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あゝ野麦峠

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 森下愛子、西崎みどり、永島敏行 他
【放送】 1980年(TBS)

戦前の製糸工場の若い女工達の過酷な実態を伝えた山本茂実著のノンフィクション文学『あゝ野麦峠 ある製糸工女哀史』の実写ドラマ化。前年に公開された大竹しのぶ主演の『あゝ野麦峠』のヒットを受けて制作された。但しストーリーは映画版とは異なり、映画版では主役であった女工のライバル関係にあった女工が主演となり、彼女の目を通した製糸工場の出来事を綴った内容になっている。主題歌に起用された小椋佳の『想い出して下さい』の透明感ある甘い歌声が非常に印象的で、歌詞は遠い昔の思い出を懐かしむ内容ではあるものの、幾つかのフレーズが女工達の目の前の現実から逃げ出す事の出来ず必死に生きる心情が当てはまり、今の平和な時代から彼女達の過酷さを忘れないで欲しいと言うメッセージが伝わってくる。

戦前、飛騨の農家の娘達は雪深い野麦峠を越えて岡谷の製糸工場へ働きに出ていた。彼女達の大半は十代の若い少女で、朝は早くから起こされ、一日中蚕の繭から糸を紡いでいかなければならない。中には劣悪な環境に耐え切れず逃げ出す女工もいるが、強面の男達が女工を常に見張っており、逃げ出したと判れば追われてすぐに連れ戻される。ある年、女工として連れて来られた姉妹がいた。姉はすぐに頭角を表し、岡谷でも一、二を争う女工となったが、妹は仕事をするにはまだ幼く、失敗ばかりしていた。

ドラマはこの姉の視点で見た製糸工場の様子を伝えていく。製糸工場は言わば労働を強要される監獄のような場所。粗末な食事しか与えられず朝から晩まで休む事無く働かされる。さぼれば容赦なく見張りの男達から怒声が飛び、時には制裁を加えられる事もある。ここに連れて来られたのは何れも貧しい農家出身の少女達。どんなに辛くても家族が生活するには自分達が働くしかないのである。映画になった優秀な女工が病になり、兄に背負われてやっと念願の野麦峠に差し掛かった時息を引き取る話も一つのエピソードとして取り入れられ、仲間同士で結託して雪の中を逃げ出したり、工場主の息子に女工が犯されたり、金融恐慌で生産をストップさせられたり、平和な現代では考えられないような衝撃的なエピソードがテンコ盛りの内容となっている。

中でも印象的なのは雪の中の場面。薄手の着物しか身に着けていない女工達が雪山の中を逃げる場面がドラマの中で何度か登場するが、ただでさえ寒さの厳しい雪の中、女工役の女優陣は寒さのあまり唇が紫色に変色し縦割れしたまま演技を続ける。あの迫力は圧巻。

満足度は★★★★★

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三毛猫ホームズの追跡

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 石立鉄男、市毛良枝、坂口良子 他
【放送】 1980年(テレ朝)

気弱で女性恐怖症で高所恐怖症の刑事とフィアンセのコンビが三毛猫にヒントを元に事件を解き明かす『三毛猫ホームズ』シリーズの第二弾!今回は連続飛び降り自殺事件の謎に挑む。原作は赤川次郎著の『三毛猫ホームズの追跡』。

新都心教養センターで受付のバイトを始めた吉塚雪子がビューティー体操教室を覗いていると、著名な映画評論家でもある講師の山室から連絡はないかと経理の職員に尋ねられる。その日山室は無断で欠勤していた。実は山室は自宅マンションの屋上から飛び降り自殺をしていた。息を引き取る寸前、彼は「俺ひとりでやったんじゃない」と意味深な言葉を残している。おまけに半年前には同じ場所でOLが飛び降り自殺を図っている。事件の担当となった刑事の片山義太郎は早速新都心教養センターへ聞き込みに行く。

片山の設定は極度の女性恐怖症のはずなのだが、このドラマでは女性恐怖症と言いつつも女子大生の雪子と婚約していたり、事件絡みで綺麗な女性を見掛けると話が弾んだりととても女性恐怖症とは思えず、ただの気の弱い刑事になってしまっている。土曜ワイド劇場で人気が出てしまっただけにこれがザ・『三毛猫ホームズ』と信じる人もいるが、実際には原作無視のオリジナル設定が大部分を占めている。そもそも雪子は原作では存在するにはするが、『三毛猫ホームズの推理』にしか登場しない。原作で雪子の役割を努めるのは、唯一片山が普通に接する事が出来る妹の晴美である。しっかり者の妹が頼りない兄の尻を叩くより、嫉妬深い恋人がいちいち事件関係の女性との仲を誤解して邪魔をする方がコミカルに作り易いのだろう。

確かに思惑通り、派手なリアクションの片山に嫉妬深く可愛らしい雪子のコンビは非常に目を惹くし、赤川次郎のコミカルなミステリーにはぴったりの人材。むしろ原作より数倍コミカルな内容に仕上げられている。人気が出てシリーズ化になるのも頷ける。今回からは片山の不器用な部下も登場し、こちらの片山とのコンビも見物である。

しかし何と言っても三毛猫ホームズの愛くるしさは言わずもがな。動物の撮影は難しいらしく、何度もカットが切り替わって、既に撮影済みのホームズの良い表情が差し込まれる。それでも猫好きには堪らない。

満足度は★★★★

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池中玄太80キロ

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【出演】 西田敏行、杉田かおる、坂口良子 他
【放送】 1980年(日テレ)

男やもめとなってしまったカメラマンの子育て奮闘記。血の繋がらない親と娘達が家族の絆を築いていくハートフルなストーリー。このドラマを皮切りに第3シリーズ及びスペシャルドラマまで制作されたヒット作。80キロは主演の西田敏行の当時の体重であり、決して見栄えが良いとは言えない裸体を惜しげもなく晒した宣伝ポスターが大いに話題となった。バラエティー番組では撮影にあたり局部を隠すために行った涙ぐましい舞台裏を披露して笑いをとっていた。

池中玄太は丹頂鶴専門のカメラマン。丹頂鶴の事になると夢中になってしまう丹頂鶴馬鹿の玄太だったが結婚して間もない妻の鶴子にはべた惚れ。長期に渡る撮影旅行の最中も常に写真を携帯し、これから温かい家庭を築こうと張り切っていた。ところが撮影中に鶴子が倒れたと連絡が入る。鶴子はそのまま他界。位牌の前で落ち込む玄太に残されたのは鶴子の連れ子である三人の娘達だった。周囲の反対の中、玄太は三人を自分の手で育てると決意する。しかし娘達の反発は強く、特に長女の絵里は玄太を毛嫌いしていた。

子育て奮闘記とは言っても昨今良く見られる子役の幼さや愛らしさで人気稼ぎをするようなドラマではなく、既に長女の絵里は多感な思春期を迎えた女の子。この時期は父親へ嫌悪感を抱く女の子も少なくはない。ドラマでは専ら絵里と玄太の対立が中心となって進んでいく。絵里は長女として責任感が強く、自分をしっかりと持っている。だからこそ妥協は許されない。壊れ物を触るように娘達の機嫌を取るばかりでは娘達の心に玄太の言葉は響かない。本音でぶつかりあいとことん分かり合う事が必要なのである。ドラマでは玄太が同僚達に相談をしながら、どう娘達に接すれば良いかを考え実践していく。勿論、新米パパには何かと至らない点は多いし、失敗もしてしまう。しかし娘達を想う気持ちが本物ならばいつかは通じる。そんな玄太の不器用な父親像がどこかコミカルで、それでいて温かさを感じさせるドラマである。

満足度は★★★★★

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悪霊の住む家

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【出演】 あおい輝彦、山本学、松原智恵子 他
【放送】 1980年(テレ朝)

夫の上司の卑劣な行為に追い詰められた妻の逆襲。家庭を守ろうとした妻の葛藤を描いたサスペンス。原作は草野唯雄著の『死の家の挿話』。

気弱だが優しい夫と子供に恵まれ平凡でも幸せな生活を送っていた女だったが、ある日夫の上司に目を付けられた事から悪夢の日々が始まる。上司は女に肉体関係を迫り、強引に思いを遂げてしまう。その後も夫の昇進をちらつかせては女の自宅にまで押しかけ関係を迫るようになる。とうとう我慢できなくなった妻は上司を殺害し、床下に遺体を埋めてしまう。

憎い相手とは言え、死体が自宅の床下にあると知りつつまともに生活出来るものなのだろうか?ドラマでは殺害して床下に埋めたまでは良かったものの、やはり下に遺体があると思っただけでその部分の畳を踏めなくなったりと、見えない恐怖に震える妻の姿を中心に進行していく。そのため恐怖サスペンスの匂いが非常に濃厚なドラマとなっている。

ところがそれだけで終わると思ったら大間違い。最後にはこれはれっきとしたミステリーなのだと言わんばかりのラストが用意されている。そしてその結末に込められた様々な思いが溢れ出てくる非常に味のある作品に仕上げられている。逆にタイトルから連想して『エクソシスト』のような怪奇ドラマと思ってみると騙された気分になるかも知れない。

悪事を全て覆い隠すのは容易なことではない。特に善良な人が罪を犯してしまった場合、完璧に見えてもどこか些細な箇所に綻びが生じてしまうものである。ドラマを観ているとそんな教訓が脳裏に浮かぶ。こんな風に事件に発展してしまったものの、最初から警察に届けていれば良かったのではないかと思わずにはいられない。被害者の上司に非があるのは目に見えているだけに・・・。

満足度は★★★★
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結婚しない女 死の羽田発397便

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【出演】 山口果林、坂口良子、村野武範 他
【放送】 1980年(テレ朝)

キャリアウーマンの姉が殺された。天涯孤独となった妹が姉を殺した犯人を追う内に姉の明かされなかった本心を知るミステリーロマン。原作は夏樹静子著の『結婚しない』。

美人で聡明な姉と可愛らしく純粋な妹。二人は両親が亡くなって以来支え合って生きていた。しかし姉が妹の恋人を寝取った事から、二人は仲違いしてしまう。そんなある日、姉が殺されたと連絡が入る。妹は姉の死の真相を知るため、元恋人と共に捜査を開始する。

ミステリーとは言っても姉が殺害された事件そのものより、むしろ姉の女としての心情が際立つドラマである。何故姉が殺されなければならなかったのか。妹が姉の死の真相に迫れば迫る程、妹にはおよそ理解出来ない真実が露呈していく。妹が辿り着いた姉の本心は普段の姉の姿からは想像出来ない悲しい女の性だった。女性の心情に深く切り込んでいく内容は流石夏樹静子作品だと言わざるを得ない。

このドラマの主役はあくまで妹の方で、姉の方はドラマ開始早々殺害されてしまうためあまり登場場面は多くない。専ら回想場面に登場するのだが、非常に姉の印象が強いのもこのドラマの特徴である。少ない出番ながらも夜の闇に映える大人の女性の魅力を存分に発揮した山口果林が素晴らしいの一言。ただ色気を感じるだけでなく、どこかミステリアスな雰囲気に最初から目が離せなくなってしまう。妹の恋人と駐車場でキスを交わした後、悪びれる風もなく妹にその事実を認めた上であの男とは別れろと言ってのける大胆不敵さ。この女性は一体どんな女性なのかとついつい気になってしまう。

またこのドラマの面白い点は妹が姉の死の真相を探る内に妹自身が成長していく姿にもある。それまで当たり前のように姉に守られて生きてきた妹にとって姉の生き方を知る事は、自分に足りなかった何かを見つける事でもある。その結果、妹はラストでそれまでの流れを一転させるような行動に出る。その決断こそが成長した証であり、興味深い締め括りでもある。

満足度は★★★★
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1年B組新八先生

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【出演】 岸田智史、遥くらら、赤木春恵 他
【放送】 1980年(TBS)

新米教師・新八先生の奮闘を描いた学園ドラマ。前年に放送され人気を博した『3年B組金八先生』のスピンオフ作品。

1980年4月。足立区桜中学には新しい教師陣が顔を揃えて生徒達を迎えていた。今期から赴任した教師の中には若き新米教師・新田八郎太(通称:新八)がいて、1年B組の担任を任される。副担任は産休代理講師として赴任した美人の篠原久美子。フレッシュな顔ぶれに1年B組の生徒達は喜びを露にする。緊張の面持ちで教室に入った新八は早速出席を取り始めるが、その中に学ランを着た女子生徒が・・・。

毎回元気の良過ぎる1年B組の生徒に新米教師が全力でぶつかり、生徒達の悩みや問題を親身になって解決していくというストーリー。『3年B組金八先生』のスピンオフ作品だけあって、舞台設定も同じだしストーリーや展開も何となく似通っている。但し今回は教師も新米なら生徒も新中学生。互いにフレッシュな顔ぶれを揃え、まだまだ初々しく未熟な同士が協力し合う内容になっている。3年生と比べれば1年生はまだ受験等の悩みはなく、元気いっぱい。変にスレた所がなく素直なのが利点である。

最初に登場する問題は制服の問題。当時はまだ性同一障害という言葉も知られていなかった時代だけに、さほど重大なテーマとして掲げてはいない。単純にズボンスタイルが好きな女の子が制服のスカートを履くのを恥ずかしがったという設定になっており、前代未聞の学ラン女子の登場に教師陣が扱いに困るという流れになっている。結局、新八先生が説得して女子の制服で登校させる事に成功するが、性同一障害が公然と知られる現代ではその程度では済まない問題として扱われていただろう。この問題も含めて、新八先生に突き付けられる問題はどちらかと言えばユーモラスで割合程度の軽い問題が多い。

通常、金八先生は3月の卒業をクライマックスとして持ってくるため、半年スパンの放送では9月から始まるのが一般的である。しかしこのドラマは開始が4月。つまり終了は9月という日本でいう夏休み直後の非常に微妙な時期にラストを迎える。生徒達に卒業や進級といった環境を変えさせる事が出来ないため、副担任が産休代理講師で9月いっぱいの勤務という設定を用いている。篠原に懐いていた生徒達は当然反対するのだが、その打開策として唱えるのが新八先生に篠原と結婚させるというもの。流石にこれには笑ってしまう。幾ら子供っぽさの残る中学1年生でも常識的にこうは考えないだろう。

満足度は★★★★
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翔んだカップル

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【出演】 芦川誠、桂木文、轟二郎 他
【放送】 1980年(フジ)

同じ屋根の下で暮らすことになった高校生の男女の学園ラブコメディー。柳沢きみおの人気コミック『翔んだカップル』の実写ドラマ化で、同年に公開された薬師丸ひろ子&鶴見辰吾主演の映画『翔んだカップル』は大ヒットしている。但し映画版はどちらかと言えばシリアスで切ない恋愛を描いているのに対し、テレビドラマ版はコミカルさを前面に打ち出したコメディーとなっている。このドラマが非常に好評だったため、『翔んだ』のみを継承したドラマシリーズがその後も二作制作され、轟二郎、柳沢慎吾、蔦木恵美子等々はその後のドラマにも出演している。

親戚の家から高校に通うために上京した田代勇介は同じクラスの美少女・山葉圭と同じ屋根の下で暮らす羽目になってしまう。高校生の男女の同居生活は何かと刺激的だが甘いことばかりではない。同居するとはいえ二人は赤の他人。勿論、学校には同じ家に住んでいるとは口が裂けても言えない。秘密を共有する内に次第に二人の仲は縮まっていくが、あろうことか圭にしつこく片思いする織田先輩に秘密がばれてしまう。

とにかく個性的な面々を揃えたドラマだけに、何が飛び出すのか判らないハラハラ感が常にある。お笑い担当の脇役陣の中で、平凡な高校生のはずの勇介までもがどんどんそちらへと引っ張り込まれていく。特に風呂場の場面で全裸で宙を飛ぶシーンは圧巻!ドラマCMで何度も流されるほどに有名となった。

原作や映画のヒットは勿論あったものの、このドラマが注目された要因となったのは何と言ってもエンディング映像が流された後に待ち受けているNG集だろう。その日の放送分の撮影中に起きたNG映像を寄せ集めて流されるだけなのだが、NG後の役者の素のリアクションがドラマ以上に受けていた。因みに当時はまだNG大賞などはなく、ドラマ制作の舞台裏が覗けるのは新鮮だった。特にその中でも印象深かったのはケンちゃんシリーズで長年主演を務めた宮脇康之のNG。芸能生活が長いだけに全くNGのなかった宮脇康之が「圭ちゃん」と呼ぶ所を間違えて「順子ちゃん」と呼んでしまう痛恨のNG!(リアルで現在議員の三原順子との交際中だった)それを皮切りに同じようなNGを度々出すという酷い有様で、個性の強い俳優陣との共演ですっかり影の薄かった宮脇康之がその時だけは目立っていた。

前半は比較的原作に沿ってはいるが、もう中盤辺りにあると原作無視でオリジナルに近い内容で突き進んでしまっている。そのため原作ファンにはあまり嬉しくないドラマだったかも知れない。しかしそれでも突き進める爆発力を秘めていたのは確かで、お馬鹿でお下劣ながらも非常に勢いを感じるドラマだった。反面、お馬鹿が過ぎることも度々あり、ついていけなくなる面もちらほら。流石にここまで徹底したコメディードラマはもう制作されないかも知れない。

満足度は★★★★
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魅せられた美女

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【出演】 天知茂、岡田奈々、奈美悦子 他
【放送】 1980年(テレ朝)

天知茂扮する明智小五郎が難事件に挑む土曜ワイド劇場の人気シリーズ。原作は江戸川乱歩著の『十字路』。この作品には明智小五郎が登場せず、別の探偵が活躍する内容となっているが、ドラマ化するに辺り明智小五郎が活躍するストーリーに改変されており、天知茂はこの作品で一人二役をこなしている。

アイドル歌手の晴美は事務所の伊勢社長との不倫疑惑が取り沙汰されていた。実際には事実無根だが、その噂を信じた伊勢の妻・友子が嫉妬から晴美を殺そうと刃物を持って襲い掛かった。ところが友子自身が刺殺されてしまい、晴美とその場に居合わせた伊勢は友子を自殺に見せかけようと企てる。ところが翌日、晴美の兄がスナックで喧嘩し、停車中の車の中で絶命してしまう。その車は偶然にも友子の遺体を運ぶ途中の伊勢社長の車だった。

他の明智小五郎シリーズとは大きく異なっているのは最初から犯人が判っているという点。犯人がどのように事件を隠ぺいするのかが全て表に見えている形でストーリーに組み込まれている。観客を舞台裏から見せているようなものである。本来なら明智と共に舞台裏の真相に近付いていく立場にあるはずの視聴者が、神目線で全てを掌握した状況で犯人と明智の対決を楽しむドラマになっている。

原作では二つの遺体の間に何の関わり合いもない。二つの恋愛が招いた悲劇が奇妙な偶然から交じり合ってしまう所に発想の面白さがある。但しドラマでは遺体は全くの無関係ではなく(遺体同士に直接の関係はない)、互いに犯人の関係者という部分で繋がっている。無関係の事象が交差する偶然という原作の最も魅力的な部分を削ってわざわざ関連性を持たせている部分が残念でならない。もっとも小説と異なり放送時間の縛りがあるため、関連性を持たせて説明の手間を省いたと考えればやむを得ない処置だったとも言える。確かにドラマは原作より簡潔にまとめられている。

満足度は★★★★
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エマニエルの美女

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【出演】 天知茂、夏樹陽子、中条きよし 他
【放送】 1980年(テレ朝)

土曜ワイド劇場にて人気のあった天知茂扮する明智小五郎が活躍する本格ミステリー。毎回、天知茂のあり得ないくらい巧妙な変装と美しい女優陣のお色気満載の演出が何かと話題になった。このドラマはそんな明智シリーズの一つ。原作は江戸川乱歩著の『化人幻戯』。尚、子供向けに書き下ろされた小説では『白い羽の謎』というタイトルになっている。

ミステリー作家・大河原の豪邸で行われたパーティーに招かれた姫田が崖から転落する。姫田の異変にいち早く気付いたのは大河原の妻である由美子だった。たまたま双眼鏡で窓の外を見ていた由美子の声に反応した招待客達も目撃者となってしまう。それを発端に招待客の変死が相次ぎ、招待客の一人であった明智は否が応でも事件に巻き込まれていく。

おそらく明智シリーズのお色気場面を目当てに見ている人にとってはこのドラマは生唾物のドラマであると言える。ヒロインの夏樹陽子はこのシリーズ二度目のヒロイン起用となるが、前作以上に魅せてくれる。濡れ場あり、浴室シーンありとエロティックなシチュエーションの連続!それを夏樹陽子が大胆かつ妖しく演じている。タイトルの『エマニエル』の文字は伊達じゃない。

とは言っても決してそれらの場面が視聴者サービスのために盛り込まれたわけではない。多少過激な演出にはなっているものの、ストーリー上必要不可欠な要素なのである。そこが江戸川乱歩作品たる由縁でもある。そうした由美子夫人の男性遍歴を連発しつつもその全てが意味を持つ所が素晴らしい。

江戸川乱歩作品では異常な人間心理が取り上げられ、それが犯行の要因になっている事が多い。あまりにも常軌を逸した心理であれば実感が湧かず普通に見られるのだが、このドラマの場合はある程度理解出来るだけに背筋の寒くなりようが半端じゃなかった。ドラマを見ている内に自分もそうなるのではないかと疑念が起き、沸々と恐怖が全身を蝕んでいく。そう言った意味でも印象深いドラマだった。

満足度は★★★★★
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橋田ドラマ 見合い結婚

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【出演】 坂口良子、小倉一郎、渡辺美佐子 他
【放送】 1980年(TBS)

結婚適齢期を迎えたOLがお見合いを繰り返しながら将来の夫を見つけるまでを描いたホームコメディ。このドラマは1972年にNHKで放送されたドラマ『帯に短し襷に長し』の時代背景を放送当時に変えて制作されたリメイク版。主役の坂口良子がカウガール姿で登場するオープニングが印象的だった。

節子は24歳になるOL。そろそろ結婚を考え始める年齢に差し掛かっているが、それらしき男性の影も出会いも無い。母親も節子の結婚には賛成で、早速別れた夫に誰か紹介して欲しいと頼み込む。見合いの席に臨んだ節子は相手の男性を気に入るが、いざ付き合ってみると相手のアラが見えてくる。

仲人や親族が同席する畏まった見合いの席ではなかなか自分を出すのは難しい。そのため見合いの席でどんなに気に入ってもそれが果たして求めていた結婚相手かどうかは判断し辛い。どんなに良く見えてもどうにも我慢の出来ない癖を持っているかも知れないのである。まあ、どんな人間でも何かしら欠点は持っているものだが・・・。実際に付き合い始めると徐々に相手が見えてくる。そして本当にその人と結婚に臨めるのかどうか真剣に考えるようになる。

ドラマでは節子は毎回まるでタイプの異なる男性とお見合いしていく。という事は必然的に毎回ダメになるわけだが、登場する男性には何かしら節子が結婚を考えるには難しい難題を抱えている。その中で最も印象的だったのが哲学を学ぶインテリ男性が見合い相手として登場する回。物静かな男性で特に欠点は見られない。いつもの如く惚れっぽい節子は即座に相手に夢中になるが、相手の男性が見染めたのは同席した母親という皮肉な結果に。

一度失敗すると挫けてしまう事が多いが、この節子に関してはそれが無くさっぱりしている。勿論ダメになった時は落ち込んでしまうものの隣に住む幼馴染に馬鹿にされてまた次のお見合いに向けて闘志を燃やす。結構あっけらかんとした性格の節子に好感が持てる。

満足度は★★★★
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