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球形の荒野

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 栗原小巻、村井国夫、加藤治子 他
【放送】 1978年(フジ)

寺の芳名帳に二十年以上も前に異国で死亡した外交官の筆跡で記名があった。彼の娘とその恋人の新聞記者が彼の亡霊を追って連続殺人事件に巻き込まれていく。戦時中の日本外交を扱った社会派サスペンス。原作は松本清張著の『球形の荒野』。尚、主題歌には加藤登紀子の『この空を飛べたら』が使用され、オープニングはサスペンスと言うよりは大人のロマンス作品のような雰囲気を醸し出している。

昭和42年冬、野上久美子は従姉妹の芦村節子と共に古寺巡りを楽しんでいたが、節子の狙いが村尾から持ち込まれた縁談を勧めるためと知ってうんざりする。実は久美子には新聞記者の添田彰一という恋人がいて他の男性との縁談にはまるで興味が無かったのである。帰り際、芳名帳を何気なく眺めていた節子が突然酷く慌てた様子で飛鳥寺へ行くと言い出す。節子の態度の変わりように戸惑いつつついていくと、節子は飛鳥寺の芳名帳の『田中孝一』という名前を指してそれが久美子の亡き父・顕一郎の文字だと言い張った。顕一郎は外交官としてスイスへ渡ったが、二十年以上も前に病死している。気になった久美子は母親の元に届いた顕一郎からの手紙を借りて添田に見せに行く。

『球形の荒野』は松本清張作品の中でも比較的実写化された回数が多い作品であり、数々の名優がこの作品に関わっている。1978年版では栗原小巻が主演を務め、育ちが良く芯の強い上品なお嬢様を好演している。時代を考えるとファッションにもかなり気を使っているのが見て取れる。

芳名帳に残された筆跡から海外で病死した父親の生存を信じて恋人の新聞記者・添田と父親の行方を探す久美子のストーリーで、途中連続殺人事件が起きる等血生臭い話を交えてはいるものの、ドラマの中心となっているのは常に人間の愛情である。そうした側面を持つためサスペンス要素の強いラブロマンス風の作風であり、大人の良質のドラマを見せられたような感じになる。特にラストシーンは綺麗に結んでおり、例え未来が無くてもこの一瞬に込められた強い愛情がひしひしと伝わってくる。その反面、昨今ドラマ化された同原作のドラマに比べると戦争の影はなりを潜めている。

タイトルは久美子の父・顕一郎の心を言い表した言葉である。ドラマの中でその説明がとある人物の口から語られるのだが、あまりに絶妙な表現に背筋が寒くなった。全ての関わりを断った人間が生きる世界は果てしなく続く荒野。それが死ぬまで続くのである。何の希望もなく、何もかもが手の中を砂となってこぼれおちていく。想像するだけで恐ろしくなる。

満足度は★★★★★

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西遊記

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【出演】 堺正章、西田敏行、夏目雅子 他
【放送】 1978年(日テレ)

中国の昔話『西遊記』を堺正章主演で実写化した特撮ドラマ。孫悟空が生を受け、やがて三蔵法師達と天竺を目指して旅をする姿を描いた冒険活劇。放送当時かなりの反響を呼び、主題歌の『Monkey Magic』、エンディングテーマ『ガンダーラ』(共にゴダイゴ)はどちらも大ヒットとなった。尚、ゴダイゴはこのヒットを皮切りに『ビューティフルネーム』、『銀河鉄道999』とヒット曲を連発。

花果山の不思議な石から生まれた石猿・孫悟空は負けん気が強い暴れん坊。仙術を極めて変化の術を身に着け、竜宮城から如意棒を奪うと、『斉天大聖』という称号を得て地上ではもはや怖いものなしの存在へとのし上った。天上界ではそんな孫悟空をけん制するために天上界に招いたが、ぞんざいな扱いに腹を立てた孫悟空は大暴れ。その際、天帝を警護していた捲簾大将(後の沙悟浄)が天帝の母・西王母の宝を壊した罪で追放され、天帝の愛人・嫦娥を警護していた天蓬元帥(後の猪八戒)が酒の勢いで嫦娥に狼藉を働いた罪で追放される。困り果てた天帝は釈迦如来に孫悟空を懲らしめて欲しいと懇願する。釈迦如来との賭けに負けた孫悟空は岩の下に封印される。

とにかく激しく動く動く。暴れん坊の孫悟空が画面の中でとにかく暴れまわる姿は圧巻である。よくぞこれだけのアクションを特殊メイク+スタントなしで行っていたと感心する。元々ユニークなキャラクターである堺正章の魅力をそのまま受け継いだ孫悟空は、アクションだけでなく会話の一つ一つが持ち前のユーモアたっぷりの台詞になっており、非常にオリジナル性の強い孫悟空に仕上がっている。

またキャスティングの素晴らしさも天下一品。夏目雅子を三蔵法師に起用しただけでも話題性は高いのに、沙悟浄に岸部シロー、猪八戒に西田敏行と見た目でその役柄が思わず想像出来てしまうメンバーを起用し、そこにも制作側の抜群のユーモアセンスが感じられる。また他の役柄についてもベテラン勢を惜しげもなく起用し、まさかの登場に思わず唸ってしまう。それだけでも流石後世に語り継がれる人気ドラマとなっただけの事はある。

ストーリーは比較的原作に近い形で再現されているが、そこに独自のアレンジを加えて勧善懲悪の冒険活劇をただ痛快なだけでなく、そこには何かしら教訓を織り交ぜた子供から大人まで楽しめる内容になっている。

果たして三蔵法師一行は天竺へ辿り着けるのか?

それは神のみぞ知る謎である。

満足度は★★★★

GODIEGO,奈良橋陽子,ミッキー吉野
コロムビアミュージックエンタテインメント
(1993-10-21)

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黒猫亭事件

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【出演】 古谷一行、太地喜和子、長門勇 他
【放送】 1978年(TBS)

黒猫亭で発見された顔のない女の死体の正体を探る本格ミステリー。原作は横溝正史著の『黒猫亭事件』。このドラマは古谷一行主演の横溝正史シリーズ2の第七作目として放送された。尚、元が短編のため前後編の二回だけの放送になっており、前編のラストでは金田一耕助自身が視聴者に事件の謎について語りかける場面が導入されている。

昭和二十二年。バー『黒猫亭』のマダム・繁子は土建会社の社長・風間との密会中、「亭主に殺されるかも知れない」と妙な事を口走っていた。ある日、駐在が黒猫亭の外で妙な物音を耳にする。塀から中の様子を窺っていると、一心に庭を掘る日兆の姿があった。土の中から人の体の一部が覗いているのを見て、駐在が土を掘り進めると、顔も体も損傷が激しい女の死体だと判明する。翌日、中学時代の先輩である風間を訪ねた金田一耕助は、風間から来るのが一日遅かったと告げられる。実は風間は愛人の繁子の身を案じて金田一を呼び寄せたのだが、その日の新聞には土の中から発見された女の死体は繁子だと特定する記事が掲載されていた。

不思議な事にこのドラマには殺されたと思われる繁子も、繁子を殺害する動機を持つ繁子の夫・糸島も情婦の鮎子もドラマの中に登場して来ない。全てが人づてに情報を得ると言う形で進められ、金田一は成り行き上事件の調査に奔走するものの、まるで雲を掴むように実感を持てないと苦言を漏らすほど。つまり女の遺体がある以上何らかの事件が起きているはずなのだが、全てが現実的ではないのである。それがこの事件の特異性であると言える。

バーの名前からも判るように何かと黒猫に関わってくる今回の事件。黒猫は不吉だと謂れがあるだけに、ストーリーと関係がなく登場する黒猫が不吉な雰囲気を煽る効果を担っている。女の遺体に猫の死骸。まるでポーの『黒猫』の世界に迷い込んだような不気味さである。

さてさて事件の捜査は進みやがて解決を迎える。その時、金田一の名推理が挙げた事件の真犯人の正体には痺れる。短編ではあるものの事件を通して人間の悲哀を表現した秀逸なドラマである。

満足度は★★★★★
横溝 正史
角川書店(角川グループパブリッシング)
(1973-04-20)

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不死蝶

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【出演】 古谷一行、竹下景子、江木俊夫 他
【放送】 1978年(TBS)

二十三年前の殺人事件に端を発した連続殺人事件の謎に金田一耕助が挑む本格ミステリー。原作は横溝正史著の『不死蝶』。このドラマは古谷一行主演の横溝正史シリーズ2の第四作目として放送された。

昭和三十年。金田一耕助は諏訪湖の湖畔にある射水の県会議員・矢部杢衛から人探しの依頼を受ける。初めは乗り気でなかった金田一だったが、何者かから射水に来るなと言う内容の脅迫状が届いては黙っていられない。早速射水へ出掛けた金田一は列車の窓から白い車を走らせるハイカラな女を見掛ける。彼女は鮎川マリ。ブラジルのコーヒー王の養女である彼女は母親の君江と共に帰国していた。矢部の依頼は二十三年前に姿を消した玉造朋子と君江が同一人物かどうか調べて欲しいという事だった。

閉ざされた小さな村で対立し合う玉造家と矢部家。両家の争いは代々続いてきたが、二十三年前の事件を境にその対立はますます度合いを増してしまった。しかし不幸なのはこの敵同士の家に生まれながら愛し合ってしまった恋人達である。そして両家の間に愛が許されざる芽生えた時、人の命が奪われて行く。

私は帰ってきます。蝶が死んで、翌年にはまた蘇るように。

二十三年前の殺人事件と今進行する連続殺人事件。殺人罪に問われ、自殺を図った朋子が残した言葉は一体何を意味しているのだろうか?

このドラマで非常に印象深いのは初めて鮎川君江が登場する場面。教会から出てきた全身黒尽くめの服に黒いヴェールで顔を覆った君江の姿はほんの一瞬で、すぐに車で去っていくだけなのに何故かインパクトが強い。度々ドラマの中でその場面が登場するせいもあるのだが、『不死蝶』と言えば必ずこの場面が頭に思い浮かぶ。

このドラマが制作された当時はまだCGのない時代。その中で作り出す映像はその当時可能な様々な工夫を凝らした形跡が至る所に見られる。今の艶やかな映像よりずっと味わい深い。特に鮎川マリが開いたパーティーは華美になり過ぎず、いい具合にこじんまりとした雰囲気が時代背景に合っている。今では出せない味わい深いレトロ感が懐かしい。

満足度は★★★★★
寺山寿和,阿久悠,小沢章友,山本勣,日置信和,友川かずき,岩沢律,今江真三郎,グッド・グリーフ,中村哲
トランジスターレコード
(2004-07-10)

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白い巨塔

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【出演】 田宮二郎、山本学、島田陽子 他
【放送】 1978年(フジ)

大学病院を舞台に繰り広げられる醜い権力闘争を野心の強い一人の男を中心に綴った山崎豊子原作の『白い巨塔』、『続 白い巨塔』の初の完全映像化。タイトルに「白い」とあるが、TBSの「白い」シリーズとは全くの別物である。1966年には『白い巨塔』のみ映画化されており、その際の主演も田宮二郎が務めている。尚、田宮二郎はドラマ終盤に差し掛かった時期に猟銃で自殺するというショッキングな事件が起き、このドラマが田宮二郎の遺作となった。

浪速大学医学部第一外科助教授の財前五郎は食道噴門癌の権威として知名度は高かったが、東教授とは折り合いが悪かった。そのため野心の強い五郎は義理の父である財前又一の財力と人脈を武器に次期教授の座を自分に有利に持ち込もうと画策する。一方、東教授も五郎が教授になれば引退後の自身の立場が危うくなるため必死に応戦する。病院内の権力争いを五郎とは大学の同期である里見だけは全く関心を示さず研究一筋だったが、自分とは全く異なる生き方をする里見を五郎は理解出来ず見下していた。

序盤は権力の魅力に取り込まれた男達の手段を選ばぬ攻防戦の凄まじさにとにかく魅せられる。どんなに栄華を極めた者でも自分に敵対する人間が力を得れば、即座に足をすくわれあっという間に築いてきた牙城が崩される。それは男だけの戦いにはあらず。家族をも巻き込んだ醜い争いを形成していく。ドラマでは権力闘争の中から躍進する五郎の姿を描く一方で、権力を手にした傲りから自らを滅ぼしていく過程を描いている。

またこのドラマでは加熱する権力争いが目を惹くのは勿論だが、その一方でドラマに登場する人物が非常に特徴的であることに驚かされる。ストーリーは病院内に留まらず数多くの人物が登場するにも関わらず、そのどの人物もきちんと性格づけがされておりドラマ内でそれが顕著に表れている。登場人物が多くなると混乱するものだが、このドラマに限ってはそういうことが殆ど見られない。その中でも絶大な存在感を見せるのが里見助教授。彼は五郎の大学時代の同期でありながら全く権力闘争には興味を示さない。患者のためだけに生きる心ある医師で、五郎とは対照的に描かれており、白熱する権力闘争も見ている分には楽しいが本来医師とはこうあるべきという作者の心情がそのまま里見の形を借りて表現されているように思う。両極端な五郎と里見を名優二人が演じたこともこのドラマを魅力的にした要因だと言えるだろう。

満足度は★★★★★
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夜歩く

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【出演】 古谷一行、范文雀、谷隼人 他
【放送】 1978年(TBS)

日本刀で首を斬り落とされた首なし死体の謎に金田一耕助が挑むミステリー。原作は横溝正史著の『夜歩く』。このドラマは古谷一行主演の横溝正史シリーズ2の第五作目として放送された。一連の横溝正史シリーズの中でも最も不気味な作品として異彩を放っている。

金田一耕助は戦友である屋代寅太に会いに古神家を訪れる。古神家は岡山県の山林王で、屋代は古神家に仕える仙石家の人間。現在伯父の仙石鉄之進が執事となり、古神家の実権を握っている。他にも親族や使用人など様々な人間が住む古神家で、屋代の勧めで金田一は暫く滞在することになった。その夜、金田一は林の中で白い影を見かける。

横溝正史の作品の多くには妖艶な女主人や若く美しい娘が登場する。『妖艶な』、『美しい』などの形容詞が登場する女性につけば嫌でも注目するわけで、この作品の中でもそうした興味をそそる要素となっている。ドラマでは若く美しい娘として登場するのが范文雀演じる古神八千代。タイトルからも判る通り、彼女は夢遊病者で夜ごとに外を徘徊してしまう。おまけに白いネグリジェを身に纏っているものだから、夜の闇の中に浮かび上がる幽霊として恐れて下さいと言わんばかりのシチュエーションである。

夢遊病といえば真っ先に思い浮かぶのが『アルプスの少女ハイジ』。ホームシックにかかったハイジが夢遊病になって屋敷の中を徘徊して大騒ぎになる場面があるが、本で読んだ際もアニメで見た時も子ども心にさほど怖さは感じなかった。しかしそれが横溝正史の手にかかると全く印象が変わってくる。夜の林の中を徘徊する女がある場所から生首を掘り出すという不気味な展開を呼び起こし、それがドラマでは視覚的に訴えてくるのだからこれほど恐ろしいものはない。下手をしたらトラウマになり兼ねない衝撃的な場面である。

加えて斬首された遺体の状況。これもまた思わず目を背けたくなる場面である。一面の血の海に日本刀で首を斬られた男の首なし遺体。遺体に関しては当時でも作り物臭がぷんぷんするような有様ではあったものの、そこは想像でカバーすればミステリーどころか立派なホラーとしても通用するドラマである。

満足度は★★★★★
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仮面舞踏会

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【出演】 古谷一行、草笛光子、三ツ木清隆 他
【放送】 1978年(TBS)

ベテラン女優と関わった男達が次々命を落とす連続殺人事件の謎に金田一耕助が挑むミステリー。原作は横溝正史著の『仮面舞踏会』。このドラマは古谷一行主演の横溝正史シリーズ2の第三作目として放送された。

金田一耕助の元に元華族の映画俳優・笛小路泰久が軽井沢のプールで遺体となって発見されたと連絡が入る。早速軽井沢へとやって来た金田一は、被害者の元妻の鳳千代子も当時軽井沢にいたと知る。鳳千代子は過去に4回の離婚歴を持つ大女優。現在は実業家の飛鳥と付き合っている千代子は軽井沢にある彼の別荘へと来ていたのである。笛小路の死を皮切りに、千代子と関係のあった男達が次々命を落としていく。

このドラマを見ていてるとどうしても事件の核心をつく散らばったマッチ棒や、ゴルフ場の場面が思い浮かぶが、それ以前にドラマの背景の豪華さに惹かれる作品でもある。今となってはあまりピンと来ないが、昭和三十年代に軽井沢に別荘を持てる人間と言えば金持ちの象徴とも言える。つまりここに居合わせることが出来たのは、富裕層の人間でとても庶民の覗ける世界ではないのである。改めて考えてみると、非常に贅沢な設定のドラマであるのに気付かされる。

さてゴルフ場の場面だが、これは事件の謎を解く重要な鍵となる場面である。当然金田一もゴルフに参加する。ところが金田一はお馴染みの金田一スタイルでプレイしてしまうのである。まさかの袴姿に唖然。とてもゴルフを嗜んだことがあるとは思えぬ素人プレイについ笑いが・・・。しかしそれはあくまでフェイク。楽しみながらも最後には忘れずに事件を解決してしまう所が名探偵たる所以である。

このドラマは後に小野寺昭主演でドラマ化されている。しかし時代背景は大きく異なっているため、原作を忠実に実写化しているのはこちらのドラマの方である。ストーリーだけでなく昭和の時代特有の雰囲気を持った映像は横溝正史の作品の世界にぴったりはまっているのが最高に良い。

満足度は★★★★★
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真珠郎

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【出演】 古谷一行、大谷直子、中山仁 他
【放送】 1978(TBS)

殺人鬼としての教育を受けて育った美少年が引き起こす連続殺人事件の謎に金田一耕助が挑むミステリー。原作は横溝正史著の『真珠郎』。原作には金田一耕助が登場しないがドラマ化するに当たり原作者である横溝正史の了解を得て登場させている。このドラマは古谷一行主演の横溝正史シリーズ2の第二作目として放送された。尚、角川文庫版では表紙イラストでネタばれしているという悲しい事実が・・・!因みにドラマの時代背景は戦前から戦後の話にリメイクされている。

昭和二十三年、金田一耕助は信州に向かうバスで乗り合わせた乗客の中にかつての親友・椎名の姿を見つけて、再会を喜び合っていた。金田一は椎名と連れの乙骨と共に湖畔に建つ鵜藤家を訪れる。この家に住むのは主の鵜藤と姪の由美の二人きりのはずだったが、夜の湖畔で蛍の群れの中で輝く美少年を見かける。翌日、鵜藤は彼の存在を認めなかったが、金田一達は鵜藤と由美が彼に襲われている場面を目撃する。由美は無事だったが鵜藤は無残な首なし死体で発見される。

タイトルから判る通り、正体不明の美少年の名前は真珠郎。戦慄するのは彼が生まれた由縁である。鵜藤は日本中のありとあらゆる女性達の中から絶世の美女と旅芸人の美しい青年(どんな顔かは頭巾をかぶっているので不明)を選び出し、金を渡して二人の間に赤ん坊をもうけさせた。親同士が美形だからといって子供も美形とは限らないのだが、幸いその子は親の美しさを受け継いだ鵜藤が望んでいた通りの美貌を持った子供。しかも鵜藤はその罪のない子供を蔵に閉じ込め、生き物の首を切って殺すことに悦びを覚えるように育て上げている。幾ら復讐のためとはいえ、自分の復讐の道具として真珠郎を二十年もかけて創り上げてしまった鵜藤の執念深さに背筋が寒くなる思いだった。

勿論、真珠郎誕生の話は全編のごく一部に過ぎない。しかし目的のために人を一人創造するという発想が何より印象深かった。

しかしそれだけの執念で道具を創造した鵜藤が得たものは一体何だったのだろうと考えると空しくなる。鵜藤はただの狂人であり、最後は自業自得だったと片付けられてしまうのはあまりにも悲し過ぎる。結果論にはなるが何故鵜藤が別のことにその執念を燃やさなかったのか惜しまれてならない。

そんな事情はともかくとして、ストーリーは残虐的な殺人事件を悲しくも切ない物語として仕上げている。短めの話ではあるが、非常に印象的なドラマである。

満足度は★★★★★
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死刑台の美女

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【出演】 天知茂、かたせ梨乃、松原智恵子 他
【放送】 1978年(テレ朝)

天知茂扮する明智小五郎が難事件に挑む土曜ワイド劇場の人気シリーズ第三弾!原作は江戸川乱歩著の『悪魔の紋章』ではあるが、実はこの原作には一般向けに書かれたものと子供向けにリライトされたものと二作品存在する。子供向けの方はタイトルが『呪いの紋章』となっており、明智小五郎を崇拝する少年探偵団が活躍する内容となっている。勿論、ドラマは一般向けの作品が基本となっている。

明智小五郎が同業者である宗像の依頼で香港へ出張している最中、浪越警部は担当している事件の捜査を宗像に依頼する。その事件というのは資産家一家・川手庄太郎一家の殺害予告。川手正太郎には三人の娘がおり、まず三女が遺体となって発見される。続いて次女が第二の犠牲者に。香港から戻った明智は宗像と協力して事件解明に乗り出していく。

原作を読んでいる際には犯人の手掛かりとして浮かび上がる三重渦状紋という非常に稀有な指紋が恐怖をあおるのだが、実際にはさほど怖さは感じないままに終わってしまうのが何とも悲しい。小説の世界では想像が果てしなく広がっていくため、この作品を読んだ当時の想像力豊かな年頃では三重渦状紋が存在する人類の不思議に興味を馳せ、いつしか作品から離れて想像の世界に逸脱してしまったくらいにハマったものだが、それをリアルに表現するのはいささか難しいものがあるのは否めない。

ところがこのドラマの一番の見所となっているのはタイトルにまでなった悪魔の紋章、つまり三重渦状紋ではなく、川手家の長女・民子役を演じたかたせ梨乃の拷問シーン。拷問台に大の字で磔にされた民子が巨大な刃物で徐々に切断されていくという大仕掛けはあまりに衝撃的で、原作にはないにも関わらず、これぞ乱歩のエロティックな世界とでも謂わんばかりに主張している。

勿論、それはあくまでストーリーの1場面に過ぎない。次女、三女にもそれぞれ見せ場があるのだが、やはりこの拷問シーンの前では霞んでしまう。

満足度は★★★★★
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八つ墓村

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【出演】 古谷一行、荻島真一、鰐淵晴子 他
【放送】 1978年(TBS)

落ち武者の伝説が残る八つ墓村で起こった連続殺人事件の謎に金田一耕助が挑むミステリー。原作は横溝正史著の『八つ墓村』。この作品は前年に渥美清主演の映画が公開され、濃茶の尼の台詞が流行語になったことでも非常に注目された作品である。因みに映画版はミステリーでありながら怪奇映画めいた作品に仕上がっていたものの、こちらのドラマは原作に忠実に再現されている。またこのドラマを皮切りに古谷一行主演の横溝正史シリーズ2の放送が開始されている。

天涯孤独の身である寺田辰弥は何者かにつけられている気配を感じていた。その人物にようやく会えたのも束の間、その人物は毒殺されてしまう。実は辰弥は莫大な資産を持つ田治見家の跡取り。その人物はそれを知らせに来たのだが・・・。田治見のある八つ墓村に招かれた辰弥を待っていたのは優しい姉の春代と病床の兄・久弥。しかし正式な田治見家の跡取りであるはずの辰弥は村の人間にはあまり歓迎されてはいなかった。そんな中恐ろしい連続殺人事件の幕があがってしまう。

そもそもの発端は戦国時代に起こった悲劇に起因する。目の前の財宝に目が眩み、それまで仲良く暮らしていた落ち武者八名を死に追いやってしまった村人達。田治見家はその首謀者の子孫に当たる。村の名前はその八名の魂を鎮めるために建てられた八つの墓から付けられている。しかも辰弥の父・要蔵は発狂して32人を惨殺するという事件を起こしている。そんな身も蓋もない設定の下にやってきた田治見家の末裔。何か事件が起きてくれと言わんばかりである。

金田一を悩ませる(逆立ちさせる?)事件は勿論奇怪なものではあるが、それ以上にぞっとするのは要蔵の凶行である。発狂して村人32人を殺害した事件の犯人なので普通の神経の持ち主ではないとは薄々感じていたものの、辰弥の母親を無理矢理拉致監禁、おまけに生まれて間もない辰弥に大火傷を負わせた数々の凶行は常軌を逸しているの一言。落ち武者の祟りにするまでもなく、元々要蔵は壊れた性格をしているのである。田治見家の人間でなければ放し飼いにすることさえ躊躇われただろう。

またこの作品の特徴は何と言っても洞窟での撮影だろう。洞窟の中で繰り広げられる犯人と金田一&辰弥の攻防は一番の見どころである。

満足度は★★★★★
横溝 正史
角川書店(角川グループパブリッシング)
(1971-04-26)

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