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恐怖の中央高速

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 三浦浩一、南条玲子、誠直也 他

【放送】 1988年(テレ東)

 

宝石店を襲った二人組の強盗殺人犯が逃走経路に利用したのは高速バスだった。この中に犯人がいる。走行するバスに閉じ込められた乗客は恐怖でパニックに!

 

白昼堂々、新宿の宝石店が男女二人の強盗に襲われた。警察に通報しようとした男性店員は胸を銃弾で撃たれ、強盗はそのまま逃走。犯人の姿が高速バスターミナルの付近で消えた事から中央高速バスに乗った可能性が濃厚だった。乗客への被害を避けるため、刑事二人にバスを追跡する命令が出る。談合坂サービスエリアで佐倉刑事はバスの運転手とガイドの朝比奈に接触し、バスの中に強盗殺人犯が乗っている可能性を知らせ、出発直前にバスに乗った乗客の有無を確認する。しかし二人共、目ぼしい乗客に心当たりはないと証言する。乗客がこの事を知ればパニックになるのは目に見えていた。運転手の提案で佐倉刑事はバス会社の人間だと身分を偽ってバスに同乗する。

 

もしも強盗殺人犯の正体を出来る限り明かさないでドラマを進める目的があるとすれば、このドラマは完全に失敗作である。勘の良い人ならば誰が犯人か配役を見た時点で気付いてしまうだろうし、例えその前提が無かったとしても犯人からの要求を示すメモが出された段階で犯人の目星がついてしまう。このメモがあまりに不自然なのである。しかもこの不自然過ぎるメモに何ら疑問も持たない佐倉刑事の間抜けさに唖然となる。更に言えば拳銃で背中を掻いたり、同僚から出されたメッセージがわざと目に留まらない方向を向いたりと、これが演出とするならあまりにも刑事を馬鹿にした演出と言わざるを得ない。おまけにこれはネタばれになるが、結局の所、犯人は捕まらないのだから、幾ら警察もここまで間抜けではないだろうと言いたいし信じたい。

 

またミスリード狙いで乗客が様々な問題行動を起こすのだが、これに関しても如何にもな内容で良くあるパターンでの時間引き延ばしに走っている。あまりにお粗末な内容に思わず脱力するドラマである。

 

但し強盗殺人犯の女性の心理に関してだけは夏樹静子作品らしさが表れている。このドラマを評価するならばその一点のみだろう。

 

満足度は★★

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すれ違った女

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 氾文雀、ハナ肇、遠藤憲一 他

【放送】 1988年(テレ東)

 

定年退職を前日に控えた長野の老刑事が七年前の横領事件の犯人と偶然駅ですれ違う。時効寸前の事件を追う刑事の執念のサスペンス。原作は夏樹静子著の『すれ違った面影』。

 

粘り強い捜査で知られるマムシのタケこと塩山西署の佐竹刑事の心残りは七年前の横領事件だった。当時事件の担当だった佐竹は早く事件を解決したいその一念で、犯人の石橋千代美の母親を激しく追及した挙句自殺に追い込んでしまった過去がある。千代美はまだ捕まっていない。奇しくも横領事件の時効成立の日と佐竹の定年退職の日が重なったことに佐竹は因縁めいたものを感じていた。定年退職前日、娘夫婦と孫に会いに上京した佐竹はつつじが丘駅で新宿行の電車の中に千代美を見かける。千代美の様子から仙川駅付近に潜んでいると睨んだ佐竹は千代美を追う。

 

佐竹にとって何が一番大事なのかをつい考えさせられるドラマである。勿論、話の中心は千代美であり、千代美の生い立ちや犯罪に及んだ背景など断片的な回想シーンが織り交ぜられているものの、主人公の佐竹自身のプライベートは完全に放置されたままで、初孫との対面とか娘夫婦との五年ぶりの再会など佐竹は臆することなく捨て去って、千代美を追いかけていく。その裏にはこの事件は自分のヤマだという刑事の使命感があったのかも知れないが、ドラマを見ている限りは自分の悔恨の念を晴らしたかっただけのような気がしないでもない。定年退職を思い残すことなく迎えるためのセレモニーのような感じさえする。

 

さてそれはともかく、千代美は教師である母親の厳しい締め付けに反発して男に騙され横領した金を奪われたばかりか、生まれて間もない子供まで捨てる羽目になっている。結局犯罪者としての汚点をつけられただけで、千代美自身はその恩恵は何ら受けていない。それで七年間も息を潜め、息子にも会わずに過ごして来たのかと思うと何のための七年間だったのか首を傾げてしまう。

 

非常に単純明快なストーリーだが、心残りがなくなって爽快感を滲ませる佐竹だけは別として、最後は何となくもやもやする話である。

 

満足度は★★★

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残された車!首都高速7号変死事件

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 松尾嘉代、原日出子 他

【放送】 1988年(テレ東)

 

首都高速7号線で男の変死体が発見される。元愛人の看護婦が彼の妻に追い詰められていく女のサスペンス。原作は夏樹静子著の『残された車』。

 

車で溢れかえる首都高速7号線で停車した車の中で運転していた桂木が死亡しているのが発見される。警察は桂木が運転中に心筋梗塞の発作を起こして死亡したものと判断する。それから数週間後、看護婦の佐々井百合江は夜中に何度もかかってくる無言電話に悩まされていた。無言電話の嫌がらせの主は桂木の妻。彼女は無言電話だけでなく、ここ最近百合江をつけ回したり、商店街で桂木が亡くなった四月二十一日のアリバイを聞き回ったりと百合江の神経を逆撫でする行動をとっていた。憤慨した百合江は桂木の自宅で話し合いの場を持ち、桂木へ送った何通ものラブレターを突き付けられてとうとう愛人であったことを認める。しかし桂木の死亡する一か月前に別れており、既に百合江には製薬会社勤務の恋人もいる。ところが桂木の妻は百合江こそが犯人で、百合江が筋弛緩剤を使って桂木を殺したと思い込んでいた。

 

女癖の悪い夫を持った妻の狂気のサスペンスで、執念深い妻に追い詰められていく一人の女性を通して事件の真相を突き止めていくストーリーになっている。もっとも事件の真相に行き着いたのは妻でも無ければ百合江でも無く、桂木の高校生の娘と点が面白い。愛人と妻の戦いの様相を示してはいるものの、一番の被害者はヒロインではなく桂木の娘だったのではないだろうか。常軌を逸した母親とのその後の生活を思うと、彼女の苦労は計り知れない。

 

また興味深いのはラストで桂木の妻の執念が百合江にもたらした変化。散々精神的に追い詰められて妄想まで見るようになった百合江はまるで桂木の妻の執念が乗り移ったように、恨みの矛先を桂木の妻では無く恋人へと向けていく。愛する男に裏切られる女の狂気が連鎖していくそんな恐ろしさを秘めたドラマである。

 

女の執念は怖い。だからこそ男は女に誠実であれとでも言わんばかりの内容だった。

 

満足度は★★★★

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二夜の女

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【出演】 名高達郎、眞野あずさ、中丸新将 他

【放送】 1988年(フジ)

 

警察庁の検事が旅先で一夜を共にした女は殺人犯だった。大人の男女の純愛を描いたラブストーリー。原作は多岐川恭著の『二夜の女』。

 

妻の浮気が原因で離婚した検事の名和はやっと落ち着きを取り戻し、静養のために京都へ一人旅へ出かける。宿泊先の旅館では一人旅の女性が宿泊を断られて困っていた。京都の旅館では慣習的に女性の一人旅の客は受け付けないのである。ところが咄嗟に機転を利かせた通りがかりの女性・小池道子がツレを装ったため二人共名和と同じ旅館に宿泊することになった。翌日、名和は同室の女性に置いてきぼりをくらっていた道子と京都観光に出かける。道子に密かに心惹かれていた名和は道子が人妻と聞いて落胆するが、話をしている内に互いに意識するようになり、一夜を共にしてしまう。

 

主役は名和だが、このドラマは人生の最期に幼い頃の夢を叶えようとした道子のロマンティックなラブストーリーであり、ラストで見せる道子の満足そうな笑顔が非常に印象的なドラマである。ドラマ中濡れ場はあるものの、ドラマ全体がロマンティックな雰囲気で制作されているため濡れ場もさほどいやらしい表現にはならず、綺麗にまとめられている。

 

軸になっているのは幼い頃の初恋。勿論、登場する名和も道子も結婚に失敗して良い意味でも悪い意味でも人生経験を踏んでいる。いや、人間の汚さを見て来たからこそ、幼い頃の純粋さに憧れを抱いてしまうのかも知れない。

 

結局のところ、このドラマはミステリーでもサスペンスでもなく、純粋にロマンティックな大人のラブストーリーである。ささやかな初恋のエピソードが何ともいじらしい。

 

満足度は★★★★

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白いクーペの女

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【出演】 黒木瞳、小野みゆき、織本順吉 他

【放送】 1988年(テレ東)

 

女性関係に派手な歌手が殺害される。彼を追い回していた元恋人に容疑がかかるが、彼女には完璧なアリバイがあった。東名高速道路で起きた謎多き事件を刑事が追う刑事ドラマ。原作は夏樹静子著の『高速道路の唸り』。

 

盛り場を回る歌手として活動していた川名輝夫が東名高速川崎インター近くの自宅で遺体となって発見された。首には果物ナイフが突き刺さっていた。事件当日天井にヌードのステッカーを貼った白いクーペが駐車場に停まっていたとの目撃証言から、白いクーペを所有する人妻・小笠原妙子が捜査線上にあがった。妙子は現在の川名の恋人でもある。一方、川名を追い回していた女・竹下清江にも疑惑がかかる。清江は川名と結婚の約束をして一年付き合っていたが、恵子の出現で捨てられてしまったらしい。しかし清江には会計事務所で働いていたというアリバイがあり、川名の殺害は不可能だと判明する。そんな中、妙子の遺体が高速道路内で発見される。不可解なことに川インターから高速に乗ったにも関わらず後部座席には全く異なる方角の西宮デパートの買い物袋が並んでいた。

 

川名を殺害した犯人のものと思われる車(白いクーペ)の天井に貼ってあった派手なステッカーがドラマ内ではしきりに『ヌード』と表現されているのだが、そこまで際どくはなくごく普通の水着を着た女の子のイラストのステッカーになっている。これはテレビドラマのため本物のヌードは出せなかったためなのだろうか、それともこの時代でヌードが意味する内容がその程度だったのだろうか、どちらにせよ違和感を覚えずにはいられない。但し派手で目に付き易いのは事実なので、そういう意味では条件は満たしていると言える。

 

さて、黒木瞳が容疑者となるこの作品。黒木瞳の可憐さが殺人とは結び付き辛いため面白いキャスティングになっている。また一筋縄ではいかないストーリーは意外と興味をそそるのだが、その反面一時間枠という時間制限のためかあっさり刑事に謎を解かれてしまうのが残念である。ここまで手の込んだ事件でありながら、あっさり解決は拍子抜けではあるものの、警察とすればここまで御の字だろう。

 

満足度は★★★★

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浅見光彦ミステリー 佐渡伝説殺人事件

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【出演】 水谷豊、ポール牧、鮎川いずみ 他

【放送】 1988年(日テレ)

 

「願」と書かれたハガキを持つ男が立て続けに殺害される。殺人容疑者として逮捕されたルポライターが自分の容疑を晴らすために連続殺人事件の謎に迫るトラベルミステリー。このドラマは火曜サスペンス劇場版浅見光彦シリーズ第三弾!原作は内田康夫著の『佐渡伝説殺人事件』。

 

政経ブレインの塚原社長に誘われて泥酔した浅見光彦は千鳥足で帰宅する途中、ゴミ捨て場の横で倒れている男性を見掛けて声をかける。ところが次の瞬間、背後から何者かに後頭部を殴られ、麻酔薬を嗅がされて気絶してしまう。目を覚ました光彦は事情も判らぬまま殺人容疑者として逮捕される。光彦が声をかけた男性は三隅建設の取締役建設部長・駒津良雄で、警察が駆け付けた時には既に絶命していたと言う。おかしな事にポケットには「願」とだけ書かれたハガキが入っていた。光彦の危機を知った母親は兄が検察庁の刑事局長・浅見陽一郎だと訴え、前代未聞の母親同伴の取り調べが行われる。結果、光彦は釈放。自分を罠にはめた犯人について判っている事と言えば、それがハイヒールを履いた女性だったと言う事だけ。何故浦安在住の駒津が世田谷の住宅街に倒れていたのかは謎だった。光彦は事件の真相を調べるため駒津の実家を訪れる。そこで駒津の友人で、城南大学の建設工学教授・三輪昭二に出会う。それから間もなく佐渡島で三輪が謎の転落死を遂げ、三輪のポケットからも「願」と書かれたハガキが見つかる。

 

前作、前々作と全く伝説が何なのか判らぬままだったこのシリーズ。ようやく登場人物の口からその地に纏わる伝承の話が聞けるようになったものの、台詞だけでさらっと語られただけなのでイマイチその伝承に纏わる人々の想いが伝わってこない。最後の最後に真犯人が残した「所詮流人の末裔は・・・」という台詞があるが、それが犯行動機の一端である以上、もう少し踏み込んで欲しかった気がする。

 

さて今回のドラマでは何かと母親がでしゃばってきて、取り調べには同伴するし、温泉旅行と偽ってわざわざ光彦を連れて佐渡へ行くし、非常に光彦の探偵的な活躍に理解を示している。いや、密かにそんな光彦を応援していた節はこれまでにもあったものの、ここまではっきりとアクションを起こすのは初めてである。背景に光彦が殺人犯と疑われて逮捕された事情があり、そのせいで縁談を取り下げられたという事があって意地になっている面があったのは事実だが、あれでは光彦がまるで三十歳を過ぎても母親離れ出来ないマザコン男のようである。

 

ところで確か光彦の設定に高所恐怖症があったと思うのだが、今回のドラマではその部分は無視されている。むしろ高所恐怖症の設定が入れられていたのは母親の方で、三輪が転落死した現場を見に行った際にそれがはっきりと表れている。これってシリーズを続けて行くと矛盾が出てしまうのではないだろうか?

 

満足度は★★★★

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浅見光彦ミステリー 美濃路殺人事件

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【出演】 水谷豊、岩崎良美、井川比左志 他

【放送】 1988年(日テレ)

 

宝石と現金と共に宝石商が失踪する。遺体なき殺人事件の取材に駆り出されたルポライターが学童疎開に纏わる連続殺人事件の謎に迫るトラベルミステリー。このドラマは火曜サスペンス劇場版浅見光彦シリーズ第四弾!原作は内田康夫著の『美濃路殺人事件』。

 

西銀座の駐車場で奇怪な事件が起きる。宝石商の月岡和夫が車の中に大量の血を残して失踪。一億円相当の宝石と現金五千万円も無くなっていた。マスコミは遺体なき殺人事件を月岡の狂言と面白おかしく書き立て、世間の注目を集めていた。ルポライターの浅見光彦もこの事件の取材の仕事を依頼され、月岡の自宅に張り込んでいたが、月岡の娘・ミキにビンタを食らう。しかし嘘を書けない光彦の記事は没になり、今度は伝統工芸である美濃紙の取材の仕事に回されてしまう。ところが岐阜で取材後ホテルの一室で、リトルワールドで高桑雅文が死亡したニュースを耳にする。高桑は月岡家と親しい間柄の人間なのだ。現場ではまたも花を手向けに来たミキに遭遇し、ビンタを食らう。どうしても事件が気になる光彦は東京に戻って月岡家を訪ねると、ミキがリトルワールドにいたのは高桑の哀悼のためでなく、小暮という男に呼び出されていた事実を掴む。

 

連続殺人事件ではなく、別の場所で起きた事件を光彦が繋いでいくというのはこのシリーズのパターンと言って良いのだろうか?

 

内容を一挙に詰め込もうとした故なのか、展開が早く、戦時中の学童疎開の話なのにあまりシリアスにはせずにさらっと流してしまった感じがある。勿論、そこには戦争を経験していない時代の人間が主人公になっているという事情もあるので、さほど気にはならないのだが、戦時中の痛ましさ等がしっかりと表現されていないと事件そのものが希薄に見えてしまう。問題はもっと根深い所に眠っているともっと印象付けて欲しかった。

 

それにしても今回の浅見光彦は兄の陽一郎に頼り過ぎである。兄も光彦の推理が結果的に事件解決に結びつくので渋々協力してはいるものの、回を追うごとに光彦が陽一郎の力を借りるのが当然になりつつある。しかも徐々に兄に物を頼む時の光彦の態度が大きくなっているように思うのは気のせいだろうか?

 

満足度は★★★

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赤の追想

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【出演】 樋口可南子、杉本哲太、原田芳雄 他
【放送】 1988年(フジ)

別れた男に語る真実の愛の行方。原作は泡坂妻夫著の『赤の追想』。このドラマは現代恐怖サスペンス枠の一編として放送された。

別れた愛人・桐男と思い出のレストランへ呼び出した加那子は桐男から失恋したと言い当てられる。その言葉通り、加那子はある青年との別れを経験していた。一年前、突然の落雷に打たれた青年・航一を助けた加那子は航一からの執拗なアプローチを受ける。航一はまだ学生で既に三十路を過ぎた加那子とは年齢差がある。しかしこれまで自堕落な恋愛しかしてこなかった加那子には手も触れようとしない純粋でひたむきな航一の愛情は新鮮で、いつしか加那子にとっても忘れられない相手となっていた。

とっくに別れた男を突然呼び出すには何らかの理由がある。

実はそれを先に考えてしまうと航一と加那子の愛の顛末が想像出来てしまうのだが、まあそれはともかくとしてこのドラマは常に死や永遠の別れを感じさせる節がある。桐男と加那子の久々の再会は楽しげで、別れたとは言え長らく付き合った男女だけあってどこか判り合っている。だから桐男は加那子の嘘にはすぐに気付くし、加那子も口にしたくない事をわざと桐男に推測させようとする。一種の駆け引きなのかも知れない。

それにしても不憫なのは加那子である。この女性は自立をしたいい女でありながら男運は極めて悪い。桐男にしろ、航一にしろ、結局は加那子を不幸にしかしていない。恋愛をする度に不幸になっていく。救いは加那子が正しく生きている事だろう。

満足度は★★★

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信玄伝説殺人事件

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【出演】 岡田奈々、国広富之、緋多景子 他
【放送】 1988年(テレ東)

会社の金を横領して失踪した男の行方を探して娘が捜索の旅に出る旅情サスペンス。

武田信玄の埋蔵金に魅せられ会社の金を横領した浅見省造が失踪した。報道陣が詰めかける中、省造の娘・圭子は省造について色々探し回っていたが、ある日省造の知り合いと言う週刊誌の記者・関本悟郎が訪ねてくる。関本は信玄の伝記が好きでその縁で省造と知り合ったらしい。二人は省造の目撃証言があった下部へ車で向かう。実はその地には省造と十年前に離婚した圭子の実母がいる。ところが何故か彼女は圭子を避けているようだった。

放送当時の髪型の流行なのか、主演の岡田奈々の髪型が凄い事になっている。前頭部部分の髪を短くしてボリュームを出しているのだが、一歩間違えると長さの短い部分がもっさりと盛り上がってまるでボリュームのあるウィッグを頭の上に乗せたものの、地の髪と馴染まずアンバランスなサンプルのように見える。流行とはその時代ではOKでも他の時代ではNGだと実感する。

甲冑をつけた武士が辞世の句のように埋蔵金の在り処を記した文書を槍に隠して最後の力を振り絞って敵と戦う場面から始まる。てっきりその文書が何らかの形で現代の事件に関わって来るのかと思いきや、期待は完全に裏切られる。あくまで父親の行方を探す事が先決であり、鎧武者が現れた事で取り敢えずお茶を濁した感じだった。一時間枠のサスペンスなので奥行きの深さを出すのは難しいのだろうが、オープニングを見てしまうとその後の展開は落胆を隠せない。

満足度は★★★

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女監察医・室生亜季子 高価すぎた情事

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【出演】 浜木綿子、夏八木勲、河原崎健三 他
【放送】 1988年(日テレ)

ホテルの一室で変死体が発見される。しかし通報者は行方不明。火曜サスペンス劇場の人気シリーズ『女監察医・室生亜季子』シリーズの第五弾!尚、今回のドラマは島田一男著の『死者たちの合唱』が原作となっている。原作があるのはシリーズ初。

川越で開業を営む傍ら地域の監察医を務める室生亜季子は日課のマラソンの途中で細川真一郎とぶつかりそうになる。細川が弾みで生爪を剥がしてしまったため、亜季子が手当てする事になる。細川は最近付近のマンションに引っ越してきたと言うが、元々は川越の出身で亜季子の亡くなった夫の後輩だった。ある日、大宮シティターミナルホテルの802号室で女性の変死体が発見された事件で田原から呼び出しがかかる。渋々駆け付けた亜季子だったが、現場に細川がいて驚く。実は細川は科学研究所に勤務する研究者で、鑑識の職員の指導のために来ていたのだ。親しい様子の二人に田原は面白くなかった。どうやら情事の相手が通報だけして逃げてしまったらしい。ホテルの宿泊名簿もでたらめで身元の特定が困難だった。遺体はそのまま東都医大の法医学教室へ運ばれ、司法解剖される。女性の所持品のバッグを見た亜季子はこの女性が日舞の名取りではないかと発言した事から身元が割れる。

何はともかくこの遺体となった女性の腋毛処理が全くなされていない事に衝撃を受ける。処理忘れしたどころの騒ぎでは無い。見事に全く手が入っていない状況であるにも関わらず、まるで見せびらかすかのように両手を左右に広げているのである。普通は女性の遺体の腋は綺麗に剃毛されているはずなのだが・・・。これはもしや当時流行のAV女優の影響だろうか?

今回は酸性フォスファターゼ試験に吉川線等々、監察医の活躍が要所に散りばめられてこれまでの作品よりずっと監察医を押し出した内容になっている。しかも今回は亜季子だけでなく、細川の登場で監察医という立場からでなく付着した土の成分にも目を向けて、警察より監察医の活躍の方が重視されている。監察医のドラマという色が濃くなった気がしてこれはこれで面白い。

勿論、突然のライバル登場で田原刑事が面白くないのは明白。しかも今回、田原刑事は何の役にも立っていないので(二つ目の事件が別の管轄で起きてしまったため、応援を要請されたのは田原の相棒の川口)余計に口惜しい限りだろう。最後までライバル心剥き出しの田原刑事に笑った。

満足度は★★★★★

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