四谷怪談 〜水草の巻〜

  • 2016.08.16 Tuesday
  • 09:15

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 田村高広、嵯峨京子、榊ひろみ 他

【放送】 1970年(東京12チャンネル)

 

『四谷怪談〜稲妻の巻〜』の続編。斬り殺された女が幽霊となって夫に身の潔白を訴える。四代目鶴屋南北の歌舞伎狂言『東海道四谷怪談』のテレビドラマ化。日本怪談劇場の第七話として放送された。

 

お岩とお岩の妹の夫・小仏小平を斬り殺した民谷伊右衛門はお岩の顔の変貌を疑問に思うが、直助権兵衛は不貞を働いた罰が当たったと平然と嘘をつく。これでもう後戻りできなくなった伊右衛門はお梅と祝言を挙げる。ところが祝言の最中にお岩の幽霊を見た伊右衛門は気もそぞろになり、その夜、伊右衛門への想いを語るお梅がお岩に見えて斬り殺してしまう。また娘の一大事に駆け付けた伊藤屋の主人さえも伊右衛門には小平に見えて斬り殺す。庭には二つの人魂が語り掛けるように漂い、自分の潔白を信じてと訴える。伊右衛門はようやく自分の非を認めて謝罪する。一方、お岩の妹・お袖は小平の生前から情を通じていた男と一緒に暮らしていたが、売られていたお岩の着物に血の染みがあった事からお岩が濡れ衣を着せられて殺されたと気付く。

 

悪の根源であるのは直助権兵衛に違いないのだが、幽霊のお岩や小平自身が復讐を遂げていない点がこのドラマのミソ。幽霊が復讐を果たすのではなく、自分の潔白を訴えて真の悪人を生きている人間に伝える役割のみをこなしている。そのため復讐を果たすのは、騙されてお岩を殺した伊右衛門になる。

 

また伊右衛門と並行して重要な位置づけがされているお袖だが、こちらは一切お咎めなし。男がなければ生きていけないという性分の女の設定になっているため、夫の生前から夫以外の男と情を通じていてもあまり罪悪の対象にはならないのかも知れない。元夫の小平もお袖と夫婦になっておきながらお岩に惚れていたし、お袖と小平はある意味似た者同士だったのだろう。小平が殺されてからも意外とさばさばしていて、あっけらかんと他の男と夫婦になったお袖に不思議と嫌悪感が湧かない。しかも意外な事に生前は姉のお岩に苦言を吐いてはいたものの、死後は情の深さを存分に発揮し、お岩を弔い自ら復讐を決意する姿勢を見せている。前編はただの男狂いのお袖が、後編では姉想いの女に様変わりしているのが印象的だった。むしろお袖は立ち回りが上手いだけなのかも知れない。

 

後編は怖いと言うよりはお岩が如何に生前良い女だったかを印象付けるようなストーリーである。ぬっと白い手が現れて足を掴んだりと恐怖を煽るような演出はあったものの、前編のお岩の顔の怖さに比べればさほどの恐怖はなく、怪談めいた怖さを孕みつつ夫婦の情や肉親の情に着目した人間ドラマになっている。それもまた興味深い。

 

満足度は★★★★

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