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灰の降るイブ

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 高樹澪、古尾谷雅人、ガダルカナル・タカ 他

【放送】 1990年(フジ)

 

五年前の殺人事件だけで繋がった夫婦のそれぞれの思いが錯綜し、夫婦とは何かを追求するラブストーリー。原作は勝目梓著の『鹿児島灰の降る街』。

 

五年前のクリスマス・イヴの夜、相沢は道子を自分だけのものにするため、道子の情夫・本山隆二と話し合いに臨んでいた。しかし本山はヤクザで道子に男が出来たと判った途端道子に容赦なく暴行を加えるような非情な男で、この話し合いの席でも相沢の前で道子を見せしめのように辱めていた。激昂した相沢はつい本山を殴ってしまう。その後、相沢と道子は不慈森で本山の遺体を埋め、鹿児島を離れて夫婦生活を送ってきた。しかしいつしか二人の心は冷め、今や五年前の殺人の共犯者という関係だけで繋がっている夫婦となっていた。そんなある日、相沢は不慈森で白骨遺体が発見されたと報じた新聞の記事に目が留まる。不安に駆られた夫婦は白骨遺体が本山かどうか確認するため、吸い寄せられるように鹿児島へとやって来る。

 

目障りな人間を殺害して繋がった夫婦。確かにそれは特異な状況下におかれた二人と言えるだろうが、それを相沢は自分達だけが誰にも言えない秘密を抱えて結ばれた普通じゃない関係と位置付けている。五年前も、それから現在も。そして今ではその秘密だけが夫婦を結び付けている唯一の接点だと認識している。

 

それに対して道子はどちらかと言えば五年前の殺人事件に対して罪の意識は薄い。自分の手で殺害していないという面があるだろうが、あんなことは早く忘れて自分の今を生きるというのが道子のスタンスである。

 

そんな夫婦間の意識の違いが夫婦関係をぎくしゃくさせ、遺体を埋めた場所へ向かう間もお互いに腹の探り合いをしながら五年前を振り返っている。しかし夫婦間が壊れつつあるのはこういう普通でない夫婦だからなのだろうか?その答えを相沢が模索しながら夫婦とは何かを考えていくストーリーとなっている。

 

とは言うもののあれこれ悩んだ割には辿り着いた答えは至って平凡で、何故その事に気付けなかったのかが不思議なくらいである。おそらく相沢にとって人を殺した事実は正常な思考を妨げるほどの衝撃で、この五年間殺人を忘れるためにあらゆる意味で麻痺していたのかも知れない。

 

特別クライマックスシーンがあるわけでもなく淡々と相沢と道子の腹の探り合いで終了するドラマで、ラブストーリーと言っても甘い部分は微塵もない。退屈と言われれば言い返す言葉も見つからない平坦なドラマである。一つ言えるのはガダルカナル・タカは完全にキャスティングミス。ヤクザ役なのに迫力も怖さもない。ただ単にいやらしいだけのおっさんになってしまっている。

 

満足度は★★★

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銀色のフラスク

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【出演】 増田恵子、萩原流行、余貴美子 他

【放送】 1990年(フジ)

 

同じマンションの住人から毒入りウィスキーを渡されたOLが恋人の殺害を企てるサスペンス。原作は阿刀田高著の『銀色のフリスク』。

 

広告代理店『スカイデザイン』に勤務するOL・望月朝子は二年前に独立して個人事務所を持った西野に密かに想いを寄せていたが、西野には恋人がいて想いを打ち明けることが出来なかった。その後、偶然取引先で再会した西野は遺産相続で腹違いの弟との骨肉の争いで酷く心を病んでいた。朝子は恋人と別れたという西野の言葉を信じて付き合い始める。そんなある日、公園で同じマンションに住む須藤から朝子はウィスキー入りの瓶を渡される。強引に押し付けられて渋々持ち帰る朝子だったが、後日彼女からウィスキーに毒を入れたと聞かされ驚愕する。その一方で西野が別れた恋人とよりを戻したことを知って、朝子の心が乱れ始める。

 

西野を想う朝子の気持ちが鍵となるドラマで、生真面目で真剣な交際しか出来ない朝子に対して、西野は女性と付き合うことを軽視している遊び人。そんな全く相容れない恋愛観を持つ男女の恋の顛末を描くサスペンスドラマである。

 

ただオチとしてはやや弱いのが難点。阿刀田高の作品はオチに特に重点を置いていて、すとんと綺麗に落とす作品が多いだけに、このドラマのオチはイマイチ。脚本、或いは演出のせいだろうか?確かに意外性をついた内容ではあるものの、思わぬ段階でオチが判ってしまうのは頂けない。

 

それはともかくとして思い通りにいかない愛情にうだうだ悩み、自分の恋愛観を相手に押し付けるヒロインに共感できるか否かがこのドラマを楽しめるかどうかのネックになってくるのだが、あまり共感出来なかったのが本音である。というよりこのドラマではヒロインの心情が上手く伝わってこない。悩んでいる割には表面上はさばさばしている感じがして、本当に悩んでいるのか?と不思議に思う面がしばしば。オチのためにシチュエーションを作り上げた感じが滲み出ている。

 

満足度は★★★

中島みゆき,瀬尾一三
ポニーキャニオン
(1990-06-13)

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黒蜥蜴

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【出演】 小野寺昭、島田陽子、鳥越マリ 他

【放送】 1990年(TBS)

 

黒い蜥蜴の刺青がある美しい女怪盗・黒蜥蜴と名探偵明智小五郎の一騎打ち。原作は江戸川乱歩著の『黒蜥蜴』。

 

浜松で試合を終えて帰宅したプロボクサー・雨宮潤一を待ち受けていたのは内縁の妻と愛人が激しく愛し合う光景だった。逆上した雨宮は思わず二人を殺害し、自らの命も絶とうとする。しかしマダムと呼ばれる貴婦人に呼び止められ、一生マダムの奴隷になる代わりに新しい人生を生きるチャンスを与えられる。一方、明智探偵事務所では調布で男女二人が殺害された事件が早々と解決したと浪越警部が自慢していた。しかし明智小五郎は犯人の雨宮が車の中で黒焦げの遺体となって発見された事を疑問視していた。そんな最中、十億円で『ナイルの涙』と呼ばれる宝石を落札した岩瀬庄兵衛から娘の早苗を守って欲しいと依頼がある。実は岩瀬に『ナイルの星を渡せ。断れば孫の早苗を誘拐する』という内容の脅迫状が届いていたのである。

 

明智小五郎シリーズを紐解くと、明智小五郎と対峙した怪盗の中で同等に渡り合った怪盗は数少ない。その中でも黒蜥蜴なる女怪盗はその犯行手口もさることながら、美しく大胆で明智の心をも魅了してしまう非常に印象深い怪盗である。江戸川乱歩作品に登場する多くの犯罪者には何かしらのフェティシズム傾向が見られるが、黒蜥蜴も例外ではなく『美』に対するフェチ傾向が見られる。しかしその正体は原作ではあくまで不明とされてミステリアスな存在を貫いている。そうしなければどうしても俗っぽさを感じる事になる。

 

今回のドラマはその俗っぽさを敢えて導入している。彼女の悲しい過去や怪盗となった動機、そして彼女が患っている病や家族構成等々。勿論、怪盗黒蜥蜴として君臨している際はそれらを一切拭い捨てているものの、そういった彼女の事情を明智は最終的に全て明かしてしまう無粋な事をやってみせる。これによってより黒蜥蜴に人間らしさを持たせ、感情移入させやすくする効果はあるものの、それによって黒蜥蜴も所詮一人の女であると見せつけられてしまう事に抵抗を感じる。人の情に訴えるか、あくまで神秘性を求めるか、それは好みにもよるが、小野寺昭演じる明智が割合普通の人(キレがない)ので怪盗も俗っぽくても許されるのかも知れない。

 

古い作品を放送当時の背景で再現するためやはり改編が必要となる。このドラマでも例えばソファーを使用したトリックの際に端折ってしまったり、人間の剥製を技術提携している等の説明が入ったりと色々苦労の跡が見られる。しかしその一方で不自然に感じる部分も多かった。明智が雨宮の正体にいつ気付いたのか黒蜥蜴の協力者となった男をいきなり雨宮と断定してしまう等都合の悪い部分を端折って覆い隠したせいで、唐突な展開になる箇所がしばしば。また背景にいる変装した明智が画面から漏れないように画面が前面の被写体を無視して移動するのには笑ってしまった。

 

満足度は★★★★

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浅見光彦ミステリー 琵琶湖周航殺人歌

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【出演】 水谷豊、伊藤つかさ、名古屋章 他

【放送】 1990年(日テレ)

 

過去に琵琶湖で起きた痛ましい水難事故を追悼していた男達が次々殺害される。ルポライターが琵琶湖開発を巡って起きた連続殺人事件の謎に迫るトラベルミステリー。このドラマは火曜サスペンス劇場版浅見光彦シリーズ第八弾!原作は内田康夫著の『琵琶湖周航殺人歌』。尚、作者とのトラブルによりこのシリーズは打ち切りとなった。

 

兄の子供達とディズニーランドへ行く約束をしていた日、突然編集長からの命令でフリーのルポライター・浅見光彦は滋賀県大津市のホテルに宿泊する。ところが真下の部屋から男の歌声が聞こえてきてなかなか寝付けなかった。翌朝、その本人から謝罪があり、二人は和解する。翌朝、光彦は「琵琶湖の水を守る会」の会長・広岡の取材に行く。広岡は琵琶湖について熱く語るものの肺癌の末期で余命幾ばくもない体だった。広岡に代わって案内してくれた孫の順子と観光して戻って来ると、広岡は既に息絶えていた。警察の調べでは青酸性の毒物による死亡。事件当時家はしっかり戸締りされており、外から人が侵入した形跡が無い事から警察は自殺と断定する。ところが光彦がこれに異論を唱える。これは密室殺人だと・・・。

 

えーっ、どうしてこんな髪型にしちゃったの?

 

思わずそう言わずにいられないくらいヒロイン・広岡順子役の伊藤つかさの髪型が変!おまけに下膨れの輪郭がはっきり露わになってしまったせいで、どこから見ても完璧なオバサンにしか見えない。おそらく当時としては流行の髪型だったに違いない。ただ似合うかどうかの判断を誤ってしまったような気がする。

 

さてストーリーに目を向けると、浅見光彦シリーズは決してシリアスなストーリーでは無く、何かしら物悲しさの漂う事情や背景が存在し、それ故どんなに主人公がコミカルでも手放しでは笑えない雰囲気がある。このドラマも例外ではなく、お経代わりの琵琶湖哀歌だったり、過去の痛ましい水難事故だったり、そもそも殺人事件を扱っている内容なので笑い飛ばすのも変だが、常にテンション低めの独特の世界観の中で進んでいく。しかしトリックは昔から良く使われてきた密室トリックの引用だし、光彦の推理や発想も取り立てて素晴らしいわけでもない。それでも最後まで見てしまうのは、やはりドラマ全体の雰囲気に酔わせるからだろう。

 

満足度は★★★

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浅見光彦ミステリー 備後路殺人事件

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【出演】 水谷豊、丸山秀美、河原崎長一郎 他

【放送】 1990年(日テレ)

 

大学時代、無二の親友を失ったショックで記憶を失った女が記憶を辿る旅先で殺害された。彼女に好意を抱いていたルポライターが事件解明に乗り出すトラベルミステリー。このドラマは火曜サスペンス劇場版浅見光彦シリーズ第七弾!原作は内田康夫著の『後鳥羽伝説殺人事件』。

 

ルポライターの浅見光彦は義姉の和子から大学時代の後輩・正法寺美也子を紹介される。美也子は十年前に後鳥羽上皇の伝説を調べるための旅で台風に見舞われ、宿泊先の民宿の裏山が崩れて急死に一生を得ている。しかし一緒に旅をしていた親友は命を落とし、助けられなかった事を悔いていた。また親友を失ったショックで当時の記憶も喪失している。光彦は美也子に一度現場に行ってみるべきだとアドバイスする。ところが数日後、美也子は広島県備後線の三次駅で遺体となって発見される。光彦に東京へ戻る旨を電話で知らせた直後の出来事だった。光彦は早速車で広島へと向かう。

 

後鳥羽伝説殺人事件は探偵・浅見光彦が誕生するきっかけとなった作品で、浅見光彦が登場する最初の作品である。原作では台風の日に亡くなった祐子は光彦の妹であり、最初の被害者となる美也子が妹の友人という設定になっているのだが、このドラマでは台風の日に亡くなった祐子と光彦に面識はなく、美也子はいつの間にやら光彦の婚約者という扱いになっている。いわば恋人の弔い合戦のための事件介入というストーリーに改変されているのである。最初にこの作品をドラマ化するのならまだしも、中盤以降からのドラマ化であるため、今更妹の存在が明らかになるよりは恋愛感情故に事件解明に躍起になるという方が理解しやすいと判断したのだろう。但しこの作品は浅見光彦シリーズの中でも非常に印象深い秀逸なストーリーである。それだけに前後の流れや時代背景から改編はいたしかたないとしてもあまりテコ入れされたくない作品でもある。とは言え、最後の最後に判明する真実に驚愕するのは間違いない。

 

上記のような理由から光彦はたった一度会っただけの美也子に好意を抱いて婚約者を名乗って捜査に尽力するのだが、その割にはあまり恋愛感情を光彦から感じられない。飄々とした態度に一本調子の台詞回し。これが演じる水谷豊の個性でもあるわけなのだが、通常の捜査とは異なり恋愛絡みならばもう少し変化があっても良さそうである。ただ美也子を記憶を辿る旅に導いてしまった責任を感じて捜査に乗り出しただけとしても、台詞の中には美也子への愛情らしき言葉が混じっていて、にも関わらずそれ以上の感情が全く伝わってこない。水谷豊主演でこういう変化を期待する方が無謀なのだろうか?背景が背景だけにロボットに台詞を言わせただけの無機質な印象がいつも以上に濃く滲み出ている。

 

満足度は★★★★

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三角波

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【出演】 早見優、三浦浩一、山下規介 他

【放送】 1990年(フジ)

 

結婚を控えた女性が別の男性の存在が気になって結婚を躊躇ってしまう。原作は向田邦子著の『三角波』。このドラマは直木賞作家サスペンスの一遍として放送された。

 

中学生の頃、父親が三角波で遭難して以来不幸続きの幸田巻子は明光出版の編集長・緒方との結婚を控えていた。母親を交えての食事会の後、一人暮らしをしているアパートに戻るとウェディングドレスがずたずたに切り裂かれていた。直後、緒方の後輩である波多野から結婚に反対する電話がかかって来る。勤め先を寿退社した日、どうしても緒方との結婚に気が進まない巻子は結婚の延期を申し出るが、取り合っては貰えなかった。困り果てた巻子はアパートを訪ねて来た元同僚の小谷に本当の事を打ち明ける。実は巻子はいつしか波多野の視線が気になるようになり、夢にまで見るようになっていたのである。そんな中、突然何者かが鍵を開けて部屋に侵入してくる。

 

最初から何となく奇妙な関係を築く緒方と波多野。同じ会社に勤める先輩と後輩ではあるが、波多野は何かと緒方にこき使われて言いなりになっている。その波多野が時折見せる巻子への異様な視線に、巻子の心がざわつき出す。そしてとうとう緒方と結婚しない方が良いのではとまで考えるように。

 

ラストに大きなオチを抱えた興味深いストーリーではあるのだが、如何せん最後のオチの演出がイマイチ。波多野の真意を見せるあの場面はもっとインパクトのあるもので無ければ、せっかくのオチが台無しである。そのオチのためにそれまでのストーリーがあったと言っても過言では無いだけに、もう少し何とかならなかったのだろうか?

 

予期せぬ方向から波が押し寄せる事で出来る三角波。この波にのまれれば大型の船さえ真っ二つになると言う。このドラマは三角波に例えてマリッジブルーの女性が押し寄せる大きな障害を乗り越えられるか否かを問う内容になっている。但し共感出来るかどうかは微妙。幸せにしがみつくか、それとも自分の気持ちに正直になるか。最終的な決断は見ている側に判断を委ねた形でぼかしている。

 

満足度は★★★★

マラ・ゲッツ
ポニーキャニオン
(1989-11-21)

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海辺の骨

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【出演】 小川知子、萩原流行、氾文雀 他
【放送】 1990年(フジ)

私の全部を探し出して下さい。

幸せな結婚生活を送る主婦に突然かかってきた不気味な電話。海辺で発見された白骨の手首がはめていた指輪が自分の指輪と同じ物だと気付いた彼女の中に夫への不信感が芽生え始める。夫婦の愛情を問うサスペンス。原作は日下圭介。

千葉県幕張海岸で女性の左手首の白骨が発見された。他の部位の骨は無く、指にはめられた外国製のコブラの指輪だけが身元を示す手がかりだった。そんなニュースが報じられる頃、幕張市内に住む八住紗依子の通う生け花教室では藤崎清美という女性の話題がのぼっていた。清美とはもう一年も会っていないが、紗依子はいつも教室で彼女の視線を感じていた事を思い出す。その日、紗依子が帰宅すると、差出人不明の『海の埋まる日・幕張の三十年』という写真集が部屋の前に置かれていた。娘のりさに聞いてもまるで心当たりが無い。首を傾げていると「私の全部を探し出して下さい」と不気味な電話がかかってくる。

現在は埋立地という感覚もあまり無くなって来たが、浦安や幕張は元々は海を埋め立てて出来た埋立地である。このドラマは以前から千葉県の海辺で暮らしてきた人々の葛藤を背景に制作されたドラマである。ドラマ中何度も流れる石川セリの『八月の濡れた砂』が印象的で、唄っているのはビデオの中に残された清美なのだが、『私の夏は明日もつづく』の寂しげなフレーズが心だけは未だ海を引き摺って生きる地元の人々の心情を代弁しているかのように聞こえる。

ストーリーは八住水産の二代目社長と結婚して裕福で何不自由のない結婚生活を送る紗依子の幸せが揺らいだひと夏の経験を描いた内容となっている。白骨化した左手首が発見された事により明るみになっていく夫の不貞行為。それを目の当たりにして初めて紗依子は夫婦の在り方を見直していく。

結局の所、何か大きな進展があったわけでも無い。収まる所に収まったという結末でちょっとした波風で幸せな家庭が揺さぶられた程度の話である。むしろどんな事態にも全く動じない紗依子の方が不気味であり、恵まれた人生を歩む彼女が如何に他人に無関心であるかが浮き彫りにされる。それが彼女の罪とは言えないと思うが・・・。そのため全体的に盛り上がりには欠ける。

満足度は★★★
 
石川セリ,なかにし礼,井上陽水,荒井由実,みなみらんぼう,下田逸郎,松本隆,井上真介,村上透,かしぶち哲郎,吉岡オサム
ユニバーサル インターナショナル
(2003-11-26)

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斜陽の果て

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【出演】 小川真由美、美保純、石橋蓮司 他
【放送】 1990年(フジ)

鬼才の映画監督が再起をかけた映画の撮影中、主演女優が駅のホームから転落して列車の下敷きとなって死亡する。これは事故だったのか?それとも殺人だったのか?それぞれの思惑が錯綜するヒューマンドラマ。

男を巡る二人の女が火花を散らす映画『愛と死と』の撮影中、雪深い駅のホームから若手女優の左京みどりが足を滑らせて転落し、入って来た列車に轢かれて死亡する。警察は共演のベテラン女優・渥美さや子を殺人容疑で逮捕する。この映画は実力派映画監督・東堂欣也が再起をかけて企画制作した渾身の作品。制作前から女の情念がぶつかり合う激しさを表現するには渥美さや子と左京みどりの二人しかいないと東堂自らが熱弁をふるう力の入れようだった。実は東堂は映画にリアリティを持たせるためにわざと二人の愛人をキャスティングしたのである。公私ともにみどりと競い合っていたさや子に殺人容疑がかかる。

このドラマをサスペンスとして捉えると実に呆気ない事この上無いのだが、登場する人々の心情が非常に良く描かれており、ヒューマンドラマとして見るならば質の良いドラマである。自分の身を切り崩してでもリアリティを追求した映画監督からは全てをこの映画に賭ける男の執念の裏に今しか這い上がれない焦りが見られる。また刑事達は映画を作り物とあからさまに軽視する傾向にあり、映画制作に携わる人間を現実を直視しない人間と端から偏見を持って接している。その他の面々に関しても、それぞれのキャラクターが非常に立っており、決してオーバーになる事無く個性を持たせている。電話のやり取り一つにしてもそうした傾向が見られ、丁寧なドラマ作りがされているのが窺える。

それはそうとベテラン女優役の小川真由美の演技は圧巻である。勿論本人は女優であるのだが、ドラマの中では渥美さや子という本人とは全く別の女優を演じ切っているのが素晴らしい。劇中劇の際に見せる表情はどこまでも女優の表情で、ドラマの中でもオンオフがはっきりと判る。またクライマックスシーンでのみどり役の美保純との絡みでは、迫力満点。思いっきり見せてくれる。正直、この場面だけでも見る価値ありのドラマである。

満足度は★★★★★
 
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突堤に佇む女

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【出演】 古谷一行、長山藍子、岸部一徳 他
【放送】 1990年(フジ)

夫に蒸発され女手一つで息子を育てる寂しい女と女の夫を追いかけて民宿に宿泊する男の大人のラブストーリー。

佐賀県の小さな漁港で民宿ともしびを営む野田小夜子は一人息子の正彦を女手一つで育てていた。夫の正夫は正月に電話を寄越したきり行方不明。寂しさを他の男で紛らわせてはいるものの、どんなに周りから勧められても正彦のために籍を抜く気にはなれなかった。ある日、民宿にふらりと客・岩下勝が訪れる。岩下は小夜子が留守の間に壊れた看板を直してくれたり、正彦と遊んでくれたりと次第に小夜子は岩下に惹かれていく。そんな中、東京で手形詐欺を働いた正夫を追って暴力団が民宿に押しかけてくる。彼らに暴力を振るわれた小夜子を助けたのは岩下だった。小夜子は岩下にすっかり夢中になり、今度こそ夫を忘れて岩下についていく決心をするものの、小夜子が遊びで付き合っていた男の乱入により岩下は去ってしまう。

生まれ育った町で暮らすヒロインが夫を待ち続けるのはただこの町を出て行く勇気がないため。子供から父親を奪うのはしのびないという理由をつけてぐだぐだと今の生活を続けているが、本心は家族を捨てて逃亡生活を送る夫の事などどうでも良く、常に誰かが自分をここから連れ出してくれるのを待ち続けている。ヒロインが中年女性なので適当な男と男のいない寂しさを晴らす等少々堕落した感じに装ってはいるものの、所詮は白馬の王子の訪れを待ち焦がれる夢見る少女と変わらない。そこに佐用姫の逸話を絡めてヒロインを佐用姫の生まれ変わりような演出にしている。舞台が佐與姫神社の近くなので地元らしさを醸し出したのだろう。

このドラマのヒロインの行動はなかなか興味深いものがある。捨てられた夫に未練を残しているかと思えば、体目当てで寄って来る男と適当に遊んでしまう。岩下に好意を持ってからは岩下しか目に入らなくなり、宿泊客がいるのに民宿を放り出して朝帰りする無茶っぷりを発揮。一途な女性であるのは事実なのだろうが、その反面男無しでは生きられないタイプの女性でもある。

本来なら敵となるべき相手を知らずに愛してしまう下りは設定は違うものの松本清張著の『張込み』に準ずるものがあり、また日テレで火曜ワイド劇場の松本清張作品常連であった古谷一行が出演しているだけに余計に松本清張っぽさを感じてしまうドラマである。ラストはまあ予想通り。ヒロインを終始佐用姫になぞらえているので、悲恋に終わった佐用姫同様悲恋エンドであり、あれだけ盛り上がっていたヒロインの気持ちのやり場の無さにすっきりしないものを感じるのも事実。これを見るとこのドラマ全てが泡沫の夢で終わってしまう空しさを覚える。

満足度は★★★★
 
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トンネルに消えた・・・

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【出演】 藤田朋子、甲斐智枝美、西岡徳馬 他
【放送】 1990年(フジ)

十勝川付近のトンネルで女性が行方不明になる事件が起きる。事件の取材のためにトンネルに入った女性レポーターまでもが行方不明となり、事件に納得のいかないADが事件を調査し始める。原作は西村京太郎著の『トンネルに消えた・・・』。

テーマパーク『グリムパーク』に勤務する松下美恵子という女性が十勝川近辺の龍門トンネルに入ったのを最後に行方不明になった。JBPテレビのプロデューサー星野はトンネルを調査する特別番組を企画して、ADの戸田と百合を現地調査に派遣する。トンネル内を調べた所、トンネル内に扉があって更にその下の地下道へと続いていたが行き止まりでそこから消えたとは思えない。戸田は密かに美恵子はトンネルの中で車に連れ込まれたのではないかと睨んでいた。翌日、リポーターの浅井由美子らスタッフが揃っていよいよ撮影が開始される。カメラが回され由美子がトンネルの中へと入っていく。トンネルを抜けた先では星野や戸田が由美子の到着を待ってスタンバイしていた。ところが二十分経っても由美子は現れない。星野と戸田は慌ててトンネルの中を探したが由美子の姿はどこにもなかった。

トンネルを利用した人間消失劇のトリックをテレビ局のADが暴いていくストーリー。番組を企画したプロデューサーが視聴率重視でそのためなら何でもやってみせるという人物だった時点で、女性リポーターが消えた一件に何かしら絡んでいると想像がついてしまうので、謎が解明されても驚愕するような話では無いのだが、一時間枠に収めるには丁度良い内容だったと感じる。また視聴率優先のプロデューサーと誠実で人の心を大切にするADの静かな対立も、どちらに軍配が上がるのか見物だった。

トンネルは異次元へ通じる扉。

そう言いながらトンネルの中へと疾走するミステリアスなラストが最高。結局、どこにも行けずにただ通り過ぎるだけなのだろうけど、トンネルから抜けた先が眩くホワイトアウトしていく事で主演の二人の希望に満ちた未来を暗示しているかのようだった。何も言わない演出がなかなか憎い!

満足度は★★★★
 
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