怪談 奥州安達ケ原

  • 2016.09.12 Monday
  • 09:13

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 藤巻潤、加山麗子、梅津栄 他

【放送】 1979年(東京12チャンネル)

 

盗賊に嬲り殺しにされた母娘が鬼女となって蘇る復讐劇。日本名作怪談劇場の第十三話として放送された。

 

時は応仁の乱の最中、戦乱を逃れて京を離れる事になった友音は、奥州へ向かう途中暴れ馬に踏み躙られそうになった所を不二木右京に助けられる。何とかあばら家を見つけて落ち着いた友音と母・しほりだったが、今度は下男の虫兵エが美しい友音を我が物にしようと襲い掛かる。しかし寸での所でしほりにみつかり、薙刀で顔を切り付けられ追い払われてしまう。一年後、母娘二人きりの平穏な生活を手に入れていた友音の前に右京が現れる。二人は互いに惹かれ合い、右京は友音に大切な笛を託して京へと旅立っていった。ところがその直後、盗賊の頭となった虫兵エが一年前の恨みを晴らしに盗賊達を連れてやって来る。女二人では為す術もなく、母は盗賊達の慰み者にされ、その間に虫兵エは生娘の友音に思いを遂げてしまう。その後、しほりは虫兵エに嬲り殺しにされ、友音は強い恨みを抱きながらしほりの胸を付いた短刀で自らの命を絶った。

 

舞台となった安達ケ原には鬼婆が住み着き人を食らっていたという鬼女伝説のある場所である。福島県二本松市には黒塚と呼ばれる鬼婆の墓がある程馴染みのある話であり、浄瑠璃や歌舞伎などの演目にもなっている。おそらくこのドラマはその鬼女伝説から端を発して復讐のために鬼女となって蘇った母娘の話として制作されたと思われる。自分達を嬲り殺しにした盗賊達に恨みを晴らすために鬼女になった復讐劇ではあるのだが、その一方で清らかな男女の悲恋物語という一面も持っている。時代が応仁の乱のあった室町時代と設定されている事もあり、江戸時代の庶民的な怪談とは一線を画しており、自然豊かな草原でロケを行ったり、舞台セットも非常に幻想的な演出が施されている。但し、怖さから言えば鬼女伝説の方が生きたまま人肉を食らう点からも残忍で恐怖感がある。

 

それにしてもこの話はよくよく考えてみると、虫兵エが悪事を働こうとしたのが発端となっており、その事には虫兵エは一切悪気を感じる事無く、ただ顔を傷付けられた事に恨みを抱いて盗賊を率いて女二人に復讐とか道徳心の欠片もない行動に出ている。蝶よ花よと育てられた清らかなお姫様である友音はそんな身勝手な男に慰み者にされ、目の前で母を嬲り殺しにされ、恨みを抱くわけだが、虫兵エに「鬼女にでもなって・・・」と冗談交じりに言われたために鬼女になるって、どれだけ素直なのだか・・・。『牡丹灯籠』の怪談話のように愛する男を死へと引きずり込む事もない。また右京の方もこの友音に劣らず心の清らかな人間で、鬼女となってしまった友音を嘆く事はあっても、愛する気持ちは変わらず浄土で添い遂げようと深い愛情を示す。右京がもう少し早く安達ケ原に戻って来ていれば・・・。そのタイミングのずれが二人の恋を悲恋にしてしまったとは何て悲しい事だろう。最後に友音が別れの舞を踊る姿が切なかった。

 

満足度は★★★★★

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