草の陰刻

  • 2014.06.04 Wednesday
  • 21:38
JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 宅間伸、財前直見、ケーシー高峰 他
【放送】 1994年(フジ)

検察の威信を守るために嘘の報告をした検事が過去の犯罪を隠し通そうとする政治家の罪を暴く本格社会派ミステリー。原作は松本清張著の『草の陰刻』。

法務省庁舎で眠っていた検事・瀬川良一は深夜消防車のサイレンの音で目を覚ます。慌てて服を着て外に飛び出すと、松山地検杉江支部が炎に包まれていた。その夜、宿直していたのは二人の事務官。二人の内、平田事務官は焼死体で発見されたが、もう一方の竹内事務官は翌朝帰宅した所で身柄を確保された。同年六月、瀬川に群馬県の前橋支部への異動が命じられる。一瞬、瀬川は杉江支部火災の責任を取らされたと懸念するが、火災が失火と処理されたため瀬川の責任は問われなかった。実は瀬川はあの火災が放火だと疑っていたが、検察の威信を守るために失火と報告していた。あの火災の夜、二人の事務官は宿直室を抜け出して飲み屋で酒を飲んでいたのだ。また火災現場から昭和三十四年の事件簿だけが紛失していた事実も判明している。昭和三十四年と言えば、平田事務官が急に金回りが良くなった時期でもあった。

何を信じるべきか。

このドラマでは検事・瀬川と渦中の政治家・佐々木の秘書・寺脇の二人の生き様を対比させて描いている。瀬川は己の信念に従って過去の全てを明らかにしようと奔走する。一方、寺脇は崇拝する佐々木のためにどんな手段にでも訴える。二人は元は大学時代の同期であり、親友でもあった。しかし卒業後再会した二人は信じる物が大きく変わり、それが後に敵対する羽目となってしまう。ところが不思議な事にこの二人は互いに信じる物のために行動を起こしているに過ぎず、強い信念を持つ青年である事には変わりない。信じる物が違ってしまったばかりに似た者同士である二人の運命は大きく変わり、ラストではその明暗がはっきりと分かれている。

瀬川が追及するのは佐々木の過去の罪。しかし佐々木と直接対決するわけではなく、悉く先回りをして証拠隠滅する佐々木から如何にして証拠を奪い取るかの双方の駆け引きが主体となっている。瀬川が佐々木から証拠を奪い取った瞬間が非常に興味深い。完全に意表をつかれた。

とは言っても真実が突き止められたから全てが瀬川の勝利かと言えばそうではない。所詮は瀬川の自己満足。真実を明らかにする事は必ずしも最良の選択ではないからである。松本清張作品らしいすっきりしない余韻が何とも言えない。

満足度は★★★★★

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