十万分の一の偶然

  • 2014.01.14 Tuesday
  • 10:41
JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 田村正和、中谷美紀、小泉孝太郎 他
【放送】 2012年(TBS)

娘の命を奪った玉突き事故の原因を究明する父親の執念を描いたミステリーサスペンス。原作は松本清張著の『十万分の一の偶然』。尚、ナレーションは石坂浩二が務めている。

日本を離れて単身海外で取材旅行を続けていた山内正平の元に娘・明子の婚約者である塚本暁から悲報が届く。明子が東名高速道路で起きた玉突き事故に巻き込まれて死亡したのだ。しかも一カ月も前に。事故が起きた日、明子は沼津の病院に入院する叔母の見舞いに車を走らせていた。前方の車には親子四人を乗せた宮川家の車。水道工事会社の米津の車が明子の車を追い越そうとした時、前方を走るトラックが横転し次々後方車が玉突き事故を起こした。明子はその犠牲となり炎に巻かれて死亡したと言う。傷心の正平は日本へ向かう飛行機の中で、隣の席の夫婦から事故現場の写真を掲載した雑誌を見せて貰う。事故を撮影したその写真はたまたま居合わせたアマチュアカメラマンの山鹿恭一が撮影したもので、ニュース写真年間最優秀賞を受賞したと言う。そこには無情にも娘の最期の姿が写し出されていた。授賞式に潜り込んだ正平は、女性編集者・小泉の『事故の唯一の生存者である米津が事故直前に赤い火の玉を見ている』という話がどうしても気になり、事故の原因を究明しようと思い立つ。

父親が娘を思う気持ちがどんなに大きくても、このドラマの正平の年代の男性はそうした表現が苦手で、娘の死を悲しむ涙を他人の前で見せる事が出来ない。不器用と言うよりそういう教えの元に育ってきてしまったからである。正平は仕事を愛しているが、仕事だけが全てでは無い。心の中では一人娘の幸せを誰よりも願い、もうすぐ控えている結婚を寂しく思っている。けれどそうした秘めた感情はなかなか他人には伝わらないもの。明子の婚約者である暁は正平を冷たい人間だと決めつけ、反発している。そうした人間関係もしっかりと織り込まれていて、単純に事件究明を意図としたドラマとは異なり、悲惨な事故を扱ったドラマでありながら終始父親の狂おしい程の愛情を感じずにはいられないドラマだった。何より田村正和の名演が光っている。

勿論、内容は言うまでもなく秀逸なミステリーである。『尻尾のついた赤い玉』というキーワードだけで事故が偶発的な事故で無いと踏んで、どんな些細な手掛かりをも見逃さない正平の執念は凄まじい。正平がジャーナリストだからではない。父親だからこそ藁にもすがりたい気持ちがひしひしと伝わってくる。でも一人で掴める真実には限りがある。正平の気持ちを知った仲間がいて、仲間達が親身になって正平の手助けをしてくれる。正平の信念が周囲を突き動かしていく様もこのドラマの見どころだと言えるだろう。

十万分の一の偶然は本当にあったのか?

正平の全ての行動はそれが起因となっている。事故現場の決定的瞬間を捉えた写真を撮影するのはそれくらい難しいと示した言葉だが、『十万分の一の偶然』は確かに存在したとドラマを最後まで見れば思わざるを得ない。その正体にまた目頭が熱くなってしまう。

唯一難を言えば石坂浩二のナレーションはどうしてもホームドラマのイメージが強く、経緯を淡々と語る傾向のある松本清張作品にはあまり合っていなかった。少々穏やか過ぎる。

満足度は★★★★★

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