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怪談 雪女

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 天地茂、村松英子、北見治一 他

【放送】 1970年(東京12チャンネル)

 

昔、雪女に出会った男が美しい女と結婚する。しかしその女は雪女だった。原作は小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)著の『雪女』。日本怪談劇場の第十三話として放送された。

 

父親と一緒に雪山に入った幼い巳之吉は山小屋で一夜を過ごした際に髪も服も真っ白な女が音もなく小屋に入って来て、父親の精気を吸い取るのを見てしまう。女は巳之吉にこの事を口外すれば命は無いと言って去って行った。時は流れ、父親の跡を継いで木こりとなった巳之吉はある日雪の中で行き倒れているお雪を発見する。家に連れ帰って看病した甲斐あって、お雪は回復し、やがて二人は愛し合い夫婦になると決める。しかし余所者のお雪を村人は快く思わず、唯一二人を応援したのは和尚だけだった。それから十年の歳月が流れ、二人の間には定吉という子供も生まれ、一家三人幸せに暮らしていた。しかし雪の季節を迎える度に落ち着きが無くなるお雪が自分や定吉を捨てて京へ行ってしまうのではないかと不安に駆られていた。お雪は夫婦になった時から変わらぬ若さを保ち、かつては似合いの夫婦と言われた巳之吉夫妻だが、今では親子にしか見えなくなっていたのだ。

 

『雪女』と言えば幼い頃絵本等で日本の昔話として読んだ記憶があるが、このドラマではその『雪女』の話をベースに巳之吉夫婦の葛藤を描いた大人のドラマに仕立ててある。『日本怪談劇場』で放送された他のドラマでは大幅にストーリー変更を行ったものや、出演者の関係で改変された物もある。しかしこのドラマの場合、本筋は全く変更せず、巳之吉が妻に疑問を抱いていく心情が非常に丁寧に描かれている。また山の中での話であるため、これまでのように時代劇のセットは使用されていない。まるで演劇を見ているかのような雪山の情景が如何にも日本の昔話風で、独特な味わいがある。

 

今も昔も夫婦に亀裂が入るのは些細な要因であるのは変わらない。このドラマは『雪女』の舞台を借りて、夫婦の何たるかを切々と説く人間ドラマである。最後はほろりと泣ける。タイトルに『怪談』の文字はあるが明らかにこれは怪談ではない。

 

満足度は★★★★★

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怪談 乳房の呪い

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 中山昭二、馬渕晴子、入川保則 他

【放送】 1970年(東京12チャンネル)

 

妻と不貞を働く弟子に殺害されたはずの絵師が死んだ後も仕事を仕上げるために絵を描き続ける。初代三遊亭圓朝の落語演目『怪談乳房榎』のテレビ実写化。日本怪談劇場の第十二話として放送された。

 

昔、松月院には『乳房の榎』と呼ばれる乳房の病や乳の出ない母親に効能があると噂される榎の古木があった。絵師・菱川重信は依頼を受けた南蔵院の天井に二匹の竜を描くと構想を萬屋新兵衛に話して聞かせていた。新兵衛はここで一度柳島の家に戻ってはどうかと進言する。実は重信には妻のきせと生まれたばかりの息子がいるのだ。しかし重信は信頼する弟子・磯貝浪江に自宅を任せてきたので大丈夫だと安心していた。まさか浪江ときせが深い仲になっているとは思いもせずに。赤子の世話をする女中のお花も二人の不貞を目撃していた。ある日、竹六が絵の具を届けに柳島の家へやって来る。竹六の話では重信が帰宅するのは来月の末らしい。それを良い事に家に泊まり込んだ浪江は重信を殺す計画を立てる。

 

浪江があまりに身勝手な酷い男なので殺された重信に復讐されるのは当然なのだが、この重信の復讐は興味深い事に浪江にのみ向けられている。そして殺人に手を貸した正介に関しては半ば浪江に脅迫されていた事もあり、重信に忠誠を示した事で復讐の対象からは外された模様。むしろ正介はその後の行いから信用に値すると思われたのかも知れない。幽霊が死んでから善悪を判断するのも面白い話である。

 

但し乳房の榎の絡みが非常に判り辛い。胸に出来物が出来てしまった等、本来はこちらがメインとなる話では無いかと思うのだが、浪江の悪行の影に隠れて印象が薄く、ドラマの前と後で導入された乳房の榎の話が浮いてしまったような感じになっている。

 

ところで幽霊の顔を白くするのは今も昔も変わらない。そういう感覚が一般に定着しているので、あまり違和感はないのだが、最後に現れたきせの顔だけはあまりに白くし過ぎて妙な感じである。幽霊であると示したかったのだろうが、幽霊の登場する際の演出がされていないので違和感があった。

 

満足度は★★★

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怪談 耳なし芳一

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 中村扇雀、田村奈巳、中村俊一 他

【放送】 1970年(東京12チャンネル)

 

平家の幽霊に魅入られた盲目の琵琶法師の悲劇。原作は小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)著の『耳なし芳一』。日本怪談劇場の第十一話として放送された。

 

諸国を巡っていた盲目の琵琶法師・芳一はとある海岸で行き倒れになっていた所を近くの阿弥陀寺の和尚・十念に救われ、以来阿弥陀寺の離れで逗留していた。ここ最近、芳一は決まって墓場に出掛けていく。そこでは美しい公家の娘・汀が芳一の琵琶の音を楽しみに待っているのだ。芳一は汀を心から慕っていた。ある日、海女の加代が寺を出て夫婦になって欲しいと申し出る。勿論、汀に心惹かれている芳一は即座に断り、近い内に京へ上る予定であると告げるが、加代は青白い顔をした汀がこの世の者では無いと言い張り諦めなかった。すると突然鬼火が現れ、加代を追い払う。鬼火は汀の仕業だった。しかし盲目の芳一には目の前で何が起こっているか判らない。その矢先、汀の使いと言って鎧武者が芳一を迎えに来る。実はあの墓場は平家一族の墓だった。

 

怪談と言うより日本の昔話として子供の世代にまで幅広く浸透している『耳なし芳一』は小泉八雲(出生名:パトリック・ラフカディオ・ハーン)の代表作。あまりに残忍な結末に子供には刺激の強過ぎる面もあるが、それはあくまで現代の感覚での話。そこには人間の人間故の不完全さや虚しさ、そして人間の心を失った怨霊の残忍さ等が秘められていて、とかく殺されたから恨みを晴らすと一本道になりがちの怪談の常識を破った破天荒さが光る秀作である。

 

このドラマの中盤、芳一が平家の幽霊の前で平家の栄枯盛衰を琵琶の奏でる音楽に乗せて切々と歌い上げる場面がある。これを短い場面で表現するのは非常に難しいため、ここでは浄瑠璃と実写を交互に絡めて平家の悲しい運命を表現する演出がなされている。紙芝居のように画面を切り替えて、平家滅亡の様子を物語のように印象付けていた。歌の内容が判らなくても十分物悲しさが伝わって来る演出は見事である。但し、海の映像の中に船によって出来た波紋と思われる波があったのが惜しまれる。船に乗って撮影したのがモロばれだった。

 

満足度は★★★★★

小泉 八雲,船木 裕
小学館
(2006-02)

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怪談 笠森お仙 幽霊茶屋

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【出演】 朝丘雪路、長谷川哲夫、高品格 他

【放送】 1970年(東京12チャンネル)

 

江戸三代美人の一人として評判だった実在する茶屋の看板娘をモデルとした復讐劇。河竹黙阿弥作の歌舞伎演目『怪談月笠森』のテレビドラマ化。日本怪談劇場の第十話として放送された。

 

火事の中、逃げ惑う家族があった。両親は迫りくる火の手から逃れるために二人の娘の手を繋いで必死に逃げていたが、姉だけが火の中に取り残されてしまう。あれから月日が経ち、妹のお仙は笠森稲荷にある『かぎ屋』で働く看板娘となっていた。生き別れになった姉・おきつと会えるよう願掛けをするのが日課となっている。一方、おきつは武士・今村丹三郎の屋敷で女中として仕えていた。ある日上役の佐藤金左衛門が丹三郎に縁談を持ってくる。しかし丹三郎はおきつと添い遂げると心に決めていて、縁談を断ってしまう。素性の知れない女と武士が夫婦になるなど言語道断。丹三郎は全てを捨てておきつと一緒に逃げる算段をしていたが、金左衛門に買収された使用人の市助の手引きでおきつは殺されてしまう。不思議な事にお仙はおきつの身に起きる不幸を夢で見ていた。

 

怪談なのに最後はハッピーエンドとは・・・。もしかしてこれは怪談と名前がついてはいるものの、実際にはお仙のラブストーリーなのでは?と思いたくなるくらい天晴なラストに複雑な心境になった。まあ、これはこれで良しとすべきなのだろう。それにしてもこの日本怪談劇場のシリーズはただ怪談話を放送するだけでなく、放送する順番にも拘っているのが続けて見ると良く判る。バラエティに富んでいて、意外性を常に仕掛けてくる点が秀逸である。

 

このドラマの主人公であるお仙は浮世絵のモデルもこなした人気者で、何でも関連グッズまで販売されていたというから驚きである。商魂逞しいと言うか何と言うか・・・。歌舞伎では気丈なお仙が自ら手を下して姉の恨みを晴らすストーリーになっている。もしかするとお仙は本当にそんな気丈な性格の女性だったのかも知れない。今となっては確かめる術も無いが・・・。但し、ドラマでは内容が改変されている。お仙が気丈な性格であるのは間違いないが、復讐を果たすのは別の人物。お仙の役割は強いてあげれば姉の死の真相を暴く探偵役である。真相を暴露する際、到底お仙が知り得るはずもない殺害動機まで口にするのはご愛敬と言った所だろうか。

 

満足度は★★★★

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怪談 宵宮雨

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【出演】 中村勘三郎、伊藤雄之助、市川和子 他

【放送】 1970年(東京12チャンネル)

 

伯父の財産を手に入れるために伯父を殺害した強欲な男が伯父の幽霊に復讐される復讐劇。原作は宇野信夫著の『巷談宵宮雨』。日本怪談劇場の第九話として放送された。

 

日本橋で晒しものになっている罪人の傍に女の幽霊が出ると噂になっていた。その罪人は竜達という破戒僧で、甥っ子の太十が身柄を引き取っていった。肉親の情からではなく、竜達の隠し持っている金が目当てだった。長屋で暮らすようになってからも竜達の傍には女の幽霊が度々現れるようになる。竜達の話では寺で首をくくった後家・おえんの幽霊らしい。そんなある日、竜達は太十に寺の庭に隠した百両を持って来てほしいと頼む。太十が苦労して金を持って帰ったものの、竜達が駄賃として寄越したのはたった二両だけ。流石に腹を立てた太十は二両を竜達に叩きつけ、竜達が花屋の女に産ませたおとらの面倒まで看ているのだから、その養育費として三十両は出せと言っても、竜達は頑として金を出そうとはしなかった。

 

日本怪談劇場の中でも珍しいコミカルな怪談話。そもそも被害者となる竜達が一癖も二癖もありそうな晒しものになっていた罪人であり、加害者となる太十も伯父と甥の関係だけあって金に執着する所は良く似ている。この調子なら放っておいても何らかのお咎めがありそうな二人ではあるが、事もあろうにこの二人の間で金を巡るトラブルが起きてしまったのだから、もう結果は火を見るより明らかな話である。

 

ところが普通なら幽霊が登場した時点で恐怖を感じるはずなのだが、このドラマはそうじゃない。晒しものにされていた時点から何故か竜達はおえんの幽霊に好かれており、しかもおえんは幽霊でありながら長屋暮らしが始まると太十の女房と話をする程のフレンドリーさを持ち合わせている。どうやらこのドラマの幽霊は非常に軽い扱いになっているらしい。こうなると当然後から恨みを抱いて登場する竜達の幽霊さえもどこかコミカルで、顔は毒のせいで腫れ上がった血塗れの状態なのに、まるで場にそぐわぬ子泣き爺が笑いを取るために登場したかのような気分にさせられる。

 

まあ、悪人同士が揉めているので好きにやらせておけば良いくらいの気持ちで見られるライトなドラマだった。

 

満足度は★★★★

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怪談 首斬り浅右エ門

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【出演】 栗塚旭、長谷川稀世、信欣三 他

【放送】 1970年(東京12チャンネル)

 

怨霊に取り憑かれた首斬り役人の悲劇。このドラマは日本怪談劇場の第八話として放送された。

 

牢屋敷では今まさに斬首刑が行われようとしていた。介錯を任されるのは山田浅右エ門。お役目とは言え、囚人の首を斬る事で金を得る行為は浅右エ門にとって苦痛だったが、同僚達は『首斬り役人』と陰口を叩いていた。ある日、帰宅した浅右エ門は川で死にかけた女を助ける。彼女はかつて浅右エ門を裏切って友人の小栗新之助と夫婦になった元恋人のおようだった。後から家を訪ねてきた役人からおようが心中を計ったと聞き、咄嗟に浅右エ門はおようが顔見知りだと嘘をついて助ける。翌日、囚人の女がおように見えた浅右エ門は手元が狂って首を斬り落とす事が出来なかった。その日を境に浅右エ門はこれまで斬首した者達の霊に悩まされる事になる。

 

昔から伝えられた怪談話と異なり、この怪談に関しては脚本家の宮川一郎が書き下ろした作品。これまでの作風に比べて内容が比較的新しい感覚で書かれている。確かに斬首された者達が怨霊となって登場するので幽霊話にはなっているものの、その幽霊が執念深く呪い続けるという類の話でもない。恐怖よりもむしろ浅右エ門の不幸な転落人生を描いたもので、本人の意図しない事でどんどん状況が悪い方へと転じていく浅右エ門の恐怖を怪談と称しているように思えた。

 

浅右エ門があまりの厳しい処分に人間扱いされない事を嘆く場面がある。ドラマとしては成立しているものの、この時代を生きた人間がそんな台詞を吐く事に疑問を持った。

 

さて江戸時代の心中に関して。おようは心中を計ったものの一人生き残ってしまった。その場合、生き残った者は罪人扱いで、このおように科せられた刑罰は日本橋で三日さらされた後、廓で一生奉公。死ぬ事も逃げる事も許されないと言う。この時代、誰しもが自由を与えられているわけではない。特に金で縛られている者に心中されては雇っている側にとっては目も当てられない。だから心中を罪と定めたのだろうが、厳しい処分である。それにしてもおようが浅右エ門にとって疫病神であるのは間違いないが・・・。

 

満足度は★★★

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四谷怪談 〜水草の巻〜

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【出演】 田村高広、嵯峨京子、榊ひろみ 他

【放送】 1970年(東京12チャンネル)

 

『四谷怪談〜稲妻の巻〜』の続編。斬り殺された女が幽霊となって夫に身の潔白を訴える。四代目鶴屋南北の歌舞伎狂言『東海道四谷怪談』のテレビドラマ化。日本怪談劇場の第七話として放送された。

 

お岩とお岩の妹の夫・小仏小平を斬り殺した民谷伊右衛門はお岩の顔の変貌を疑問に思うが、直助権兵衛は不貞を働いた罰が当たったと平然と嘘をつく。これでもう後戻りできなくなった伊右衛門はお梅と祝言を挙げる。ところが祝言の最中にお岩の幽霊を見た伊右衛門は気もそぞろになり、その夜、伊右衛門への想いを語るお梅がお岩に見えて斬り殺してしまう。また娘の一大事に駆け付けた伊藤屋の主人さえも伊右衛門には小平に見えて斬り殺す。庭には二つの人魂が語り掛けるように漂い、自分の潔白を信じてと訴える。伊右衛門はようやく自分の非を認めて謝罪する。一方、お岩の妹・お袖は小平の生前から情を通じていた男と一緒に暮らしていたが、売られていたお岩の着物に血の染みがあった事からお岩が濡れ衣を着せられて殺されたと気付く。

 

悪の根源であるのは直助権兵衛に違いないのだが、幽霊のお岩や小平自身が復讐を遂げていない点がこのドラマのミソ。幽霊が復讐を果たすのではなく、自分の潔白を訴えて真の悪人を生きている人間に伝える役割のみをこなしている。そのため復讐を果たすのは、騙されてお岩を殺した伊右衛門になる。

 

また伊右衛門と並行して重要な位置づけがされているお袖だが、こちらは一切お咎めなし。男がなければ生きていけないという性分の女の設定になっているため、夫の生前から夫以外の男と情を通じていてもあまり罪悪の対象にはならないのかも知れない。元夫の小平もお袖と夫婦になっておきながらお岩に惚れていたし、お袖と小平はある意味似た者同士だったのだろう。小平が殺されてからも意外とさばさばしていて、あっけらかんと他の男と夫婦になったお袖に不思議と嫌悪感が湧かない。しかも意外な事に生前は姉のお岩に苦言を吐いてはいたものの、死後は情の深さを存分に発揮し、お岩を弔い自ら復讐を決意する姿勢を見せている。前編はただの男狂いのお袖が、後編では姉想いの女に様変わりしているのが印象的だった。むしろお袖は立ち回りが上手いだけなのかも知れない。

 

後編は怖いと言うよりはお岩が如何に生前良い女だったかを印象付けるようなストーリーである。ぬっと白い手が現れて足を掴んだりと恐怖を煽るような演出はあったものの、前編のお岩の顔の怖さに比べればさほどの恐怖はなく、怪談めいた怖さを孕みつつ夫婦の情や肉親の情に着目した人間ドラマになっている。それもまた興味深い。

 

満足度は★★★★

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四谷怪談 〜稲妻の巻〜

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【出演】 田村高広、嵯峨京子、榊ひろみ 他

【放送】 1970年(東京12チャンネル)

 

賭博場に入り浸る浪人を呉服問屋に婿入りさせて甘い汁を吸うための悪しき企み。四代目鶴屋南北の歌舞伎狂言『東海道四谷怪談』のテレビドラマ化。日本怪談劇場の第六話として放送された。

 

浪人・民谷伊右衛門は元旗本だが濡れ衣を着せられて傘貼りでかろうじて食を繋ぐ貧しい生活に身を落としていた。毎日賭博場に入り浸っては妻のお岩に八つ当たりしている。ある日、伊右衛門の色男ぶりに目をつけた賭博仲間の直助権兵衛はとある芝居をうつ。呉服問屋『伊藤屋』の小町娘・お梅を手下に襲わせ、伊右衛門がお梅を助けるように仕向けたのだ。思惑は的中しお梅は伊右衛門に惚れ込んでしまう。権兵衛の狙いは伊右衛門を伊藤屋の婿にして甘い汁を吸う事だったのである。一方、伊右衛門に突き飛ばされたせいで、子供が流れ、顔に大火傷を負ってしまったお岩は夫に合わせる顔が無いと悲観に暮れていた。

 

時代劇の怪談の中でも最も有名なのがこのドラマの原作となった『東海道四谷怪談』(或いは『四谷怪談』)だろう。妻がある身でありながら呉服問屋に婿入りして優雅な生活を夢見た浪人が、罪のない妻に地獄のような苦しみを与えた挙句殺してしまうというストーリーはあまりにも有名で、単純明快で判りやすい展開に目の上に大きな瘤を作ったお岩の強烈な顔の絶大なインパクトで誰にでもすんなり頭に入って来る。

 

このドラマはその前編。顔の爛れたお岩を化け物だと思って伊右衛門が斬り殺してしまうまでの話になっている。但し伊右衛門にはお岩に対して愛情がないわけではなく、冷たくするのも単に貧しい生活に嫌気がさして八つ当たりしているだけの話。何しろお岩のために一度はお梅との縁談を断っているくらいである。前後編になっているだけに話が飛躍する事無く、非常に丁寧なシナリオになっているのに好感を持った。

 

それにしても劇薬を塗ったお岩の顔が有り得ないくらいに醜く歪んでいるのにやり過ぎ感がひしひし。幾ら何でも目がそのまま流れて下に落ちる事は無いと思うのだが・・・。お岩の演出に気合いが入り過ぎである。

 

満足度は★★★★★

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怪談 皿屋敷

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【出演】 若林豪、波野久里子、島田正吾 他

【放送】 1970年(東京12チャンネル)

 

弟の許嫁に横恋慕した旗本が皿を失くした責任を押し付けて手籠めにする。無残にも仲を引き裂かれた男女が怨念となって復讐する。為永太郎兵衛作の浄瑠璃『播州皿屋鋪』。日本怪談劇場の第五話として放送された。

 

伊勢参りの帰り、掛川宿で町奴の船瀬三平は不吉な夢を見る。それは幼馴染みで許嫁のお菊が皿を数えている夢で、こちらを振り返ったお菊の顔は真っ青で口から血を滴らせていた。髪から落ちた櫛は確かにお菊の櫛で間違いない。うなされて起きた三平に、一緒に旅をしていた蟻助は三平の腹違いの兄で旗本の青山主膳の屋敷に行儀見習いに行っているお菊に間違いがあるわけないと諭すも、三平は不安に駆られる一方だった。しかし三平の不安は的中し、その頃主膳は十枚組の皿の一枚を隠し、その責任をお菊に押し付けて手籠めにしていたのだ。江戸に戻った三平は早速お菊を迎えに行くが、門前払いされてしまう。一方、念願かなってお菊を妾にしたものの、頑として反抗的な態度をとるお菊に業を煮やした主膳は、三平に毒を盛って殺してしまう。儀助もまた主膳の手先だった。

 

数ある怪談の中でも恨めしそうに皿の数を数えるお菊の怪談は非常に有名で、バラエティー番組等でもこの怪談をモチーフにしたコントなどにも取り上げられるほどである。ただその元ネタとなった皿屋敷の怪談には色々バリエーションがあるようで、特に知られているのが姫路を舞台にした『播州皿屋鋪』と江戸を舞台にした『番町皿屋敷』。このドラマではその二つの怪談を組み合わせて、更に脚色した内容となっている。

 

多くの怪談話は大抵殺された人間が幽霊となって復讐する流れになっており、例に漏れず皿屋敷の話も本来はそうなっている。ところがこのドラマではお菊が生きたまま死を覚悟して復讐する話に改編されている。本来であればお菊は皿が一枚無くなった直後に死亡するストーリーであるのだが、このドラマではお菊が死ぬのはもっとずっと後の話。むしろその時点で命を落としていたら、お菊はもっと救われたのではないかと思える程の凄まじい鬼畜物語へと変貌している。

 

特に首謀者である青山主膳の鬼畜ぶりには戦慄する。何しろこのお方は人を甚振る事に喜びを覚えるタイプの人間の典型で、自害しようとしたお菊を慰み者にしたばかりか、井戸に吊るして何度も落としたり引き上げたり。井戸がどの程度深い井戸かは知らないが、何度落とされても生きているお菊のタフさにも震えが走った。

 

制作側の力の入れようがひしひしと伝わって来る秀作である。

 

満足度は★★★★★

横山 泰子,飯倉 義之,今井 秀和,久留島 元,鷲羽 大介,広坂 朋信
白澤社
(2015-07)

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怪談 宇津谷峠

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【出演】 沢村精四郎、御木本伸介、伊吹吾郎 他

【放送】 1970年(東京12チャンネル)

 

恩義のために人を斬り殺して百両を奪った男の数奇な運命を描いた怪談。原作は河竹黙阿彌作の歌舞伎演目『蔦紅葉宇都谷峠』。日本怪談劇場の第四話として放送された。

 

子供の頃から恩義のある尾花六郎左衛門が百両の穴を空けてしまったため、その金策に上方へ向かった十兵衛だったが、百両を用立てる事は出来なかった。江戸からわざわざ迎えに来てくれた六郎左衛門を落胆させる結果になり、気落ちして近くの宿『鞠子宿』へ泊まる。そこでは京へ向かう按摩の文弥と陽気な商人の男が相部屋となる。ところがその夜、部屋に泥棒が押し入り、文弥が泥棒に三日も前からつけ狙われていた事が判る。この先は薄暗い宇津谷峠。物騒なので十兵衛が親切心から同行すると申し出る。峠を歩いている最中、文弥が座頭の官位を手に入れるために百両を持っていると聞いた十兵衛は何とか百両を貸して欲しいと頭を下げるが、姉が身売りしてこしらえた金を文弥が手放すはずもなかった。つい出来心で文弥を斬り殺し、百両を奪って逃走する。

 

一言で言えば斬り殺された按摩が幽霊となって十兵衛に報復するという単純明快な話ではあるものの、それを軸に十兵衛が決して根っからの悪人ではなく、恩義に厚い人物であるからこそ悪事に走ってしまったという偏に十兵衛を憎めない人物に仕立てて話を膨らませている。しかし皮肉な事に、十兵衛の苦労も恩人に報いる事無く終わってしまい、結局金は別の目的に使ってしまう。但し百両を用意出来なくて困っている人間の前に百両を持った人間がたまたま同じ宿で相部屋になるという偶然はあまりに都合良過ぎる感じがする。この時代の話は往々にしてそういった傾向があるのは事実なのだが・・・。

 

ところで文弥が自分を斬り殺した十兵衛に復讐を果たしてめでたしめでたしで良いのだろうかと疑問を覚える。すったもんだの末、一番貧乏くじをひいたのは他でも無い文弥の姉なのである。失明し原因不明の病で床に伏し、十兵衛がいなければ生きてはいけない体であるのに、文弥はこの姉の事など少しも考えずにただ十兵衛の命を奪う事だけを考えている。これはもう幽霊と言うより怨霊。要するに自分の気持ちさえ晴れれば後はどうなれどこ吹く風というスタンスなのである。この結末は正直な所、あまり賛同出来ない結末だった。

 

悪人は悪人。どんな善行を働こうとも罪は決して消える事は無く一生ついて回る。許される事など無い。そんな身も蓋も無い言葉が聞こえて来そうなストーリーだった。

 

満足度は★★★

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