三毛猫ホームズの駈落ち

  • 2013.05.02 Thursday
  • 13:57
JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 石立鉄男、あべ静江、山本紀彦 他
【放送】 1984年(テレ朝)

気弱で女性恐怖症で高所恐怖症の刑事とフィアンセのコンビが三毛猫が示すヒントを元に事件を解き明かす『三毛猫ホームズ』シリーズ第六弾!今回は相続人連続殺人事件の謎に挑む。原作は赤川次郎著の『三毛猫ホームズの駈落ち』。このドラマがシリーズ最後の作品になる。

警視庁捜査一課の刑事・片山は恋人の雪子とデートで映画『ロミオとジュリエット』を観に来ていた。すると映画館を出た二人の後を男の影が!どうやら男は誰かと二人を勘違いしている模様。ところがその夜、新聞の尋ね人の欄に父親が危篤で義太郎と雪子に呼びかける記事を発見する。片山の父親は既に他界しているし、雪子も父親と電話で話したばかりで心当たりがない。その頃、新聞広告を出した片岡修次郎の元に片山達をつけ回していた男が現れる。実は男は私立探偵で十二年前に駈落ちした義太郎&雪子の行方を追っていた。何と彼等は新潟の旧家の子息と令嬢で、二人合わせて17億円の遺産相続人だった。

新潟の旧家・片岡家の長男の義太郎と同じく山波家の娘・雪子の二人は現代版のロミオとジュリエット。互いにいがみ合う両家に生まれた二人は十七歳と十二歳の若さで駈落ち。しかしロマンティックな話はおとぎ話の中だけ。現実はそんな夢物語がいつまでも続くわけでもなく、莫大な遺産相続人である当の義太郎と雪子は成長と共にそれぞれ伴侶を見つけて幸せな生活を送っている。同年代で同姓同名の恋人達という設定には少々無理があるものの、シビアな現実を突きつけてくるのも赤川次郎なりのユーモアと言える。

流石に六作目ともなると片山と雪子のはちゃめちゃぶりも大分収まってくる。当初は判り易いオーバーリアクションやお約束の災難&ドジぶりが魅力だったが、片山は大分刑事らしい落ち着きを見せている。一方、以前は女子大生だった雪子の方はと言えば愛くるしさは相変わらずだが、隣の部屋に住んで生活の一部を片山家と共有する関係に発展している。片山の大前提である女性恐怖症の性格からは大分逸脱してしまっているが、こういうキャラクター設定でシリーズを進めてしまったので仕方がない所だろう。

笑ったのはホームズを病院へ連れて行く場面。看護婦に咎められて思わず「警察犬」ですと言い訳をするのはあまりに苦しい!こんな細部にもユーモアミステリーらしさが滲み出ているのは嬉しい限り。このドラマで『三毛猫ホームズ』シリーズが終了してしまうのは非常に惜しいが、やはり片山を演じる石立鉄男はこの役を演じるには年を取り過ぎている。シリーズ一作目から四年、丁度良い区切りだったのかも知れない。

それはそうと今になって見返してみると、この一作に導入されているトリックの数々は現在では通用しない物も多いが、それでも現在のミステリー作品の礎になっているのは否めない。奇抜なアイディアが生きる内容はユーモアだけに頼るミステリーではなく本格的なミステリーとしても十分通用する秀逸さを秘めている。そこが現代のライトミステリーとの大きな違いだろう。

満足度は★★★★★

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一年半待て

  • 2013.01.14 Monday
  • 01:36
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【出演】 小柳ルミ子、樹木希林、勝野洋 他
【放送】 1984年(日テレ)

夫殺害の完全犯罪を目論んだ女の誤算とは?ヒロインの手記のようなナレーションで語られる完全犯罪の記録。原作は松本清張著の『一年半待て』。

結婚して八年目を迎える須村さと子は専業主婦としての生活に満足していた。ある日、デパートで買い物をしているとばったり古い友人の脇田静代に出会う。喫茶店でお茶をする二人の横では著名な弁護士・高森たき子が取材を受けている。さと子はこの巡り合わせに運命的なものを感じずにはいられなかった。静代と別れた後、夫に連絡したさと子は会社が倒産したと告げられる。

仕事をしようともせず一日中家でごろごろしている堕落した夫に妻が愛想をつかせるのは当然の成り行き。特に生活のために妻が働き出せば尚更である。専業主婦だった頃には家庭こそが全てだったのに、外で働く事で視野は一気に広がっていく。そうなれば堕落した夫に寄り添うのも馬鹿馬鹿しくなるのも判らなくはない。まして夫は金を勝手に持ち出し、浮気をし、妻や子供に暴力を振るう。良くある話ではあるが条件としてこれ程悪条件の男からもっと好条件の男に乗り換えようと思うのは女の本能的な行動でもある。

しかしこのドラマの面白い所はこのヒロインが企てた夫殺害計画があまりにも上手く行きすぎてしまう点である。自分で何か手出しをしたわけではないが、彼女の立てた計画通りに夫が堕落していく。勿論、そこには夫の性格を良く知り抜いた彼女の狡猾な振る舞いがある。また彼女に転がされてしまうのは夫だけではない。昔の友人や弁護士までもが彼女の思惑通りの行動を自らとってしまうのである。ところがあくまでヒロインは平凡な主婦なのである。ただ少しばかり人の性格を読み取る術に長けていただけに過ぎない。それでもここまで人が思い通りに行動するのはある意味爽快でもある。

但しこのまま終わってしまったのでは面白くない。そこはちゃんと毒っ気が用意されている所がミソ。世の中そんなに甘くはないのである。

満足度は★★★★★

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不倫の子

  • 2012.06.05 Tuesday
  • 01:41
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【出演】 市毛良枝、山本圭、児島美ゆき 他
【放送】 1984年(テレ朝)

娘の戸籍謄本の父親の欄に前夫の名前が!娘の戸籍を巡る戸籍裁判の実録ドラマ。

娘が小学校に入学するため戸籍謄本を取り寄せた母親は父親の欄を目にして愕然とする。そこに書かれていたのは夫の名前ではなく、離婚した前夫の名前が書きこまれていた。

七年前、保険の外交員として働く女は夫との関係に悩んでいた。既に夫婦関係は破綻しており、ただ惰性で夫婦を続けている状態。思い余って信頼できる会社の上司に相談した女は、上司から言われた通り離婚に向けて準備を始める。問題だらけの夫との離婚は順調に思えたが、女と上司が一線を越えてしまった事から暗雲が立ち込める。

法律上、夫婦関係が破綻していたとしても、婚姻関係にある場合は妻に子供が出来ると自動的に夫が父親として記載される。それは不倫の子ではっきり父親が違うと判っている場合でも同じ処理が行われる。そうしなければ相続問題などややこしい問題が起こるためなのだが、何とも融通の利かない時代錯誤な法律である。この法律に則って子供の父親が決まるので、当然ながらこのドラマのようなケースでは生まれた娘の戸籍の父親の欄に前夫が記載されてしまう。

但し、あまりにも不用意じゃないかと思うのも事実。離婚が成立する前にムードに任せて不倫、妊娠って・・・。離婚に向けて用意周到に準備をしてきたにも関わらず、その行為だけで全て台無し。その上、七年間も娘の戸籍に前夫の名前が記載されている事に気付かなかったというのもあまりにも迂闊過ぎないだろうか?

まあ、そんなこんなで娘の戸籍上の父親を、本来の父親である今の夫に変更しようという訴えを起こし、裁判で前夫と争っていく軌跡を辿ったドラマとなっている。戸籍裁判がどれだけ難しいのかを示した一例として見るには良いサンプルになっているとは思う。

満足度は★★★★
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鬼龍院花子の生涯

  • 2012.02.29 Wednesday
  • 23:48
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【出演】 池上季実子、加賀まりこ、津川雅彦 他
【放送】 1984年(TBS)

侠客・鬼政とその娘の生涯を鬼政の家に貰われた養女の目を通して描いた宮尾登美子の名作文学『鬼龍院花子の生涯』の実写化。二年前に夏目雅子主演の同名映画が「なめたらいかんぜよ」の告知CMで話題となりヒットしている。このドラマは映画のヒットを受けて制作された。但し、映画程の迫力は無かった。

鬼龍院政五郎(通称:鬼政)は極道・鬼龍院一家を興した人物。跡取りとなる子供が出来なかった事から養子を貰う事にする。しかし連れてこられたのは念願の男児ではなく、松恵という少女だった。養女とは言え、鬼政の妻からは極道の娘として厳しく躾けられる。そんなある日、鬼政の妾が花子を生む。鬼政は実子である花子を溺愛し甘やかして育てる。

松恵がドラマの大部分を担っているため、花子は殆どドラマに登場しない。たまに登場しても遊女のような華やかな衣装を身に着け、我儘な側面が見られるだけと、存在感は皆無と言って良い。そのため原作では主体となっている鬼龍院家の繁栄や衰退が花子の生涯になぞらえている面があまり感じられない。むしろ花子は極道の家に生まれた被害者という意味合いが強く出ている。

おそらくテレビドラマという事で大分表現を和らげたせいもあるのだろう。映画版で見せたような迫力はイマイチ感じられず、また放送回数も少なかった事から急ぎ足でストーリーを追っていった感が強い。

さて最も印象に残る場面は鬼政の正妻が結核を患った場面。結核は感染するため患者は隔離されるのだが、鬼政は無情にも正妻の看病を松恵に命じる。松恵は自らも結核に蝕まれながらも養母である正妻の看病を見続ける。そんな最中、初めて養母が松恵の母親らしい姿を見せる。それまで厳しく接してきた養母の真の思いには心打たれる。

満足度は★★★★
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不良少女とよばれて

  • 2012.02.11 Saturday
  • 23:21
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【出演】 伊藤麻衣子、国広富之、伊藤かずえ 他
【放送】 1984年(TBS)

手に負えない不良少女が更生し、舞楽者としての道へ進むまでを描いた成長物語。制作は大映テレビで所謂大映ドラマの一つである。原作は原笙子著の自伝小説『不良少女とよばれて』。しかし設定や時代背景などはドラマ用にかなり改変され、ほぼオリジナルストーリーに近い内容となっている。尚、主題歌の『NEVER』を歌っているのはピンクレディー解散後のMIE。

曽我笙子は女だてらに関東の不良グループを統括する相模悪竜会の頂点に立つ札付きの不良少女。ある日、笙子は民間舞楽の名手・哲也と出会う。出会った瞬間から哲也は笙子が気になりだし、更生させようと働きかける。初めは哲也を鬱陶しく思っていた笙子だったが、どんな暴行にも負けず哲也の真剣な姿に心を開き始める。

当時まだあどけなさの残るベビーフェイスの伊藤麻衣子が清純派アイドルの殻を破ってまさかの不良少女役に挑戦している。不良少女と言えば前年に『積木くずし』が話題になっている。その影響なのか不良と言えばどぎつい化粧に派手なファッションが代名詞のようにこのドラマの中でも扱われ、まさかの伊藤麻衣子の扮装に唖然とさせられた。

ドラマでは笙子が舞楽者になるまでの道のりを数多くの障害と戦いの日々として描いている。婚約者のいる相手との恋愛であったり、不良同士の勢力争いであったりと非常に波乱に富んでいる。勿論、殆どがフィクションといって良い内容なのだが、その中でも伊藤かずえ演じるモナリザ(ドラマオリジナルキャラクター)の存在はこれぞ大映ドラマ!と言えるものだった。全ての不良に恐れられる影のボスであるモナリザ。存在感も抜群だが、それ以上に彼女の大映ドラマならではの台詞が後々の語り草にもなっている。ドラマを観ている時点ではあまり気にならないものの、後で振り返ってみると突っ込みどころ満載で大爆笑ものである。

満足度は★★★★
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家族ゲーム

  • 2011.12.14 Wednesday
  • 19:32
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【出演】 長渕剛、松田洋治、白川由美 他
【放送】 1984年(TBS)

破天荒な家庭教師と高校受験を控えた受験生が二人三脚で高校合格を目指すホームコメディー。昨年放送された『家族ゲーム』の人気を受けて制作されたテレビドラマオリジナルストーリー。原作は本間洋平著の『家族ゲーム』。出演者は前作から引き続いてキャスティングされているが、長渕剛演じる家庭教師以外は全てオリジナルキャラクターとなっている。

殿村和人は幼い頃から天童と呼ばれた成績優秀な少年で、父親の自慢の種だった。ところが中学三年生になった途端成績不振に陥り、それまで不動の学年1位の座を他の生徒に奪われてしまう。現実を受け止められない和人は癇癪を起こし暴れるようになっていく。そんな中、殿村家に家庭教師の吉本がやって来る。

設定は違うが大筋のストーリーは前作と同様、和人が高校に合格するまでの道のりを描いている。但し扱っている問題は前作と大幅に異なっている。今回のドラマでは落ちこぼれが努力して高校受験に挑むのではなく、成績不振に悩む優等生が高校受験に挑む内容になっている。

実はこの問題、結構切実である。優等生と呼ばれるくらいだから学校の勉強は十分理解している。それなのに何故か成績があがらない。特に中学三年の夏休みを迎えたあたりからこんな経験をした人も少なからずいるはず。というのもドラマの中でも語られているが、夏休み前になると部活動を卒業して受験勉強に本腰を入れる生徒は多い。そのためそれまでは勉強を疎かにしていた生徒達が一斉に成績を上げてくる。すると割を食うのはそれまで真面目に勉強してきた帰宅部の連中。ほんの小さなミスが命取りとなり一気に成績を落としてしまう。気が付いてから必死になっても体力的な差は如何ともし難い。

ついにはクラスの上位にも入れなくなった和人がどのように受験を乗り越えていくかがこのドラマの見どころとなっている。かなり極端な発想だが、和人が取った作戦は確かに最も和人に見合った作戦だったように思える。

勿論、前作同様和人が高校に合格して終了するドラマではなく、皮肉がたっぷり含まれたラストが用意されている。所詮、子供は親の思い通りにはならないものらしい。

満足度は★★★★★
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中卒・東大一直線 もう高校はいらない

  • 2011.04.27 Wednesday
  • 01:28
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【出演】 坂上忍、長塚京三、菅原文太 他
【放送】 1984年(TBS)

規則に縛られた中学校に馴染めない少年が大検を経て東大に合格するまでの道のりを、彼を支えた父親の手記を元に制作した実録ドラマ。原作は磯村懋(つとむ)の『奇跡の対話教育 高校へ行かないで、東大・京大へ合格するまでの記録』、『秀才をつくる家庭革命』。

公立中学の入学式の日、ずらりと顔を揃えた新入生の中でただ一人制服を着て来なかった磯田が教師の間で問題になる。磯田は何故制服を着なければならないのかが納得出来ず、私服で登校したのだが、これを重くみた担任の教諭は磯田を学校の規律を乱す問題児とみなして厳しく注意する。しかし磯田は翌日からも制服を着てくることはなかった。塾経営をしている磯田の父親は息子の気持ちを良く理解し、息子の肩を持つものの頑なに管理教育を強いる学校側に失望する。

当時の学校は今ほど生徒の個性を大切にはしていなかった。学校は集団教育の場として、特に公立の中学校では厳しい規則で生徒を縛り、全ての生徒に同じ行動を取らせることが良しとされていた。磯田少年は中学一年生でその現実に疑問を抱いた非常に早熟で賢い少年である。それは強烈な彼の個性であり、彼にとって災難だったのはその個性を受け止める度量が学校側になかったことだろう。

一見、磯田少年のサクセスストーリーのようにも見えるが、実はそうではない。確かに東大に合格したことでかつての担任教諭との戦いには勝ったかも知れないが、その分多くの犠牲を払っているのも事実。中学校の頃の友達は高校に入学し新しい生活が始まり、次第に彼のことを忘れていく。高校を受験しなかった磯田少年には新しく始まる生活はなく、友達だと思っていた同級生達に一人取り残されてしまう。

ドラマの中で強烈な印象として残ったのは磯田の同級生で家庭の事情で高校受験が出来なくなった生徒の通知表。当時通知表はクラスで何人が5で何人が4と枠が決まっていたので、高校に進学する生徒に全て配分するということが平然と行われていた。実際にそういった場面を目のあたりにしていただけに非常にリアリティを持って見ていたのを覚えている。

学校で良い成績を収めるだけが成功ではない。東大に入ることが人生の成功というわけではないが、このドラマが教育現場に与えた影響は大きい。教育とは何かを考えさせられるドラマである。

満足度は★★★★★
THE MODS,森山達也
エピックレコードジャパン
(2002-07-01)

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探偵物語

  • 2010.10.20 Wednesday
  • 00:00
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【出演】 渡辺典子、柄本明、馬渕晴子 他
【放送】 1984年(TBS)

お嬢様女子大生と彼女のボディーガードを務めた探偵のラブミステリー。原作は赤川次郎著の『探偵物語』。この作品はドラマ以前に映画化されており、薬師丸ひろ子と松田優作の身長差30センチの凸凹コンビが話題となった。ドラマ版は薬師丸ひろ子と共に『角川三人娘』の一人である渡辺典子が主演を務めている。因みに原作の『探偵物語』は二種類のバージョンがあり、元々は探偵が主役の短編小説だったが、映画化するにあたってお嬢様女子大生が登場する内容に書き下ろされている。一般に知られているのは後から書き下ろされた『探偵物語』の方である。

直美は両親と離れて日本の大邸宅で暮らすお嬢様。退屈な日々に飽き飽きして、常に刺激を求めていた。満たされない思いは結果としてお手伝いの君江に向けられ、毎朝困らせてやろうと反抗する始末。中年探偵の辻山が受けた依頼は直美のボディガード。渡米するまでの間、直美の身に危険が及ばないように監視する役目だが、このお嬢様は一筋縄でいくようなタイプでは無かった。

賛否両論はあるもののドラマ版の辻山は柄本明が原作のイメージ通りの探偵役を好演している。そもそも柄本明自身が原作のイメージに近い俳優であるので違和感が殆ど無い。個人的には映画版よりも親近感のあるこちらの辻山の方に好感が持てた。またまだ新人だった渡辺典子も生意気でやんちゃなお嬢様を好演している。二人のやり取りがコミカルで、もさっとした外見の柄本明はその存在自体に笑いをそそられる。こんな不釣り合いな二人が巻き込まれる事件のドタバタの中で恋に落ちていくというストーリーは如何にも赤川次郎作品らしい展開である。

このドラマの主題歌となったのは主演のお嬢様を演じた渡辺典子のデビュー曲『花の色』。歌詞の冒頭に百人一首の小野小町の歌の一部を引用しているのが印象的である。物悲しい恋の歌は何故か耳に残ってしまう。まるで主役の二人の切ない恋を象徴しているかのようだった。

満足度は★★★★
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さらば、夏の光よ

  • 2010.10.06 Wednesday
  • 01:00
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【出演】 柳沢慎吾、岡田奈々、五代高之 他
【放送】 1984年(TBS)

固い絆で結ばれた二人の男と彼らが愛した一人の女を巡る愛と友情の物語。原作は遠藤周作著の『さらば、夏の光よ』。夏の輝かしい太陽が差し込むオープニングが非常に印象的だったものの、ドラマは夏の爽やかさより物悲しい雰囲気に包まれている。尚、この作品は放送以前に郷ひろみ主演で映画化もされている。但し映画版のストーリーはドラマとはまるで異なっている。

野呂と南条は親友同士。積極的な性格で何をやっても秀でる南条に対して野呂はどん臭く消極的で見た目もあまり良くない。常に野呂は南条と自分を比較して劣等感に苛まれていた。そんな二人の前に現れた京子に二人は共に恋をするが、臆病な野呂は京子に自分の気持ちを打ち明ける事が出来ない。挙句の果てに親友の恋を応援する始末。そんな矢先、南条が命を落としてしまう。

劣等感の塊である野呂の視点でドラマは進んでいく。ドラマでは野呂の気持ちがナレーションとして流されるのだが、物事に対して常に悲観的に考える思考に閉口した覚えがある。自分に自信が無いから何も出来なくなる。臆病になる。どんなに明るい場面でも、その裏では負の螺旋に迷い込んだような野呂の心情や葛藤が働いていて、ナレーションが流れる度に一気に重苦しい場面に様変わりしてしまう。そんな野呂を野呂のイメージからは程遠い柳沢慎吾が演じているから面白い。

道が開けたと思えばそこには小さな石があって転んでしまう。このドラマに登場する三名は何れも幸せを掴んだとは言い難い。特に南条が亡くなってからの内容は、野呂と京子の微妙な心のすれ違いが最悪な結末を招いてしまう。何とも皮肉な展開である。しかしその皮肉さこそがこのドラマの魅力であり、目を見張るようなドラマチックなストーリーでは無いものの心理描写の豊かさによってドラマを感慨深いものへと変化させている。気が付けば思わず見入ってしまう何とも不思議な魅力を持つドラマである。

満足度は★★★★★
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禁断の実の美女

  • 2010.03.10 Wednesday
  • 00:05
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【出演】 天知茂、萬田久子、レオナルド熊 他
【放送】 1984年(テレ朝)

土曜ワイド劇場の人気シリーズである天知茂の明智小五郎シリーズの一作。原作は江戸川乱歩著の『人間椅子』。この小説は数ある江戸川乱歩作品の中でも秀逸の短編小説。原作には明智小五郎は登場せず、本編の大部分が主役女流作家の熱狂的なファンからの手紙という一風変わった構成になっている。

女に相手にされない醜男の唯一の楽しみは椅子に残った恋焦がれる女の温もりを味わうこと。有名な女流作家に男が相手にされるはずもなく、男の欲望は深まる一方。やがて男はとんでもない妙案を思いつく。それは自分がすっぽり入る椅子を作り上げ、その中に潜んで女の体を味わいながら一緒に暮らすことだった。

江戸川乱歩の世界と言うのはアブノーマルな嗜好へと走る傾向がある。この作品もその一つ。女の体に直接触れるのではなく、椅子という媒体を通して体の感触を密かに楽しむ事に喜びを覚える男の姿は正しくフェチシズムの世界。大概の女性からしてみれば本能的に目を背けたくなるような嫌悪感漂う変態であるのだが、こうした人間の心情に切り込むことこそが江戸川乱歩作品の真骨頂であるとも言える。

原作は非常に短く女流作家が手紙を読むだけの内容となっているのだが、勿論それだけでは明智小五郎が登場する隙もないので、ドラマでは原作を元に脚色したオリジナルストーリーとなっている。

変態男を演じているのは芸人のレオナルド熊。異色の起用ではあったが、幸か不幸か役柄とはぴったり合っていて、情けなくも自分の嗜好にまっしぐらの気色悪い男を見事に演じている。美女役の萬田久子とは対照的な容姿をしているだけに、その対比が凄まじい。

そうは言ってもこのドラマはあくまで明智小五郎がメインなのだが、変態男の印象が強過ぎて今回に限っては天下の明智も霞んでしまう。

満足度は★★★★
江戸川 乱歩
春陽堂書店
¥ 470
(1987-06)
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