怪談 利根の渡し

  • 2016.09.01 Thursday
  • 00:33

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 船戸順、渡辺やよい、左右田一平 他

【放送】 1979年(東京12チャンネル)


暴君の主の後添えと不義密通の疑いをかけられ、両目を潰された下男が座頭となって恨みを晴らす復讐劇。原作は岡本綺堂著の『利根の渡』。日本名作怪談劇場の第七話として放送された。

 

足軽の娘・お徳は身分違いの野村彦右衛門の後添えとなったが、彦右衛門は足軽を見下してお徳が実家と親戚づきあいするのを嫌がり、祖父の葬儀に出るのさえ禁止する程の暴君だった。義弟・政治郎もお徳に横恋慕して常日頃から我が物にしようと手ぐすねを引いていた。唯一の味方は下男の治平のみ。どうしても葬儀に顔を出したかったお徳は治平の手引きで輿入れしてから初めての里帰りを果たす。気苦労からすっかり体が弱っていたお徳は途中で眩暈を起こし、人気のない小屋で治平に看病して貰う。その様子をこっそり後をつけてきた政治郎が陰から見ていたとも知らずに。政治郎がお徳と治平が不義密通を働いたと彦右衛門に報告したため、激昂した彦右衛門は治平の両眼を潰してしまう。またお徳にも暴行を働き、とうとう耐え切れなくなったお徳は治平と逃亡する。ところが先回りしていた政治郎が二人の行く手を阻み、治平を守ろうとしたお徳は誤って政治郎を斬り殺してしまう。それから間もなく早馬で駆け付けた彦右衛門に見つかり、お徳は斬り殺される。

 

刺さりましたね、ちょうど目玉の真ん中に。

 

船頭夫婦の前に目玉を刺された魚が浮かび上がる場面から始まるこのドラマ。岸辺に佇む座頭の薄気味悪い声が特に印象的で耳に残る。目が見えていないはずなのに魚の目玉を捕らえた事を正確に知るこの座頭の正体は言うまでも無く、七年前野村彦右衛門に両目を潰された治平。どこでどう彷徨ったかは定かでは無いが、ここ一年程は船着き場で野村彦右衛門を執念深く待ち続けていると言う。

 

このドラマは決してスプラッタな演出に頼ったり、度肝を抜くように突然何かが現れたりするような演出に頼る事も無く、不気味な映像技術に頼るような事もない。所謂正統派の怪談である。それなのにごく普通の何気ない行為に忍び寄るように恐怖を感じるのである。つまり見ている人の頭に恐怖の展開を想像させる。こういう類の怪談の方が視覚的な恐怖に頼るホラー物より数段怖い。後々まで後を引くのである。

 

ところでドラマに登場する人物の内、治平の復讐を全て見届ける役割を船頭夫婦が務めるのだが、気の好い人情味あるこの夫婦の俗っぽさが怪談にはあまり登場しないタイプであるのが大変興味深い。時代劇の怪談では大抵仇討ちする側もされる側も必死で殺伐としているものだが、この夫婦は一切関与していないだけにそうした必死さが全くない。常に蚊帳の外で事態を眺めていて、時折治平の執念に巻き込まれるものの、外野の立場である人間に見届けさせるスタンスの怪談は珍しい。

 

最後のここぞとばかりの一言にやられる事間違いなし。秀逸な怪談である。

 

満足度は★★★★★

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