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獄門島

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 上川隆也、高島礼子、原田貴和子 他

【放送】 2003年(BSジャパン)

 

瀬戸内海の孤島で起きる連続殺人事件の謎に名探偵・金田一耕助が挑む本格ミステリー。原作は横溝正史著の『獄門島』。

 

昭和二十一年春、金田一耕助は船で獄門島へ向かっていた。この船には大きな釣り鐘も一緒に乗せられていて、付き添っていた僧侶の話ではこの釣り鐘も復員する所だと言う。この獄門島は元々海賊の末裔が住んでいた瀬戸内海の孤島で、江戸時代には流刑地とされていた。現在この孤島に海賊と流人達の末裔が住んでいると言われている。金田一もまた復員兵で、一緒に復員して来た鬼頭千万太の戦死を伝えに来たのである。仙光寺の了然和尚に尋ねると、丁度釣り鐘の搬送に忙しく、後で訪ねるように言われる。その際には村長の荒木真喜平と医者の村瀬幸庵も同席して欲しいと伝える。時間の空いた金田一は本鬼頭、つまり鬼頭家の本家を訪ねる。ここが千万太の実家だった。応対してくれたのは千万太の従姉である鬼頭早苗。金田一は早苗に千万太が復員船の中で亡くなった事を告げ、遺品を渡す。残念ながら当主の与三松は病に伏していて顔見世は出来ず、早苗の弟・一は数日前にここ半月の間に帰還すると朗報を受けたばかりだった。早苗と話している内に千万太の妹達が帰って来る。花子・雪枝・月代は三つ子であまり躾の良い娘達では無かった。その後、仙光寺で待っていた了然和尚、村瀬、荒木の三人に千万太から預かった手紙を渡し、了然和尚の使いで千万太の通夜をやると分鬼頭、つまり鬼頭家の分家に伝えて来て欲しいと頼まれる。本鬼頭、分鬼頭共に親戚筋の網元だが、昔から仲が悪いと教えられる。

 

何度もドラマ化&映画化されている人気作品のため、ストーリーは周知されているし、後は他の作品とどう差別化を図るかの問題となる。上川隆也演じる金田一耕助は理知的で大人しい印象の金田一耕助である。そのため人見知りでは無いものの、あまりフレンドリーという印象は無い。但し獄門島内を常に駆けずり回り、アクティブな人物だと感じた。勿論、戦後まもなくという時代背景があるので、今より断然不便なのは否めず、移動手段はどうしても自分の足になってしまうためアクティブにならざるを得ない事情もあるのだが・・・。これと言って際立った特徴が無いため、どうしてもインパクトの面では薄くなってしまう。

 

尚、全登場人物の中で際立っていたのが早苗である。顔だけは都会的に見えてしまうものの、性格やその姿は庶民的で人間味のある早苗になっている。

 

またこの原作は原作通りに実写化できない部分があり、それをどう料理するかも見所となる。しかしこのドラマではオリジナルの解釈は殆ど見られない。鐘の中を覗く際に多少目新しさはあったものの、歴代の作品の良いとこ取りをした結果コンパクトにまとまってしまった感じがする。もう一つの鐘があっさり見つかってしまう等物足りなさも否めなかった。

 

満足度は★★★★★

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闇に沈む殺意 誰にも言えない・・・函館旅情サスペンス

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 余貴美子、柳葉敏郎、いしのようこ 他

【放送】 2003年(フジ)

 

函館で小学校の教師を務める女が好きになった相手はあまり自分について語らない料理人だった。ところが彼に次々と不穏な疑惑が持ち上がり、女は彼の事を調べ始める。函館を舞台にした旅情サスペンス。

 

函館の町で殺人事件が起きる。悪質な手で荒稼ぎをしていた金融業者の吉岡が事務所内で殺害されたのだ。大きな事件とは無縁の平和な町だっただけにその反動は大きかった。早速小学校では子供達を早く帰宅させるなどと対策をとる。犯人の特定も出来ていない状況だけに住人達は脅威を感じていた。小料理屋の長女・及川夏子は昼間は小学校の教師を務め、夜は父親の経営する小料理屋の手伝いと親孝行娘と評判の女性。未だ独身で父親からは早く片付いて欲しいと言われているが、こっそり妹・春美の元夫と密会を重ねていた。一方、漁協で働くバツイチの春美は結構派手に遊んでいて、今は刑事の三井と交際中。そんな中、夏子と春美の父親が脳梗塞で倒れてしまう。しかももう仕事は続けられないと宣告されて、娘二人は新たに板前を一人雇う事にする。応募してきたのは戸浦芳夫だった。東京の一流ホテルでシェフをしていただけあって腕は確かで、父親も戸浦に店を任せると決める。

 

色々な事件が起こる中で、ヒロインの夏子が真相を解き明かしていきつつ、そんな最中に芽生えた夏子と戸浦の静かに進展する大人の恋を描いたストーリー。色々盛り込んでいる割には詰めが甘く、意外性のある展開が台無しになっている場面が随所に見られる。例えば警察の殺人事件の捜査一つを取り上げても、あれだけ現場が荒らされているのに犯人に繋がる手がかりの一つもなく、何故か犯人が腕に怪我をしているという具体的な情報が飛び出している。ラストの方で殺人事件が起こった場面が流れると、これで証拠が何も無いというのは考えられないくらい犯人は取り乱してやらかしていると判明するのだが・・・。そもそも事件を担当する三井刑事の偏見の有り過ぎる言動も見られたものではない。確かに閉鎖的な町では余所者は敬遠され、何かと疑われるものである。企画意図としてはそれを出したかったのだとは思うが、警察までその有様というのは首を傾げるばかり。

 

またドラマの時代背景も良く判らない。ストーリーはまるで昭和のドラマのようである。おまけにドラマ内で昔懐かしいダイヤル式の黒電話が登場しているが、このドラマの放送されていた時代にはもう黒電話は殆ど使用されていなかったのではないだろうか。だからと言って他に目を向けると必ずしも昔の話では無さそうである。

 

次々に不幸に襲われる夏子のラストに待ち受けるのは?

 

あまりに順当なラストに「やっぱりな」と目が平らになった。

 

満足度は★★★

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訃報は午後二時に届く

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 沢口靖子、東幹久、豊原功補 他

【放送】 2003年(BSジャパン)

 

建設会社の社長が殺害される。しかも容疑者は被害者と金銭トラブルのあった造園会社の社長。父親の死の悲しみと初恋の人への変わらぬ想いを胸に社長令嬢が事件解決へと乗り出す。原作は夏樹静子著『訃報は午後二時に届く』。

 

那須野建設社長の社長令嬢である那須野千春は今では立派に建築士として働いている。系列の設計事務所の専務を千春の大学の先輩・絹村透が務めていて、仕事一筋の千春も絹村とは未だに良好な関係を築いていた。その頃、那須野建設の社長室に若芝造園の社長・大北耕介が切羽詰まって未払い金の七千万円を請求しに怒鳴り込むという騒動が起きていた。たまたま場面を目撃した千春は父親が若芝造園にクレームをつけては支払いをわざと先延ばしにしていると知ってショックを受ける。このままでは若芝造園は倒産する。千春はいてもたってもいられず大北を追いかける。実は大北は千春の大学のOBでもあり、初恋の人でもあった。残念ながら大北は千春ではない別の女性と結婚し、今に至っている。苦しい立場でありながら千春を気遣う大北の心の広さに触れ、千春は大北への恋心を再認識するのだった。その夜、大北の自宅に間違い電話がかかってくる。相手は竹下という女性で、目が不自由なため番号を押し間違えてしまったと言う。心配になった大北は彼女を迎えに行くために車を出すが、既に彼女はその場にいなかった。ところがその親切心が仇となり、大北は那須野建設社長殺害の容疑者となってしまう。

 

全体的な印象はこれぞミステリーと思える内容で、トリック等に関してはちょっと知識があれば判ってしまうような単純なものであるにも関わらず、二転三転する展開は面白い。そしてやはり夏樹静子作品の特徴である登場人物の心情に目を向けている点がこのストーリーを一層深いものに変えている。被害者の娘が容疑者の唯一の味方なんて、これほど食指の動く設定はないだろう。

 

尚、現代舞台にする事で改変も多々行われている。まあ、流石にゴルフ場経営者のまま実写化は難しかったと思われる。そのせいで社会派ドラマとしての側面が失われてしまっているのは残念である。

 

事件を解決したのは千春の一途な想いである事は間違いないのだが、このドラマは一途な愛情というものに対して重きを置いているように思える。改めて見直してみれば誰もが報われる報われないはともかく誰かを一途に愛しているのである。ある意味古風な感覚があるのだが、逆に言えば現代では忘れ去られようとしている良さを称えているようにも思えるのである。ラブストーリーとしても秀逸な作品ではないだろうか。

 

満足度は★★★★★

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京都離婚旅行殺人事件

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【出演】 田中美里、秋吉久美子、前田吟 他

【放送】 2003年(BSジャパン)

 

離婚問題の渦中にある大女優の命が狙われた。薔薇の棘に塗られていたのは即効性の毒物だった。ロケ地の京都で連続殺人事件が勃発!原作は山村美紗著の『京都離婚旅行殺人事件』。

 

ミステリードラマの女王として君臨する女優・沖田薫のテレビドラマ500本目記念作品『京都鞍馬殺人事件』の制作発表会が開かれる。しかしマスコミの質問は薫の離婚問題に集中する。現在、薫と夫でドラマ監督の沖田雅也との夫婦仲は最悪で今や会話はテープレコーダー越しでしか交わされない。また薫には新恋人出現の噂が流れていた。その晩、シナリオライター志望の傍ら薫の付き人をしている石田里香の元にマネージャーの中村亜美から薫の帰宅を尋ねる電話がかかってくる。何でも会食の途中で亜美だけ先に帰されてしまったらしい。その際、何故か亜美は薫に自分の事について聞かれてないかと尋ねてくる。丁度その時薫がかなりご機嫌な様子で帰宅する。夫からのメッセージを確認すると、そこにはロケ先の京都での離婚話をしたいとの提案が吹き込まれていた。どうやら離婚に応じるつもりは無いようだった。それに対して薫は「だったら、私を殺すしかないわね」と吹き込む。京都でのロケが始まる。里香が休暇を貰っている最中、亜美は撮影終了後に薫が受け取った薔薇の花束を花瓶に活けようとすると薔薇の棘が指先に刺さる。何の気なしに血の滲んだ指先を舐めた途端、亜美は突然苦しみ出し死亡する。

 

トリック自体は非常に単純ではあるものの、登場する人々に人間としての風を細やかに織り込んだドラマである。人にはそれぞれ表の顔と裏の顔があるように、本音はいつも心の奥底に潜んでいる。しかし何かのきっかけでそれがふっと現れる事もある。ミステリーで登場人物も多いドラマでありながら、主要人物の本音が垣間見えるストーリーはミステリーでありながら幾つもの小さな人間ドラマを見せられているかのようだった。

 

またラストでは沖田薫役の秋吉久美子が大女優たる所以を見せ付けたような場面が登場する。勿論、役柄的にも大女優であるのだが、ほんの一瞬顔を上げただけで主役が彼女に持っていかれたような気がした。あくまでこのドラマの主役は田中美里なのだが、あの一瞬で所詮駆け出しと斬り捨てたような感じさえする。その辺りは流石としか言いようがない。

 

満足度は★★★★★

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監察医・室生亜季子 院内感染

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【出演】 浜木綿子、山口果林、峰岸徹 他
【放送】 2003年(日テレ)

石段から落ちた女子高生の死因は病死。しかし転落した事との直接的な関係は無かった。医療ジャーナリストの父親が娘の死の真相を求めて必死に訴える。火曜サスペンス劇場の人気シリーズ『女監察医・室生亜季子』シリーズ第三十二弾!

川越で三代続いた開業医で地域の監察医でもある室生亜季子が健康のため健康グッズで体を鍛えている最中、女子高生・吉田真理子が母親に連れられてやって来る。一目見るなり亜季子は真理子に精密検査を進める。それから数日後、真理子は石段から落ちて死亡した。武蔵中央病院の院長・川端葉子は母親にクモ膜下出血だと告げる。母親は慌てて駆け付けた父親・林幹夫が真理子と会ったせいだと責め立てる。二人は離婚していたのだ。林は真理子を病院へ連れて来た第一発見者にお礼を兼ねて転落した時の状況を確認すると、真理子が転落した現場から逃げ去る人影を見たと証言する。他殺の疑いがあると感じた林は警察に連絡し、浜田警部が亜季子を連れて病院を訪れる。川端院長は司法解剖を強硬な態度で拒否するが、浜田警部の説得で司法解剖は行われる。しかし司法解剖の結果、院長の診察通り動脈瘤の破裂によるクモ膜下出血、つまり病死で石段から突き落とされた事との直接的な関係は認められなかった。診断結果に納得のいかない浜田警部は事件の洗い直しを指示する。

女子高生の死の真相を追求するストーリーかと思いきや、未亡人となりながらも夫の母親と暮らす難しさを問う嫁姑問題の内容に雪崩れ込んでいく。何よりも病院の面子を大切にして、嫁を院長に据えてこき使う姑。嫁は亡き夫に義理立てして姑の言いなりになって病院を支えているものの、次第に姑との関係がこじれて来ると、義理立てする意味さえ忘れて自分の歩んできた人生に疑問を持ち始めてしまう。亡き夫と結婚に踏み切ったあの選択は正しかったのかとさえ。誰が悪いというわけでは無いのに、タイミングが少しずれただけで人の人生は簡単に狂ってしまう。いや、もしかしたら初めからそういう人生を歩む運命だったのかも知れないが、生きる苦しさを感じるともっと良い人生があったのかも知れないと考えてしまうのは無い物ねだりの人間の常なのだろう。

まあ、それはともかくとしてもう少しキャスティングを考えた方が良いのでは?と思う節が・・・。これだけ長いシリーズなので、同じ俳優が別の役で出演する場合もあるだろうが、流石に刑事役で出演していた俳優が別の回ではヤクザ役と言うのもちょっと抵抗がある。

亜季子と浜田警部。この二人は互いに伴侶に先立たれた者同士。二人で一緒にデートする場面もお約束となっているのだが、今回は海岸で何と浜田警部が一緒にいる亜季子の返事が欲しいと叫んでいる。それに対する亜季子の返事は「馬鹿」の一言。お調子者の浜田警部と冷静沈着な亜季子のコントラストが笑えた。

満足度は★★★★
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だます女だまされる女5

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【出演】 余貴美子、小柳ルミ子、渡辺梓 他
【放送】 2003年(日テレ)

主婦を狙ったマルチ商法にはまった女達の光と闇の現実を消費者相談員が垣間見るサスペンスドラマ。『だます女だまされる女』シリーズ第五弾!

東亀戸消費生活相談センターでは最近マルチ商法被害に遭った相談者が増えている。ターゲットは主に学生や主婦。ネズミ講と違って法整備がなされていないためその実態が掴み辛いのが現状である。ある日、センターに中谷俊哉が妻の深雪がマルチ商法に引っ掛かっているのではないかと相談にやって来る。生活相談員の石毛まどかは中谷を見てびっくり。彼はまどかの息子の同級生の父親で顔見知りだったのだ。深雪は『クローバー物流』に十万円の会員費を支払って手当たり次第に知人に電話をかけ捲っていると言うのだ。息子からも中谷の娘が深雪の電話のせいでイジメに遭っていると聞かされて黙ってはいられなくなる。実態を調べるためにパーティーに乗り込んだまどかはシステムの説明を聞いてマルチ商法だと確信する。しかしリーダー販売員の宮口遥子を崇拝している深雪はまるで聞く耳を持たなかった。そんな中、深雪を『クローバー物流』に紹介した三島貴恵が自宅で殺害される。

心の隙間を狙ったマルチ商法の恐ろしさとその顛末を知らしめる内容で、マルチ商法とは言ってみればネズミ講の進化版である。しかも被害者が加害者となって被害が拡散していくため、末端の人間が発覚してもなかなかその中枢に行きつかない。おまけに被害者は洗脳されてしまっているため被害を自覚する事も難しい。ちょっと考えればすぐにカラクリに気付きそうなものだが、そこがマルチ商法の小賢しい部分でまだ社会の仕組みに詳しくない学生や、あまり社会と関わりの持てない専業主婦を狙ってくるため、心の隙間にほんの一匙の甘い蜜をかけて簡単に仲間に引き入れてしまうのである。しかし世の中そんなに甘い話は転がっていない。気付いた時には家庭は崩壊し、人との関係は壊れ、残されたのは借金だけ。そうなって初めて自分が被害に遭っていたと気付くのである。勿論、そうなっては遅いのだが・・・。

このドラマでは宮口遥子、三島貴恵、中谷深雪と三人のマルチ商法にひっかかった女性を取り上げ被害者が加害者となる構図と、その顛末がどんな物かをまどかの目を通して赤裸々に描いている。勿論、マルチ商法の中心となる人間まで行きつくわけではないので、すっきりしない面もあるが、取り敢えずまどかとしては出来るだけの事はやっているので良しとしようという所だろうか。

満足度は★★★★

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結婚相談員末永卯月の推理案内状 地獄の花嫁4

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【出演】 名取裕子、雛形あきこ、風間トオル 他
【放送】 2003年(フジ)

結婚式当日に花嫁が控室で刺殺される。彼女が働いていた老舗温泉旅館でも遺体が!ベテラン花嫁相談員と後輩の花嫁相談員の死神コンビが事件解決に乗り出す『地獄の花嫁』シリーズ第四弾!これまでとは異なり脚本はドラマの中で仲居頭を演じる渡辺典子が務めている。

末永卯月は大学時代の親友で老舗旅館の女将をしている栗木由希子からの依頼で、娘同然に育てた仲居の美保の結婚式の担当をする事になる。挙式当日、心臓発作を起こした由希子を卯月が介抱している間に控室で美保が何者かに刺殺される。スタッフが手袋を取りに部屋を空けたほんの僅かな時間の出来事だった。控室には旅館で働く板前の坂井がいて、警察は坂井を逮捕する。その際、卯月は控室に集まる野次馬の中にサングラスをかけた怪しい女性を目撃する。事件から一週間が経ち、事件に疑問を抱いた卯月は元夫で刑事の佐野功一を家に呼んで話を聞く。すると坂井は美保にストーカー行為を行うくらい好意を持っていたが、犯行を一貫して否定しているという。しかも控室に坂井を呼んだのは美保自身だと証言している。状況的には坂井が犯人と示しているが、卯月同様功一も出来過ぎ感が拭えずにいた。

うーん、何かが違う。これまでのシリーズでは花嫁の殺害され方や見せ方にも拘りが感じられたのだが、今回は遺体に対する拘りが全く感じられない。また卯月の濃いキャラが別人のように知的に変更され、テンポも悪いし、キャラクターの個性が死んでいる。『地獄の花嫁』シリーズの設定を使ってはいるものの、別物としか思えない。まるで単発のサスペンスドラマを見ているかのようである。このシリーズの設定を使って制作する必要があったのかどうか甚だ疑問である。

そう言えば卯月の部屋が広くなったような・・・。

タイトルからして装いも新たになった第四弾だが、細かい点でも色々な違いが目についてしまう。

ところでストーリーの方に目を向けると、幾つかのミステリー要素を取り入れてサスペンスタッチに仕立てており、そんなに悪い出来ではないのだが、贅沢に色々詰め込んでしまった分だけ条件が揃い過ぎてせっかくのトリックが却って判り易くなってしまっている。遺体が消失した時点で犯人の正体も、トリックも、動機も全て想像がついてしまうのではあまりに味気ない。また作者の意図も花嫁の殺害より遺体消失トリックの方に重点がおかれているのが明らかで、『地獄の花嫁』と謳っている割には花嫁の死亡がぞんざいに扱われている気がしてならなかった。

満足度は★★★★

布施明,布施明,田島貴男,岩谷時子,船山基紀,井川雅幸,いずみたく
ZETIMA
(2003-10-22)

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揺らぐ灯

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【出演】 高橋由美子、船越英一郎、尾美としのり 他
【放送】 2003年(TBS)

エステティックサロンの社長が熱海で水死体となって発見される。社長とトラブルのあった雑誌記者が連続殺人事件に巻き込まれていく女のサスペンス。原作は夏樹静子著の短編小説『揺らぐ灯』。この作品は三人の作家が熱海を舞台に書いたミステリー作品を収録した『熱海連続殺人事件』に収録されている。

女性雑誌『NORA』編集部の記者・今野星実は恋人の中平商事社長の中平徹と共に五年ぶりに故郷の熱海へと帰ってきた。2人が乗ったヨットが熱海のヨットハーバーに到着した頃、喫茶店『ベル』ではエステティックサロン優美の社長・滝井和佳子が弟から金の無心をされていたが、和佳子はきっぱり断って喫茶店を後にする。その際『神奈川4472』と書いたメモを店に落としていく。実はエステティックサロン優美は『NORA』に特集記事を掲載した所読者から編集部にクレームが殺到。その後、和佳子は雲隠れしていた。ホテルに到着した星実は偶然和佳子を見掛け特集記事の件で文句をつけるが、和佳子は言いがかりだとまるで相手にしなかった。ところが翌朝、七半岸壁で和佳子の水死体が発見される。

タイトルとなった『揺れる灯』とは熱海の夜景が揺らいで見える様を指している。揺らいでいると見慣れた景色も美化されて見えるものだが、現実はそんなに綺麗なものではない。それは人間の生き様にも言える事。どんなに華やかに見えても心の中には醜い過去を抱えている場合がある。揺らぐ灯とは人間の生き様を表現しているようにも見えた。

五年前に父親が起こした事件により母親と恋人を失ったショックで五年間故郷から足が遠のいてしまった星実。そんな彼女が再び故郷に戻る気になったのは徹という心の支えが出来たからだった。徹からプロポーズを受けて幸せいっぱいの彼女を一つの殺人事件が再び彼女を地獄へと突き落としていく。

夏樹静子作品と言えば女性の心理描写の細やかさが秀逸な作品が多い。このドラマはさほど女性心理に脚光を浴びせた内容にはなっていないものの、星実のやり切れなさが表情から痛切に伝わってくる。最終的に究極の選択を迫られてしまった星実。そしてそのどちらを選んでも星実にとって不幸が待ち受けている。何故にヒロインをここまで追い詰めるのかと問いたくなる。何をしても不幸になるのは判っている。実際、ラストは虚しさだけが残る内容で終結している。しかしその不幸の中に僅かな希望がある事に気付いて欲しいと祈るばかりである。

満足度は★★★★

五十嵐 均,森村 誠一,夏樹 静子
文藝春秋
(1999-01)

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流転の王妃・最後の皇弟 〜ラストエンペラーの時代を生きた夫と妻の波乱の生涯〜 第二夜

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【出演】 常盤貴子、竹野内豊、天海祐希 他
【放送】 2003年(テレ朝)

清朝最後の皇帝である溥儀の弟・溥傑と、彼に嫁いだ華族の娘の苦難の歴史を描いた夫婦愛の物語。原作は愛新覚羅浩の自伝『「流転の王妃」の昭和史』、愛新覚羅溥傑の自伝『溥傑自伝』。このドラマはテレビ朝日開局45周年記念ドラマとして二夜連続で放送された第二夜。ナレーションは引き続き仙道敦子が務めた。

第二夜は終戦間近の時代から紐解かれる。

昭和20年1月、日本に一時帰国していた愛新覚羅溥傑・浩夫妻は二人の娘と共に浩の実家に身を寄せていたが、再び満州へ戻る日が近付いていた。しかし長女だけは既に学習院初等科に進学しており、日本に残る事になる。日本の戦況が厳しくなる中、満州の新京はまだ平和だったが、関東軍の中国人への弾圧は膨れ上がる一方。竹田宮殿下夫妻を歓迎する式典では中国人蔑視の激しい工藤中将が溥傑をたかが将校と見下し、浩の出席を認めない暴挙に出る。また溥儀も関東軍の弾圧に嫌気が差し、日本人を嫌うあまり浩にさえ心を閉ざしてしまっていた。ある日、日本にいる幹子から日本が米軍機の襲来が続いていると危機感を募らせる手紙が届く。即座に溥傑は長女を満州に帰国させる事に決めるが、既に交通手段は断たれて願いは叶わなかった。しかも長年夫妻の良き友人だった桜井も工藤に盾突いた結果、前線へ送られる羽目に。数日後、桜井の戦死が伝えられる。

関東軍の目に余る弾圧を目の当たりにした浩は日本人である事を恥じるようにまでなってしまう。しかし所詮関東軍は井の中の蛙だった。戦況がどれだけ悪化しているかも知らず、日本の勝利は揺るぎ無いものと信じて満州国を掌握する事しか頭にない。そうこうしている内に満州国は露西亜の爆撃を受け、満州国は露西亜との戦争も辞さない事態に陥ってしまう。

戦争は終わっても人間の歴史は続く。

日本軍の敗北は満州国の終結を意味している。しかし満州が無くなっても人々は命ある限り生きていかなければならない。絶望のあまり命を絶つ者。次の時代を生きようとする者。見切りをつけて逃げ出す者。混乱の時代、明日は我が身がどうなるかも判らぬ時代。ほんの些細な決断が運命を大きく揺るがせてしまう。ここからが後半のクライマックス。溥傑は溥儀と共に露西亜軍の捕虜となり、残された浩は流転の人生を送る事になる。それまで満州国皇帝の弟の妻として優遇されていた生活が一転。まるで天国から地獄に突き落とされたように浩を待ち受けていたのは常に死と隣り合わせの惨めで過酷な生活。次女が傍にいたので何とか母親として自分を制御出来ていたものの、もしその支えが無ければとっくに自我を失っていたかも知れない。実際、皇帝妃は惨めな生活に耐え切れず阿片で心身共にぼろぼろになっている。つくづく母は強しと言わざるを得ない。そんな浩が日本に帰国し、溥傑と再会する日が持てたのは奇跡だった。

浩が主演なので、ドラマは浩目線で進んでいく。そのため要所要所で浩と関わった女性達に脚光が浴びせられるが、そのほんの僅かな一瞬で錚々たる女優陣が強烈なインパクトを残していく。李香蘭役の天海祐希、川島芳子役の江角マキコ、ハル役の木村佳乃。何れも存在感が半端なかった。

満足度は★★★★★

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流転の王妃・最後の皇弟 〜ラストエンペラーの時代を生きた夫と妻の波乱の生涯〜 第一夜

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【出演】 常盤貴子、竹野内豊、反町隆史 他
【放送】 2003年(テレ朝)

清朝最後の皇帝である溥儀の弟・溥傑と、彼に嫁いだ華族の娘の苦難の歴史を描いた夫婦愛の物語。原作は愛新覚羅浩の自伝『「流転の王妃」の昭和史』、愛新覚羅溥傑の自伝『溥傑自伝』。このドラマはテレビ朝日開局45周年記念ドラマとして二夜連続で放送された第一夜。ナレーションは仙道敦子が務めている。

昭和11年9月、嵯峨侯爵家の長女・浩は妹達と乗馬の際、つい軍人の演習場付近まで足を延ばしてしまう。鉄砲の音に怯える幹子に諭されて引き返したものの、実は演習場には浩の運命の人・愛新覚羅溥傑がいたのだが、まだお嬢様学校で優雅な日々を過ごす浩には結婚など頭になく、専ら画家になる夢を見て絵を描いていた。溥傑は満州国皇帝・溥儀の弟。溥儀から政略結婚を命じられて縁談を受ける事に。嵯峨侯爵家は皇室に近い家柄。突然政略結婚を命じられた浩は寝耳に水で反発するが、軍の命令には逆らえない。翌1月、溥傑と浩の見合いが極秘裏に行われた。活発な性格の浩は相手が気に入らなければ外国に逃げるつもりで見合いに臨むが、初めて会った軍服姿の溥傑の日本と中国の平和を願う誠実で穏やかな人柄に惹かれていく。また溥傑も浩が気に入り、二人はデートを重ねて結婚の意思を固める。婚約が発表された途端、浩の生活は一転する。これが浩の流転の運命の幕開けとなった。

第一夜は浩が溥傑の妻となり満州国で暮らす中、夫妻の日満親善の願いも虚しく日本人と中国人の溝の深さを目の当たりにし、絶望と悲しみに打ちひしがれるまでを描いている。

そもそもこの結婚自体が軍の強い思惑の中から始まっている。清朝最後の皇帝、つまりラストエンペラーである溥儀が満州国の皇帝に収まっている満州で、満州に駐屯している関東軍が満州国を掌握するため日本人の血を受け継いだ夫妻の子を次期皇帝に据える目的で行われた政略結婚だったのである。勿論浩と溥傑はそんな目的とは関係なく、表向きは政略結婚であったとしても本人同士は愛情を持って結婚している。そしてこの結婚が日満親善に繋がると信じて。しかし満州の現実は関東軍の横暴により中国人は日本人に憎しみを募らせ、抗日感情に溢れていた。やがてそれは大きな暴動へと発展していく。憎しみが憎しみを生むと言う悪循環に夫妻の気持ちとは裏腹に中国人と日本人の亀裂は深まっていくばかり。

出演陣の豪華とかそんな事はどうでも良く、とにかくこれは浩の見た現実であるのでドラマから受ける重みが生半可なものではない。勿論関東軍の横暴はあんな物ではないだろうが、当時の満州国の状況が切々と伝わってくる。

公開処刑の場面は寒気がした。関東軍の軍人達は家族や仲間を殺された恨みを中国人という一括りで晴らそうとし、良く調べもせず中国人と言うだけで銃殺する。それを見ている日本人の澄ました表情。目の前で人間が処刑されているというのにその痛みをまるで感じていない。これこそが狂った時代の象徴なのだと思わずにはいられなかった。

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