時効警察・復活スペシャル

  • 2019.10.16 Wednesday
  • 10:31

【出演】 オダギリジョー、武田真治、麻生久美子 他

【放送】 2019年(テレ朝)

 

12年ぶりに時効警察が帰って来た。時効が成立した事件を趣味で捜査する刑事が二十四年前に発生したガソリンスタンド火災事件の謎を解き明かす。連ドラスタート前の復習と宣伝を兼ねてのスペシャルドラマ。

 

時効が成立した事件に興味を持ち、趣味で捜査する男・霧山修一朗が日本に帰国した。彼は十二年前にFBIに派遣され、それ以来日本に帰る事は無かったが、いきなり元いた部署・総武警察署の時効管理課にふらっと現れたのである。当時この部署にいた頃もむさ苦しかったが、アメリカでの生活により頭と髭が繋がるくらいに伸びており、同僚達はあまりの見た目の変化に霧山だとなかなか気づいてはくれなかった。今や重大犯罪の時効は撤廃され霧山が興味を持ちそうな事件はそうそう起きなくなっている。それでも時効管理課は細々と部署を続けていた。そんな中、交通課の三日月しずかがやって来る。むさ苦しい身なりの霧山を見るなり、三日月はそれが霧山である事を見抜く。実はこの二人、十二年前はいい雰囲気になりかけていたのだが、霧山の渡米で二人の関係も途絶え、今や三日月はバツイチ。一方、刑事課の新米刑事・彩雲真空は霧山を見て大興奮。伝説にまでなっていた名刑事が目の前に現れた事で俄然やる気を出す。

 

初っ端から何かのパクリ満載ギャグのオンパレードで、ツッコミが追いつかない。時効警察ってそもそもどんなドラマだったっけ?と思い出す暇も与えてくれない。昭和(平成初期)のネタでは意味の判らない層もいると思うが、それも含めて懐かしいやらド滑りやら、まあ忙しいのなんの。12年ぶりの復活だけにどうなるものかと思ったが、元々のテンションそのままに復活させようとするその気概は大いに買う。古臭いと吐き捨てる事無かれ、現代のドラマに飽き飽きしているなら是非このドラマで、ドラマ全盛時代の面白さを味わって欲しいものである。但しこのドラマはあくまで時効の成立した事件を再捜査して、事件発生当時は見つけられなかった謎を解明していくミステリーものである。ギャグがメインではなく、謎解きを行う事がメインなのだ。ここをはき違えてはいけない。

 

とはいうものの、12年も経っているのでメインメンバーもそれだけ年齢を重ねてしまっている。それをどうアレンジして違和感を失くすかも復活させる難しさと言えるだろう。それに関してもこのドラマは良く考えられている。12年の月日の間にそれぞれに歴史があって、その上でドラマを成り立たせているのは当時のドラマを知っている人にも納得出来る作品に仕上がっていた。

 

満足度は★★★★★

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ルパンの娘

  • 2019.10.15 Tuesday
  • 10:35

【出演】 深田恭子、瀬戸康史、渡部篤郎 他

【放送】 2019年(フジ)

 

運命的な出会いを果たした二人が恋に落ち、結婚を考えた時、衝撃の事実が明らかになる。女は代々泥棒一家の娘、男は代々警察一家の長男。敵同士の一家の禁断の恋を描いたラブコメディー。原作は横関大著の『ルパンの娘』。

 

図書館に勤務する図書館司書の三雲華には深く愛する恋人・桜庭和馬との結婚を考え、桜庭家に挨拶に行く。ところがテーブルの向こうにはずらりと並んだお堅そうな和馬の家族。華が図書館司書だと知るや否や、二人の結婚に駄目出しをする。実は桜庭家は代々警察一家で、公務員と言っていた和馬もまた警視庁捜査三課の刑事だった。愕然となった華は思わず気を失ってしまう。和馬に送って貰って帰って来た華の顔色は暗かった。何故なら二人の結婚は決して有り得ないと悟ったからである。華は和馬の前では一般家庭の娘を装っているが、実際には三雲家は高級タワーマンションに住み、家の中は全て盗品で埋め尽くされていた。そう、華は代々泥棒を稼業とする三雲家の娘なのだ。泥棒を生業とする家族の中で華だけは真っ当な人生を歩もうと堅実な生活を送っているのだ。まさか家族に恋人が刑事だとは口が裂けても言えなかった。一方、和馬は華との結婚を認めて貰うために家族と約束を交わしていた。それは警視庁捜査一課の刑事になる事。結婚するためなら何でもする決意をした和馬は先輩からLの一族を逮捕出来れば警視庁捜査一課に行けるかも知れないとアドバイスを受ける。しかしLの一族とは三雲家の事。その事実を和馬は何も気付いていなかった。

 

見事なベタ展開の嵐に何かあるとミュージカルに走る演出。まともなドラマだと捉えて見るには辛すぎる内容だが、この手のドラマあるあるを狙って作り上げたコメディーだと思ってみればこれはこれで楽しめる。キャスティングがとにかく奇をてらっている割にはハマっていて、思わず笑ってしまう。特に華の祖母のインパクトの強さは他の追随を許さない程強烈である。

 

根本となっているのは警察一家の息子と泥棒一家の娘の恋愛。つまりは相容れない家同士のロミオとジュリエット展開である。この設定何処かであったなーと思いつつ、まあ期待を見事に裏切らずどうしてこれがバレないんだと思う事ばかり。あからさま過ぎるのに歌で誤魔化す場面も。しかも「産みたいの〜」と歌い上げる歌詞の内容にも笑いが。とにかく何かあってもネタで笑い飛ばそうとする精神に感服する。

 

割り切ってしまえば笑える。つーか笑うしかない。

 

満足度は★★★★

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ランウェイ24

  • 2019.10.12 Saturday
  • 15:50

【出演】 朝比奈彩、犬飼貴丈、白石隼也 他

【放送】 2019年(テレ朝)

 

航空会社に副操縦士として就職した女の恋に仕事に頑張る姿を描く航空業界お仕事ドラマ。

 

大阪に拠点を置く航空会社『Peach』に入社した井上桃子は念願の副操縦士となり張り切っていた。亡くなった桃子の父親もまた航空会社で操縦士を務めていて、ずっと憧れていたのだ。ある日、桃子が出勤しようとすると近所の妊婦が急に産気づいてしまう。慌ててタクシーを呼んで送り出したものの、会社には大遅刻。何とか事無きを得たが、操縦士の新開と今日のフライト予定の飛行機に乗ろうとした途端トラブルが発生する。何と搭乗予定のプロレスラーが荷物を二つまでしか持ちこめないと注意されて怒り出したのだ。飛行機のチケットを購入したのはこのプロレスラーの付き人だが、この付き人がプロレスラーにPeachの規則を伝えていなかった事が原因だった。更には毛布が機内に用意されていないと知ってとうとうプロレスラーが暴れ出し、話を聞いた桃子は説得に当たると申し出る。しかしプロレスラーは桃子が副操縦士では信用出来ないと言い出し、一触即発の状況に。

 

実在する格安航空会社『Peach』を舞台に、子供の頃からの夢である操縦士となった桃子が操縦士に一生を捧げる決意と覚悟が出来るまでを描いたストーリーで、様々な出来事や困難を経て桃子が成長する姿が清々しい。仕事も家庭もと欲張る女性もいるが、誰もが何もかもを手に入れられるわけではない。時には夢のために何かを諦める覚悟も必要となる。または夢を追いたくても追えなくなってしまう事もある。当初は仕事も恋愛も順調な桃子がさながら現代女性の象徴に見えたが、やがて自分にとって何が一番なのかを選択する試練がやってくる。欲しい物を貪欲に手に入れられないもどかしさや悔しさ、そして悲しさ。しかしそれを乗り越えた時、自分の進むべき道が見えて来る。何もかも手に入れてしまうヒロインより、何かを諦めながら生きるヒロインの方がよりリアルに感じた。

 

さて飛行機の操縦士という職業は難関であるが故に格好良く見えるし、憧れる存在でもある。しかし実情は乗客の命を預かるだけあって非常に責任の重い職業である。また飛行機はただ操縦士だけがいれば良いものでもない。例え一緒に飛ばなくても多くのスタッフが関わっている事もこのドラマでは伝えてくれる。特に興味が惹かれたのは飛行機の運航に重要な役割を果たすディスパッチャーだった。ドラマ内では少々無茶な状況を作り出しているものの、人間の力では如何ともし難い自然を相手にしての判断の難しさを思い知らされる。

 

満足度は★★★★

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臨床犯罪学者 火村英生の推理2019

  • 2019.10.04 Friday
  • 12:51

【出演】 斉藤工、窪田正孝、高橋メアリージュン 他

【放送】 2019年(日テレ)

 

犯罪に魅入られた臨床犯罪学者が助手であり親友でもある推理作家を従えて難事件を解き明かす連ドラ『臨床犯罪学者 火村英生』の一夜限りのスペシャルドラマ。原作は有栖川有栖著の『ABCキラー』。今回もhuluにてオリジナルストーリー『狩人の悪夢』が配信された。

 

英都大学の准教授・火村英生はシャングリラ十字軍の指導者・諸星沙奈江を取り逃がしてからずっと部屋にこもりがちだった。彼女から火村が人を殺したいと思った事のある人間だと指摘されたあの瞬間が未だに鮮明に頭にこびりついている。ある日、火村の下宿に推理作家の有栖川有栖が訪ねて来る。しかし火村は一向に部屋から出て来ない。大家の篠宮時絵の話では大学の講義だけは穴を開けずに出掛けるものの目の輝きが無いという。そんな中、思いがけず警察から捜査協力依頼が舞い込み、二人は揃って大阪府警の捜査本部に出掛ける。現在、兵庫県では至近距離からこめかみを銃で撃たれる事件が相次いで起きている。最初の被害者はフリージャーナリストの浅倉一輝。兵庫県尼崎市の高架橋の下で発見された。次は会社員の番藤ロミ。尼崎市さほど離れていない大阪府尾藤町で発見された。この二つは同一犯の犯行であると警察は見ていた。また大阪府警に『ABCキラー』と名乗る人物から警察及び火村に宛てて挑戦状が送られてきていた。これらの情報を聞いている内に、有栖はアガサクリスティ―の『ABC殺人事件』になぞらえていると騒ぎ出す。ところが火村は模倣犯と決めつけるのは時期尚早であり、挑戦状が事件の後に送られてきているという点を不審に思っていると見解を述べる。

 

何故にこのドラマの続編が制作されたのかがまず第一の謎である。おそらく原作となる火村のシリーズの新作が出たのでドラマも作ってしまえという流れでは無いかと思われるが、中心となる二人がどちらも人気のある俳優なので、連ドラにはならずとも改編期の穴埋めには丁度良かったのでは無いかと勘繰ってしまう。実際、内容はと言えばたった放送時間三十分に凝縮されている事もあって、何だこれは?というような陳腐な出来。無理矢理三十分にまとめました感が出ていてどうにも感情が入っていかないのだ。

 

それにしてもこのお手軽ミステリー感は如何ともし難い。内容的にはもっとシリアスになっても良さそうなものなのだが、火村は淡々と事件を追っていくだけだし、相棒の有栖川は何を言ってもライトで空回り。せっかくのABC殺人事件の見立て設定が泣けてくる。

 

満足度は★★★

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最上の命医2019

  • 2019.10.03 Thursday
  • 12:08

【出演】 斉藤工、田中麗奈、岸谷五朗 他

【放送】 2019年(テレ東)

 

2011年に放送された『最上の命医』から八年。スペシャルドラマ第三弾。天才小児外科医の奮闘を描いた医療ドラマ。原作は入江健三・橋口たかしのコミック『最上の命医』、『最上の明医〜ザ・キング・オブ・ニート〜』。

 

現在、小児外科医の西條命は房総の片田舎にある八田診療所で臨時医師として働いている。明るい看護師の多岐川菜月と共に住人からは慕われ、頼りにされていた。ある日、岬台小学校の教師から相談を受ける。児童の中園柚が毎日のようにチョークを食べていると言うのだ。検査の結果、柚の異食行動は鉄欠乏症によるものと判るが、鉄欠乏を引き起こしている原因は門脈圧亢進症である事が判明する。一刻も早い手術と治療が必要とされるが、生憎柚の母親は手術に金がかかるという理由でまるで取り合ってはくれない。菜月はそんな柚と友達になり、柚も菜月には心を許していくのだった。ところがその柚が突然何者かに誘拐されてしまう。命は犯人を名乗る人物からの呼び出しに応じる。誘拐犯は脱獄囚の佐久間耕作だった。しかも耕作の体には銃創があり、体を横たえていた。柚の命が惜しければ言う通りにしろと命じられた命は、耕作を東房総医療センターへ運んで欲しいと言われて車に乗せるが、途中で顔見知りの警官に遭遇してしまう。何とかその場は切り抜けたものの、警官は命の態度に不審を抱き何かあったのではないかと勘繰り始める。事情を知る菜月が警官を思いとどまらせようと試みたところ、不運にも警官は崖から転落して大怪我を負ってしまう。

 

今回はテロ集団の登場で病院が大パニックに!誘拐事件から端を発し、命も否応なしに巻き込まれてしまう。見所はそんな極限状態で難しい手術が出来るかどうか。例え天才小児外科医とは言っても人間である。突然の出来事の連続に動揺せずに手術を行うのは至難の業。一体、犯人たちの目的は何なのか?

 

そういった突飛な展開に走った割には蓋を開けてみれば見事に呆気ない幕引きとなったドラマだが、その点は目を瞑るとして、目の前の患者を助けたいという強い気持ちと、通常ではない状況により冷静さを欠く命の姿を描いた場面が非常に印象深かった。結果はこのドラマシリーズならではのお約束の結果だったが、命の人間性が垣間見えた。いつもの命はまるで神様のように完璧な人間なので、たまにこういう場面が出て来るとぐっと胸に来るものがある。

 

満足度は★★★★

 

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ボイス 110緊急指令室

  • 2019.10.02 Wednesday
  • 18:37

【出演】 唐沢寿明、真木よう子、増田貴久 他

【放送】 2019年(日テレ)

 

絶対音感を持つ緊急指令室の室長と彼女のミスで妻を殺害された敏腕刑事が組んで、緊急を要するSOSに対応していく。頼りは電話から聞こえる音だけ。緊急指令室の活躍を描いた刑事ドラマ。原作は韓国ドラマ『Voice』シリーズ。

 

2016年、横浜埠頭では犯罪グループが取引を行う現場を取り押さえようと港東署強行犯一係が張り込んでいた。本部の指令を待って突入する予定だったが、気の逸る『ハマの狂犬』こと樋口彰吾係長は待ち切れず部下に犯罪グループへの突入を宣言し、自ら率先して犯人グループと格闘していた。その時、妻・未希からの着信があったが業務を優先した。同じ頃、緊急指令室に女性の声で助けを求める電話がかかっていた。応対した橘ひかりは電話越しに相手を落ち着かせて居場所を確認しようと躍起になっていた。しかしその女性は何者かに追われている様子で途中で通話が切れてしまう。ひかりは相手の状況を考えて再通話を躊躇うが、上司が再通話を強要し、その結果、通話の際のコール音が鳴ったせいで女性は追って来た何者かに発見され無残にも殺害されてしまった。完全な上司の判断ミスだったが、卑劣にも上司は全ての責任をひかりになすりつけた。犯罪グループを一網打尽とした彰吾は部下達と祝杯をあげている最中、未希の訃報を聞き愕然となる。元の形が判らない程に殴打された未希の遺体と対面した彰吾は復讐に燃え、強引な手段で容疑者に名前の挙がった相良を逮捕する。一か月後行われた裁判ではひかりが証言台に立ち、未希との通話中に聞いた声と相良の声が違うと証言する。証拠として未希とひかりの通話記録が法廷に流されるが、肝心の犯人の声は記録されていなかった。あれから三年が経ち、彰吾は交番勤務に異動になっていた。かつての強行犯係で活躍していた姿は見る影もなく、同僚からは見下され、唯一かつての部下・石川透だけが彰吾の身を案じていた。一方、ひかりは自ら希望を出して港東署の緊急指令室室長に就任し、早速被害者を迅速に救出するためのチームECUの設置を警察幹部に要請していた。幹部達が緊急指令室を視察中、男に誘拐された女性からの助けを求める電話がかかってくる。

 

緊急指令室が舞台の作品だけに、どの案件も緊急性が求められ終始緊迫感のあるドラマである。電話から聞こえて来る声と音を頼りに状況を判断し的確な指示で動かなければならない。一つ手違いがあっただけでも助けを求めて来た相手を死なせる事もあるのだ。

 

そんな鬼気迫る状況の中で進んでいるドラマであり、しかもその中心となって動いている人物・橘ひかりと樋口彰吾の二名は何れも三年前に大切な家族を失っている。それ故、緊急指令室の必要性が身に染みて判っているのである。それぞれの案件に対応するECUのチームワークを見つつ、橘と樋口が家族を失った事件を三年の時を経て解決するまでを描いている。サスペンス要素満載のドラマだけに一度見たらついつい先が気になってみてしまう中毒性がある。

 

ドラマの内容はともかく、とにかく言えるのは伊勢谷友介演じる雫の狂気のド迫力につきる。そもそもケトルベルを自由自在に振り回すなんて誰が考えたのだろうか?しかも血や髪の毛がついたままの状態でコレクションにしているし。サイコパス演出が半端じゃない。正直、雫の絶対的な存在感がドラマの後半は主役を凌駕してしまった感じさせする。雫の狂気が晒される度にこのドラマの面白さが増幅していった。

 

満足度は★★★★★

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あの家に暮らす四人の女

  • 2019.10.01 Tuesday
  • 18:06

【出演】 中谷美紀、永作博美、吉岡里帆 他

【放送】 2019年(テレ東)

 

古い家で同居する四人の女達のちょっと奇妙で和やかな日常を綴った物語。原作は三浦しをん著の『あの家に暮らす四人の女』。

 

東京杉並にある築九十年にもなろうかという古い洋館がある。ここで暮らすのは一見家族のように見える四人の女達。しかし決して家族ではない。刺繍作家の牧田佐知とその母・鶴代は正真正銘の親子だが、残りの二人は佐知の友人の谷山雪乃と雪乃の後輩・上野多恵美。他に同じ敷地内には佐知の祖父の時代から代々暮らしている山田一郎という老人が一人いるが、まあこの男についてはおいといて、母屋では女四人が和気藹々と暮らしている。ある日、雪乃は三十五年間閉ざされたままの”開かずの間”に興味を示し、ついつい針金を使って鍵を開けてしまった。三十五年も人を寄せ付けなかったその部屋は蜘蛛の巣があちこち貼られ埃塗れであったが、雪乃が目を付けたのは大きなつづらのような入れ物だった。蓋を開けるとその中から出てきたのは即身仏。所謂ミイラだったのだ。悲鳴を聞きつけた佐知と多恵美もそれを見て愕然となる。あの即身仏の正体は佐知の父親なのでは無いか?と首を三人が首を捻っていると、丁度佐知に刺繍を習いに来た生徒達が訪れ、まさかそのまま帰すわけにもいかず佐知は刺繍教室を始めるのだった。

 

登場するそれぞれの女達は何れもワケありで、色々な出来事が起きるのだが、それはあくまで日常の延長上の出来事。ワケありと言っても、そう言えばそんな人が周囲にいたかも知れないと何処か共感を覚えてしまう。何が起きても何となくふんわりとした空気の中に包まれているようで極限的な不幸も極限的な幸福もない。平凡で、平凡だけど少しだけ幸せだったり、悲しかったり、勇気が必要だったりとほんの少しだけ何か起こすだけで平凡な毎日に刺激が加わり、他人から見ればそれはほんの些細な事でしか無くても、四人はそれぞれ成長しているのだと実感出来る。

 

女同士の殺伐とした感情を排除したような四人の女達の関係がとても優しく描かれている。女同士であれば嫉妬や僻み等々関係を悪化させる要素が生まれるものであるが、この世界観ではそうした感情が一切生まれない。互いに思いやり、支え合いながら生きている。こんな関係が成立するのであれば女同士も捨てたものではない。

 

幸せな気分を味わうには本当に良いドラマである。

 

満足度は★★★★★

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Iターン

  • 2019.09.30 Monday
  • 19:02

【出演】 ムロツヨシ、古田新太、田中圭 他

【放送】 2019年(テレ東)

 

広告代理店の営業マンが左遷されたのは潰れる寸前の支店だった。経営を立て直せば本社に戻れると張り切る彼が二人のヤクザの組長に翻弄される様を描いたサラリーマン苦悩のコメディー。原作は福澤徹三著の『Iターン』、『Iターン2』。

 

狛江光雄は広告代理店『宣告社』に勤務する営業マン。ある日、直属の高峰部長に呼び出され、突然阿修羅支店への異動を命じられる。阿修羅支店と言えば営業不振で近々支店を畳むと噂のある支店。要するにこれは明らかな左遷人事だった。しかし狛江には受験を控えた娘がいて、会社を辞めさせられるわけにはいかない。慌てて高峰部長に土下座してクビにしないで欲しいと頼み込むが、高峰部長は狛江が高峰を中途入社の癖に社長の娘と結婚した途端に出世したと見下していた事実を知っていて、その報復が今回の左遷人事だったのだ。まさか左遷されたとは言えない狛江は妻と娘に栄転だと嘘をつき単身赴任を決行する。阿修羅市に到着した狛江の目前に広がるのはシャッターが閉まり閑散とした商店街。出会うのはチンピラ風の酔っ払いに、シンナーを吸っているヤンキーとロクな相手では無い。それでもどうにか阿修羅支店に辿り着いたものの、支店の中は雑然と散らかり、ゆるキャラ阿修羅くんがヘビメタで踊り狂っていた。ゆるキャラに入っていたのは事務員の吉村美月。何でも予算が無くてゆるキャラに入る人員を雇えず、仕方なく彼女がゆるキャラに入る事になったのだとか。営業担当の柳直樹は堂々と寝ぐせのついた頭で出勤してくるまるでやる気の見られない人物。取り敢えず狛江は柳を連れてお得意先回りを始めるが、行き先は風俗店にヤクザの経営するサラ金『ドラゴンファイナンス』だった。

 

上司の機嫌を損ねたばかりに左遷された会社員がやがて対立するヤクザに目を付けられ、法外な借金を背負わされて舎弟に。真面目に生きて来たはずの男が次々降って湧いたように起きる不幸の連続に見舞われる。果たして彼は無事に本社に戻れるのか?というストーリーで、主人公の狛江はまあいわゆる何処にでもいる人間であり、長年勤務しているだけに仕事は多少出来るが敏腕と呼べるレベルではなく、権力や力の前にはとことん弱いごく平凡なサラリーマンである。この手の普通の人を演じるにはムロツヨシが持ってこいである。

 

さて人生お先真っ暗な日々を過ごす狛江。ヤクザと絡んだ時点でもうその兆候はありありとしているのだが、それで終わってしまっては興ざめである。確かに狛江はこれまでの人生と無関係だったヤクザと絡んだせいで真面目一筋だった人生が一転するのだが、意外にも狛江は危険な目に遭いつつも無難に過ごしている。電話受付をしたり、内職をしたり、犬の散歩をしたり・・・。ヤクザってこんなだったっけ?と首をひねる事間違いなし。それでも狛江にとっては一大事。このドラマを見るならそのギャップを是非楽しんで欲しい。

 

とは言え、やはり深夜どらまだけあって作りが粗いのは否めない。

 

満足度は★★★

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刑事ゼロ スペシャル

  • 2019.09.29 Sunday
  • 08:53

【出演】 沢村一樹、瀧本美織、寺島進 他

【放送】 2019年(テレ朝)

 

記憶を失った元敏腕刑事が帰って来た。彼をサポートする新米刑事と共に難事件を解決する刑事ドラマの1夜限りの続編。今回は謎の招待状によって集められた男女六人の事件に乗り出す。

 

京都府警捜査一課13係の刑事・時矢歴彦は未だ二十年間の刑事としての記憶を失ったままだった。相棒の佐相智佳のサポートで何とか記憶喪失がバレずに刑事を続けていられるものの、状況は相変わらず。ある日、13係恒例のミステリーツアーに参加する事になる。行き先は六甲山の山頂付近にある六甲スカイヴィレホテル。シーズンオフのせいかホテル内は閑散としていて、客は他に六名の団体客がいるだけ。その夜、豪華なディナーを前にはしゃぐ13係の面々だったが、その横では六人の男女がまるでお通夜のように黙々と食事をとっていた。空気を全く読まない時矢は突然彼等に話し掛ける。すると驚いた事に彼等は七年前に亡くなった女子大生・黒江ミチルから招待状を受け取ってやってきたのだと言う。六名は黒江ミチルと所縁のある人物ではあるが、互いに見知らぬ同士だと言う。翌日、十三係の面々は温泉に向けて出発する。ところが佐相が風邪をひいて熱を出してしまったため、時矢は看病のためホテルに残る事に。そんな中、佐相がスマホが繋がらなくなっている事に気付く。支配人に尋ねてみると、電話も繋がらなくなっていた。不審に思って調べてみると、ホテルへ通じる唯一のトンネルが爆破され不通になっていた。つまり六甲スカイヴィレホテルは陸の孤島となってしまったのだ。

 

今回はクローズドサークルミステリーで起きた事件に挑む時矢&佐相の活躍を描いているのだが、よりによってというか、都合良くというか、記憶喪失の時矢が、記憶喪失の時の記憶を失ったヴィンテージ時矢として登場する。勿論、京都府警きっての敏腕刑事と呼ばれていただけあってヴィンテージ時矢の推理力は並外れている。佐相がずっと憧れていた時矢ではあるのだが、残念ながら佐相は非常に複雑な心境に追い込まれてしまう。記憶喪失の時矢には佐相が必要だが、ヴィンテージ時矢には助けはいらない。佐相は何とか役に立つ方法を模索するのだが・・・。

 

ヴィンテージ時矢と記憶喪失の時矢はどちらも同じ沢村一樹が演じているのだが、同じ服を着ていてもがらりと表情や立ち居振る舞いを変えているため一目でどちらの時矢かが判る。この演じ分けは見事である。

 

二時間ドラマあるあるのようなストーリーではあったものの、久々に刑事ゼロの世界を味わえたのはファンには嬉しいスペシャルドラマだった。

 

満足度は★★★

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REAL⇔FAKE

  • 2019.09.27 Friday
  • 12:41

【出演】 蒼井翔太、染谷俊之、荒牧慶彦 他

【放送】 2019年(TBS)

 

国民的アイドルが謎の失踪を遂げた。所属事務所から依頼を受けた映像ディレクターが彼の抜けたユニットのドキュメンタリー映像を撮影しながら、真相を追求するミステリードラマ。

 

多方面でアーティスト活動を続ける国民的アイドルの朱音が休養宣言を伝える動画を撮影した後、忽然と姿を消した。事務所の垣根を超えた新ユニット『ステラクラウンズ』への加入を発表した矢先の出来事だった。それだけに世間では朱音について様々な憶測が流れ、ついには自殺説まで囁かれてしまう。そんな中、映像ディレクターの守屋秀俊は事務所の社長に呼び出される。社長は守屋に『ステラクラウンズ』のドキュメンタリーを撮影して欲しいと依頼する。朱音を失った『ステラクラウンズ』に意味は無いが、今更プロジェクトを中止するわけにはいかないのだと言う。話を聞いて半ば呆れる守屋だったが、社長あてに送りつけられた封筒の中身を見た途端気持ちが変わる。そこには『朱音は生きている』、『ユニットの中に犯人がいる』と書かれていたのだ。もしかしたらユニットの中に朱音を拉致監禁した人間がいるかも知れない。つまり社長の依頼はドキュメンタリー撮影という名目でユニットメンバーの中に潜む犯人を捜し出す事だったのだ。

 

ドキュメンタリー映像を撮影する中でその中にある真実、朱音が失踪した本当の理由を見つけ、朱音の行方、そして生死を探し出していくストーリーとはなっているのだが、ユニットのどのメンバーも怪しい行動をしていてミステリアスな雰囲気はぷんぷん。まして党の朱音は謎めいた動画を残してその後の足取りは一切不明と来ている。おまけに謎めいたメッセージまで届いて・・・とこれからミステリードラマをやりますという舞台設定は万全にしておいて、蓋を開けたら二十代後半のイケメンを集めてユニットを組ませてみましたので見て下さいというようなプロモーションのような内容。ストーリー性は乏しくミステリーどころかドラマと呼ぶにはあまりにもお粗末。結末も驚くべき真実というような真実ではなく、低予算で取り敢えずイケメンを頭数揃えて見栄えだけ整えた感じのするドラマである。

 

まあそれはともかくとして、朱音役の蒼井翔太の声が完全に声優ボイスで浮きまくり。演技をしているというよりドラマの中でアフレコをしているようで違和感しかなかった。

 

満足度は★★

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