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招かざる客 −富士山麓殺人事件−

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 浅野ゆう子、三田村邦彦、野際陽子 他

【放送】 2001年(BSジャパン)

 

資産家の夫の暴力に怯える主婦が愛人と結託して夫の殺害を計画する。ところが殺害計画遂行の直後、思いがけず訪れた客に事件を目撃され、事件はその客をも巻き込んで意外な様相を示していく。原作はアガサ・クリスティの『招かざる客』。

 

深田家の嫁・深田秋江は夫・光寛の暴力に耐える日々を送っていた。二年前、光寛は酔っ払って崖から転落し、以来車椅子生活を余儀なくされている。体が自由にならない鬱憤を秋江に暴力を振るう事で晴らしていたのだ。秋江が唯一心の拠り所としているのは深田家が支援している彫刻家の青山和晃。二人は不倫関係にあった。ある日、青山は光寛の殺害を企てる。秋江が一階の部屋に光寛が隠し持っている拳銃を置いて部屋の窓の鍵を開け、殺害を実行するのは青山の役割だった。発砲の音を聞いて秋江が一階の部屋に戻ると、光寛が銃殺されていた。ところが思いがけず訪ねて来たセールスマンの倉茂恭平に部屋の中の様子を見られてしまう。丁度秋江が手に凶器の拳銃を持っていたので、倉茂は秋江が夫を殺害したと思い込んだのだ。倉茂が警察に連絡しようとするのを秋江は引き止め、事情を話して自分が殺害したと告白する。勿論、青山を庇っての事だった。倉茂は秋江にいたく同情し、光寛が過去に起こした交通事故で被害者家族から逆恨みされたように偽装する。

 

終盤のどんでん返しに次ぐどんでん返しに思わず唸ってしまう。古典的なミステリーではあるものの、事件が解決したように見せかけて何かをそこに仕掛けて来るタイミングが絶妙で、ついつい見入ってしまう。あちこちに散りばめられた伏線、そしてミスリードの巧みさと、そして忘れてならないのは人間ドラマ。ミステリー好きならわくわくが止まらない作品である。

 

この作品を模倣したサスペンスドラマも多数あるのだが、多くの場合、ここまでのどんでん返しは行わない。と言うのも確かに面白い作品であるのだが、その反面サスペンスドラマにした場合目まぐるしく変わる状況が複雑過ぎて視聴者を置き去りにする怖れがあるのだ。そういった複雑さを良しとするか否かで評価は大きく変わってくるだろう。

 

ストーリーが秀逸であるのは間違いないが、一番心に刺さるのは登場人物が何れも心に悲しみを抱いて生きている点だろうか。どの人物も決して幸せでは無く、何かに捉われている。ラストまで見てもすっきりするとは言い難い。それがいい味を出している。

 

願わくばこんな副題を付けて欲しくは無かった。サスペンスドラマの場合、何故か副題を長々と用意する風潮が浸透してしまったが、正直言って秀逸な内容に対して陳腐である。

 

満足度は★★★★★

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Wの悲劇

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 名取裕子、萩原流行、夏八木功 他

【放送】 2001年(BSジャパン)

 

資産家の家で殺人事件が起きる。被害者はその家の主、犯人はその孫。誰からも愛される孫のために一同が協力し完全犯罪をでっちあげる。原作は夏樹静子著の『Wの悲劇』。

 

和辻産業社長・和辻与兵衛の誕生日パーティーが開かれた日、和辻家の別荘では親戚一同が集まり、それに加えて与兵衛の主治医・間崎鐘平と与兵衛の孫娘・摩子の家庭教師・一条春生が招待され豪華な食卓を囲んでいた。与兵衛は甥の卓夫や弟の繁が遺産を狙っている事を薄々感付いていて、その話を吐き捨ててさっさと二回の自室に戻ってしまう。その際、可愛がっている摩子にだけは果物を運ぶように言いつけていた。食事の後、恒例のポーカーが始まり、皆が居間でくつろいでいると突然道彦の叫び声が響いてきた。皆が驚いて駆け付けると、そこには引き裂かれたブラウスを着た摩子が立っていて、手首からは血を滴らせながら与兵衛を殺した事を打ち明ける。摩子の話によれば与兵衛に乱暴されそうになり、無我夢中でナイフを刺してしまったのだという。摩子の行為は正当防衛となる可能性が高いが、与兵衛の妻・みねは和辻の名を穢さぬよう摩子の自首を禁じる。他の面々も誰からも愛される摩子を殺人犯にするのは反対だった。そこで鐘平が主導となり完全犯罪の工作を始めるのだが・・・。

 

原作は何度も実写化されるほど人気の高い作品であるため、後発のドラマほどその内容に手を入れてしまうものだが、このドラマは比較的原作に忠実に作成されている。エラリー・クイーンの悲劇四部作をもじったタイトルではあるが、『W』に深い意味を持たせており、単純に和辻家を舞台にした悲劇というのではなく、女性=Womanとするところが夏樹静らしさを発揮する点である。勿論、ストーリーは身内全員で行う完全犯罪が一転。完璧なはずの計画が何者かによって少しずつ風穴をあけられていくという思わぬ展開は秀逸のひとこと。そしてそこに悲しい女の性を交えて深みをもたらしている。

 

キャスティングは当時の旬の俳優陣を起用しており、今となっては懐かしい面々だが当時は豪華過ぎるキャスティングだったのは間違いない。その辺りにもこの名作にかける制作側の意志が伝わってくるようである。誰が主役とも言い切れぬ内容なのだが、本来主役となる家庭教師の春生の存在感が薄いのが難点と言えば難点だろう。また強いてあげれば誰からも愛される女性と言う摩子の魅力があまり出ていなかったように思える。事件が起きてから周囲が摩子を庇おうとする様子を見て愛されているのは判るが、やたらと春生が「誰からも愛される」と台詞で強調するのが不自然に思えてならなかった。そんな面はあるものの、最後に美味しい所を全部持って行ってしまう名取裕子の演技は圧巻である。

 

満足度は★★★★★

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殺意の果てに

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 加藤剛、竹下景子、荻島真一 他

【放送】 2001年(BSジャパン)

 

無実を訴えて15年間刑務所に服役したホームレスのために、弁護士が15年前の事件を洗い直す。原作は山村美紗著の『殺意のまつり』。

 

弁護士の笛木透は娘と帰宅する途中、少年達に襲われたホームレスの男を助け病院へ連れていく。しかし男が頑なに自分の正体を明かさなかったので、寝床を調べると飯島貢と記名された刑務所の刻印が入った六法全書が見つかった。飯島は飛騨高山で婦女暴行罪で刑務所に15年間服役していたのだ。15年前、飯島は電気家電の修理工として働いていたが、昼間から酒に溺れる人妻に同情して不倫関係になり、「死にたい」と漏らす彼女の首を絞めている。しかし飯島は止めをさせなかった。その後、彼女の夫が帰宅して死んでいる彼女を発見。その時飯島は仲間と飲んでいてアリバイがあったが、刑事の横暴な取り調べに屈して自白してしまっている。判決後、飯島は無実を訴え続けるも再審は認められず満期を迎えている。かつての教え子である貝塚美樹子に頼んで15年前の事件の詳細を知った笛木はもう一度事件を調べ始める。

 

殺人事件の真実を明らかにする事を目的とした内容ではあるのだが、何分にも事件が起きたのは15年も前の話で冤罪とは言え既に犯人とされた飯島は刑期を満了して出所しているのである。飯島にしてみれば犯人に仕立て上げられた悔しさはあるだろうし、真犯人が野放しになっているのも由々しき事態だと言わざるを得ないのだが、この真実を明らかにしたところで誰か救われるのかと言えば皆無であり、むしろそうする事で飯島を犯人と決めつけ冤罪を作り出した警察の体質が問われる事になるのである。このドラマは真実が明らかになった事ですっきりするというタイプの内容ではなく、何年時を経ようとも罪は無くならない事を訴えたかったように思える。

 

このドラマの一番の特徴は様々な事情が入り組んでいる事にある。例えば当時殺人事件を扱った警察署の署長は奇しくも笛木に賛同して協力した貝塚美樹子の父親であり、丁度その頃栄転の話が持ち上がっていた最中の出来事だった。部下達は早く事件を解決して署長の昇格の手土産にしてあげたいという上司を慕う気持ちを誰もが抱いていた。純粋な想いが誤った人間を犯人としてしまったのだが、根底にあるのが純粋な気持ちであるからこそ、自分たちの行為を悪と思わず反省する事もない。むしろ何故それを問題にするのかと当人達は怪訝な表情を見せる。第三者から見れば異様な光景であってもそこには閉ざされた世界での別の常識があるようなものである。当然ながら巻き込まれた側は堪ったものではないが・・・。

 

色々な事情が重なり合い、何一つ思うように進まない。このドラマを見ているとそんなやり切れなさばかりが目立ってしまう。世の中そんな物なのかも知れないが、もやもや感が残されるストーリーである。

 

満足度は★★★

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監察医・室生亜季子 震える顔

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 浜木綿子、池上季実子、三浦春馬 他

【放送】 2001年(日テレ)

 

小学生の少年が公園で殺人事件を目撃する。二か月後、工事現場で発見された白骨遺体はその時の被害者だった。火曜サスペンス劇場の人気シリーズ『女監察医・室生亜季子』シリーズ第三十弾!

 

川越で三代続いた開業医で地域の監察医を務める室生亜季子の元へ浜田警部が10歳の少年・水谷光太を連れてやってくる。話を聞くと光太は二か月程前に公園で殺人事件を目撃して以来体調がすぐれないらしい。亜季子はすぐにPTSDだと診断を下す。しかし母親は光太が嘘つきだと言って殺人事件を信じようとしない。光太は自分の話を浜田警部や亜季子が信じてくれたことが嬉しくて、翌日から学校の帰りに室生医院へ寄るようになる。そんな最中、川越扇河岸の工事現場で白骨遺体が発見される。亜季子の鑑定は四十代女性で扼殺された疑いあり。亜季子は身元を特定するために復顔法を適用する。ところが復元した顔は光太が書いた殺された女の似顔絵と瓜二つだった。

 

基本的には白骨化して発見された女性が誰に殺害されたかを亜季子と浜田警部が解き明かす筋道にはなっているものの、ミステリー要素は極めて薄い。むしろ何故そんな事件が発生したかそのそもそもの原因を探る内容がメインとなっている。人情派に拘っているせいだろうか。これまでにも似通ったストーリーがあったような気がする。あまり目新しさを感じる内容ではないのはパターンがマンネリ化しているせいなのだろう。

 

しかし光太の描いた似顔絵が上手過ぎる。幾ら絵が好きな少年の設定だとしても10歳の子供が人物を特定できるほどの似顔絵を描けるかどうか。この似顔絵は被害者を特定するキーになっているため判りやすくしたのかも知れないが、あれはやり過ぎである。

 

それはそうと光太役の三浦春馬がとにかく目を惹く。勿論何かと登場の多い役柄であるのもあるが、目鼻立ちがはっきりしていて表情がころころ変わりやすくインパクトがある。演技が固い部分もあるものの、昨今の演技指導をばっちり受けた芸達者な子役とは異なり子供らしく見えた。

 

満足度は★★★

橘朋実,愛絵理,YOSHIKI,澤近泰輔,藤本和則
エクスタシー
(2000-11-08)

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監察医・室生亜季子 不完全な心中

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 浜木綿子、小川範子、山下規介 他

【放送】 2001年(日テレ)

 

マンションで同棲中の男女が心中を図る。ところが服毒自殺を図った男だけが生き残ってしまった。心中の謎に迫る。火曜サスペンス劇場の人気シリーズ『女監察医・室生亜季子』シリーズ第二十九弾!

 

川越で三代続いた開業医で、地域の監察医を務める室生亜季子に松下泰子が相談にやってくる。泰子の姉・史子は現在中島裕介と同棲中だが、一か月ほど前から暴力が酷くなったと言う。暴力に耐え兼ねて史子が別れ話を切り出すと「別れれば殺す」と物騒な言葉で脅しつけ、泰子の前にも関わらず史子を殴りつけたのだ。話を聞いた亜季子は警察に相談した方が良いと判断し、泰子は指示に従って史子を警察へ連れて行く。ところが裕介が乗り込んで来て被害届も出さずに史子は帰ってしまう。ところが十日後、裕介と史子は心中を図る。史子は包丁で体を刺し床の上で仰向けに倒れて死亡していたが、裕介はまだ息があり救急車で運ばれる。第一発見者はサラ金の男で裕介に三百万円の借金があったと判明。テーブルにはマザコンの裕介らしい母親あての遺書があったが泰子はそれをインチキだと認めなかった。その後、裕介は一命を取り留めヒ素を飲んだと判る。史子の遺体の解剖の結果、亜季子の出した答えは他殺。史子が自分で包丁を刺したという裕介の証言とは異なっていた。

 

今回は本当に心中事件だったのかその真相に迫る内容になっていて、既に史子が他殺と判明しているので、裕介が心中を偽装したことは最初の段階から判っている。そのため亜季子と浜田警部が追うのは専ら裕介が史子を殺す動機という非常に単純明快なストーリーである。勿論それだけでは二時間を持たせられないので、裕介側についた弁護士が亜季子をやり込めるくらいの有能な弁護士で、そのせいで捜査が難航するというおまけ付きである。

 

それにしてもこの裕介はクズである。母親が甘やかせて育ててしまったせいか、臆病で気が小さくすぐに他人に頼ろうとする。自分では結局何も解決できないのである。それで自分の感情を持て余すと他人を攻撃って・・・。まあ、起きるべくして起きた事件だったのかも知れない。正直、真相が判明した途端、腹立たしいの一言だったが。

 

但し人情派のドラマである路線は崩さず、泰子の姉妹愛、母と息子の関係、後妻と前妻の子の関係等々家族の問題も色々絡めている。サスペンスというよりはちょっとした良い話をドラマ化したような内容だった。

 

満足度は★★★

橘朋実,愛絵理,YOSHIKI,澤近泰輔,藤本和則
エクスタシー
(2000-11-08)

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影の車

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 風間杜夫、原田美枝子、浅田美代子 他

【放送】 2001年(TBS)

 

不倫相手の子供の殺意に怯えた会社員が身を滅ぼしていくサスペンス。原作は松本清張著の『潜在光景』(連作短編集『影の車』所収)。

 

成田郊外に自宅を構える会社員・浜島幸雄はバスで女性に声を掛けられる。彼女は吉田泰子と名乗り、故郷の沼津にいた頃、近所に住んでいた知り合いだった。当時幸雄は東京からの転校生だった泰子に仄かな恋心を抱いていた。二十六年ぶりの再会に心をときめかせる幸雄は翌日も同じバスに乗り合わせた泰子に誘われ家を訪ねて行く。泰子は夫に先立たれて、六歳の息子・健一と二人暮らし。姓は吉田から小磯に変わっていた。急に病院からの呼び出しで健一と留守番していた幸雄は、深夜に帰宅した泰子と一線を越えてしまう。その日を境に毎日のように泰子の家へと通い詰めるようになる。

 

松本清張の作品の中には『影の車』というタイトルの作品は無く、現在実写化された『影の車』は『潜在光景』を原作とする作品をさしている。理由は定かでは無いが、ストーリーの核心をつく『潜在光景』よりは謎めいた『影の車』の方が好奇心を煽ると判断してタイトルにつけたのかも知れない。尚、『影の車』は『潜在光景』を含める短編小説を収めた連作短編小説集のタイトルである。

 

歴史は繰り返す。

 

そんな諺が聞こえて来そうなストーリーである。母子家庭で育った幼い子供にとって母親は神聖な存在であり、自分と母親の関係を邪魔する人間は敵となる。どんなに幼い子供でもただ一人の大切な母親を取られないためなら殺意を抱く。しかし大人は幼い子供は純真で、そんな邪な感情は抱かないと頭から決めてかかる。それ故、子供の殺意は見過ごされてしまう。だが、罪は消えない。一度犯した罪は巡り巡って自分に返って来る。それがこのドラマの根本となっている。

 

興味深いのは冒頭で語られる視線の話。あの時、幸雄は絶えず何者かの視線を感じて立ち止まる素振りを見せる。しかし視線の主は全く判らない。あの後、視線の正体が判ったと語られてはいるものの、視線の正体を特定しているわけではない。話の流れから視線の正体がバスの中で会った泰子だと何となく推測される。しかしそれはあの時点での話である。最後まで見るとふとあの時の視線は本当に泰子のものだったのかと疑問に感じる。つまり視線の主が子供時代の幸雄と置き換えても辻褄が合うのである。そして情事の最中に見掛けた襖の間の視線にも同じ事が言える。むしろそういう解釈で捉えた方が面白味が湧いてくる。

 

但し幸雄が健一の殺意に怯える経緯は少々大味な印象がある。時折幻覚を見る等、幸雄が以前から健一の殺意に勘付いていて不快に感じていた事は判る。しかし健一に手を挙げてしまう程に追い詰められていたようには見えなかった。その一方で、もし健一が幸雄に対してあの一瞬でそこまで追い詰めたとなれば、その前日に見せた健一の幸雄への友好的な態度はその一瞬のための計算づくの芝居だと言う事になり、若干六歳の子供の抱いた狡猾で漲る殺意に脅威を覚える。

 

幸雄の何を言っても信じて貰えないやり切れなさ、息子のために恋人を諦めなければならない泰子の切なさ、妻の座にしがみつく幸雄の妻・啓子の意地と辛さ。見終わっても決してすっきりしないラストは松本清張らしさに溢れている。その中で唯一念願を果たした健一だが、それもまた幸雄と同じ人生を歩むのではないかと将来に暗雲がたちこめる。つくづく救いの無いストーリーである。

 

満足度は★★★★

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寺田家の花嫁

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 岸本加世子、柳葉敏郎、岸田今日子 他

【放送】 2001年(BSジャパン)

 

資産家の裕福な家庭で育った女が岩手県の過疎村の男と再婚。しかしその男は前妻を殺害したと黒い噂のある男だった。夫への疑惑を抱きながら新婚生活を送る女の恐怖サスペンス。原作は小池真理子著の『寺田家の花嫁』(『怪しい隣人』所収)。

 

父親の死により天涯孤独となった千佳子は前夫・原口からしつこく復縁を迫られていた。しかし千佳子にはその気はなく、幼い頃過ごした岩手県に惹かれて岩手県民の男性限定の見合いパーティーに参加し、猿沢村に住む寺田光生と交際を始める。にも拘わらず原口は引き下がらなかったが、原口の飛び降り自殺でようやく決着がついた。実は原口は多額の借金を抱えており、千佳子の財産を狙っていたのだ。晴れて光生と結婚した千佳子は田舎暮らしに大喜び。同居の光生の母親にも妹にも温かく迎えられて、何もかも順調に思えた。ところが翌日から千佳子は村の様子に違和感を覚え始める。村人は千佳子が挨拶しても完全に無視。それでいて視線だけは感じる。光生の母親が営む雑貨屋に来た小学生は千佳子が作ったおにぎりを毒入りではないかと疑って手をつけなかった。そんな中、千佳子は光生の前妻・美弥の兄からとんでもない話を聞かされる。東京で暮らしているはずの美弥が実際には失踪していて、村人は誰もが美弥が光生に毒殺されたと思っていると言うのだ。

 

これは結婚したばかりの幸せいっぱいのはずの新婚生活が夫に疑惑を抱いたのをきっかけに恐怖の日々に転じてしまう千佳子の新婚生活をサスペンスタッチで描いたドラマである。人の心とは面白いもので、普段何も気にしなかったような相手の仕草が、ほんの些細な疑惑が芽生えると、それらに対する見方が180度変わってしまう。千佳子の性格が非常に慎重であるが故に余計にその傾向が強く表れ、夫が前妻を殺したという噂から自分も夫とその家族に殺されるという発想へと発展していく。それが例え病気で看病されていたとしてもである。

 

結婚したと言っても千佳子と光生はそんなに長く付き合って来たわけではない。勿論交際年月の長さが二人の信頼度を必ずしもアップさせるものではないのだが、ドラマ内で紹介されている限りではお互い何もかも知り尽くしたとは言い難い付き合いである。むしろお見合いだから結婚式を起点にこれから二人の絆を深めていこうとするそんな気配が垣間見られる。

 

東京に新婚旅行。そこへ家族が押しかけて来る。それどころか田舎暮らしを喜んでいた千佳子を無視して東京で生活したいと家財道具を運び込んでくる。まあ、確かにここまでされると千佳子でなくともその図々しさに恐怖を感じるとは思うが・・・。

 

このドラマで秀逸な点は意外な真実の後に更なるどんでん返しを仕掛けて来る二段オチの構成にある。終盤ではそれまでの恐怖サスペンスが全てはその二段オチのための前奏曲でしかない事に気付かされ、舌を巻いた。

 

満足度は★★★★★

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紫陽花は死の香り

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 緒形直人、鷲尾いさ子、中山忍 他

【放送】 2001年(BSジャパン)

 

新進の美人陶芸家が泥酔した夫を首を絞めて殺害した。彼女は事件担当検事のかつての恋人の姉だった。原作は松木麗著の『紫陽花の花のごとくに』。

 

高木彰検事が次に担当する事件は新進の美人陶芸家・神崎絵莉子が有名な陶芸家の夫・神崎清祥を殺害した事件だった。絵莉子は普段から嫉妬深い夫に暴力を振るわれており、事件当日も知人の個展からの帰りにスナック『ロイド』へ寄ってから帰宅した所、鎌倉の本宅にいるはずの清祥がわざわざ世田谷の別宅に押しかけ絵莉子が浮気をしたと言いがかりをつけて乱暴したと言う。泥酔して寝込んだ夫を見て絵莉子は思わず首を絞めたと供述している。高木はこの事件を担当するに当たり因縁のような物を感じていた。実は絵莉子は以前高木が交際していた麻由美の姉で、十二年前もピアノを弾く美しさに心惹かれていた記憶がある。被疑者と検事と言う異なる立場で再会した二人だが、高木は絵莉子の変わりない美しさに心惹かれずにはいられなかった。事件は二人きりのいわば密室殺人。状況から見て証言如何で罪状が変わってくると言うのに、何故か絵莉子は一切釈明せず、罪を素直に認めている。夫との離婚を考えなかったのは父親の強い反対を押し切ってまで結婚した意地だと告げた彼女の言葉に、高木は十年前、麻由美と破局した時の事を思い出す。あの時も麻由美の父親が強引に別の男性と麻由美の結婚を決めてしまい、傲慢な父親に麻由美は逆らえなかった。

 

このドラマは検事の高木が被疑者である絵莉子という女性を掘り下げていくストーリーで、夫を殺害した事件自体はごく単純なものであるが、静かな炎を内に秘めた彼女の人間性こそがミステリーであり、このドラマもそちらの方面に重点を置いた内容となっている。夫を殺害した事件、そこから遡って前夫の交通事故。彼女を掘り下げていく内に判明する彼女を巡る男達の存在。高木がそうであったように、絵莉子という女性はその見目麗しい容姿は勿論の事、強く激しく燃え盛る愛の炎が男を惹きつけて止まない。彼女を愛した男達は次第に自我を失い、身を滅ぼしていく。

 

紫陽花の花言葉は土壌の成分の違いにより花の色が変わる事から『移り気』、『浮気』等の言葉が知られているが、その一方で『辛抱強い愛情』と言ったポジティブなイメージを持つ花言葉も持っている。絵莉子は正にその後者の意味で描かれており、このドラマでは紫陽花が彼女の象徴とされている。

 

一つ気になったのは絵莉子の裸婦画。おそらく紫陽花だけを纏った裸婦が絵莉子のイメージなのだろう。当然ながらモデルをする場面では正面からの構図での撮影は無く、背後からの撮影のみなのだが、肩甲骨が浮き出た綺麗な背中からは想像も出来ないような豊満な裸婦画に思わず目が点に。首だけすげかえて描いたのだろうが、あまりにもギャップがあり過ぎである。

 

ところでドラマを見ていて何気に注目してしまったのが絵莉子と麻由美姉妹の父親。長年教職を務めてきた父親は厳格で頭の固い傲慢な人間像が窺える。彼とすれば娘の幸せを一番に考えて、恋人との仲を引き裂いてまで自分が選んだ人間との結婚を娘に強いている。しかし皮肉にも娘達はこの結婚により不幸な人生を歩む結果となってしまった。後になって父親は自分の行動が半ば強引だったかも知れないと悔いているものの、話を聞いているとどうも自分の価値観を押し付けた事に悪気は感じていない模様。恋人が出来る前の絵莉子を自慢の娘だったと豪語する父親が、どこか娘を人間でなく人形のように捉えている感じがしてならないのである。勿論、結婚生活が姉妹共に上手く行かなかったのは全てが父親の責任では無いだろうが、この父親の人を見る目の無さが一因であるのは明白。この手の人間を見ていると嫌悪感に鳥肌が立つ。

 

満足度は★★★★★

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エジプト・パピルス殺人事件

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 片平なぎさ、渡辺梓、本多博太郎 他
【放送】 2001年(日テレ)

『小京都ミステリー』シリーズ最終作。タペストリー工房の経営者が何者かに撲殺される。第一発見者となったフリーライターとカメラマンのコンビが事件を解明する。火曜サスペンス二十周年記念ドラマとして放送された。

雑誌の創刊三十周年記念の特集のためエジプトへと飛んだ柏木尚子と相棒のカメラマン・山本克也は市場で現地で暮らす日本人・三浦春子と知り合いになり、春子の好意でタペストリー制作を行う『高村工房』を取材させて貰う事になる。工房には優れた技術を持つタペストリー職人の佐山香里もいて、その夜日本料理店『おかもと』で開かれた日本人会にも招待される。丁度その会には翌日取材する予定の考古学者の堀川も参加していた。ところが翌朝早く尚子達が工房を訪ねていくと、酔いを醒ますと言って単独行動をとっていた高村工房の経営者・高村信彦が何者かに撲殺されていた。凶器は遺体の傍に落ちていたハンマー。また春子が現場でパピルスを発見する。そこには『復讐』を意味する言葉が書かれていた。

記念ドラマだけあってシリーズ初の全海外ロケ。本当に『小京都ミステリー』の名前を使って良いのかどうか怪しいが、『小京都ミステリー』の意味が日本の小京都で起きるミステリーという意味では無く、主演の尚子&克也が事件を解決するストーリーの意味と広義に解釈すればまあ納得のドラマである。但し主要人物は全て日本人での構成。警察だけは現地警察にしてあるものの、関わって来るメンバーの中に地元の人間は一人もいない。そのため観光気分のある日本のサスペンスといった雰囲気である。

それにしても序盤のエジプト紹介の部分が長いのが難点。せっかくの海外ロケだけに滅多にお目にかかれない観光地を紹介したいのは判るが、あまりにもその時間が長すぎる。おかげでなかなか本筋に入ってくれず、苛々させられっ放しだった。おまけに記念ドラマとは言っても時間延長があるわけではなく放送時間はいつもと同じ。つまりサスペンスの本筋はそれだけ削減されてしまっているわけで、何とも物足りなさを感じる結果に。

もっとも日本舞台では無い面白さがあるのも事実。例えば遺体を運ぶ際、日本であれば担架に乗せるものだが、エジプトではわざわざ棺の中に入れて四人の男性が担いで運んでいく。指紋の検出もこの当時であれば日本でも画像認識技術を使って行うが、こちらではまだ目視という古来の方法で行っている。日本人が主体でドラマが進んでいくためあまりそうした文化や風習の違いは出て来ないがふとした瞬間に登場すると新鮮に感じる。

さてラストはやはりこれまで通り尚子&克也のツーショットとなるが、この中にとうとう尚子が克也の愛を受け入れる予兆のような場面がある。こちらは最終回らしい結末で良かったと思わずにはいられない。

満足度は★★★
 
橘朋実,愛絵理,YOSHIKI,澤近泰輔,藤本和則
エクスタシー
(2000-11-08)

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郡上おどり殺人事件

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 片平なぎさ、京本政樹、真行寺君枝 他
【放送】 2001年(日テレ)

掘削現場でトルコ石の指輪をはめた女性の白骨死体が発見される。それが連続殺人事件の幕開けとなった。フリーライターとカメラマンのコンビが五年前の信用金庫往生事件に纏わる一連の事件の真相を究明する『小京都ミステリー』シリーズ第二十九弾!

雑誌編集者の柏木尚子と相棒のカメラマン・山本克也は郡上八幡を訪れ、『冬の郡上おどり』という企画の取材をしていた。取材を終えた尚子達は下呂温泉の『水明館』で宿泊する。翌朝ロビーで地方紙を読んでいた尚子は付近で女性の白骨死体が発見されたという記事を目にする。その矢先、発見された白骨死体の正体が尚子達の部屋を担当する仲居・加藤奈々子の姉・須貝冬美ではないかと刑事が奈々子を訪ねて来る。夢を諦め苗字を変えて生きる奈々子に尚子は俄然興味を示した。次の取材は折り紙の取材。喫茶店『ペーパームーン』で取材をしていると、その店のオーナー宛てにトルコ石の指輪をはめた作り物の手が送られてくる。尚子はすぐに食品サンプル制作業者の広瀬の仕業と疑って広瀬の店を訪ねるが、広瀬は何者かに殺害されていた。

冒頭で白骨遺体が発見される場面が登場する構成がややこれまでと変わっており、尚子達の追う事件も現在起きている連続殺人事件というよりは、尚子達が顔見知りとなった奈々子に肩入れするあまり、五年前の殺人事件の方に重点を置いているような形になっている。また尚子が証拠品を警察に黙って持ち出さなかったり、細かい点で違いが見られる。ドラマを見ていて一番感じるのは、これは果たして殺人事件を解決するためのミステリーなのかという疑問。警察との絡みもあまり無いし、ストーリーに起伏があまり見られず、盛り上がりを欠いたまま終了してしまった感じがどうにも否めない。

さて真行寺君枝扮する喫茶店の女店主の演技が艶っぽいというか、どうもねちっこくて全てが胡散臭く見えてしまう。周囲が普通に演技をしている中、それが当人の持ち味だとしても、一人だけ相容れない空気を醸し出しているのがネックとなりドラマを台無しにしている。

余談だが、克也の生え際がここへ来て一気にバックしているのについ目がいってしまった。髪をオールバックにしているせいで額の左右の切れ込みの深さが一目瞭然。悲しい現実である。

満足度は★★★
 
橘朋実,愛絵理,YOSHIKI,澤近泰輔,藤本和則
エクスタシー
(2000-11-08)

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