悪い奴ほどよく眠る

  • 2017.10.29 Sunday
  • 18:28

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 村上弘明、とよた真帆、本田博太郎 他

【放送】 2010年(フジ)

 

政治家と癒着して悠々生き延びる会社幹部達。不正の責任を取らされ死に追いやられた父親の敵を討つ男の復讐劇。黒沢明生誕100年記念。1960年に公開された『悪い奴ほどよく眠る』のリメイク版。

 

エネルギー開発機構開発部の西幸一と岩渕佳子の結婚披露宴が行われる。足が不自由なせいか奥手の佳子の結婚とだけあって、親代わりの姉・岩渕双葉の喜びもひとしおだった。父親・岩渕憲はこの結婚を快くは思っていなかったが、双葉は如何に幸一が優れた人物であるかをスピーチで熱弁していた。いよいよウェディングケーキが式場に運び込まれる。ケーキは建設中の建物をイメージした物だが、奇妙な事に黒いリボンのついた薔薇が飾られていた。その薔薇が飾られていた場所はかつて古谷が自殺を図った窓。式場は騒然となり、役員連中は口々に入札に負けた連中の嫌がらせだと噂していた。そんな最中、披露宴を取り仕切っていた和田一平課長が談合の容疑で警察に逮捕されてしまう。岩渕家の別荘で初夜を過ごした幸一夫妻だったが、翌日幸一だけ岩渕家の本宅へ呼び出される。義父から差し出されたのはエネルギー機構の不正を取り上げた記事を掲載した新聞の数々。テレビのニュースでもこの件について報道していた。逮捕されたのは和田だけでなく総合インペリアルの三浦も同様の容疑で逮捕される。しかし二人共一切口を割らず、業を煮やした検察は三浦を釈放と同時に背任容疑で逮捕する荒業に出る。ところが三浦は踏切に飛び込んで自殺。和田も行方不明となり、火口丘で自殺を図ろうとするが、幸一が寸での所で思い止まらせる。そして和田に自分の葬儀を見せ、幹部連中の本音を聞かせる。

 

そもそものストーリーが昭和の古い時代を舞台にした内容であるため、リメイク版とは言え現代に再現したのでは発想の古臭さを拭えない。そもそも会社を守るため死を選ぶ忠誠心に厚い社員がどれだけいるだろうか?昭和の時代ならば終身雇用が当たり前で、会社を守るために命を投げ出す覚悟の社員がいたかも知れないが、そんな感覚がほぼ死滅している現代でこの内容は流石に受け入れ難く、下手をすれば何処ぞの任侠話かと目を疑ってしまう。何故に時代をわざわざ現代に変更したのか、そちらに疑問を感じる。

 

ストーリーは昔からよくあるタイプの復讐劇であり、だからと言って松本清張作品のような見終わった後に残る後味の悪さがあるわけでも無い。元々は当時としては非常に影響力のあった公団とゼネコンの汚職を取り上げた内容だったものを、エネルギー開発機構と政治家の癒着と変更した点も、確かに現代で再現するには仕方が無いのかも知れないが、今一つピンと来ないテーマの取り上げ方であるのは否めない。

 

ドラマの中で疑問を感じたのは幸一の義姉の双葉。実は幸一と体の関係があり、妹に対しては母親代わりに妹を大切に育てた面と負い目を同時に抱えている。また終盤で明かされるが、父親との関係も単純な父娘の関係では無い。そんな人間関係の複雑化を極める彼女の行動は酷く謎めいている。序盤はバリバリのキャリアウーマンのようにも見えたのだが、丸腰の人間相手に猟銃をぶっ放す等々かなりエキセントリックな人物である。但し彼女の描き方には一貫性が無い。ただ目を引くための演出で登場するように思えて仕方が無かった。

 

満足度は★★★

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東野圭吾ドラマスペシャル 探偵倶楽部

  • 2016.07.12 Tuesday
  • 09:08

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 谷原章介、松下奈緒、床嶋佳子 他

【放送】 2010年(フジ)

 

郊外の豪邸から大手企業の社長が消えた。鍵は全て自室の中にあり、当時豪邸は完全な密室だった。社長はどこに?ダンディな探偵と優れた記憶能力を持つ女子大生のコンビが事件を解決するミステリー。原作は東野圭吾著の『探偵倶楽部』。

 

貧乏女子大生・漆原こずえに舞い込んだアルバイトは探偵倶楽部の助手の仕事だった。不思議に思いながら指定された住所を訪ねると、古びたアパートの一室でお茶を飲むダンディな探偵・二階堂匠が一人。二階堂はいきなりこずえが成績優秀でありながら社会生活不適合者で、男の作った借金の保証人になったせいで多額の借金を抱えている事まですらすらと言って除ける。それなのに二階堂が助手にこずえを指名したのには理由がある。こずえには目にした物を瞬時に記憶する能力があり、二階堂はそれに目を付けたのだ。二階堂に胡散臭さを感じずにはいられないこずえだったが、突然次期首相候補の山口財務大臣が直々に訪ねて来て、二階堂に大金を支払ったのを目にして愕然とする。こずえは二階堂に言われるままにスーツに着替え、使用期間一か月の約束で助手として働く事になる。

 

総理大臣を失脚させる程の腕前を持つVIP専門の会員制探偵業という設定も凄いが、それだけの仕事の出来る探偵業の名前が『探偵倶楽部』というギャップのセンスにも笑ってしまう。『探偵倶楽部』の言葉から連想させるのは『少年探偵団』の延長上にある探偵が活躍するストーリーである。実際その通りでもあるのだが、依頼を受ける相手がVIPで華々しい大人の世界を舞台にしているので、むしろ少年探偵団というより、金持ちにしか食指の動かない明智探偵とその探偵助手が活躍するストーリー印象を受ける。

 

事件は社長が内側から鍵のかけられた豪邸から何の痕跡も残さず如何にして失踪したかという点から捜査が始まる。鍵は自室で発見されている。つまり完全な密室なのである。普通に考えれば中から外へ出られても、鍵をかける事は出来ない。二階堂&こずえの二人はまずこの謎を解き明かすために、関係者の事件当夜の行動をチェックしていく事になる。しかしそこから導き出される真相は一筋縄ではいかない。事態は二転三転しながら、この事件に潜む黒幕の正体までもを突き止めていく。この手のオーソドックスな探偵物は意外に面白い。続編が作られなかった事が惜しまれる。

 

ところでこずえ役の松下奈緒が最初に見せるファッション。如何にもチャラそうな女の子を装うエスニック柄の服姿は酷く新鮮に見えた。松下奈緒は昔から顔が大人びている事もあり、スーツ等きちんとした格好で登場する事が多く、最近では役に合せてカジュアルな服を着る事もあるのだが、あまりチャラい格好と言うのは見た事が無かった。ところがこれが結構似合っているのである。助手になってからはいつものようにスーツ姿になってしまうのだが、松下奈緒が庶民的に見えて親近感が湧く。

 

勿論、主演の谷原章介の方は全く路線がぶれず、いつもの通り。松下奈緒のように新鮮味はないものの、ハマリ役である。

 

満足度は★★★★★

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伊豆の海に消えた女

  • 2016.03.03 Thursday
  • 15:05
JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 高橋英樹、井上和香、宮本真希 他
【放送】 2010年(テレ朝)

お馴染み十津川警部と亀井刑事のコンビが活躍する西村京太郎原作のトラベルミステリー第54弾!自宅マンションにて殺害された青年実業家に関わる女達に送られた謎の脅迫文。犯人はこの中に?原作は西村京太郎著の『伊豆の海に消えた女』。

日央商事の若手商社マン・酒井修は仮病を使って会社を欠勤し、東京駅発踊り子105号に乗り込んだ。駅の温泉のポスターを見てどうしても温泉に浸かりたくなったのだ。隣の席には自称モデルの生田くみ子という女性が座り、二人は意気投合する。その頃、十津川警部率いる十津川班の刑事達は都内で起きた大手レストランチェーンの社長・高原雅之が殺害された現場へと急行していた。高原は自室のベッドの上で無残にも刺殺されていて、女性と過ごした形跡が残されていた。秘書に話を聞くと、事件前日オフィスに片山と名乗る女性から結婚しなければ殺すと物騒な電話がかかっていたと証言する。高原は女性関係が派手で机の中から複数の女性とのツーショット写真が山のように出て来た。更に片山みゆきという女性からの手紙も見つかり、十津川班は彼女の行方を追う事になる。

時刻表トリックが謳い文句であるこのシリーズではあるものの、今回のドラマに限って言えば一応時刻表トリックは登場するものの、さして重要とは言い切れない。後で「警察の尾行を巻くため」と十津川警部の説明があってようやく気付く程度の扱いで、それが無ければ正直無くても構わないくらいに存在が薄い。むしろ十津川警部が脅迫文の違和感に気付いた事が非常に重要であって、そこからの展開の方がストーリーの軸となっている。

さて今回はストーリー云々より女優陣の競演の方に目が奪われる。何しろ殺害されたのは女性関係が派手な青年実業家なのである。金はあるし容姿も良いから、彼の周りに集まる女達はそれなりのイイ女でなければ話にならない。という背景があるだけに華やかで豪華なキャスティングがされている事に驚かされる。大抵女性の数が多ければ主要な役目以外は無名の新人などでお茶を濁すところだが、このドラマはそうではなかった。その部分を非常に評価したい。

また伊豆で捜査を進めるため、地元警察がしゃしゃり出て来る事になるのだが、短気で考えが浅くやたら自己主張の強い刑事役に今井雅之がはまり役。彼の言い分が何一つ正しくないところが可笑しかった。

満足度は★★★★
 
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東京駅お忘れ物預り所4 全長6400メートル銚子電鉄殺人ルート!!

  • 2016.02.04 Thursday
  • 15:11
JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 高嶋政伸、櫻井淳子、高野志穂 他
【放送】 2010年(テレ朝)

東京駅にある『お忘れ物預り所』に勤務する職員が銚子で起きた殺人事件に巻き込まれるトラベルミステリー。『東京駅お忘れ物預り所』シリーズ第四弾!

東京駅お忘れ物預り所に縞模様の銚子ちぢみの織物で出来た袋を落としたと真鍋千春がやって来る。袋の中には母親の形見のお守りと母親の写真が入っていると言う。話を聞いた東京駅遺失物係の望月幸平は早速持ち場を離れて千春と探しに行ってしまう。千春が電話で銚子に行くと耳にした幸平は、丁度明日自分も銚子に行く予定があり、再会出来るかも知れないと密かに喜んでいた。結局、袋は見つからず千春は名刺を渡して去っていく。楚々とした外見とは裏腹に名刺にはBAR『セリカ』と書かれていた。翌朝、幸平は休暇を利用して銚子電鉄でのささやかなローカル線の旅を楽しむため、しおさい3号で銚子へと向かった。犬吠埼では一緒についてきた上司夫妻の墓参りにも同行するが、思いがけず女性の刺殺遺体を発見してしまう。被害者は何と千春の姉・真鍋恵理子だった。遺体の確認に来た千春は自分もしおさい1号で銚子に向かう予定だったが、父親の墓参りに気が進まず発車直前で飛び降りたと証言する。

幸平の相棒である由希子の存在が大分微妙になって来た感があるが、取り敢えず幸平のお目付け役と言う立場は揺らぎ無いようで、事件を解決するために走り回る時だけ存在感を示すというのは悲しいものがある。とは言っても一応遺失物係に配属されている現状を納得しないプライドの高い女性という設定は忘れておらず、ドラマ中にさりげなくそんな台詞を漏らしている。ただ口で言う程出世に拘っていないような面も見られ、配属されてから年月が経ってすっかり馴染んでしまった様子が感じられる。また幸平の事も憎からず思っているようで、幸平好みの千春が現れるとやきもきする面も見られる。

そういう状況で進んでいくミステリーではあるのだが、殺人事件自体は意外にあっさりと流されている。前向きで諦めの悪い幸平と何でも諦めてしまう千春を対比させて、千春の抱えた孤独にスポットを浴びせたストーリーになっている。謎と言いつつ、あまり大きな謎になっていない。ただただ幸平の一生懸命さだけが印象に残る。

ミステリーでは必ず終盤に待ち構えている解決編。ここではそれまでの謎を解き明かす正にクライマックス場面でもあるのだが、どうも不自然さが漂う内容が頂けない。何が不自然かと言えば、ここで使用される台詞は何故か短くぶつ切りにされており、「〜した」「〜きた」等々全て過去形で話される言い方に違和感を覚えてならない。まるで流暢さが無いのも気に懸かる。そうかと思えば突然台詞の中に敬語が登場する。このちぐはぐ感は一体・・・。本当にこんな脚本なのだろうかと首を傾げるばかり。

満足度は★★★
 
森山直太朗,御徒町凧,石川鷹彦
NAYUTAWAVE RECORDS
(2010-09-29)

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山形新幹線・つばさ111号の殺人

  • 2016.01.29 Friday
  • 12:02
JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 高橋英樹、愛川欽也、京野ことみ 他
【放送】 2010年(テレ朝)

お馴染み十津川警部と亀井刑事のコンビが活躍する西村京太郎原作のトラベルミステリー第53弾!獄中で死亡した殺人犯の呪いの言葉通りに、殺人事件の目撃証人を狙った連続殺人事件が勃発。原作は西村京太郎著の『つばさ111号の殺人』。

十津川警部と亀井刑事は宮田直人が自殺した新聞記事を見て驚きを隠せなかった。実は二週間前に大石あずさが三浦半島で溺死していたと報告があり、この二人は何れも一年前に起きた殺人事件の目撃証人だった。一年前、東京中野で白昼堂々喫茶店のオーナー・本間順一が店内で殺害される事件が起きている。犯人は本間と兼ねてから金銭トラブルのあったヤミ金会社社長の松木弘。宮田も大石もその時店内で事件の一部始終を目撃していた。目撃証人はその他に三名。松木は一貫して殺人を否認していたが、裁判では五名の目撃証言と血液判定により懲役十二年の実刑判決を受けた。その際、松木は「一人残らず殺してやる」と暴れたものの、府中刑務所に収監されて三か月後にクモ膜下出血で他界している。死ぬ間際にも松木は執念深く目撃証人五人に呪いをかけた等発言していると言われており、十津川警部にも亀井刑事にもどうにも忘れられない事件となった。ひとまず二人は宮田が自殺した自宅アパートへ駆け付けるが、不審な点はどこにも見つけられなかった。念のため他の目撃証人にも話を聞くことにする。

息つく暇もなくきびきびとドラマが進行していくのがこのシリーズの特徴なのだろうが、初っ端から十津川警部が早口で一年前の事件を捲し立てるのに唖然。展開が早いというよりドラマの放送時間内に如何に多くの物を詰め込むかに躍起になっている感じを受けた。一年前の事件に、その後起きた連続殺人事件と事件が立て続けに起こるため、一つ一つに時間を割いていられないというのが本音だとは思うが、慌ただしくてどうも落ち着かない。

また一年前の殺人事件の回想シーンで、それまでサングラスをかけていた犯人が何故去り際に店内の客にわざわざサングラスを外して顔を披露したり、十津川警部と亀井刑事が高齢過ぎて走っているんだか歩いているんだか判らなかったり、登場人物が乗車する電車を『つばさ111号』とわざわざ指定して刑事に教えるとか、長年このシリーズを続けているとその中では当たり前となっている事が実際にはかなり不自然極まりないと判る。完全にこのシリーズだけでワールドを築いている感じがする。

時刻表を使ったトリックの金字塔ともいえるシリーズではあるが、トリックに重点を置き過ぎて、初期の頃のようにじんと心に染み入るような要素がおざなりになっている。今回の連続殺人事件の動機も言ってみれば理不尽だったし、十津川警部と亀井刑事がいれば良いのか?という気がしてならなかった。

満足度は★★★

 
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湯布院殺人事件

  • 2016.01.19 Tuesday
  • 19:10
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【出演】 渡瀬恒彦、名取裕子、中山仁 他
【放送】 2010年(フジ)

湯布院の死期迫った当主の遺産を巡る連続殺人事件に巻き込まれた犯罪プロファイラーが行動科学のスペシャリストとして事件の解決に乗り出す旅情サスペンス。原作は内田康夫著の『湯布院殺人事件』。このドラマ以前にも同じ原作によるドラマ化が二度行われており、老年期を迎えたおしどり夫婦役にそれぞれベテラン俳優勢が起用されている。

東都大学で犯罪心理学を教える犯罪心理学者兼犯罪プロファイラーの和泉直人教授が退官を決めたのは大学内で収賄事件が起きたためだった。和泉自身は全く関わっていなかったが、犯罪心理学の教授と言う立場上退官しないわけにいかないと言うのが和泉の気持ちだった。ゆったりとした時間を過ごせるようになった和泉に妻の麻子は大喜び。長い付き合いの警視庁の高柳から湯布院へのチケットをプレゼントされた事から夫婦揃って湯布院旅行へと出かける。ところがある女性から手紙で雄一という少年を湯布院に連れて行って欲しいと頼まれてしまう。仕方なく高梨家へ連れていく羽目になる。その頃、高梨家では当主の高梨龍太郎が生死を彷徨っていた。遺産を巡って親族の間に不穏な空気が流れていた。

湯布院の自然を背景に高梨家に関わる人間が次々殺害されていく連続殺人事件を扱った旅情ミステリーで、まだ当主が死んでもいないのに遺産相続を巡って親族がいがみ合い、その上死んだ長男の息子という少年・雄一まで現れるというミステリーの真骨頂のようなドラマである。但し内田康夫のミステリーは旅情サスペンスというだけあって、旅先の景色やその地の特産物等々見ている側に旅を楽しませるような一面を持っている。そのためあまりおどろおどろしくなったり、複雑な人間関係があったりというような部分はなく、比較的あっさりと楽しめるミステリーになっている。

さてこのドラマに花を添えてくれるのが和泉の妻・麻子の存在。貞淑な妻のように見えるが、事あるごとに夫が無職になった事を口に出し、さりげなく夫に棘を突きつけている。夫に妻との生活を楽しむゆとりが出来たのは喜んでいるものの、その反面収入が無くなった事にはあまり賛同していない様子。麻子の立場からすれば生活がかかっているので、収入が無いのは心配の種。だからこそついつい口にしてしまうのだろう。この麻子の裏表のない素直さに好感が持てる。しかし名取裕子の妙に芝居がかった麻子は渡瀬恒彦の演じる和泉直人と温度差があり、あまり夫婦らしく見えないのが玉に瑕。また二時間サスペンスの常連である名取裕子が推理に直接関わらない事にも違和感を覚えてしまう。

満足度は★★★★
 
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ミステリー作家 六波羅一輝の推理 白骨の語り部

  • 2015.06.14 Sunday
  • 11:57
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【出演】 上川隆也、横山めぐみ、山本陽子 他
【放送】 2010年(テレ朝)

リストラ寸前のミステリー作家と崖っぷち編集者のコンビが遠野地方への取材旅行中に白骨遺体を発見する。『ミステリー作家 六波羅一輝の推理』シリーズ第一弾!原作は鯨統一郎著の『白骨の語り部 作家六波羅一輝の推理』。

ミステリー作家の六波羅一輝は蜃気堂出版の編集者・北山みなみと共に遠野地方へ取材旅行へ出掛けた。今年は柳田國男が『遠野物語』を発表して丁度100周年にあたるため、遠野物語をモチーフにして小説を書く事が一年以上新作が書けていない一輝へのオファーだった。口煩いみなみにせっつかれながら地元の旧家・昆家へ取材に向かう。初めに昆家当主の雅代から四人の娘を紹介される。長女・市子、次女・有希子、三女・千明、四女・はるひは何れも美人揃いで、旧家の娘らしく気品に溢れていた。ところが有希子の婚約者が訪ねてきたため、今夜は遠野のホテルで宿泊し、明日改めて取材に来て欲しいと断られてしまう。仕方なく千明に馬屋を案内して貰っていると突然女性の悲鳴が聞こえてくる。急いで駆け付けると着替え中の有希子の部屋に蛇がいた。千明が念仏を唱えている間に蛇は退散。この辺りでは蛇は神の使いとされ、災いのお告げにやって来ると信じられている。その夜、宿泊先のホテルのロビーで有希子と婚約者の恋人らしき女性を見かける。一輝は気になって後を追おうとするが、みなみに止められてしまう。翌日、遠野物語所縁の地を回っている最中、血泣き地蔵の目に血がついているのを目撃し、周囲を調べていると近くで白骨死体が見つかる。

古き良き時代のミステリー作品である。DNA鑑定が登場するので舞台は現代になってはいるのだが、科学捜査に頼らず地道な捜査で事件を解明していくタイプの探偵ミステリーで、格式高い旧家や昔話(遠野物語)、そして人間関係が絡んでくる辺りは横溝正史作品を思わせ、それよりは単純明快でさほど難解なミステリーにはなっていないので、誰にでもとっつきやすい内容になっている。反面、本格ミステリーを好む人には物足りなさを感じる内容である。

主人公の六波羅一輝は所謂トリックマニアという設定で、ミステリー作家としての才能の方はイマイチ。しかし殺人事件に遭遇した際のはしゃぎようは成程と頷かせる部分もあり、また親近感が持てる。また保身よりも他人の幸せを思いやってしまう損な性格故に温かさを感じられるキャラクターである。どうやら原作の設定とは随分異なる人物像にしてしまっているようだ。中心となる一輝とみなみの年齢が大分高いのでそれも仕方のない所だろう。

もしもこのドラマが昭和の時代に制作されていたら、大分様相は異なり恐怖要素を盛り込んだ演出になっていたと思われるが、殺人事件を扱っているのにかなり演出はマイルドに抑えられている。そのためスリリングさには欠けるものの、主人公がどちらかと言えばおっとりとした性格なので雰囲気としては合っている。

満足度は★★★★

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うぬぼれ刑事

  • 2014.11.25 Tuesday
  • 19:50
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【出演】 長瀬智也、要潤、生田斗真 他
【放送】 2010(TBS)

好きになった女性はいつも犯人という超恋愛体質の刑事、通称うぬぼれが次々事件を解決してしまう何でもアリアリ!のエンターテイメントドラマ。

世田谷通り署の刑事・うぬぼれは元本庁の強行犯係の警視総監賞も貰った事のある程の敏腕刑事だったが、恋人の日暮里恵に振られて以来スランプに陥り現在の所轄に左遷されてきた。黙っていれば良い男なのだが、超恋愛体質でとにかく惚れっぽい。心理学者の栗橋誠が提唱する恋に落ちる条件に当てはめて、ただすれ違っただけの女性と目が合っただけで自分に恋をしたと勝手に自惚れてしまう程。ある日、恋人と暮らすために購入した所沢のマンション(通称:泣き部屋)に真っ直ぐ帰りたくなくて立ち寄ったバー『I am I』で血塗れの姿で携帯を弄る男を目撃して愕然とする。彼は本城サダメという死体役ばかりの俳優で撮影の後らしい。そこにパティシエの松岡征士郎とカメラマンの穴井貴一が現れ、あまりのウザイノリにうぬぼれは店に立ち寄った事を後悔し始めていた。実は彼等は『うぬぼれ4』と呼ばれる常連客。気が付けばいつの間にか四人目の男・栗橋誠の姿まで。栗橋を崇拝しているうぬぼれをいてもたってもいられず、どうすれば駅の改札ですれ違った女性と付き合えるかと迫る。翌日、世田谷通り署に冴木刑事が配属される。まさか冴木が別れた恋人の夫とも知らず、うぬぼれは冴木と組むことに。

ドラマのそこらじゅうに笑いの種を用意して、爆発不発は関係なしに高いテンションで駆け抜けていくパワーは凄まじいものがある。正直ストーリーはあってないようなもので、とにかく『くだらない』の一言なのだが、それこそがこのドラマの売りであると言っても過言ではない。ネタになりそうなものなら藁でも掴めの精神は称賛に値する。

また個性の強過ぎる面々も魅力の一つ。主人公のうぬぼれと良い、うぬぼれ5の面々と良い、うぬぼれを一方的にライバル視する冴木と良い、良くぞこんな使い方をしたと驚くばかりだが、俳優陣が結構ノリノリで演じているのも面白い。特にうぬぼれの父親を演じている西田敏行が非常に良い味を出している。食卓を囲む場面ではこの父親がいないとどうもしっくり来ない。

〇〇さん、僕と結婚して下さい。さもなければ逮捕します。

うぬぼれの逮捕劇は究極の二択。結婚か牢獄か。どちらを選ぶかは犯人に任されているのだが、何故か犯人が選ぶのはいつも逮捕状。それにしてもこんな刑事、前代未聞である。

壺にはまれば抜け出せなくなるドラマである。

満足度は★★★★★

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遠まわりの雨

  • 2014.09.09 Tuesday
  • 16:27
JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 夏川結衣、渡辺謙、AKIRA 他
【放送】 2010年(日テレ)

蒲田の小さな町工場に突然舞い込んだ大口契約。病に倒れた社長の代わりにやって来たのは、かつて社長の妻と恋愛関係にあった男だった。小さな町工場を舞台にした大人のラブストーリー。

東京蒲田の小さな町工場『秋川精機』に白人男性が視察に訪れる。彼は風力発電の際に必要となる金型を作ってくれる工場として秋川精機に目を付けたのだ。僅か社員四名の小さい工場ではあるもののその精巧な技術力を高く評価しての事だった。工場の面々が祝賀ムードに湧き立つ中、社長の秋川起一が突然脳卒中に倒れて入院してしまう。このままではせっかくの大口契約を逃してしまう。そうなれば工場を閉めるしかない。止むを得ず社長の妻・桜は以前工場で働いていた福本草平に助けを求めにいく。草平はかつて桜に想いを寄せていたが、今は別の女性と結婚して前橋で全く別の職業に就いている。しかし草平の答えはノーだった。

桜と草平はかつて恋愛関係にありながら、その関係は終焉を迎え、お互い別々の人生を歩んでいる。しかも桜の夫は、草平にとっては仕事仲間であり、気心の知れた友人でもある。三角関係の気まずさから秋川精機を去った草平。しかし草平の選んだ人生は決して幸せとは言い切れず、家族を養うために就いた仕事は完全に畑違いの仕事で、秋川精機の工員として感じていた生き甲斐を見い出せずにいる。また家族との関係もあまり良好とは言えない。そんな時、生き甲斐と呼べる仕事に巡り合ってしまったとしたら?好きなのに結ばれなかった人と再会したら?ドラマではそんな草平が手伝いという名目で一時的に輝いていた時代と触れ合ってしまった事から起こる葛藤を中心に描いていく。

古き良き時代の思い出は現状に満足の出来ない人間にとっては媚薬のような効果がある。折れかけた心を癒すだけなら良いが、はまり過ぎてしまえば抜け出せなくなる。それは草平だけでなく桜にも同じ事が言える。しかしその気持ちは同時に今の家族への裏切りを意味している。年月が経てば経つほど人間はしがらみが多くなっていく。自分の心に素直に応じるか、家族への義理と責任を果たすか、難しい問題である。

ストーリーは決して突飛な話ではなく、ごくありふれた日常を照らし出したに過ぎないのかも知れない。ただ年を重ねても人には熱くなれる時があるのだと訴えているように思えた。

満足度は★★★★

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山峡の章

  • 2014.07.15 Tuesday
  • 09:46
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【出演】 菊川怜、星野真理、岡田義徳 他
【放送】 2010年(フジ)

出張に出掛けたはずの夫が長野県で遺体となって発見される。しかも妹の遺体と一緒に。夫の死の真相を傷心の妻が晴らすサスペンス。原作は松本清張著の『山峡の章』。これまでに何度もテレビドラマ化されている。

朝川昌子は教員の父と専業主婦の母と天真爛漫な妹の四人家族。信用金庫に勤め、几帳面で地味な性格の昌子は自分は結婚と縁遠い人間だと思っていたが、一人旅に出掛けた軽井沢で偶然出会った外務省勤務の堀沢英夫と恋に落ち、結婚する。新婚当初は幸せな生活を送っていたが、堀沢の帰宅が次第に遅くなり、堀沢がどこかよそよそしくなっていく。ある日、堀沢が仕事で遅くなると連絡してきたのを機に昌子は実家に戻っていたが、その帰りに自宅近くのマンションから堀沢の友人のジャン―ナリストの吉木に出会う。しかし何故か堀沢には内緒にして欲しいと言って去っていく。その夜、マンションの前が騒がしくなる。何事かと外に出た昌子は吉木が出てきたマンションの一室で水商売の女性が自殺したと耳にする。数日後、妹の伶子と食事に出掛けて帰って来ると、家の中はめちゃくちゃに荒らされていた。丁度帰宅した堀沢にその事を訴えると、堀沢は外出していた昌子を責め警察に届けるなと言い出す。昌子は夫婦の間に深い溝を感じつつ堀沢を出張に送り出したが、二日後堀沢と伶子の遺体が長野で発見される。

妹と夫が心中。

それはごく平凡な生き方をしてきたヒロインの昌子にとって空前絶後の出来事。どちらも愛すべき存在で、裏切られたという感情より先に愛する人間を二人も失ったという悲しみの方が大きい。そんな昌子の気持ちも知らずに両親は一方的に堀沢に娘二人が騙されていたと捲し立て、マスコミはあたかも昌子の気持ちに寄り添うようなふりをして面白おかしく報道する。それがどれだけ遺族の昌子を傷付けているか、ドラマからひしひし伝わってくる。

しかし幾ら事件の真実を調べるためとは言え、ホステスになるとは随分思い切った決断をしたものである。昌子の性格から考えると水商売は決して足を踏み入れない領域のはず。松本清張の作品ではホステスになる女性が割合多く登場する。これは作品が書かれた時代背景もあるのだろう。女性の社会進出が当たり前では無かった時代の名残でもある。

罪の無い人間を陥れる巧妙な罠。それがこのドラマの基盤となっている。吉木の妹の話も絡ませつつ、心中事件の真相を暴いていく。昌子の戦いは両親にも警察にも頼れない孤独な戦い。唯一の味方は同じ不条理な思いを抱えた吉木だけ。しかし吉木もまた昌子の身の危険を案じて戦いから身を引くようにアドバイスしている。苦しい昌子の心境を考えると胸が詰まる思いである。しかしただ泣いているだけでは何も真実は得られない。だから危険な賭けでも行動を起こしてしまう。そうまでして真実を追求しようとするのは一見、夫の弔い合戦のように見えるが、ある意味昌子が自分と堀川の夫婦生活が無意味な物では無かったと証明したい気持ちも窺える。このドラマは遺された女の気持ちを深く切り込んだサスペンスドラマである。

満足度は★★★★★

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