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ママに殺意を

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 市毛良枝、坂上忍、柳生博 他
【放送】 1981年(日テレ)

新婚旅行のはずが継子と二人で別荘に取り残されてしまった後妻が災難に見舞われるサスペンス。原作は赤川次郎著の『孤独な週末』。

一家四人殺しの犯人・安藤が留置所から逃走する。安藤を逮捕するため刑事達はジープで蓼科の高原にある別荘地へやって来ていた。別荘地と言っても今はシーズンオフで人気もなく閑散としている。この辺りの別荘の管理人を訪ねると、どうやら留守のよう。実は小杉家の別荘に小杉夫妻が新婚旅行に来ると言うので管理人夫婦はその準備に追われていたのだ。警察が注意を促した後、ようやく小杉夫妻が夫の連れ子の正実を連れて別荘に到着する。正実は思春期真っ只中。父親の前では良い子を演じて後妻に理解を示しているが、内心父親と親子程に年の差のある後妻の紀子を快く思ってはいなかった。薄々紀子も正実の気持ちに気付いていて、まずは友達のような関係を築こうと気楽に考えていた。そんな中、急な仕事で夫だけ東京に帰る事になってしまう。

このドラマは紀子と正実の二人が中心となったストーリーになっているのだが、この二人が非常に興味深く描かれている。紀子について見てみると、紀子のような立場なら正実からの執拗な嫌がらせに対して普通ならば必死に耐えて何とか母親と認めて貰おうと躍起になるか、或いは諦めてそっぽをむいてしまうかだろうが、紀子はそのどちらでもない。割合自己中心的で決して聖人ではない。言ってみればごく平凡な女性なのである。心の声が時折ドラマの挿入されると思わず共感を持って笑えてしまう事もしばしばだった。一方、正実に関しては実に細かな設定がなされている事に驚愕する。単なる機械マニアというだけでなく、赤とんぼを生きたまま手で引き裂く残虐性を持ち、基本我儘で甘ったれではあるが非常に小賢しい一面を持つ。中学生にしてはちょっと動機が幼い感じもしたのだが、原作では正実が小学生の設定になっているので多少は目を瞑るとして、とにかくこの二人の熱演あってこそのドラマだった。

子供の残虐性に意外性のあるストーリー展開。如何にも初期の赤川次郎らしい作品である。

満足度は★★★★★

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ガラスの階段

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 真行寺君枝、江藤潤、おりも政夫 他
【放送】 1981年(テレ朝)

愛する人と幸せになる夢を見たOLが昇り始めたのは脆く壊れやすいガラスの階段だった。妹の幸せを心から願う兄の決断と兄妹の行く末を描いたサスペンス。原作は三好徹著の『ガラスの階段』。このドラマは傑作推理劇場の一編として放送された。

OLの信子は元恋人の三年前に別れた三原幸夫の事が忘れられず同僚から紹介された祈祷師・東田に相談しに行く。東田は幸夫は婚約者と結婚出来ないと予言する。その言葉通り、幸夫はドライブ中に事故を起こして婚約者が死亡する。すっかり東田を信じるようになった信子は東田の元へ通い詰めるようになる。そんなある日、信子の兄・克也は信子の部屋に怪しげな祈祷グッズが飾られているのに疑問を持つ。貯金通帳も底をついていた。信子の日記で何が起きたかを知った克也は直接幸夫に交渉に行くが、幸夫は信子との交際を否定。ところが信子はその時刻に幸夫と会ってプロポーズされたと主張する。東田は被害届が相次ぐインチキ祈祷師。信子が東田に食い物にされているのは明らかだった。そんな矢先、東田が自宅で殺害される。

火事で全身火傷を負った信子には自分の体を見られる事が最大の恐怖。そんな彼女に愛する男性との将来は無かった。彼女に出来るのは夢を見る事だけ。醜い火傷の痕さえ愛してくれる男性に抱かれる甘い夢を祈祷師は見せてくれた。祈祷師に縋りたくなる信子の悲しい心情が痛切に伝わってくる。また妹をそんな目に遭わせた負い目から妹の幸せを願い続ける兄の後悔と贖罪が切なくなるドラマである。

人の心の弱みにつけこんで金を騙し取り、あわよくば体までも奪う東田が殺害されたのは自業自得として、このドラマの醍醐味は兄が妹を思う気持ちの大きさにある。兄の決意とそして兄にそんな決断をさせてしまった妹の葛藤。そこに焦点が置かれていると非常に重厚なドラマになったかと思うのだが、残念ながらこのドラマではそれよりもむしろ祈祷師が殺害されるまでの経緯が重要視され、信子の幸せの正体が一つのオチとなっている。そこでドラマが終了するならそれでも良かったのだが、その後日談として追加された内容の方が興味深いのが難点である。結果として最初のオチは弱くなり、後日談のエピソードは興味深い内容だけに勿体なさが付き纏う結末となった。

満足度は★★★★

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善の研究

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【出演】 笠智衆、斎藤とも子、牟田悌三 他
【放送】 1981年(テレ朝)

人生の最後に人のために何か一つ良い事をしたい。老い先短い老人が決意した善行を描いたストーリー。このドラマは傑作推理劇場の一編として放送された。原作は赤川次郎著の『善の研究』。

江の島の住宅街を走る山下耕三は突然心臓の発作に見舞われ、通りがかりの若い女性に助けられた。近くの喫茶店まで運んでもらった耕三は喫茶店のマスター親娘に自分が常々死ぬまでに何か良い事が出来ないかを考えていると語る。そんなある日、耕三は電車の中で親切な女性に再会。ところが乗り合わせたチンピラが彼女に目を付け悪戯する。耕三はただ見ている事しか出来なかった。チンピラの正体は喫茶店付近の家の次男だった。喫茶店で話を聞くと長男は一流大学を出た秀才だが、次男は働きもせず遊び暮らし、毎晩のように親に暴力を振るう害虫のような男だという。耕三は人生の最後に次男の殺害を決意する。

原作は短編小説ながらそのオチの威力は凄まじかった。ドラマも原作に沿って進められ、原作の世界を忠実に再現されている。主人公は心臓病を抱える孤独な老人。他人の前でつい見栄を張って自分の過去を自慢したりと何の変哲もないどこにでもいそうな老人なのである。だからこそストーリーのオチが生きてくる。ドラマなので老人が孤独であるのが最初から判ってしまうのが難点だが、その点を差し引いても非常に秀逸なストーリーである。

果たして老人が行った善行とは、本当の意味での善行だったのか?

但し喫茶店の娘は余計だったかも。無理に出番を作って出演させているのが見え見えで、正直いなくても問題ない。おそらく絵的に花が欲しかったのだろうが・・・。

満足度は★★★★★

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砂の密室

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【出演】 市原悦子、岡本富士太、倉田まり子 他
【放送】 1981年(テレ朝)

俳句が趣味の主婦が自宅で死亡している隣人を発見する。事件当時、家は密室だった。主婦を見下す刑事に腹を立てた彼女は若手刑事と共に真相究明に乗り出す。原作は宮原昭夫著の『若葉照る』。傑作推理劇場の一編として放送された。

風の強いある日、俳句好きな主婦達が集まって俳句会を開いていた。ところが肝心の幹事である鈴木夫人がいつまでも現れない。不審に思った俳句仲間で隣人の森夫人が様子を見に行くと、カーテンの空いた隙間から鈴木夫人が頭から血を流して絶命していた。警察の調べで当時家はしっかり戸締りがされており、唯一鍵が開いていたのは殺人現場となった和室にある小さな掃き出し口だけ。しかし地面も窓の桟にも砂が大量に積もっており、誰かが窓から出た形跡は見られなかった。森夫人が別の誰かが家にいたと証言するものの、刑事は彼女の証言を笑い飛ばし事故死と断定する。

密室トリックを使用した殺人事件を平凡な主婦が暴いていくと言うストーリーになっているのだが、感心するのはその一連のストーリーの中に地方都市の抱える社会問題や人々の言動に当時のありがちな風潮を上手く取り込んでいる事である。ヒロインの主婦はやっと手に入れたマイホーム(かなり田舎ではあるが・・・)を死守するために夫を単身赴任に行かせ、自分は家事の合間に趣味の俳句を興じているという当時としてはごく一般的な考え方を持つ主婦像。ところがこれを市原悦子が演じると友人の葬儀の際にその死を悲しむより前に追悼句会のために俳句を考えていたり、趣味の俳句を高尚な趣味と捉えて才媛を気取ってみたりと、何故かコミカルで個性の強いキャラになっている。

原作が短編小説であるため一時間の放送時間でも詰め込み過ぎという感じは一切しない。事件の根本に流れる物が重苦しい割にはテンポは軽快で見ていて飽きない。最後まで楽しめるドラマである。

満足度は★★★★

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翔んだライバル

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【出演】 柳沢慎吾、辻沢杏子、高田純次 他
【放送】 1981年(フジ)

下宿先の娘である姉妹と奥手の男子高校生を巡る学園ラブコメディー。『翔んだカップル』の人気を受けて制作された『翔んだ』シリーズの第二弾。前作ではクラスメートを演じた柳沢慎吾が相手役に大抜擢。前作同様のコメディー全開のドラマかと思いきや、後半のシリアスで重苦しい展開に愕然とさせられる。

白水高校に転入した順平は葉月家に下宿しながら高校へ通うことになる。葉月家は女ばかりの三人家族。中でも妹のあかね(通称:リンゴちゃん)はとびきりの美少女で、学校でも人気者。モテモテのリンゴちゃんに一目惚れした順平だが、恋に奥手で気持ちを打ち明けることが出来ない。それでも自然とお互いを意識する二人だったが、姉のかがりもまた順平に恋をしてしまい、積極的に順平にアタックを始める。

このドラマの中心となっているのが葉月家の姉妹と順平。主役は妹のリンゴちゃんなのだが、容姿のせいでモテモテではあるもののこちらも恋には奥手の女の子。一方、姉のかがりは容姿はイマイチだがその分明るく元気で積極的。姉妹の仲は非常に良好で、相談もしあえる仲。それなのによりによって同じ相手を好きになってしまったことから、リンゴちゃんは姉のために身を引こうとし、押しに弱い順平はかがりのアタックを断りきれず、事態はどんどん悪化していってしまう。この三角関係が実に切なく描かれており、そんな切なさを打ち破るようにかがりは常に明るく元気な姿を見せてくれるのだが・・・。

前半はリンゴちゃんを巡る男子高校生達の争奪戦をコミカルに描いており、NG集も前作同様ドラマの最後に放送されている。但し、似たような設定の上に、こちらは原作なしのオリジナルだけあって人気はさほど出なかった。そのせいか後半はそれまでのコメディー路線を一掃し、とんでもなくシリアス路線へとひた走りする。まさかの展開に度肝を抜かれたが、あまりの重苦しさに見ているのが辛くなったほど。ギャップがあり過ぎるのもまた問題なのかも知れない。

満足度は★★★
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翔んだパープリン

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【出演】 服部まこ、柳沢慎吾、所ジョージ 他
【放送】 1981年(フジ)

『翔んだカップル』から始まった『翔んだ』シリーズの最終作。それまでの学園主体のドラマという設定は残したものの、主役は女性教師。但しコミカルな路線は決して外さず、出演者も『翔んだ』シリーズお馴染みの面々が顔を揃えている。またドラマ内では『翔んだカップル』で主演を務めた二人(芦川誠、桂木文)も夫婦役でちらっと顔を出している。

バイクに跨り全身黒のバイクスーツでばっちり決めた謎の人物が高校に颯爽と現れる。生徒達が注目する中、ヘルメットから現れたのは腰まである長い髪に美しい顔。おまけにスタイル抜群の彼女は新任教師の小野妹子。アメリカ帰りの美女の到来に学園は生徒と教師を問わず騒然となる。

教師が主役とはいえ、ドラマの性質はあまり変わっていない。小野先生を巡って男子生徒と男性教師達は争奪戦を繰り広げ、毎度騒動が起きていくという展開。前作のように途中からシリアス路線に切り替えるということもなく、最後までコミカルな路線を保っている。

しかし主演の服部まこだけはコミカルな場面には一切かかわることはなく、専らそれまでの『翔んだ』シリーズを盛り上げてきた面々が担当している。主軸となるストーリーとは全く無縁な所でコミカルな場面を差し入れるという構成のため、別にそんな場面を入れなくても良いのでは?と首を傾げる場面も多かった。またそうした構成故に小野先生は常にお姫様扱いで、真面目に演技をしてはいるものの何となく他の出演者と温度差を感じる結果となってしまった。

実はこのドラマで印象的な場面は最初に小野先生が登場する場面しかない。登場の場面は美女到来を前面に押し出しているのだが、それ以降はさほど印象に残る場面はないままに進んでいく。何となく『翔んだ』シリーズもこれで終わりだと予感させる内容に収まってしまったのが悲しい。

このドラマのラストでは小野先生は学園を去っていく内容になっている。現実にドラマ終了後服部まこは芸能活動を休止しており、その後アメリカへと渡っている。

満足度は★★★
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鏡地獄の美女

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【出演】 天知茂、金沢碧、中島ゆたか 他
【放送】 1981年(テレ朝)

天知茂扮する明智小五郎が難事件に挑む土曜ワイド劇場の人気シリーズ。このドラマはその第十五作目として放送された。同シリーズの『宝石の美女』で若く美しい未亡人役を演じた金沢碧が今回も妖艶な未亡人役で登場する。

原作は江戸川乱歩著の『影男』。この小説は江戸川乱歩の明智小五郎作品の中でも特異な存在で、明智小五郎が登場するのは最後の数ページだけ。しかも小説の主役は影男自身であり、彼が如何に才能に恵まれた優秀な怪人であるかを彼の活躍を通して紹介する内容になっている。ところがどっこいドラマはまるで別物。影男は登場するものの、影男はあくまで正体不明の怪人であり、ドラマの主体は明智小五郎の方。登場人物は確かに原作の影男が使用してる名前に由来しているので原作と呼べなくもないのだが・・・。

宝石商の速水壮吉の密輸現場を押さえるため明智小五郎は彼を追って香港を訪れていた。ところがゴルフ場で爆破事件が起こり、速水は死亡、明智は一命を取り留めたものの目を負傷してしまう。未亡人となった速水の妻・美与子は叔父の毛利の愛人となり、亡き夫の汚名を晴らそうとしていた。そんな彼女の前に包帯で顔を覆った不気味な不審人物が現れ、美与子の夫だと名乗る。

ドラマは所々原作のモチーフを流用しつつ確かに事件解明のために明智が活躍する様を描いた内容になっているが、その一方でヒロインである美与子の悲しい女の運命と性が時に切なく、時にエロティックに、むしろ事件そのものより美与子自身の生き様が中心となって描かれている。前回の『宝石の美女』の時もそうだが、金沢碧が演じるヒロインのラストで見せる絶望的な姿がやけに印象に残る。

満足度は★★★★
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秘密のデカちゃん

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【出演】 大場久美子、石立鉄男、名古屋章 他
【放送】 1981年(TBS)

親子として暮らしてきた血の繋がりのない父と娘が結婚。同じ所轄に配属された夫婦が周囲を巻き込んで起こす騒動を描いたコメディタッチの刑事ドラマ。主演が石立鉄男で、夫婦仲を周囲に秘密という設定はかつての人気ドラマ『おくさまは18歳』を思い出させる。

日暮庄助は朝日警察署に勤務する冴えない刑事。独身だが、幼い頃に親を亡くした祥子を娘として育てている。祥子が二十歳を迎えた日、祥子は庄助のお嫁さんにして欲しいとせがむ。実は祥子の父が息を引き取る際に祥子が二十歳になったら結婚して欲しいと庄助に頼んでいて、祥子はその時の言葉を信じ続けていた。娘として育てた祥子からの求愛に慌てる庄助だったが、弾みで祥子の胸を掴んでしまう。それがきっかけとなり祥子を拒めず、二人は結婚する。しかし朝日警察署署長は二人の関係を認めず、夫婦であることを秘密にするよう命令する。

庄助と祥子は夫婦であると共に同じ朝日警察署に勤務する同僚(庄助は刑事、祥子は新米婦警)でもある。おまけに祥子は養女になっているので、法律的に二人の結婚は認められない。勿論、法律的な問題は後々強引な理由でクリアされるのだが、当初はその件が引っ掛かって署長から夫婦であることを秘密にするように強要されてしまう。

刑事物とは言えコメディーなのでとにかく登場するキャラクターが個性的で楽しい。この手のドラマはとかく中心となる二人がモテモテと相場が決まっているが、庄助はダメダメな中年であるにも関わらず周囲の女性陣から追い回されるほどのモテっぷり。一方、明るく父親想い(実際は夫にラブラブ)の祥子は警察署の独身男性からの注目の的。一言夫婦である事実を暴露すれば済む問題なのだが、それが出来ないからややこしい。バレそうでバレない、二人の苦しい言い訳が毎回楽しみでもある。

その一方で刑事ドラマ的な側面も忘れてはならない。本当は有能なのに庄助が冴えない刑事に甘んじているのは、自分の手柄よりも相手のことを優先してしまうため。庄助と祥子を巡るどたばた騒動もさることながら、庄助の温情ある事件解決も見所の一つである。

満足度は★★★★
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死んだ馬

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【出演】 小川真由美、山本亘、山本みどり 他
【放送】 1981年(テレ朝)

財産目当てで建築家と結婚した女の打算と破滅を描いたサスペンスドラマ。原作は松本清張著の『死んだ馬』。松本清張の作品らしいラストのどんでん返しに思わずはっと息を飲まずにはいられない秀逸なドラマである。

銀座でクラブのママをしていた三沙子は有名な建築家の池野に目を付ける。何とか結婚に漕ぎ着けたものの、既に池野には建築士としての才能は無く、若い設計技師の秋岡が事務所を支えていた。三沙子は秋岡を誘惑し、池野の目を盗んで密会を重ねる。ところが池野が二人の関係に気付いてしまう。咎められた二人は結託して池野を殺害し、まんまと池野の財産も事務所も手中に収める。しかしそこには思わぬ落とし穴があった。

果てしなき欲望を抱いた女が己の欲望のままに突き進んだ結果、飼い慣らした男の予定外の裏切りに身を滅ぼしていくという内容。勿論、悪事を重ねた人間が思うままに栄光と財をなせるはずもなく、ラストでは松本清張の作品らしく誰も幸せにはなれない空しいまでの現実が待ち構えている。

ラストシーンで見せたウェディングマーチを口ずさみながら浮かべた小川真由美の無邪気な微笑みがいつまでも脳裏に残る。そこには欲に塗れてのし上がるしかなかった三沙子の本心が表現されている。彼女が本当に求めていたのは名声でも富でもなかった。ただ愛する人との結婚だけを少女のように心待ちにしていたのである。全ての欲望を失った時に初めて見せた彼女の真実。それはあまりにも儚い幻想であり、同時に三沙子という女の残忍さを併せ持つ場面でもある。

欲望の末にあるものは破滅だけ。そんな声が聞こえてきそうなドラマだった。

満足度は★★★★★
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終着駅殺人事件

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【出演】 愛川欽也、風間杜夫、火野正平 他
【放送】 1981年(テレ朝)

上京した青森出身の同窓生七人に起きた連続殺人事件の謎に同郷の刑事が挑むトラベルミステリー。原作は西村京太郎著の『終着駅殺人事件』。この作品は昭和56年度日本推理作家協会賞受賞作でもある。西村京太郎のトラベルミステリーは数々あるが、このドラマは土曜ワイド劇場で放送された愛川欽也主演のトラベルミステリーの記念すべき第一作となる。

青森の高校を卒業してから七年。当時の約束を果たすために宮本は同窓生七人で青森に帰郷する計画を立てて、みんなに寝台特急ゆうづるの切符を送る。ところが当日待ち合わせ場所の上野駅に安田だけが現れなかった。仕方なく残りの六人で出発する。その日、警視庁捜査一課の亀井刑事が上野駅で安田の遺体を発見する。亀井は青森県警に連絡し、ゆうづるに乗っていた安田の同窓生達に安田の死を知らせるが、何故か一緒に乗っていたはずの川島が行方をくらませていたことが判明する。

かつての同窓生七人が次々謎の死を遂げていくという本格ミステリー。故郷である青森を思う亀井の並々ならぬ心が常に見え隠れし、非常に物悲しい雰囲気のまま進んでいく。上野駅は金の卵と呼ばれて集団就職した青森の若者達が降り立った駅。奇しくも青森の人間には特有の思いが溢れる駅で起こった殺人事件。青森出身の亀井刑事には青森の人間に対する仲間意識が強く働き、犯人が青森の人間でないことを願いつつ捜査を進めていく。

十津川警部と亀井刑事のコンビが活躍するトラベルミステリーは各局でそれぞれシリーズ化されている。大抵が十津川警部が主役を演じているのだが、テレ朝のこのシリーズだけは亀さんこと亀井刑事が主役の話になっている。但し徐々に郷愁の念溢れる物悲しさとは無縁になり、時刻表を片手に解き明かす列車トリックの内容が中心となっていく。そう言った意味でも救いようのない展開がとにかく印象に残る名作だと言える。

満足度は★★★★★
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