喪失

  • 2016.10.10 Monday
  • 10:39

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 桃井かおり、豊川悦司、川上麻衣子 他

【放送】 1993年(フジ)

 

死期が迫った女が残していく夫に対する複雑な感情を抱きながら過ごす日常を描いたストーリー。原作は三浦綾子著の『喪失』(『毒麦の季』所収)。このドラマは特選!黒のサスペンスの一篇として放送された。

 

小樽に住む九島文恵は退院してから体調は思わしくなく、二年前に亡くなった妹と同じように癌を発症していると何となく察していた。身辺整理を始めた文恵は毎日夫へのメッセージをカセットテープに録音しようと思い立つ。そんな中、義弟・守幸から突然告白される。そして文恵を諦めるために別の女性と再婚すると言い出す。そんな守幸を見た文恵は残された夫が幸せでいて欲しいから再婚して欲しいとメッセージを録音する。ところが守幸が再婚相手の照美を連れてきた時、文恵は夫の再婚相手に嫉妬を覚えて悩んでしまう。そんな文恵に友人は文恵が男を作れば良いとアドバイスするのだった。

 

自分の命が後僅かしか残されていないと知った文恵が自分の死後を見据えて、今で言う終活を行う話なのだが、夫に自分の死後も幸せに暮らして欲しいと思う一方で、自分を忘れて若い女に乗り換えると思うとどうにもやるせなくなるという複雑な文恵の女心を綴ったドラマである。ここで一つはっきりしているのは文恵が誰よりも夫を愛しているということ。結婚して何年も経てばやがて恋愛していた頃の気持ちが薄れて夫が男から家族になっていくもの。それが文恵には感じられないのである。義弟の結婚を目の当たりにして、文恵は夫が再婚した時どんな気持ちになるかを悟る。その時にはもう自分はこの世にはいないと判っていても再婚相手に嫉妬する気持ちは抑えられない。文恵はあくまで女なのである。妻となっても夫に女として接していると痛いくらい伝わって来る。勿論成熟した女性であるのは間違いないので、夢の中では浮気願望もあるようだが・・・。

 

ところが文恵が妻として理想的な女性に描かれている反面、友人と守幸の再婚相手の照美に至っては文恵との差別化を出すためかも知れないが、結構キワモノの女性になっている。女として文恵よりずっとさばけているというか、恋愛に手馴れているというか、文恵がまるで少女のまま主婦に収まっているようにさえ感じてしまう。これは原作者の登場させる女性観によるものなのだろう。

 

さて面白いのが文恵の夫。終始守幸は登場するのだが、このストーリーの中に文恵が愛する夫が一切登場しない。登場しても画面に映し出されるのは後姿や寝ている際の顔の一部。文恵がこんなにも大切に考えている相手の男がこんな程度の扱いで良いのかと疑問を感じる気持ちがなきにしもあらずだが、演出としては面白い。

 

ラストは文恵という女性の真の姿を最も映し出した結末となっている。このラストは興味深い。ただの一人の女の願望を叶えたドラマで終結しないところが良かった。

 

満足度は★★★★

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