天使の傷痕

  • 2019.03.10 Sunday
  • 16:07

【出演】 村上弘明、遠野凪子、佐野史郎 他

【放送】 2001年(BSジャパン)

 

山中でルポライターが刺殺された事件の第一発見者となった新聞記者が自ら事件の謎に迫る。原作は西村京太郎著の『天使の傷痕』。この作品は第11回乱歩賞を受賞している。

 

東邦新聞社の記者・田島伸治は緑川美術館で原稿を社へ送った後疲れてそのまま寝入ってしまった。その時、伸治が風邪を引かないよう膝掛を貸してくれたのが美術館員・山崎昌子だった。それをきっかけに二人は親しくなり、一か月後一緒にハイキングへと出かけた。ところが山の中で道に迷ってしまい、困惑しながら進んでいると突然二人の前にナイフで刺された男が目の前に現れる。男はそのまま斜面を滑り落ち、「てん」と言い残して息を引き取ってしまった。二人は警察で第一発見者として事情を説明する事に。警察の調べで被害者はフリーのルポライター・久松実。不可解なのは山道の枝分かれ付近に立っている道標が違う方向を差していた事だった。伸治達が迷ったのはそのせいだったのだ。事件の事が気になった伸治だが警察はマスコミを懸念して伸治に事件について何も教えようとしない。伸仕方無く自分で事件を調べ始める。

 

ストーリー自体は非常にストレートで判り易く、殺人に使用されたトリックも難解では無く昔ながらの所謂正統派の類に値する。ただ何処かちぐはぐな印象を受けてしまうドラマである。原作が古い時代(1965年)に発表された小説であるためなのか、それともテレビ用に改変された故なのか、おそらくその双方であると思われるが犯行に至った動機やその背景事情が説明されても理解し辛く、何故に関係者がこんなにも過剰な反応を示すのかも疑問である。

 

滑稽なのはBARの場面。BARのママが主人公の田島に恋愛のアドバイスをするのだが、その内容がまるで恋愛経験が殆ど無い少年に言い聞かせているようである。田島の年齢設定は三十九歳。若くは見えるが社会経験を積んだ立派な大人(オッサン)である。それなのにあんな陳腐な恋愛アドバイスは無い。しかもそのアドバイスが微妙に事件解決に絡んでくるから始末に負えない。

 

原作を現代に合わせて制作しようとして失敗した感が否めない。

 

満足度は★★★

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海の沈黙

  • 2019.03.08 Friday
  • 11:26

【出演】 松下由樹、蟹江敬三、南田洋子 他

【放送】 2001年(BSジャパン)

 

コンビニの店主夫妻の殺人事件の真相を知っているのは聴覚障害者の老婆。彼女から話を聞き出すために呼び出された福祉事務所の女が事件の真相に迫る。原作は西村京太郎著の『十津川警部・沈黙の壁に挑む』。本来は十津川警部シリーズの一遍であるものの、このドラマでは十津川警部が登場せず無関係の単独ドラマとして制作されている。

 

福祉事務所に勤務する手話通訳士・小早川京子はとある事件の容疑者として逮捕された秋本つね子から話を聞き出して欲しいと依頼される。その事件とはコンビニを経営する友田夫妻が自宅で殺害された事件で、警察が駆け付けた時台所につね子が放心状態で座り込んでいた事件。しかしつね子は口の動きを見せても筆談も全く反応せず、事件を担当する刑事達もすっかりお手上げ状態だった。早速京子がつね子に手話で話し掛けると、つね子は目を逸らして反応しようとしない。必死につね子を助けたいと訴えかけても駄目だった。福祉事務所に戻った京子は所長から手話通訳で伝えるのは言葉だけじゃ無く心だと教えられ、つね子と再び会話をしようと警察署に出向く。何とか心を通わそうと手作り弁当を用意し、聴覚障害者だった両親の話をする京子だったが、つね子から手話で「自分が気が付いていないだけで、あなたは私を差別している」と指摘され、愕然となる。

 

容疑者となったつね子が聴覚障害者のためどうしても聴覚障害に肩入れしたくなる内容だが、実際にこのドラマから伝わってくるのは障害の如何に拘わらず親が子を想う強い愛情である。ただ聴覚障害があるから健常者以上に子供に負担をかけて申し訳ないという気持ちが強く働き、必要以上の事をしようと思ってしまう。そんな親心が心に染みてついつい涙腺が緩むドラマである。

 

事件自体は刑事物のドラマにはありがちのオーソドックスな内容で、意外な所に悪人が潜んでいて刑事や探偵役がそれを暴いていくという流れである。最初に犯人と思われた人物が無罪と言うのはもはや鉄板である。実際、事件のたびに警察がそんな事をしていたら誤認逮捕の嵐でやっちゃいられないが・・・。

 

このドラマでのヒロインは京子であるのだが、主役より老婆役の南田洋子の演技に目を奪われる。必死に子供の幸せを祈り続ける母の姿があまりにも切なくて、主役すらかすませてしまう。特にラストのシーンは見事の一言である。

 

満足度は★★★★★

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四つの終止符

  • 2019.03.07 Thursday
  • 12:36

【出演】 高橋かおり、かたせ梨乃、河合我聞 他

【放送】 2001年(BSジャパン)

 

母親殺害の容疑が掛けられた聴覚障害の青年が絶望のあまり死を選ぶ。聴覚障害者の問題に目を向けた社会派ミステリー。原作は西村京太郎著の『四つの終止符』。

 

東京の下町にある小さなスナック『美どり』で働くホステス・松浦時枝は、ルームメイトの同僚・石母田幸子が夜な夜な夢にうなされては「あつし」とうわ言を言うので、そんな名前の恋人に振られたのではとぼんやり考えていた。しかしあつしと言うのは幸子の亡くなった弟の名前だった。ある日、愛想の無い幸子が玩具工場で働く青年・佐々木晋一相手にやけに楽しそうに手話で会話しているのを目撃する。しかもこっそり金を渡していた。幸子が晋一に貢いでいると勘繰った時枝はママと一緒に幸子に忠告するが、幸子は否定する。そんな矢先、晋一の母親が死亡する事件が起きる。死因はハチミツに入っていたヒ素による中毒死。ハチミツの瓶には晋一の指紋がついていて、しかも事件後晋一の行方が判らなくなった事から警察は晋一が母親を殺害したと断定する。事件を知った幸子は自責の念に駆られる。実は心臓を患った母親へのプレゼントはハチミツが良いと勧めたのは幸子だったのだ。渡した金もプレゼントを購入するための費用で貢いでいたのでは無かった。事情を聞かされた時枝は幸子と共に晋一の容疑を晴らすために目撃者探しを始める。

 

事件の核の部分は至ってシンプルで真相が判明してから解決するまでの流れは非常に速い。ドラマでは専ら聴覚障碍者に重点を置いて、人々からの差別や健常者には理解し難い苦痛を取り入れた内容となっている。四つの終止符というタイトル通り、このドラマには人生の終止符を迎える人間が四人登場する。しかしどの終止符も一つの悪意が無ければ迎える事は無かった終止符だった。その不条理さが切ない。

 

主役は時枝だが、前半は同僚の幸子が主役のような扱いで登場する。時枝は言わば幸子のリベンジのために立ち上がるような感じで主役へと昇格する構成となっているのだが、主役にしては少々印象が薄い感じが否めない。役柄としては自分の生い立ちもあり、その経験から男っぷりの良い女性というイメージがある。しかし聴覚障害者にスポットを浴びせるためにはどうしても聴覚障害者と関わりの深い幸子をヒロインにする必要があったように思える。その分、時枝の印象が薄れてしまったのかも知れない。

 

満足度は★★★★

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断崖

  • 2018.07.09 Monday
  • 19:31

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【出演】 山本陽子、水野真紀、小野寺昭 他

【放送】 2001年(テレ東)

 

落ちぶれた女優が映画制作費用を捻出するために内縁の夫の狂言自殺を計画。しかし計画は失敗し、内縁の夫は墜落死してしまう。一体、何が計画を狂わせたのか?原作は夏樹静子著の『断崖からの声』。

 

大女優・森宮環は五十歳を過ぎて主役を演じるチャンスに恵まれる。ところが出資予定だった内縁の夫・佐伯淳司の会社が倒産の危機に陥り、このままでは映画制作費用が捻出出来なくなってしまう。そこで環と佐伯は狂言自殺でせしめた保険金を映画制作の費用にあてる計画を立てる。その計画とはパーティーの夜に佐伯が断崖から飛び降り、渦潮に飲まれたように見せかけてそのまま海外へ逃亡。そしてしばらくして環と落ち合い、スイス銀行に預けてある十二億円の資産で暮らすというものだった。そのため佐伯は日々断崖から飛び降りる訓練をし、計画は万全のように思われた。ある日、その様子をカメラマンの桜木ケイに見られてしまう。しかし計画に絶対的な自信を持っていた二人はケイを目撃者の一人にしようと考え、パーティーにケイを招待する。一週間後、いよいよ計画遂行の時がやって来る。映画の出資者や映画評論家、新進女優などが集まる中、計画通り佐伯は断崖から身を投げるのだったが・・・。慌てて崖下へと駆け付けた面々が目にしたのは墜落死した無残な佐伯の遺体だった。

 

女優は芝居の中だけで演じるのではなく、普段の自分さえも偽って演じてしまう悲しい性がある。今回のヒロインは正にその女優であり、彼女といがみ合っている佐伯の本妻もまた元女優である。この二人はともに女優としても女としても盛りを過ぎている。それは本人も重々承知していて、自分の将来に悲観もしている。しかしそんな思いは外に出さず、プライドと意地でつい突っ張ってしまう。そんな二人の女優の本心がこのドラマの核だと言えるだろう。相変わらずミステリーの側面は置き去りだが、夏樹静子作品はヒューマンドラマが主体なのでその辺には目を瞑る。

 

探偵役となるのはカメラマンのケイ。ストーリー的にはこちらがヒロインと言えなくも無いのだが、往年の大女優二人に囲まれてはやや存在感が薄くなってしまうのも仕方が無い所だろう。まあ、それはともかくとしてケイの活躍で徐々に明らかになっていく二人の女優の本心とそして殺人事件の真相。ただこの真相に行き着くとつくづく女性の立場に立ったドラマだと感じずにはいられない。被害者は佐伯なのだが、佐伯の心の内はまるで無視。

 

さてラストではさりげなく環の出演する映画のタイトルが登場する。それがまさかの原作タイトルになっているとは……。こんな所にこっそり仕込んでいる演出がニクイ。

 

それにしても他の夏樹静子作品よりあまり心情が染みて来ないのは不思議である。女優という一般人とは少々違った職業のせいだからだろうか?

 

満足度は★★★★

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目撃 ある愛のはじまり

  • 2018.07.06 Friday
  • 13:48

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【出演】 沢口靖子、榎木孝明、峰岸徹 他

【放送】 2001年(テレ東)

 

愛人と密会した帰りに付近で起きた殺人事件の容疑者を目撃してしまった女の覚悟と決意。原作は夏樹静子著の『目撃』。

 

桂木麻子は幼馴染みの大学助教授・各務徹夫と北鎌倉で密会した帰り、不審な男を目撃する。また雑木林の小路で自転車に乗った少年とぶつかりそうになり、その少年は運転を誤り崖から落ちて怪我を負ってしまう。真っ先に駆け寄った男がいたため、麻子は密会後の後ろめたさから身を隠してしまう。幸い少年の怪我は大した怪我では無かった。ところが丁度その頃、付近で金融業を営む畑山励造という男が自宅で殺害されていたのだ。死因は絞殺。争った形跡は無く、金庫は開けられたままになっていた。捜査に当たった警察は複数犯の仕業と睨み、事件当時現場付近を通った目撃者を探していた。帰宅した麻子は何げなく見ていたニュースで殺人事件があった場所が密会現場の付近だったと知って驚愕する。

 

夏樹静子作品らしい女性の心情がメインとなった作品である。勿論、殺人事件の絡むミステリーではあるのだが、それはまあおいておいて、幼馴染みの徹夫との恋と長年連れ添った夫への義理の狭間で悩むヒロイン・麻子のどちらにも踏み込んでいけない切なさがやり切れなくて、見ているだけで胸がじりじりするのだ。麻子が完全な悪女であればそんな気持ちにはならなかっただろう。しかし麻子はごく普通の女性で、むしろ心が綺麗で優しい女性である。再会した瞬間運命を感じた人との出会いがこんなにも遅くやって来るとは思いもせずにごく平凡な主婦として暮らしていたのだ。その上、この二人の背景には現在とんでもない問題が生じている。麻子の夫の会社に有利な証言を徹夫がしてしまった直後の話だけに、徹夫が桂木夫妻に接近したとあっては非常にマズイ事になる。麻子と徹夫の運命的な再会も愛情も純粋なものなのに、そこに世間的な利権が絡んでしまうから厄介なのだ。

 

まあ、こんな風に大人の恋愛ドラマさながらの設定の中で進んでいくミステリーだけについつい話に引き込まれてしまう。麻子は事件に何の関係も無く、ただ不審者を目撃しただけ。しかもよりによって不倫の直後に。ただこれだけのシチュエーションから麻子の思い悩むストーリーを良く作り上げたと感心する。

 

大人のラブロマンス風のミステリーを堪能したい人にはお勧めである。しかし主演が主演だけにお色気シーンは一切無し。情事直後の二人が浴衣を乱れも無く着込んで布団に横たわっている様は違和感しかない。

 

満足度は★★★★★

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黄金の犬

  • 2018.06.29 Friday
  • 06:32

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【出演】 かたせ梨乃、大杉漣、西岡徳馬 他

【放送】 2001年(BSジャパン)

 

夫が北海道の山中で殺害される。一緒に北海道へ行った愛犬に全てを託して。愛犬を見つけるのは飼い主の女か、それとも犯人一味なのか。原作は西村寿行著の『黄金の犬』。

 

八年前に一人娘を失った北守夫妻は愛犬のゴロを我が子のように可愛がっていた。特に妻の礼子はボランティアでゴロを連れてアニマルセラピーとして活躍している。事故で両親を失い自らも体が麻痺した少女がいつもゴロが訪ねて来るのを楽しみにしているのだ。ある日、夫の一樹はゴロを北海道に連れて行きたいと言い出す。一樹は環境省関連の研究所に勤めていて、山林調査のために北海道へ行くのだが、最近熊が出るのでゴロを用心のために連れて行きたいと言う。礼子は快諾し見送るが、その矢先、一樹が遺体で発見されたと連絡を受ける。崖から足を踏み外したらしい。礼子は死因に疑問を持つ。何故なら一樹はかつて山岳部に所属していて足を踏み外すようなミスを犯すとは信じられなかった。それに同伴していたゴロの姿も無かった。一樹の所持品の中に同僚の永山のネクタイがあった事から永山と会ったと突き止める。その頃、ゴロは永山と共にいた。実は一樹と永山は何者かに襲われ、ゴロを連れて逃亡中だったのだ。もう逃げられないと悟った永山はゴロにネックレスを付けて、東京へ向かえと命じた。

 

ゴールデンリトリバーのゴロが北海道から東京を目指して冒険するストーリーで、悪人達から追われつつもその行く先々で出会った人たちと交流する姿を描いている。勿論、主役は礼子なのだが、夫を失い、しかも犯人が誰かも判らぬ心細い状況でゴロを必死に探す礼子の姿は見てあまりあるものがあっても、やはりゴロの方に注目してしまうのは否めない。

 

誰が犯人か判らぬ状況。ミステリーではこういう状況を作り出す事がお約束で、怪しいと思っていた人物が実は味方で信じていた相手が悪人(犯人)だったという状況を如何にして作り出すかもミステリーの醍醐味の一つである。このドラマの場合、そういった状況を醸しているにも拘わらず表現がやや緩い。もう少し差し迫った状況を作り出しても良いと思うのだが、そこは二時間ドラマの限界なのかも知れない。

 

満足度は★★★★

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招かざる客 −富士山麓殺人事件−

  • 2018.06.07 Thursday
  • 13:59

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【出演】 浅野ゆう子、三田村邦彦、野際陽子 他

【放送】 2001年(BSジャパン)

 

資産家の夫の暴力に怯える主婦が愛人と結託して夫の殺害を計画する。ところが殺害計画遂行の直後、思いがけず訪れた客に事件を目撃され、事件はその客をも巻き込んで意外な様相を示していく。原作はアガサ・クリスティの『招かざる客』。

 

深田家の嫁・深田秋江は夫・光寛の暴力に耐える日々を送っていた。二年前、光寛は酔っ払って崖から転落し、以来車椅子生活を余儀なくされている。体が自由にならない鬱憤を秋江に暴力を振るう事で晴らしていたのだ。秋江が唯一心の拠り所としているのは深田家が支援している彫刻家の青山和晃。二人は不倫関係にあった。ある日、青山は光寛の殺害を企てる。秋江が一階の部屋に光寛が隠し持っている拳銃を置いて部屋の窓の鍵を開け、殺害を実行するのは青山の役割だった。発砲の音を聞いて秋江が一階の部屋に戻ると、光寛が銃殺されていた。ところが思いがけず訪ねて来たセールスマンの倉茂恭平に部屋の中の様子を見られてしまう。丁度秋江が手に凶器の拳銃を持っていたので、倉茂は秋江が夫を殺害したと思い込んだのだ。倉茂が警察に連絡しようとするのを秋江は引き止め、事情を話して自分が殺害したと告白する。勿論、青山を庇っての事だった。倉茂は秋江にいたく同情し、光寛が過去に起こした交通事故で被害者家族から逆恨みされたように偽装する。

 

終盤のどんでん返しに次ぐどんでん返しに思わず唸ってしまう。古典的なミステリーではあるものの、事件が解決したように見せかけて何かをそこに仕掛けて来るタイミングが絶妙で、ついつい見入ってしまう。あちこちに散りばめられた伏線、そしてミスリードの巧みさと、そして忘れてならないのは人間ドラマ。ミステリー好きならわくわくが止まらない作品である。

 

この作品を模倣したサスペンスドラマも多数あるのだが、多くの場合、ここまでのどんでん返しは行わない。と言うのも確かに面白い作品であるのだが、その反面サスペンスドラマにした場合目まぐるしく変わる状況が複雑過ぎて視聴者を置き去りにする怖れがあるのだ。そういった複雑さを良しとするか否かで評価は大きく変わってくるだろう。

 

ストーリーが秀逸であるのは間違いないが、一番心に刺さるのは登場人物が何れも心に悲しみを抱いて生きている点だろうか。どの人物も決して幸せでは無く、何かに捉われている。ラストまで見てもすっきりするとは言い難い。それがいい味を出している。

 

願わくばこんな副題を付けて欲しくは無かった。サスペンスドラマの場合、何故か副題を長々と用意する風潮が浸透してしまったが、正直言って秀逸な内容に対して陳腐である。

 

満足度は★★★★★

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Wの悲劇

  • 2017.08.03 Thursday
  • 10:08

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【出演】 名取裕子、萩原流行、夏八木功 他

【放送】 2001年(BSジャパン)

 

資産家の家で殺人事件が起きる。被害者はその家の主、犯人はその孫。誰からも愛される孫のために一同が協力し完全犯罪をでっちあげる。原作は夏樹静子著の『Wの悲劇』。

 

和辻産業社長・和辻与兵衛の誕生日パーティーが開かれた日、和辻家の別荘では親戚一同が集まり、それに加えて与兵衛の主治医・間崎鐘平と与兵衛の孫娘・摩子の家庭教師・一条春生が招待され豪華な食卓を囲んでいた。与兵衛は甥の卓夫や弟の繁が遺産を狙っている事を薄々感付いていて、その話を吐き捨ててさっさと二回の自室に戻ってしまう。その際、可愛がっている摩子にだけは果物を運ぶように言いつけていた。食事の後、恒例のポーカーが始まり、皆が居間でくつろいでいると突然道彦の叫び声が響いてきた。皆が驚いて駆け付けると、そこには引き裂かれたブラウスを着た摩子が立っていて、手首からは血を滴らせながら与兵衛を殺した事を打ち明ける。摩子の話によれば与兵衛に乱暴されそうになり、無我夢中でナイフを刺してしまったのだという。摩子の行為は正当防衛となる可能性が高いが、与兵衛の妻・みねは和辻の名を穢さぬよう摩子の自首を禁じる。他の面々も誰からも愛される摩子を殺人犯にするのは反対だった。そこで鐘平が主導となり完全犯罪の工作を始めるのだが・・・。

 

原作は何度も実写化されるほど人気の高い作品であるため、後発のドラマほどその内容に手を入れてしまうものだが、このドラマは比較的原作に忠実に作成されている。エラリー・クイーンの悲劇四部作をもじったタイトルではあるが、『W』に深い意味を持たせており、単純に和辻家を舞台にした悲劇というのではなく、女性=Womanとするところが夏樹静らしさを発揮する点である。勿論、ストーリーは身内全員で行う完全犯罪が一転。完璧なはずの計画が何者かによって少しずつ風穴をあけられていくという思わぬ展開は秀逸のひとこと。そしてそこに悲しい女の性を交えて深みをもたらしている。

 

キャスティングは当時の旬の俳優陣を起用しており、今となっては懐かしい面々だが当時は豪華過ぎるキャスティングだったのは間違いない。その辺りにもこの名作にかける制作側の意志が伝わってくるようである。誰が主役とも言い切れぬ内容なのだが、本来主役となる家庭教師の春生の存在感が薄いのが難点と言えば難点だろう。また強いてあげれば誰からも愛される女性と言う摩子の魅力があまり出ていなかったように思える。事件が起きてから周囲が摩子を庇おうとする様子を見て愛されているのは判るが、やたらと春生が「誰からも愛される」と台詞で強調するのが不自然に思えてならなかった。そんな面はあるものの、最後に美味しい所を全部持って行ってしまう名取裕子の演技は圧巻である。

 

満足度は★★★★★

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殺意の果てに

  • 2017.07.29 Saturday
  • 12:55

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【出演】 加藤剛、竹下景子、荻島真一 他

【放送】 2001年(BSジャパン)

 

無実を訴えて15年間刑務所に服役したホームレスのために、弁護士が15年前の事件を洗い直す。原作は山村美紗著の『殺意のまつり』。

 

弁護士の笛木透は娘と帰宅する途中、少年達に襲われたホームレスの男を助け病院へ連れていく。しかし男が頑なに自分の正体を明かさなかったので、寝床を調べると飯島貢と記名された刑務所の刻印が入った六法全書が見つかった。飯島は飛騨高山で婦女暴行罪で刑務所に15年間服役していたのだ。15年前、飯島は電気家電の修理工として働いていたが、昼間から酒に溺れる人妻に同情して不倫関係になり、「死にたい」と漏らす彼女の首を絞めている。しかし飯島は止めをさせなかった。その後、彼女の夫が帰宅して死んでいる彼女を発見。その時飯島は仲間と飲んでいてアリバイがあったが、刑事の横暴な取り調べに屈して自白してしまっている。判決後、飯島は無実を訴え続けるも再審は認められず満期を迎えている。かつての教え子である貝塚美樹子に頼んで15年前の事件の詳細を知った笛木はもう一度事件を調べ始める。

 

殺人事件の真実を明らかにする事を目的とした内容ではあるのだが、何分にも事件が起きたのは15年も前の話で冤罪とは言え既に犯人とされた飯島は刑期を満了して出所しているのである。飯島にしてみれば犯人に仕立て上げられた悔しさはあるだろうし、真犯人が野放しになっているのも由々しき事態だと言わざるを得ないのだが、この真実を明らかにしたところで誰か救われるのかと言えば皆無であり、むしろそうする事で飯島を犯人と決めつけ冤罪を作り出した警察の体質が問われる事になるのである。このドラマは真実が明らかになった事ですっきりするというタイプの内容ではなく、何年時を経ようとも罪は無くならない事を訴えたかったように思える。

 

このドラマの一番の特徴は様々な事情が入り組んでいる事にある。例えば当時殺人事件を扱った警察署の署長は奇しくも笛木に賛同して協力した貝塚美樹子の父親であり、丁度その頃栄転の話が持ち上がっていた最中の出来事だった。部下達は早く事件を解決して署長の昇格の手土産にしてあげたいという上司を慕う気持ちを誰もが抱いていた。純粋な想いが誤った人間を犯人としてしまったのだが、根底にあるのが純粋な気持ちであるからこそ、自分たちの行為を悪と思わず反省する事もない。むしろ何故それを問題にするのかと当人達は怪訝な表情を見せる。第三者から見れば異様な光景であってもそこには閉ざされた世界での別の常識があるようなものである。当然ながら巻き込まれた側は堪ったものではないが・・・。

 

色々な事情が重なり合い、何一つ思うように進まない。このドラマを見ているとそんなやり切れなさばかりが目立ってしまう。世の中そんな物なのかも知れないが、もやもや感が残されるストーリーである。

 

満足度は★★★

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監察医・室生亜季子 震える顔

  • 2016.10.20 Thursday
  • 23:57

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【出演】 浜木綿子、池上季実子、三浦春馬 他

【放送】 2001年(日テレ)

 

小学生の少年が公園で殺人事件を目撃する。二か月後、工事現場で発見された白骨遺体はその時の被害者だった。火曜サスペンス劇場の人気シリーズ『女監察医・室生亜季子』シリーズ第三十弾!

 

川越で三代続いた開業医で地域の監察医を務める室生亜季子の元へ浜田警部が10歳の少年・水谷光太を連れてやってくる。話を聞くと光太は二か月程前に公園で殺人事件を目撃して以来体調がすぐれないらしい。亜季子はすぐにPTSDだと診断を下す。しかし母親は光太が嘘つきだと言って殺人事件を信じようとしない。光太は自分の話を浜田警部や亜季子が信じてくれたことが嬉しくて、翌日から学校の帰りに室生医院へ寄るようになる。そんな最中、川越扇河岸の工事現場で白骨遺体が発見される。亜季子の鑑定は四十代女性で扼殺された疑いあり。亜季子は身元を特定するために復顔法を適用する。ところが復元した顔は光太が書いた殺された女の似顔絵と瓜二つだった。

 

基本的には白骨化して発見された女性が誰に殺害されたかを亜季子と浜田警部が解き明かす筋道にはなっているものの、ミステリー要素は極めて薄い。むしろ何故そんな事件が発生したかそのそもそもの原因を探る内容がメインとなっている。人情派に拘っているせいだろうか。これまでにも似通ったストーリーがあったような気がする。あまり目新しさを感じる内容ではないのはパターンがマンネリ化しているせいなのだろう。

 

しかし光太の描いた似顔絵が上手過ぎる。幾ら絵が好きな少年の設定だとしても10歳の子供が人物を特定できるほどの似顔絵を描けるかどうか。この似顔絵は被害者を特定するキーになっているため判りやすくしたのかも知れないが、あれはやり過ぎである。

 

それはそうと光太役の三浦春馬がとにかく目を惹く。勿論何かと登場の多い役柄であるのもあるが、目鼻立ちがはっきりしていて表情がころころ変わりやすくインパクトがある。演技が固い部分もあるものの、昨今の演技指導をばっちり受けた芸達者な子役とは異なり子供らしく見えた。

 

満足度は★★★

橘朋実,愛絵理,YOSHIKI,澤近泰輔,藤本和則
エクスタシー
(2000-11-08)

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