突堤に佇む女

  • 2016.05.22 Sunday
  • 15:57
JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 古谷一行、長山藍子、岸部一徳 他
【放送】 1990年(フジ)

夫に蒸発され女手一つで息子を育てる寂しい女と女の夫を追いかけて民宿に宿泊する男の大人のラブストーリー。

佐賀県の小さな漁港で民宿ともしびを営む野田小夜子は一人息子の正彦を女手一つで育てていた。夫の正夫は正月に電話を寄越したきり行方不明。寂しさを他の男で紛らわせてはいるものの、どんなに周りから勧められても正彦のために籍を抜く気にはなれなかった。ある日、民宿にふらりと客・岩下勝が訪れる。岩下は小夜子が留守の間に壊れた看板を直してくれたり、正彦と遊んでくれたりと次第に小夜子は岩下に惹かれていく。そんな中、東京で手形詐欺を働いた正夫を追って暴力団が民宿に押しかけてくる。彼らに暴力を振るわれた小夜子を助けたのは岩下だった。小夜子は岩下にすっかり夢中になり、今度こそ夫を忘れて岩下についていく決心をするものの、小夜子が遊びで付き合っていた男の乱入により岩下は去ってしまう。

生まれ育った町で暮らすヒロインが夫を待ち続けるのはただこの町を出て行く勇気がないため。子供から父親を奪うのはしのびないという理由をつけてぐだぐだと今の生活を続けているが、本心は家族を捨てて逃亡生活を送る夫の事などどうでも良く、常に誰かが自分をここから連れ出してくれるのを待ち続けている。ヒロインが中年女性なので適当な男と男のいない寂しさを晴らす等少々堕落した感じに装ってはいるものの、所詮は白馬の王子の訪れを待ち焦がれる夢見る少女と変わらない。そこに佐用姫の逸話を絡めてヒロインを佐用姫の生まれ変わりような演出にしている。舞台が佐與姫神社の近くなので地元らしさを醸し出したのだろう。

このドラマのヒロインの行動はなかなか興味深いものがある。捨てられた夫に未練を残しているかと思えば、体目当てで寄って来る男と適当に遊んでしまう。岩下に好意を持ってからは岩下しか目に入らなくなり、宿泊客がいるのに民宿を放り出して朝帰りする無茶っぷりを発揮。一途な女性であるのは事実なのだろうが、その反面男無しでは生きられないタイプの女性でもある。

本来なら敵となるべき相手を知らずに愛してしまう下りは設定は違うものの松本清張著の『張込み』に準ずるものがあり、また日テレで火曜ワイド劇場の松本清張作品常連であった古谷一行が出演しているだけに余計に松本清張っぽさを感じてしまうドラマである。ラストはまあ予想通り。ヒロインを終始佐用姫になぞらえているので、悲恋に終わった佐用姫同様悲恋エンドであり、あれだけ盛り上がっていたヒロインの気持ちのやり場の無さにすっきりしないものを感じるのも事実。これを見るとこのドラマ全てが泡沫の夢で終わってしまう空しさを覚える。

満足度は★★★★
 
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