怪談 奥州安達ケ原

  • 2016.09.12 Monday
  • 09:13

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 藤巻潤、加山麗子、梅津栄 他

【放送】 1979年(東京12チャンネル)

 

盗賊に嬲り殺しにされた母娘が鬼女となって蘇る復讐劇。日本名作怪談劇場の第十三話として放送された。

 

時は応仁の乱の最中、戦乱を逃れて京を離れる事になった友音は、奥州へ向かう途中暴れ馬に踏み躙られそうになった所を不二木右京に助けられる。何とかあばら家を見つけて落ち着いた友音と母・しほりだったが、今度は下男の虫兵エが美しい友音を我が物にしようと襲い掛かる。しかし寸での所でしほりにみつかり、薙刀で顔を切り付けられ追い払われてしまう。一年後、母娘二人きりの平穏な生活を手に入れていた友音の前に右京が現れる。二人は互いに惹かれ合い、右京は友音に大切な笛を託して京へと旅立っていった。ところがその直後、盗賊の頭となった虫兵エが一年前の恨みを晴らしに盗賊達を連れてやって来る。女二人では為す術もなく、母は盗賊達の慰み者にされ、その間に虫兵エは生娘の友音に思いを遂げてしまう。その後、しほりは虫兵エに嬲り殺しにされ、友音は強い恨みを抱きながらしほりの胸を付いた短刀で自らの命を絶った。

 

舞台となった安達ケ原には鬼婆が住み着き人を食らっていたという鬼女伝説のある場所である。福島県二本松市には黒塚と呼ばれる鬼婆の墓がある程馴染みのある話であり、浄瑠璃や歌舞伎などの演目にもなっている。おそらくこのドラマはその鬼女伝説から端を発して復讐のために鬼女となって蘇った母娘の話として制作されたと思われる。自分達を嬲り殺しにした盗賊達に恨みを晴らすために鬼女になった復讐劇ではあるのだが、その一方で清らかな男女の悲恋物語という一面も持っている。時代が応仁の乱のあった室町時代と設定されている事もあり、江戸時代の庶民的な怪談とは一線を画しており、自然豊かな草原でロケを行ったり、舞台セットも非常に幻想的な演出が施されている。但し、怖さから言えば鬼女伝説の方が生きたまま人肉を食らう点からも残忍で恐怖感がある。

 

それにしてもこの話はよくよく考えてみると、虫兵エが悪事を働こうとしたのが発端となっており、その事には虫兵エは一切悪気を感じる事無く、ただ顔を傷付けられた事に恨みを抱いて盗賊を率いて女二人に復讐とか道徳心の欠片もない行動に出ている。蝶よ花よと育てられた清らかなお姫様である友音はそんな身勝手な男に慰み者にされ、目の前で母を嬲り殺しにされ、恨みを抱くわけだが、虫兵エに「鬼女にでもなって・・・」と冗談交じりに言われたために鬼女になるって、どれだけ素直なのだか・・・。『牡丹灯籠』の怪談話のように愛する男を死へと引きずり込む事もない。また右京の方もこの友音に劣らず心の清らかな人間で、鬼女となってしまった友音を嘆く事はあっても、愛する気持ちは変わらず浄土で添い遂げようと深い愛情を示す。右京がもう少し早く安達ケ原に戻って来ていれば・・・。そのタイミングのずれが二人の恋を悲恋にしてしまったとは何て悲しい事だろう。最後に友音が別れの舞を踊る姿が切なかった。

 

満足度は★★★★★

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怪談 高野聖

  • 2016.09.11 Sunday
  • 00:14

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 市川左団次、田中真理、山岡徹也 他

【放送】 1979年(東京12チャンネル)

 

後に高野聖と呼ばれた高名な僧侶が修行僧の頃に体験した山奥での不思議な一夜。原作は泉鏡花著の『高野聖』。日本名作怪談劇場の最終話として放送された。

 

若い修行僧にとって飛騨越えは晴れて紫衣を手に入れるための難所と言われている。ある日、修行僧・宗朝が滝で荒行を行っていると、滝の水が突然真っ赤に染まった。村人の話では十三年前男達に手籠めにされ、滝に身を投げた女の怨念だと言う。茶屋の近くに差し掛かった時、天生峠には魔物が棲んでいると耳にする。実はその魔物の正体こそが滝に身投げした女だと言うのだ。茶屋で知り合った薬売りが山に入って行くのを見掛けた宗朝は見過ごす事が出来ず、村人達が止めるのも聞かずに後を追いかける。無数の蛇や山蛭に襲われ、命からがら村に辿り着くと、妖艶な女が宗朝を親切に迎え入れてくれた。しかし薬売りの姿はどこにも見られない。ただ馬小屋に繋がれた馬が妙に騒いでいた。

 

修行僧にとって肉欲を堪える事は耐え難い苦難である。まして相手が妖艶な女であれば尚更。言わばその難関を超越する事が出来るか否かが高僧になれるかどうかの試練でもあるのかも知れない。このドラマは慈悲深いが故に困難に身を置いてしまった修行僧の物語であり、そこには人間が持つ様々な姿が織り込まれている。人を恨み、異質な物を脅威と怖れ、集団になれば常軌を逸した行動さえもが正当化される。その一方で人を愛し、慈しみ、我が身を投げ出しても誰かを救おうとする。度合いの違いこそあれ、それら全てを持ち合わせているのが人間なのである。ある意味、人間の本質を追求したストーリーであるともいえる。

 

さて最後に意外な行動に出た修行僧。彼は女の身の上に同情したのか、それとも純粋に愛したのかは判らない。ただ彼の性分として彼女を救おうとしたのは間違いない。彼の行動の結末として蓮の花が花びらを散らしながら流れていく光景が、ただ美しいだけでなくこの世の無常を表しているようにも感じられて感慨深いものがあった。

 

満足度は★★★★★

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怪談 鰍沢

  • 2016.09.09 Friday
  • 00:34

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【出演】 清水章吾、池畑慎之介、赤座美代子 他

【放送】 1979年(東京12チャンネル)

 

鰍沢で罠にはめられ殺された男の印籠をお守り代わりに渡された男の前に殺したはずの女房の幽霊が現れる。鰍沢を舞台に繰り広げられる男女の話を扱った落語演目『鰍沢』の実写ドラマ化。日本名作怪談劇場の第十二話として放送された。

 

甲府街道の難所とされる鰍沢に差し掛かった宗次郎は蹲っている女・お熊を見掛けて手を差し伸べる。しかし小さな山小屋でお熊と良い仲になった後、毒を盛られて殺される。実はお熊には情夫・伝三郎がいて、宗次郎から金品を奪うために罠を仕掛けたのだった。最後の力を振り絞ってもがく宗次郎の姿に恐れ戦いたお熊は宗次郎の脳天に鉈を下ろし、遺体は崖から突き落としてしまう。それから暫く後、江戸で女房を殺した男・新助が巡礼の旅にやって来る。自分の留守中に他の男と関係を持っていた女房が許せず首を絞めて殺してしまったのだ。その事を悔いている新助の様子を見て、巡礼者の一人が鰍沢で拾った印籠をお守りとして手渡す。この印籠を持っていると不思議と厄災に見舞われないらしい。新助は有り難く印籠を受け取るが、その直後、厚化粧の宗次郎が鰍沢まで同行して欲しいと頼んでくる。

 

お熊と伝三郎に恨みを抱いた宗次郎と、女房を殺した新助の別々の話を上手く組み合わせて一つのドラマにしたような内容で、それぞれそれだけでも単独で一つの話を形成しているのだが、一時間の枠に収まるよう取り繕って再編集したようなストーリーになっている。まあ、どちらにしても鰍沢を舞台にしている事は変わらない。

 

それはともかくこのドラマはとにかく亡霊となった宗次郎のノリノリぶりに思わず目が釘付けになる。毒を盛られて爛れた顔のメイクが圧巻で、通常時の顔がドラマでは厚化粧と言っているが、そちらが端正な顔立ちを見せつけているだけにその落差に驚かされる。その爛れ方も一つのパターンでは済まない。登場毎にメイクが異なっていて、クライマックスに近付けば近付く程手が込んでいるように思える。主役は新助の方なのだが、完全に主役を食ってしまっていた。

 

満足度は★★★★

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怪談 死神

  • 2016.09.08 Thursday
  • 09:43

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【出演】 中村鴈治郎、森川正太、千うらら 他

【放送】 1979年(東京12チャンネル)

 

ある日死神の姿が見えるようになった大工が医者となって大儲けする。ところが飲み屋の女と駆け落ちしたばかりに災難に見舞われる。日本名作怪談劇場の第十一作目として放送された。

 

人の命は死神によって操られていると言う。薄気味の悪い男・死神から蝋燭の火が消えれば寿命が尽きると宣言される夢から覚めた大工の八五郎は甲斐性が無く、身重の妻・おかねと喧嘩して家を飛び出してしまった。ところがその行く手に夢の中に出て来た死神が立っていて驚愕する。金も無いのに馴染みの店で飲んだくれていた八五郎の前にまたもや死神が現れ、頼みを聞いてくれれば八五郎から離れてやると言い出した。どこへ逃げても死神から逃れる事が出来ないと悟った八五郎は死神の頼みを聞いてやることにする。実はこの死神、間違えてまだ若い孫娘に取り憑いてしまったらしい。八五郎の役目は死の淵にいる娘の枕元に立っておまじないを唱えるだけ。それを機に死神は八五郎にこれからは医者になれと勧めるのだった。単純な八五郎は言われた通り医者の看板を掲げ、日本橋の呉服屋の店主の病を治して五十両を手に入れる。

 

これ本当に怪談なのだろうか?

 

主人公の八五郎役に森川正太がハマリ役。いかにも頼りなく、まるで医者には見えないお調子者の雰囲気がぴったり。八五郎もそうだが、死神が白装束のよぼよぼの老人で人の生き死によりも前に死神の方が死んでしまいそうだったり、おかねが掲げた看板の平仮名が間違っていたりと、怪談にしてはコミカル性の強いドラマである。しかも人の命を助けるのがまるでとんち。それで人の命が助かるなら苦労はいらないのだが・・・。

 

落語の一演目という形だけに最後のオチまでどこかお間抜けで笑えてしまう。いや、笑っている場合ではないのだが、寄席にいった気分を味わえるドラマである。

 

満足度は★★★★★

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怪談 牡丹燈籠

  • 2016.09.05 Monday
  • 09:53

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【出演】 佳那晃子、佐藤仁哉、小島三児 他

【放送】 1979年(東京12チャンネル)

 

無残にも引き裂かれた恋人を求めて夜な夜な美しい女とその女中が牡丹灯籠を持って愛しい浪人の元へと通い詰める。原作は三代目河竹新七の歌舞伎演目『怪異談牡丹灯籠』。

 

八百石の旗本の娘・お露は浪人の萩原新三郎と深く愛し合っていたが身分違いの関係を父親に許しては貰えず、とうとう無理矢理他の男と婚礼をあげる事になってしまう。しかしどうしても新三郎を忘れられなかったお露は婚礼の最中に自らを刀で貫いて自害する。またお露の唯一の味方であった女中のお米も後を追って井戸に飛び込む。庭に咲く真っ白な牡丹の花が二人の血で真っ赤に染まった。お盆の入り、新三郎の元へお露がお米と共にやって来る。お露が祝言をあげたと噂に聞いた新三郎はお露を追い返そうとするが、お露は家を出て祝言など上げていないと言い張る。お露の言葉を信じた新三郎はお露を家に招き入れて契りを結ぶ。ところが隣に住む伴蔵がこっそり覗き見た所、お露の足が骸骨だった。翌朝、新三郎を診た医者は新三郎の顔に死相が浮かんでいると忠告する。それでもお露が死んだと信じない新三郎を仕方なくお露の墓に連れて行く。

 

骸骨の手足が明らかに作り物なのが気になるが、当時としては骸骨が登場するだけで恐怖を感じていたのかも知れない。

 

因みにこのドラマではお露が恋人と結ばれなかった事を儚んで、幽霊となっても新三郎の元に通い詰める部分だけを取り上げている。実際には新三郎を裏切った伴蔵夫婦のその後の生活やお露の御家騒動等々を含んだもう少し長い話なのだが、一番有名な部分だけを一時間の枠内に収めた話になっている。

 

何となく滑稽に見えるのが伴蔵夫婦が幽霊と金の取引をする場面。百両をふっかけるとお米が持ってやって来る。一体どこから用意したのだろう?伴蔵夫婦に恨みは無いはずなのに、何故か幽霊の怨念が伴蔵夫婦に向かうのもおかしな話である。

 

尚、お露が幽霊になっても依然として無邪気なのが却って不気味だった。

 

満足度は★★★★

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怪談 玉菊燈篭

  • 2016.09.03 Saturday
  • 10:05

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【出演】 結城しのぶ、江木俊夫、沢かおり 他

【放送】 1979年(東京12チャンネル)

 

罠にはめられ目の前で恋人を失った女郎が呪いの言葉を吐きながら自害する。引き裂かれた男女の復讐劇。日本名作怪談劇場の第八話として放送された。

 

踊りの師匠・美代路は心中に失敗し、晒し者にされた挙句生涯廓で女郎・玉菊として下げ渡された。しかし客を取ろうとしない玉菊は毎日のように折檻され、地獄のような日々に絶望し、ついには首を吊って死のうとまでするが死なせては貰えなかった。そんなある日、死んだ恋人・樫山主水正とそっくりな男が客として現れる。彼は樫山源吾と言って主水正の弟だった。源吾に恋人の後を追わなかった事を責められ、酷く取り乱した玉菊だったが、二人は心から惹かれ合う仲に。しかし所詮玉菊は女郎。他の客も相手をしなければならない。奈良屋の座敷で踊りを披露するよう頼まれた玉菊は女郎如きの舞を振舞う事は出来ないと気丈に断る。それが却って奈良屋の目に留まり、身請けを申し入れられる。しかしそれには源吾が邪魔だった。玉菊も源吾も罠と知らず駆け落ちを手引きする者達の甘言に乗ってしまう。

 

シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』の舞台を上流階級から廓に変えて展開させたようなストーリーなのだが、それを美しい恋物語とはせずに復讐劇とした怪談である。ストーリー性を重視しているので、復讐に割く時間は非常に短く、後半のほんの一部だけになっている。また復讐の方法も従来の時代劇怪談のように幽霊となって手を下すのではなく、生きている者が復讐し、その復讐を幽霊となった恋人が手助けするような形になっている。

 

しかしこの時代の心中に対する扱いの酷さは格別である。共に死ねれば良いが、死に損なった女に待ち受けているのは地獄のような日々。死ぬ事も逃げ出す事も許されず、命ある限り廓で客を取らされ続ける。心中をロマンティックな男女の愛の形と捉えるのはずっと後の時代の事。この時代では心中は完全なる悪事なのである。しかもこれは命の大切さを重く見ての処置では無く、商売上の損得のために行われた処置である事がこの時代の現実を浮き彫りにしている。

 

怪談としての怖さはあまりない。怖いのはむしろ女郎を人間とは扱わず、虐げてこき使う事が当たり前のこの時代の風潮にある。怪談と言うよりは悲恋物として楽しんだ方が良いドラマだった。

 

満足度は★★★★★

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怪談 夜泣き沼

  • 2016.09.02 Friday
  • 10:17

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【出演】 新藤恵美、綿引勝彦、川地民夫 他

【放送】 1979年(東京12チャンネル)

 

惚れ抜いた女房を取り戻そうとして沼で亡くなった男が、女房を奪った幼馴染みにどこまでも付き纏う怪談。日本名作怪談劇場の第九話として放送された。

 

おつかは新しい人形を欲しがるように次々と男を欲しがり情事を重ねていた。おつかには旅回りの一座の役者・小平次という亭主がいるが、小平次の幼馴染みの太九郎とも良い仲になっていた。ある日、小平次は家の近くで太九郎を見掛ける。おつかは否定していたが、家の中で太九郎の財布を見つけておつかの嘘に気付く。太九郎を印旛沼に呼び出した小平次は太九郎とおつかが遊びの関係であると聞かされて逆上する。ところが逆に殴られて沼の中に落とされてしまう。おつかの元に太九郎が戻ると、死んだはずの小平次が訪ねて来る。幽霊になってもおつかを求め続ける小平次を太九郎は必死に刀で刺して撃退し、動かなくなった小平次の遺体は井戸へ落として始末する。おつかと太九郎は江戸へ逃走するが、太九郎はここでも小平次の亡霊に悩まされてしまう。

 

良い女だが、男に見境の無い性分であるおつかを幼馴染みの二人が惚れ込んでしまったのがそもそもの発端。おつかさえいなければ小平次と太九郎は共に一緒に育った良い友達同士で、おそらくその友情は一生続いたであろうと思われる。小平次は穏やかな性分で太九郎を責めたのも、女房を寝取った男だから責めたのではない。女房と遊びで付き合っていると嘘をついたから責めたのである。一方、太九郎も亭主である小平次の手前おつかに本気で惚れているとは言い出せず、遊びで付き合っていると悪ぶっただけ。その後、幽霊となって現れた小平次は太九郎が自分に気遣って嘘をついた事を見抜いていた。こんなにお互いを思い合い、そしてお互いを理解している友達同士がたった一人の女に友情をめちゃくちゃにされたなんて、一番罪深いのは他でもないおつかなのである。

 

ところが幽霊に悩まされ続けるのは太九郎ばかり。もしかすると太九郎が大切な友人を殺めてしまった自責の念から見せていた幻だったのかも知れないが、小平次は死んでからも太九郎との関係を修復したかったように思えてならない。

 

自分の女房を寝取った男へ復讐するために幽霊となって執念深く付き纏ってしまったとする話と受け止めた方がより怪談らしいのだが、何となく上記のような人情を感じてしまうストーリーだった。

 

気になったのが台詞の中に所々時代劇っぽくない現代用語が混じっている点。時代劇っぽくはしているのだが、台詞に使われている現代用語の単語が登場すると、急に冷めてしまう。

 

満足度は★★★★

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怪談 利根の渡し

  • 2016.09.01 Thursday
  • 00:33

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【出演】 船戸順、渡辺やよい、左右田一平 他

【放送】 1979年(東京12チャンネル)


暴君の主の後添えと不義密通の疑いをかけられ、両目を潰された下男が座頭となって恨みを晴らす復讐劇。原作は岡本綺堂著の『利根の渡』。日本名作怪談劇場の第七話として放送された。

 

足軽の娘・お徳は身分違いの野村彦右衛門の後添えとなったが、彦右衛門は足軽を見下してお徳が実家と親戚づきあいするのを嫌がり、祖父の葬儀に出るのさえ禁止する程の暴君だった。義弟・政治郎もお徳に横恋慕して常日頃から我が物にしようと手ぐすねを引いていた。唯一の味方は下男の治平のみ。どうしても葬儀に顔を出したかったお徳は治平の手引きで輿入れしてから初めての里帰りを果たす。気苦労からすっかり体が弱っていたお徳は途中で眩暈を起こし、人気のない小屋で治平に看病して貰う。その様子をこっそり後をつけてきた政治郎が陰から見ていたとも知らずに。政治郎がお徳と治平が不義密通を働いたと彦右衛門に報告したため、激昂した彦右衛門は治平の両眼を潰してしまう。またお徳にも暴行を働き、とうとう耐え切れなくなったお徳は治平と逃亡する。ところが先回りしていた政治郎が二人の行く手を阻み、治平を守ろうとしたお徳は誤って政治郎を斬り殺してしまう。それから間もなく早馬で駆け付けた彦右衛門に見つかり、お徳は斬り殺される。

 

刺さりましたね、ちょうど目玉の真ん中に。

 

船頭夫婦の前に目玉を刺された魚が浮かび上がる場面から始まるこのドラマ。岸辺に佇む座頭の薄気味悪い声が特に印象的で耳に残る。目が見えていないはずなのに魚の目玉を捕らえた事を正確に知るこの座頭の正体は言うまでも無く、七年前野村彦右衛門に両目を潰された治平。どこでどう彷徨ったかは定かでは無いが、ここ一年程は船着き場で野村彦右衛門を執念深く待ち続けていると言う。

 

このドラマは決してスプラッタな演出に頼ったり、度肝を抜くように突然何かが現れたりするような演出に頼る事も無く、不気味な映像技術に頼るような事もない。所謂正統派の怪談である。それなのにごく普通の何気ない行為に忍び寄るように恐怖を感じるのである。つまり見ている人の頭に恐怖の展開を想像させる。こういう類の怪談の方が視覚的な恐怖に頼るホラー物より数段怖い。後々まで後を引くのである。

 

ところでドラマに登場する人物の内、治平の復讐を全て見届ける役割を船頭夫婦が務めるのだが、気の好い人情味あるこの夫婦の俗っぽさが怪談にはあまり登場しないタイプであるのが大変興味深い。時代劇の怪談では大抵仇討ちする側もされる側も必死で殺伐としているものだが、この夫婦は一切関与していないだけにそうした必死さが全くない。常に蚊帳の外で事態を眺めていて、時折治平の執念に巻き込まれるものの、外野の立場である人間に見届けさせるスタンスの怪談は珍しい。

 

最後のここぞとばかりの一言にやられる事間違いなし。秀逸な怪談である。

 

満足度は★★★★★

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怪談 佐賀の怪猫

  • 2016.08.31 Wednesday
  • 08:52

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【出演】 緑魔子、永島暎子、藤間文彦 他

【放送】 1979年(東京12チャンネル)

 

家老の策略によりお家断絶に追い込まれた武家の飼い猫が化け猫となって主の復讐を果たす怪談。原作は瀬川如皐(三代目)の歌舞伎演目『花嵯峨猫魔稿』。日本名作怪談劇場の第六話として放送された。

 

肥前鍋島藩主・丹後守は病床の家老・龍造寺又一郎に再三に渡って登城を急かしていた。又一郎には美しい妹・冬がおり、世継ぎのない丹後守は側室にと考えていたのだ。しかし又一郎はこれを拒否。実は冬には心に決めた相手・小森半左エ門がいたのである。その旨を告げようとした途端、丹後守は鍋島家がかつては龍造寺家の家臣の身分であった事を卑下されたと思い、逆上して思わず又一郎を斬りつけてしまう。この機に乗じて鍋島家乗っ取りを企んでいた家老・磯早豊前は又一郎に止めを差し、武器庫の壁に遺体を塗り込んでしまう。また又一郎が登城した事実を隠蔽した上、登城拒否を理由に龍造寺家は家禄を取り上げられ、お家断絶を余儀なくされた。又一郎の妻は自害、半左エ門は鍋島家に仕える事となり、冬は天涯孤独の身となってしまう。三か月後、豊前は丹後守の側室にした娘の豊が懐妊した事で鍋島家は我が物と慢心していた。そんな中、度々周囲に子猫が現れるようになる。その猫は龍造寺家で可愛がられていたこまだった。

 

これは不条理な殺され方をしたご主人様のために可愛がられていた猫が敵を討ったどころか、断絶した家を再興させるというとんでもなく恩義に厚い猫の話である。子猫が三か月後も相も変らぬ姿で現れる事には違和感を覚えずにはいられなかったが、それには目を瞑って、本来仇討ちをすべき立場である人達の手を煩わせる事無く、非常にスムーズに事を進めるこまの有能さを見せつけられると、手を拱いている人間たちが如何に無能であるかを思い知らされてしまう。

 

ところで緑魔子演じる豊がアップになる度、あまりの老け顔に愕然とさせられる。時代劇なので白塗り姿で登場するのだが、額に刻まれた三本線が目立つの何のって。目鼻立ちがはっきりした日本的ではない顔立ちは洋装ならば映えるものの、着物姿には不似合いである。相対する冬が若々しいだけにこの差は如何ともし難い。更に声が良く言えば可愛らしい、悪く言えば皺枯れた声一歩手前なので、胸を露わにする場面が無ければ何処の老婆が若作りしているのかと見紛うばかりである。しかしながら化け猫となった姿はイメージぴったり。却って特異な声が活きている。

 

満足度は★★★★

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怪談 吸血鬼紫検校

  • 2016.08.30 Tuesday
  • 17:31

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【出演】 倉石功、石田信之、宮井えりな 他

【放送】 1979年(東京12チャンネル)

 

田村家に恨みを持つ者達が吸血鬼として蘇り、由縁の娘達の命を奪っていく復讐物語。日本名作怪談劇場の第五話として放送された。

 

田村家に関わる娘ばかりが次々謎の死を遂げる。何れも胸の所に牙で噛まれた跡があり、乳房から血が抜かれた事が死因だった。しかも娘達は何れも手に田村伊織の文を握り締めていた。勿論主膳に心当たりはない。田村家縁の娘で残るは伊織の妹の松江と田村主膳の娘・妙のみ。しかし琴の稽古に出掛けて以来、松江は日の光を恐れたり、菊の花を嫌ったり、様子がおかしくなる。実は琴の師匠・山村検校とその娘・楓こそが吸血鬼であり、松江は二人に血を吸われて操られていたのだ。そしてついに検校は松江に妙を殺させる計画に出る。さきの娘達と同様の死に方をした松江がその夜目を覚まし、眠っている妙の命を奪おうとする。

 

時代劇ではあるのに、吸血鬼を登場させる和洋折衷の怪談。斬新ではあるものの、時代劇と西洋の吸血鬼の組み合わせはどうも不自然極まりない。しかも吸う場所が首筋ではなくて乳房の上。その場所では噛まれた箇所を見せるためにどうしても胸をはだけなければならず、吸血鬼の被害に遭った娘達は惜しみなく胸元を解禁。この変更は明らかにお色気目的だと言えるだろう。

 

日本の怪談では通常恨みを持つ者は幽霊となって登場するのだが、それが今回は吸血鬼。そのため死人でありながら実体があるのである。ところが何故か操られた松江は幽霊のようなぼんやりとした姿で登場し、吸血鬼なのに幽霊の余韻を残している。また吸血鬼の特殊技能として血を吸う以外に目を見た相手に催眠をかける能力を持つ。その能力を駆使して血を吸った人間を操れるという設定になっているらしい。

 

当然和製吸血鬼話なので、十字架とにんにくで退治するというわけにはいかない。そこで登場したのが梵字の浮き出た文殊。アクロバティックな動きをする吸血鬼相手に日本刀で戦うというのは何とも間抜けな光景である。和洋折衷の斬新さを求めた挙句、詰めの甘さが至る所に見受けられ、C級エロティックホラー感満載のドラマとなってしまった。

 

満足度は★★★

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