牟田刑事官事件ファイル 女たちの殺人バー

  • 2013.04.06 Saturday
  • 00:06
JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 小林桂樹、平淑恵、谷隼人 他
【放送】 1985年(テレ朝)

牟田刑事官がパーティーで毒入りカクテルを飲まされた娘の事件に挑む。土曜ワイド劇場の人気シリーズ『牟田刑事官シリーズ』の第二弾!

休暇を釣りをして過ごしていた牟田刑事官は娘の君恵が勤めた旅行会社で社長がホールインワンを出した祝いにパーティーを開いていると聞いてぼやいていた。ところがその直後、君恵が倒れたと連絡が入って牟田刑事官は慌てて娘が搬送された病院へと向かう。嘔吐物を調べた所、ストリキニーネが検出されたため、君恵は毒入りカクテルを飲まされたと判明する。犯人逮捕に息巻く牟田刑事官だが、被害者が身内のため捜査から外されてしまう。

女にだらしない甘ちゃんの青年社長を巡って六人の女性達が登場するのだが、この女性陣の顔ぶれが何れも当時のサスペンスドラマには欠かせない女優陣ばかり。ストーリー云々以前に華やかな競演に魅せられる。おまけにイメージ通りのキャスティングが天晴だった。

冷静沈着な牟田刑事官と言っても人の親。大切な一人娘の事件となれば冷静さを欠いてしまい、ついつい余計な心配ばかりしてしまう。親しい間柄の男性がいると聞けば、その相手に直接会って品定めまでする有様。君恵は既に社会人。もう立派な大人であるのに、過保護ぶりも甚だしい。こんなお茶目さも牟田刑事官の魅力の一つと言えるだろう。

さてこのドラマでは犯人が取調室で犯行を告白する場面が非常に印象深く記憶に残る。不幸を絵に描いたような転落人生はありがちな内容ではあるものの、それを淡々と語る犯人の姿がやけに開き直っているように思えてならないのである。最初に視聴した時には自分の人生を諦めた犯人の言葉の一つ一つが胸に突き刺さったものだが、再放送では放送禁止用語が含まれているため音声が削られている。

満足度は★★★★

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有吉佐和子の三婆

  • 2013.02.18 Monday
  • 00:18
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【出演】 市原悦子、三ツ矢歌子、馬淵晴子 他
【放送】 1985年(フジ)

富豪の男が愛人宅で死亡した。残された妻と愛人と、そして男の姉が繰り広げる奇妙な同居生活を描いたホームコメディー。見栄と意地の張り合いの三人三様の女達を描く一方で、年老いていく人間の切なさをも織り込んでいる。

夫が亡くなったと聞いて松子は憤慨していた。三十年も傲慢で我儘な夫に連れ添ったと言うのに、夫が亡くなったのはよりによって愛人の駒代の家。しかも腹上死だと言う。こんな世間体の悪い死に方をしただけでも腹立たしいのに、何と駒代が遺産をよこせと押しかけて来た。更には夫の姉のタキまでもが押しかけてきて松子の怒りは頂点に達する。三人の女達はそれぞれ自分の権利を主張し一歩も譲らない。結局、決着が着くまで松子の住む家で三人が同居する羽目になる。

それぞれが個性豊かな女達で、それをベテランの女優陣が非常にコミカルに演じていて見ているだけでも笑いが込み上げてくる。とにかく引く事を知らない女達なので何か起こればすぐに衝突する。女の強かさも愚かさも全てをひっくるめて笑いに持って行ってしまうのは見事としか言いようがない。当時の時代背景に合わせてその時代に生きる女達を描いているので、今見ればあまりぴんと来ないかも知れないのだが、ぬか床を毎日掻き回す等その年齢の女性達にありがちな行動が逐一ユーモラスに割り当てられている点が素晴らしいドラマである。

しかし人間いつまでも若いままではいられない。女達が衝突するのはそれだけの元気があればの話である。やがて人は年老いていく。このドラマでは年老いていく寂しさも同時に描いていて、単なる女達のやり取りが全てのドラマではなくなっている。最後にその年老いた三人の姿が拝めるのだが、それがまた何と皮肉めいたラストを用意したものかと驚かされる。笑えると言えば笑えるし、だからと言って心の底から笑えるかと言えばそうではない。何とも微妙なラストではあるのだが、ある意味三人は幸せだったようにも思う。

満足度は★★★★

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わるいやつら

  • 2013.02.10 Sunday
  • 14:25
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【出演】 古谷一行、名取裕子、原田芳雄 他
【放送】 1985年(日テレ)

女を食い物にしている病院長の周囲で立て続けに人が死亡する。色欲に塗れた男と女の駆け引きを描くサスペンス。原作は松本清張著の『わるいやつら』。主題歌は岩崎宏美の『橋』だが、ドラマの中ではかつての火曜サスペンスの主題歌『聖母たちのララバイ』がピアノ演奏曲として流される。

父親の跡を継いで院長に就任した戸谷信一は病院の経営に興味を失くし、専ら裕福な女性達を金づるにして遊び歩いていた。病床の夫を抱える横武たつ子とは毒薬だと偽ってフェナセチン(風薬)を渡す代償に体を弄び、時に金を融通して貰う関係。会社社長夫人の藤島ちせとは自分に夢中であるのを良い事に彼女の骨董品を無断で持ち出している。また信一はファッションデザイナーの槙村隆子にも目をつけていた。そんな信一の行動を目敏く見張っているのが前院長の愛人だった看護婦長の寺島トヨで、学生の頃から関係のあったトヨにだけは身内のような感情が先に立って頭が上がらず、体の関係を迫られる事に嫌悪感を抱いていた。

女たらしの戸谷信一にとって、女を手玉に取る事等容易い。金のある女から金を引き出しては放蕩するのが信一の常套手段。女達はどうにかして信一を自分に引き留めておくかに躍起になり、ついつい信一の言いなりになってしまう。しかし信一が女性に対して威力を発揮するのは相手があくまで遊びの相手であり、本気の相手ではない。真剣な相手には強く出られない分だけ後手後手に回り、知らない内に手玉に取られているという流れが面白い。

ドラマの前半は傲慢さが目立つ信一だが、後半は信一がやり込められていく内容になっている。一体、誰が裏で手を引いているのか?怪しい人間はいるが、幾重にも張られたあまりに巧妙な罠は到底一般の人間に思いつけるものではない。何もかもを失った信一が知った衝撃の真実。全ての黒幕は信一の想像の範疇外にいた。ところで信一がラストで心境を語っているが、『悪い事をしたという気持ちは無かった。ただ損をしたという気持ちだけがあった』という台詞に信一の信一たる所以が表れている。一般の感覚では悪事だったとしても、彼にとってはほんのちょっとしたミスという感覚なのだとその表現の的確さに舌を巻いた。

満足度は★★★★★

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ガラスの家族

  • 2012.09.04 Tuesday
  • 10:03
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【出演】 樫山文枝、中山仁、児島美ゆき 他
【放送】 1985年(日テレ)

夫は浮気、妻は不倫、息子は非行!崩壊する家族を描いた異色サスペンス。

家に帰る途中、何者かに襲われレイプされかけた須原路子は何とか抵抗して事なきを得た。ところが家では路子の危機などお構いなしに長男と夫が仲良く将棋をさしていた。夫から軽口を叩かれて頭に来た路子は受験生の長男へ小言をぶつける。そんな中、夫の福岡への転勤が決まる。夫は家庭から解放される千載一遇のチャンスと喜び、路子もまた気の合う同僚から誘惑され悪い気はしなかった。ところが夫が単身赴任してからまもなく長男が煙草を吸って補導される。

高校受験を控えた子供はとかく神経質になりがち。長い目で見れば人生の中のほんの一部だろうが、実際にその渦中の子供達の心は不安でいっぱいで、そんな時に親からあれこれ煩く言われ、勉強しなければいけないのは判っていても受験期だからと抑制された環境では心がついていかず、つい逃避に走ってしまう子供もいる。

このドラマに登場する長男は受験に対する不安や苛つきを解消するため、現実逃避に走ったケース。顔を合わせれば母親は「塾に行きなさい」、「勉強しなさい」、「大学合格までの辛抱」だの、ただでさえ切羽詰まった本人の気持ちを無視して神経を逆撫でする言葉ばかりを並べる。受験地獄と騒がれていた時期の話だけに、母親は不安をつい言葉にして息子にぶつけてしまう。それが息子には励ましではなく攻撃にしかならないと言うのに・・・。

しかしそんな子供の受験の話で終わらないのがこのドラマ。やがて話は夫の浮気と、その報復に自らも浮気に走る路子の話へと発展する。ドラマを観ているとヒロインの路子は身勝手な女性に思えてならない。表向きは仕事と家庭を両立する主婦として過ごし、子供のいない専業主婦を家庭を守る以外に何も出来ないと見下しているようにも見える。しかし見方を変えれば路子の家庭に対する関心は非常に薄く、取り敢えず家事をこなし、母親として子供達に声をかけていればOKだと思っている。家族の気持ちより自分が一番なのである。言ってみれば家庭を崩壊させたのは浮気に走った夫ではなく、路子自身が招いた結果だと言える。

そんな家族に解決の糸口はあるのだろうか?

サスペンスというくらいなので勿論事件が発生する。但しこちらは非常にわかり易い事件で、わざわざ巻き込まれるように行動を起こす須原夫妻がどうもお間抜けに見えて仕方がない。また夫がどんな状況にも落ち着き過ぎているように思える。声が非常に落ち着いた声であるのもその要因だが、危機的状況と合っていない。その反面、家庭を大切に考えている感じは伝わってきた。無理矢理サスペンス展開には閉口するが、雨降って地固まるのストーリー展開は悪くは無かった。

満足度は★★★★
岩崎宏美
ビクターエンタテインメント
(1995-12-01)

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愛する妻への遺書

  • 2012.08.26 Sunday
  • 14:00
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【出演】 市毛良枝、篠田三郎、藤岡琢也 他
【放送】 1985年(日テレ)

堅物の夫が服毒自殺を図った。恋人のいる妻が恋人と協力して夫の死の真相を暴くミステリーサスペンス。

親族揃っての観劇から帰宅した原田牧子は、熱を出して一人で留守番をしていた慎二郎が自室で死亡しているのを発見する。慎二郎はベッドの上に仰向けに倒れ、肌蹴た胸には爪の跡が幾つも残っていた。警察の話では青酸性の毒物による服毒自殺だという。妻あての遺書もあった。牧子は美術鑑定家で大学教授を務める慎二郎に自殺はあり得ないと主張するが、慎二郎の兄・壮太郎には心当たりがあった。実は死ぬ五日前に慎二郎にある女子学生から手紙が届き、強姦・妊娠させたとして結婚を迫られていた。

このドラマを簡単に言うなら死者のお家騒動を次男の嫁が暴く話なのだが、当の嫁も別の男に心変わりしていて、それが原因で夫が自殺を図ったと思いたくなかったからという後ろ暗い気持ちから起こした行動。何とも救いようのない話である。嫁と恋人はプラトニックな関係のため不倫ではないと言い張っているものの夫を心で裏切った事には違いない。おまけにドラマ開始当初から悪人は悪人面をしているというミステリーとは言え、何とも判り易いドラマである。

さてドラマの焦点となっているのは真犯人が事故や自殺に見せかけて都合の悪い人物を殺害していくそのトリック。リトグラフという器具が存在するのは初耳(器具の存在は知っていたがリトグラフという名称だとは知らなかった)だが、その他は極めて原始的かつ王道のトリックである。しかもそれだけ精巧なトリックを実行したにも関わらず、指紋のついたグラスを庭に放置していたってあり得なくないだろうか?今でも二時間サスペンスには良く考えると笑ってしまう場面やシチュエーションが多々ある。しかし時間的な制限もあってそれでも強引に成り立たせてしまう所が凄い!

ミステリー面はともかくとして、ドラマは最終的にヒロインの牧子が思い悩む場面で終了する。事件は解決しても心の問題は未解決のまま。そうでなければ死者は浮かばれないが、何となく後味の悪いラストである。

満足度は★★★
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父にかかる電話

  • 2012.08.19 Sunday
  • 13:50
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【出演】 鶴田浩二、中井貴恵、田中隆三 他
【放送】 1985年(日テレ)

一本の間違い電話が定年間近の老刑事を罠に陥れる。幼児誘拐事件の背景に潜む復讐劇。原作は梓林太郎著の『父にかかる電話』。

三立商事専務の孫の誘拐事件が発生し、犯人から身代金を要求される。事件を担当した刑事の茂竹は早速現場へ向かおうとするが、その矢先、突然高桑光枝という女から子供を人質に立てこもっている男がいると通報が入る。彼女は茂竹が先日会った間違い電話の相手だった。光枝の目撃証言によれば子供は誘拐された子供と特徴が一致する。後輩刑事を伴って立てこもり現場へ直行した茂竹は、立てこもり犯が拳銃を持っていると聞いて裏口から侵入。暗闇の中に銃口が見えて後輩刑事が発砲。ところが灯りを点けると犯人の姿はなく、撃たれた子供が横たわっていた。

このドラマは一人の女の復讐劇を追う一方で、高度経済成長時代のサラリーマンの悲哀が溢れ出ているドラマである。終身雇用が当たり前の世の中。働き盛りの男達は会社に忠誠を尽くし、社内での地位に固執する。実際そういう男達がその時代には大勢いた。しかしその結末が家族にもたらす物は必ずしも幸福とは限らない。誘拐事件の背景にある復讐劇はそんな悲惨な結末を背負った女なのである。

女の刃は老刑事・茂竹へも飛び火する。あと五カ月で無傷の定年を迎える茂竹を誘惑し、利用し、転落させようと刃を剥く。憎悪と悲しみに閉ざされた女の心を茂竹がどう変えていくかが見所となっている。

それにしても中井貴恵は肌露出を極力避ける女優のようである。他のドラマや映画でもそうなのだが、せいぜい脱いでもロング丈のスリップ止まり。しかも肩紐が外れた程度で終わりとは・・・。その状況では明らかにもっと露出があってもおかしくない、むしろ露出していないと不自然なだけにどうしてもその部分が気になってしまう。

満足度は★★★★
岩崎宏美
ビクターエンタテインメント
(1995-12-01)

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母の証言

  • 2012.08.06 Monday
  • 01:53
JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 草笛光子、名古屋章、中谷一郎 他
【放送】 1985年(日テレ)

無実の息子を死に追いやった検事から証言を頼まれた母親の葛藤。子供を思う親の愛情が交錯するサスペンス。原作は麗羅著の『証言』。

スナック『サン』のママを勤める藤堂多紀子は常連客の本庄義明と男女の関係にあった。大学生の義明とは親子ほどの年の差はあるが、義明は本気だった。ある日、多紀子は冤罪を晴らした敏腕弁護士・松前三郎のニュースを見て愕然とする。松前は六年前に多紀子の息子に死刑を求刑した元検事。そのせいで息子は自殺していた。その夜、動揺した多紀子は部屋を訪ねた義明を追い返してしまう。ところがその直後、義明はGFの由加の殺害容疑で逮捕されてしまう。新聞でその事実を知った多紀子は義明のアリバイを証明しようと警察へ出向くが、義明の弁護士が松前で、しかも義明が松前の息子だと知って出頭を躊躇う。

通常、殺人事件を扱ったサスペンスドラマならば容疑者の無実を立証するために真犯人を見つけようと躍起になるものである。ところがこのドラマでは事件の真犯人が誰であるかは二の次で、ひたすら容疑者が無実であるためのアリバイを立証するためだけに話が進んでいく。

六年前の多紀子の息子の事件は、多紀子が身内というだけですべての証言は却下されてしまう。担当検事の松前は警察から提出された書類の内容のみを信頼し、あくまで息子が罪を犯した前提で話を進めていく。勿論検事とすればそれが仕事であり正義なのであるが、冤罪だと知る多紀子にとっては堪ったものではない。結果として失意のまま息子は自殺。ところが多紀子が松前の息子の無実を立証する唯一の証人となってしまうとは何という皮肉なのであろう。

六年前には多紀子の真実の訴えを警察は信じようともしなかった。それなのに松前を苦しめるための嘘は警察が大歓迎で信用する。警察は自分たちに有利な証言しか信用しない。つまり義明を犯人に仕立てたい警察は多紀子の嘘が有利なのである。

こんな不条理な状況下で多紀子が最終的にどんな証言をするのかがドラマの見所となっている。黙っていれば復讐が果たせる。しかしそれは同時に無実の人間に罪を着せる事になる。

最近は軽めのドラマばかりで、こうした不条理さを訴えるようなドラマは少なくなってしまった。現代には合っていない話かもしれないが、シリアスで心に訴えてくるような内容は後々記憶に残るものである。

満足度は★★★★★
テレビ主題歌,中村彩花,白井貴子,沢田知可子,高橋真梨子,石井明美,酒井法子,岩崎宏美,杉山清貴,柏原芳恵,真璃子
ビクターエンタテインメント
(1998-11-21)

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十七歳非行妻

  • 2012.06.03 Sunday
  • 12:40
JUGEMテーマ:日本のTVドラマ
 
【出演】 岩崎良美、清水善三、前田吟 他
【放送】 1985年(テレ朝)

非行に走った十七歳の少女が真実の愛に目覚め結婚。短い生涯を精一杯生きた彼女の半生を辿ったストーリー。

ドラマは美也が非行に走って堕落していく様子を描いた前半、そして最愛の人・龍と出会い、美也なりに必死に彼と共に生きようとする後半に大きく別れている。前半の非行に走るまでの経緯はそれなりに衝撃的ではあるものの、やはり傷つきやすい年頃の女の子が辿り易い所謂良くあるパターンであり、さほど目新しさはない。それに対して十七歳という若さながら結婚、妊娠、そして自分の短い余命を知らされる後半の方が遥かに内容が重く、それでも自暴自棄にならず今自分が出来る精一杯の生き方をしようと踏ん張る姿の方に重点の置かれて制作されている。

主演の岩崎良美は当時童顔のアイドルである上に甘ったるい声の持ち主。一生懸命悪ぶった役を演じてはいるものの非行少女役が本当に似合わなかった。威勢の良い啖呵や罵声を浴びせる場面も台詞は際どいはずなのにどこかほわほわした感じが漂い迫力がないのがどうしてもネックとなってしまう。

後半に入ると龍との出会いによって美也は更生していく。それでも最初の頃は言葉遣いは非行少女の頃のままで無理にそういう台詞を言わされている感じが強くて違和感がある。ただやっている事はやはり十七歳の少女なので年相応の可愛らしさが溢れていて、違和感しかなかった前半に比べればまだ見られる内容になってくる。真面目な大学生の龍に好かれようと慣れない家事を頑張る姿は本当に健気で可愛らしかった。良く大人が子供を更生させようというドラマがあるが、このドラマの場合、美也は自らの意思で更生しようと試みる。本来更生とはそういう自らの意思で行う事が望ましいとしみじみ感じた。

また美也が妊娠した直後に発覚する膝の悪性腫瘍。そこからの美也は十七歳とは思えないほどに逞しい。自分が何をしたいのか、自分が大切なものは何なのか、少しもぶれる事無く意志を貫く美也の強さは守りたいものを持った強さであると同時に、非行に走った時に身に着けた度量でもある。悲劇的な運命を前にしながらも幸せムードいっぱいのラストに胸が熱くなった。

満足度は★★★★
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京都人形寺殺人事件

  • 2012.05.14 Monday
  • 02:25
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【出演】 松尾嘉代、加賀まりこ、村井国夫 他
【放送】 1985年(テレ朝)

平凡な主婦が株に手を出したばかりに転落する様を描いたサスペンスドラマ。原作は山村美紗著の『人形寺殺人事件』。

平凡な主婦である由加子の夢はマイホームを手に入れる事。夫は海外赴任中、息子は大学生で一人暮らしを始めている。そんな中、由加子は主婦仲間から株を始めないかと誘われる。マイホーム費用の足しにしようとつい手を出してしまった由加子だが、儲かるどころか負債が増えていくばかり。しかし借金があるとは家族には口が裂けても言えない。借金取りに脅された由加子は強引に客を取らされる羽目に。

素人が株に出した所でそうそう儲かるものでもない。ギャンブルでも同じ事が言えるが、負債を出してしまった場合、取り返そうと再度チャレンジしようとすれば泥沼にはまっていく。そのため気が付いた時は手遅れという事も珍しくはない。このドラマのヒロインはその非常に良い例である。

さてそんな落ちぶれたヒロインだがとある裕福な家庭の婦人と出会った事から転機が訪れる。その婦人は何とヒロインに夫の子供を産んで欲しいと頼み込んできた。借金で売春を強要されていた由加子には婦人の報酬は非常に魅力的。話に飛びつく由加子だったが、うま過ぎる話には何かしら裏があるものである。救いの神はやがて由加子を更なる地獄へと突き落とす。

ヒロインが面白いように堕ちていく様は多少大袈裟かと思えるくらい無残なものだが、「馬鹿だな」と侮蔑するだけでなく、反面教師として心に刻んでおく方が良いのかも知れない。どこまでヒロインを苛めれば気が済むのかと問いたくなるような最後まで救いようのないストーリーは空恐ろしいの一言。ヒロインの絶望と怒りが狂気となって表れるラストでは主演の松尾嘉代が見事な熱演を見せている。

満足度は★★★★
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妖しい傷あとの美女

  • 2012.02.21 Tuesday
  • 01:23
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【出演】 天知茂、佳那晃子、中尾彬 他
【放送】 1985年(テレ朝)

天知茂扮する明智小五郎が難事件に挑む土曜ワイド劇場の人気シリーズ。主演の天知茂がこの年の夏に亡くなったため、このドラマが最後から二番目の作品となる。原作は江戸川乱歩著の『陰獣』。因みに原作には明智小五郎は登場しない。探偵役は推理小説家となっている。江戸川乱歩作品の中でも実写化された回数が非常に多いのが特徴でもある。

健康診断に行った明智小五郎はこっそり美術館を訪れていた。そこには喪服の美しい女性がいて、つい彼女に見とれていた明智は喪服の襟ぐりから赤黒い傷跡が覗いているのに気付く。彼女の名は小山田静子。先日ホテル小涌園の水中バレエショーの最中に心臓麻痺で命を落とした小山田洋子の義母である。実は静子は自宅に送られてきた奇妙な原稿を不審に思って明智に相談しようと明智の後をつけてきたのだった。原稿には『妖しい傷あとの美女』とタイトルが書かれており、そこには洋子の死を予告する内容が記載されていた。

正体不明の人間が書いた推理小説の内容がそのまま現実になっていく恐怖。予告殺人の謎に明智小五郎が挑んでいく。まるで『アンフェア』を彷彿するようなストーリーだが、勿論こちらが先駆者。

このドラマの見所と言えば何と言っても拘束された佳那晃子が鞭で打たれて悶え苦しむSMシーンだろう。明智小五郎シリーズではお約束のエロティックな場面の一つであるが、SM嗜好が炸裂するのは今回が初。しかもそれだけでは終わらないのがミソ。この変質的な愛の現場を屋根裏からじっと覗く覗き趣味も相まって、一種独特の異様な世界観を醸し出している。当時としては相当刺激の強いドラマであったのは言うまでもない。

しかし倒錯した世界だけがこのドラマの本質ではない事を敢えて書き添えておきたい。エロはエロとして存在するが本格ミステリーという要素もその中にしっかり共存しているのが魅力と言えるだろう。

満足度は★★★★★
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