満願 最終夜 満願

  • 2018.08.18 Saturday
  • 17:58

【出演】 高良健吾、市川実日子、寺島進 他

【放送】 2018年(NHK)

 

殺人を犯した下宿屋の女将の弁護を引き受けた弁護士が彼女の本心に辿り着くまでを描いたストーリー。原作は米澤穂信著の『満願』。

 

弁護士を目指す苦学生の藤井は火事に見舞われ、急遽知人の紹介で畳屋の二階を間借りする事になる。出迎えたのは淑やかな美しい女将の鵜川妙子。夫の鵜川重治は職人気質で、畳の需要が減り店の経営が立ち行かなくなったせいで酒浸りの生活を送っている。そんな駄目な夫を妙子は自らも着付けの仕事をしながら支えていた。彼女は祖先が功績を称えられ、殿様から掛け軸を貰った事を誇りに思っていて、虫干しをしながら藤井にその話を語る。また藤井が下宿代を払えなくなればこっそり用立てしてくれたり、試験で焦りを感じれば励ましてくれたり、藤井は妙子に感謝するばかりだった。しかし重治にはどんな苦境でも誇り高く凛として生きる出来過ぎた女房が重荷に感じていた。やがて藤井は弁護士となり多忙な日々を送り、妙子への恩を感じながらも仕事を理由に音信不通となりつつあった。そんな中、突如藤井は妙子と再会を果たす。妙子が金貸しの男を包丁で刺殺し、遺体を遺棄したと言うのだ。恩人の妙子の罪を少しでも軽くしようと藤井は妙子の弁護を志願する。

 

このドラマの一番のテーマは殺人を犯した妙子が何を守ろうとしたのかである。それが判るのはドラマの終盤。しかも妙子が服役を終えてからだった。藤井は妙子の弁護人を務めている間には決して見えてこなかった事実を、自分に何よりも守りたいものが出来た事でようやく掴む事になる。実はこの辺りの表現があまり明確ではなく、ぼんやりしているとあっさり見逃してこのドラマが一体何を言いたかったのかが全く判らなくなってしまうので注意が必要である。何気ない日常の映像表現には気を遣った作品だが、重要な部分が判りづらいのがこのドラマの欠点である。

 

このドラマでは下宿屋の女将である妙子が非常に際立っている。潰れかけた畳屋も酒浸りの夫も彼女にはあまりにも不似合なのだ。彼女は決して自分の置かれた立場を悲観せず、自分のするべきことを見つけて過ごしている。夫を愛しているかと言えばそれも違うような感じがする。彼女はただ自分の運命を抗いもせず慎ましく受け入れていると言うべきだろう。それが自分の進む唯一の道だと信じて。妙子が再会した藤井が弁護士になっている姿を見て感激する場面がある。それはあたかも巣立てない自分に代わって、立派に成長した藤井をまるで自分の事のように喜んでいるように見えた。返事の来ない年賀状を藤井に出し続けたのも、彼女にとって藤井は一縷の夢であり、それに繋がっていたいという願望だったのかも知れない。心根が立派過ぎる故の生き方なのであるが、寂しいものである。

 

満足度は★★★★

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