が万引きをする場面を目撃してしまう。洋子は心因性の病で心にストレスを抱えると発作を起こすため、室生医院で以前から診察を受けている。室生医院で亜季子が話を聞いてみると、洋子は母親が他人のように感じると打ち明ける。後日、俳句を習い始めた浜田警部は俳句の師匠である林が営む蕎麦屋へ亜季子を連れてやってくる。林夫妻が店を始める前は児童養護施設で働いていたと聞いて、亜季子はふと洋子が度々見る施設で虐められる夢と関りがあるのではないかと考え始める。その日洋子の携帯に非通知で洋子の疑惑を肯定する電話がかかり、洋子の不安は増すばかり。一週間後、浜田警部に誘われて句会に参加した亜季子は偶然林の妻と洋子の母親が言い争う光景を目撃する。それが引っ掛かり、つい林に養護施設の話を聞こうとして怒らせてしまった。ところがその直後、林は突然倒れて病院へ搬送される。亜季子の診断は食中毒だったが、体内の残留物を調べてもそれらしき形跡は残っていなかった。

ボツリヌス菌を使用した殺人事件から始まって、謎の水死体、保険金疑惑等々様々な要素を組み込んではいるが、主体となっているのはあくまで洋子の出生の秘密である。施設で虐められている悪夢の正体、そして母親に対する疑惑。多感な年頃である洋子だからこそ日常の些細な出来事から母親に不信感を抱いてしまう。それをどう亜季子が解決していくかが見どころとなっている。

さて以前はDNA鑑定にさほど詳しくなかった亜季子だが、今回は自らがDNA鑑定を行っている。勿論、そちら方面に詳しい助手がつくが、時代の流れと共に法医学の世界も大きく変わり始めている。このドラマが放送された時代になるとDNA鑑定が行われて当然の時代に突入しているので、流石に知らないでは済まされない。

ところでこのドラマシリーズが開始した頃にはアラフォーだった亜季子も大分良い年になっている。若く見せるために色々努力は見られるものの、顔の染みがもはや化粧の厚塗りでは隠れない程に。また日課にしていた早朝ジョギングは、いつの間にか看護師を伴っての朝の散歩と変わってきている。やはり年には勝てない雰囲気がひしひし。

満足度は★★★
中村雅俊,一青窈,工藤哲雄,河野伸,都志見隆
日本コロムビア
(2005-02-23)

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黒い画集 紐

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 余貴美子、内藤剛志、大地康雄 他
【放送】 2005年(テレ東)

東京で佐渡島の神主が絞殺遺体となって発見される。事件に疑問を持った刑事が真相を究明するミステリー。

佐渡島の神主・梅田安太郎は神主の仕事にうんざりして事業を起こす算段をしていた。学生時代の友人・難波が持ち込んだ中国に不動産会社を設立する話に大乗り気になり、事業資金として姉の青木繁子に500万円出資させていた。しかし安太郎の妻・静代はその計画には反対していた。静代にとって佐渡島での慎ましやかな生活が一番だったのである。そんな静代に安太郎は冷たく元恋人の小林とよりを戻すよう勧める有様だった。ある日、東京にある難波の事務所を訪れた安太郎は会社設立の便宜を図って貰うため二千万円が必要と聞き、新たに繁子に出資を頼みに行く。安太郎に無理矢理神社を継がせた負い目のある繁子は仕方なく家を担保に借金をする。ところが金を振り込んだ途端、難波は事務所を畳んで行方をくらます。安太郎は繁子に難波から金を取り返すと連絡した後、十日近く経過した頃絞殺遺体となって発見される。

井の中の蛙。安太郎という男を言葉で表現するなら、まさにその言葉が相応しい。現状に満足出来ず、自分はこんな所で終わる人間じゃない、自分にはもっと相応しい華々しい人生があったはずだと夢を語る。そういう人間は世の中に結構溢れているものである。安太郎の場合、自分は神主になりたくないのに無理矢理継がされたという経緯を引き摺り続け、望んでいなかった現状を不幸だと思い込んでいる。しかし本当にそうなのだろうか?神主と言う定職があり、生活には困っていない。子供には恵まれなくても、貞淑な妻とは決して不仲でも無い。傍から見れば平凡でも幸せな人生を送っていると言える。それでも安太郎は夢を見るのを止めない。周囲の人間が今が幸せだと訴えても聞く耳を持たない。挙句の果てには自分が神主を継ぐきっかけを作った姉を責めて甘ったれる。こんな人間が身内にいたら、本当見ているだけで嫌になりそうである。

このドラマは身内の情をテーマにした作品である。最後までドラマを見ると、改めてこの安太郎と言う人間がどれだけ他人に甘えた人間なのかが良く判る。心の底では死んでくれれば良いのにと思いながらも、身内だから、家族だから切り捨てる事が出来ない。どんなに迷惑を掛けられも、我儘を言われても、どこかに妥協点を見つけて受け入れてしまう。善悪の良し悪しは別として。一人の刑事が事件を解明する過程で見えて来たのはある意味歪んだ身内の情だった。

面白いかと聞かれるともろ手を挙げて「面白い」とは答えられない内容である。話は常に低いテンションを保ったままで正直地味なストーリーである。確かにテーマとしている身内の情を色々捩り上げた上で良く練られた内容ではあるのだが、最後まで見ないとその良さが判らない嫌いがある。

満足度は★★★★
 
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愛と殺意の津軽三味線

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【出演】 高橋英樹、長山洋子、石橋保 他
【放送】 2005年(テレ朝)

お馴染み十津川警部と亀井刑事のコンビが活躍する西村京太郎原作のトラベルミステリー第43弾!津軽三味線が聞こえる時、人が死ぬ。都内各所で起きた連続殺人事件の謎に挑む。原作は西村京太郎著の『愛と殺意の津軽三味線』。

帰宅途中の会社員・三田誠次が何者かに頭を滅多打ちにされ死亡する事件が起きる。十津川警部率いる十津川班が現場に駆け付けると、三田の財布は盗られておらず怨恨の線で捜査を開始するが、スキューバダイビングやスキーと独身生活を謳歌していた三田に恨みを持つ者は見当たらなかった。そんな折、現場付近で津軽三味線が聞こえたという証言が得られる。時間は午前零時少し前で、丁度死亡時刻と重なっていた。その翌日、今度は独身OL・沢田操が自宅マンションの駐車場で殺害される。こちらも財布や携帯の類は残されており、三田と同様頭部を殴られた形跡があった。手口が似ている事から十津川は同一犯の仕業と考えるが、三田と沢田に共通点は見つからなかった。ところが沢田が殺害された時刻にも津軽三味線の音が聞こえたと証言が得られる。そんな矢先、お台場でバツイチの建築デザイナー・小川新平が背後から刃物で刺され殺害される。第一発見者の女性の話から津軽三味線の旋律だけでなく、女性の歌声も聞こえていた事が判明する。

殺人現場は東京だが、殺人現場に必ず津軽三味線が聞こえた事から舞台は東京から青森へと移動する。そうなると青森出身で故郷愛の強い亀井刑事が黙っていられない。都合良く最近津軽三味線を習い始めた妻からの情報を元に十津川警部と亀井刑事が青森(五所川原)へ飛んでいき聞き込みを始める。しかし思い入れの強さが先走り、亀井刑事の青森蘊蓄があーだこーだ煩いくらいとなる。まあ、これもこのシリーズならではの光景なので愛すべき特徴と言えるのだが、管轄外の捜査で地元警察に睨まれる事は無いのだろうか?

ところで捜査線上に浮上する男性が東京出身と言いつつ、言葉に青森訛りがあると青森出身の亀井刑事が気付く場面がある。この場面に唖然。亀井刑事じゃなくても誰が聞いていたって訛っているのが明白過ぎで、亀井刑事以外気付いていない事の方が驚きである。そもそも青森のイントネーションは標準語とかなり異なる。それを一部にだけ取り入れて喋ればそこだけ不自然になるのは当然である。流石にこの設定は無理がある。

またストーリーに目を向けると連続殺人事件はともかくとして、犯人が犯罪に手を染めた動機が短絡的に感じてしまう。相手を殺したいくらい憎む気持ちは判らなくない。しかし本当に殺害する必要があったのかという点が疑問である。実際、最後のターゲットは助けてしまっている。そういう温情が持てるのであれば、どんな相手も殺める事に躊躇いを感じたのではないのだろうか?

それにしても長山洋子のほうれい線が目立つ事。津軽三味線の民謡歌手という役柄のため、生歌を聞かせる必要があっての起用だったとは思うが、アップにならなくてもほうれい線が二重三重にもなって目立ってしまう。おそらく日頃から口の周辺を良く使うせいもあるだろうし、また痩せているのも原因なのだろうが、ドラマでは少々厳しい。

満足度は★★★
 
西村 京太郎
角川書店(角川グループパブリッシング)
(2011-04-23)

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火垂るの墓

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 松嶋奈々子、石田法嗣、佐々木麻緒 他
【放送】 2005年(日テレ)

第二次世界大戦中、親を亡くした兄と妹の生と死を見つめた感動物語。第60回文化庁芸術祭参加作品。原作は野坂昭如著の『火垂るの墓』。

大正から昭和、平成と生き抜いた澤野久子が死去し、久子の長女・光村なつとなつの孫・光村恵子が遺品を整理していた。久子が大切に持っていた箱の中から出てきたのは家族写真とすっかり錆びたドロップの缶。それを見たなつは終戦後の夏を思い出す。

昭和二十年九月、神戸で久子はなつを連れて横川清太を探していた。駅員に尋ねた所、昨夜清太と見られる少年が野垂れ死にしていたと言う。遺体を片付ける際に服から落ちたドロップの缶を瓦礫の中に捨てたと聞いて久子は瓦礫の中からドロップの缶を探し当てる。中に入っていたのは飴ではなく、小さな石。そしてその場所から仄かな光を放つ二匹の蛍が飛んで行った。

『火垂るの墓』と言えば戦争の悲惨さを伝える作品として有名で、ドロップを抱えた幼い節子と節子を守るために孤軍奮闘する兄の清太の手を取り合って生きる姿が非常に印象的で、節子を喜ばせるために放った蛍の光に包まれる場面が印象的な作品である。しかし今回のドラマはその二人の生きる姿より、戦争がどんなに人を狂わせていくかに注目して制作されており、清太と久子の関係を通じて、軍人と庶民の相容れない考え方の相違を表している。軍人の父親に憧れ軍国主義の教育を受けてきた清太は軍人ではないがいわば軍人の象徴。それに対して久子は軍人が優遇される世の中に疑問を持ち、善良な人間が無理矢理戦場に立たされて命を失っていく事に憤りを覚える庶民的な考え方の女性として描かれている。二人が対立した背景にはこうした考え方の違いが大きく影響しており、久子の夫が戦死した際に言った清太としてはごく当たり前の一言が対立の引き金となってしまった。

しかしどんな考え方を持とうと戦争によってもたらされた貧困と危険と隣り合わせの極限生活の中で人間は次第に心の柔軟さを失っていく。生きるに必死でもう他人の事に構ってはいられない。久子も清太も守るべき人間はいても、自分を守ってくれる人間は誰もいない。だからこそ自分を奮い立たせて生きようとした。このドラマはそんな二人の戦いの軌跡を追ったストーリーでもある。駅で野垂れ死にをした清太はあたかも軍国主義の世の中の終わりを告げているかのようでもあった。

原作では清太と節子の兄妹が迫害された憐れな子供達として扱われている。それはこのドラマでも変わりないのだが、久子のそうしなければならなかった事情や心情を大きく扱っているため、清太の久子への反発は子供じみた反発のように見えてしまう。捉え方の違いなのか涙する程に感動的ではなかった。

満足度は★★★★★

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熟年離婚

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【出演】 松坂慶子、渡哲也、高島礼子 他
【放送】 2005年(テレ朝)

定年退職を迎えた夫に妻が離婚届を突きつけられる。社会問題ともなった熟年離婚をテーマに夫婦のあり方や家族の絆を考えたホームドラマ。夫役に意表をついて渡哲也が抜擢され、それに伴い石原軍団の俳優陣がちらほらキャスティングされている。

豊原幸太郎が定年退職を迎えた朝、目を覚ますと枕元には妻・洋子から三十五年間の労を労うメッセージが置かれていた。しかしふと首を傾げる。幸太郎は勤続三十八年なのである。洋子に尋ねると、三十五年は結婚してからの年月だと言われ納得する。しかしこの時洋子が離婚の決意をしていたとは夢にも思っていなかった。会社で定年退職の挨拶を済ませた幸太郎は退職後の妻との生活に思いを馳せてプレゼントを購入しに行くが、そこで偶然長男の俊介が人妻と一緒の現場を目撃してしまう。その夜、豊原家では定年退職祝いの会が開かれる。ところが何故か洋子も集まった子供達も何かを隠しているのか態度がよそよそしい。てっきり俊介の事が原因だと思い込んだ幸太郎は俊介の言い分も聞かずに叱り付ける。見ていられなくなった洋子はとうとう幸太郎に離婚を切り出し、幸太郎の自分の価値観を他人に押し付ける所に我慢出来なくなったと涙ながらに訴える。

時代の流れと共に人々の価値観も大きく変わっている。特に昨今はその変遷のスピードも早くなり、生活様式の多様化により、男は仕事に生き、女は家庭を守るという古くからの考え方は時代にそぐわなくなってきた。今や両親が共働きの家庭はどの家庭でも普通に見られる当たり前の光景だし、片親で子供を育てていく家庭も少なくは無い。

このドラマが放送された時代は丁度団塊世代が定年退職を迎える時期に当たる。また離婚後の年金分割制度の開始を前に熟年離婚の関心が非常に高まっていた時期でもある。実際このドラマの世間の関心度は高く、同じ世代の夫婦にとってはそれこそ笑い話では済まされない内容でもあった。

古風な見方をすれば長年連れ添った夫に三下り半を叩きつける妻は完全に悪者であるが、現代的な見方をすれば家族を顧みずに好きな仕事に没頭した夫の自業自得。現実問題として洋子は幸太郎の自分の価値観を押し付けて洋子を家庭に縛り付け、家事も子育ても何もかも洋子一人に押し付けて当たり前のような顔をしている幸太郎に我慢出来なくなっている。妻が何もかも我慢をして夫を立てる時代はとっくに終わっている。定年退職を迎えた夫と毎日顔を突き合わせて嫌な思いをしながら過ごすくらいなら、とっとと別れてしまえば良いと言うのが一般的な見方だろう。

ドラマでは夫婦の問題だけでなく、子供達もそれぞれ問題を抱えていて、その問題に取り組みながら家族の大切さを知るという流れになっている。そしてこの熟年離婚が本当に正しい選択だったのかも考えさせられる内容になっている。勿論、同じ時期に問題が山積みになるのは現実離れしているし、それが判を押したように同時に解決してしまうのもドラマの締めくくりとしては綺麗であるもののご都合主義は否めない。また還暦付近の夫妻が離婚した途端異性からアプローチされたり、ずっと家に縛られていた妻が仕事であれよあれよと成功するのもやはりドラマだと言わざるを得ない。しかし相手を知らなければ判らない事も多く、その点について言えばこのドラマは良く出来ている。夫は家事をして初めて妻の苦労を知り、妻は仕事をして初めて夫の社会での責任の重さを知る。その辺りは見習うべきなのではないだろうか?

満足度は★★★★

COLOR,ATSUSHI
エイベックス・マーケティング
(2005-12-07)

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父が来た道

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【出演】 阿部寛、渡辺えり子、余貴美子 他
【放送】 2005年(TBS)

海岸で発見された男女の焼死体から発覚した政界の闇を、元刑事という経歴を持ち父親の仇である国会議員のお抱え運転手となった男が暴いていく。父と子の深い絆を訴える政界サスペンス。原作は高村薫著の『地を這う虫』。

国会議員・佐多幸吉のお抱え運転手を務めている戸田慎一郎はホテルに張り付いている報道陣を振り切って佐多と第一秘書の服部千秋を車で連れ出す事に成功する。すぐ辞める秘書が多い中、千秋は八年も佐多の第一秘書を務めているベテラン秘書。報道陣を巻くため千秋との打ち合わせ通りとある駐車場で佐多をワゴン車に乗せた後、慎一郎はほっと一息つき、母親の文江から届いた手紙の封を開けた。かつて佐多の選挙区である青森で建設会社を営んでいた慎一郎の父親は佐多の後援会長を務めていた。十年前の選挙で佐多が苦しい戦いを強いられた際、慎一郎の父親が必死に駆けずり回り佐多を当選させたものの、数々の選挙違反の罪を問われた慎一郎の父親は逮捕されてしまった。世間のバッシングに耐えられなくなった母親は別居。当時警視庁捜査二課にいた慎一郎も辞職に追い込まれている。そんな慎一郎にお抱え運転手にならないかと声を掛けてきたのが佐多だった。佐多を料亭に送り届けた後、駐車場に戻ってきた千秋を家まで送る途中、突然一人の刑事が慎一郎に接触を図って来た。

政治家の贈収賄や勢力争い等の政界の闇を慎一郎が巻き込まれる形で覗いてしまうストーリーではあるが、焦点は複雑な人間関係の中お抱え運転手を務める慎一郎がどのような結末を選ぶのかにある。父親の人生を台無しにした佐多を恨んで当然の立場にある慎一郎。実際、一度は佐多を陥れようとしたが上手くいかなかった。複雑な感情の入り混じる中、佐多を陥れるか、それとも助けるか、それは慎一郎の選択に握られている。

常に冷静で自分の胸の内を決して他人に見せない慎一郎だが、ドラマを見ていると家族に対する強い執着が感じられる。佐多のせいで崩壊した慎一郎の家族。慎一郎が本当に望んでいたのは佐多への復讐ではなく、失った家族の絆を取り戻す事だったのかも知れない。このドラマではもう一組の父子の関係も取り上げて子供にとっての父親の存在の大きさを示している。作者の父親への想いが痛切に伝わってくるドラマになっている。

主役が酷く冷静なタイプなのでドラマ自体の雰囲気も終始落ち着いている。色々と事態は変化していくのだが、あまり抑揚のある作りにはなっていない。むしろ淡々と目の前の出来事を主人公が処理していくという流れで進行していく。そのためぐいぐい引き込まれるような事は無い。だからと言って退屈な話でも無い。ドラマと同じように淡々と見てしまうドラマである。

満足度は★★★

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街の医者 神山治郎8 ダイエット依存症候群の女

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【出演】 高橋英樹、清水由貴子、根本りつ子 他
【放送】 2005年(日テレ)

夫の浮気からダイエット依存症になった人妻にかかる放火疑惑。街医者が夫婦の問題を恩情を持って解決する人情ドラマ『街の医者 神山治郎』シリーズ第八弾!

東京吉祥寺にあるパン屋『田辺ベーカリー』はメロンパンで人気の店。ある夜、店の主人である田辺良一が味噌汁を飲んだら苦みを感じ、その後腹痛を起こして柳井診療所へ診察にやってくる。ところが何故か妻の亜希は横柄な態度を取る。帰宅した良一は冷蔵庫に白い粉を見つけ、それが味噌汁と同じ味だと気付く。その粉はニガリだった。亜希が無理なダイエットをしていると睨んだ医師の神山と安藤は亜希にダイエットの件を問い詰めるが、本人は認めず、自分が太ったのは柳井院長のせいだと主張する。実は十二年前、亜希にはせっかく授かった子供が子宮癌で諦めなければならなかった過去があり、その時子宮も摘出している。一方、神山は往診の途中で良一と保険のセールスレディの小川聡美の浮気現場を目撃してしまう。

何でも出来てしまう完璧な男性よりどこか頼りなげで放っておけなくなる男性の方が良い。そんな男性を好きになってしまった二人の女性の話で、女性達にはどちらもそれぞれ事情があり、その事情が判れば多少同情はするものの、正直見方によってどちらの女性の肩を持つか分かれる内容である。それくらいどちらにも非があり、どちらにも止むを得ない事情がある。要するに二人の女の立場はフィフティフィフティで、戸籍が提出されている分だけ妻の方が法的には有利というだけの話である。悲しい女の事情と言えば聞こえは良いが、亜希は妻と言う立場に胡坐をかき過ぎだし、聡美は自己中に物事を考え過ぎ。同情して下さいとでも言わんばかりの事情に却って白けてしまった。

ところで幾らダイエットの治療のためとは言え、一介の医者が夫婦の問題にまで首を出すのはどうかと思うが、これも一つの解決方法であるのは確かである。まあ、目も当てられない悲劇へは発展しなかっただけましと言えるだろう。昼ドラの簡易版のようなストーリーはあまり好感を持てない。

満足度は★★★

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