疑惑

  • 2019.02.07 Thursday
  • 12:31

【出演】 米倉涼子、黒木華、津川雅彦 他

【放送】 2019年(テレ朝)

 

海へ転落した車から生還した妻が夫殺害の容疑で逮捕された。これは保険金目当ての殺人なのか、それとも単なる事故なのか。悪名高き敏腕弁護士が彼女の冤罪を晴らすべく事件の真相に迫る。原作は松本清張著の『疑惑』。テレビ朝日開局60周年記念ドラマスペシャルとして放送された。尚、津川雅彦はこのドラマが遺作となった。

 

佐原卓子は勝訴のためには手段を選ばぬやり口から『最低の弁護士』と揶揄されている。ある日、崇拝する先輩弁護士の原山正雄から白河球摩子の弁護を引き受けて欲しいと頼まれる。当初、卓子はあまり乗り気では無かった。何しろ相手は世間から『鬼クマ』と呼ばれる程の悪女。恐喝や傷害の前科がある。二回りも年齢差のある資産家の夫を保険金目当てで殺害したと言っても何ら不思議はない状況だった。しかし体の弱った原山からの頼みであり、大勢のマスコミの前で無実を訴える球摩子の姿を見た卓子は本腰を入れて事件を調べ始める。事件は激しい雨の夜に起きた。球摩子の夫・白河福太郎と球摩子はドライブ中に運転を誤って海へ転落し、何とか車から脱出した球摩子は岸まで泳ぎつき、夫が海に落ちた車の中に取り残されていると警察へ通報している。その後、海から引き上げられた車の中から福太郎の遺体が発見され、球摩子は夫の亡骸に縋って激しく泣いていたと言う。しかし警察は球摩子が福太郎に対してDVを行っていたと孫からの証言を得、更には転落した車中にスパナが落ちていた点などから球摩子が保険金目当てで福太郎を殺害を企てたと睨んでいた。だが殺人の確固たる証拠は何一つない。そこで警察は別件逮捕という強硬手段に出る。

 

テレビ朝日での松本清張作品では近年、主演に米倉涼子を起用している。このドラマもその一つだが、これまではいずれも悪女役だった米倉涼子が今回は弁護士として悪女を弁護する立場を演じる。とは言え、やはり役柄的には一癖も二癖もありそうな弁護士で、裏を返せば悪女と言えなくもない。

 

面白いのは卓子は球摩子を弁護する立場でありながら、卓子の最大の敵となって前に立ちはだかるのは他でもない球摩子なのである。本来ならば球摩子の事件を巡って対立する相手となる検事や検察と密な関係にあるゴシップ記者が敵となるはずなのだが、このドラマの場合これらは卓子に上手く手のひらで転がされる手駒という扱いで、専ら最低の弁護士VS稀代の悪女という姿勢を貫いていく。但しこの原作は元々かなり古い作品のため、現代舞台での実写化にはかなり難がある。本来は手に負えない球摩子の言動で振り回されつつも勝訴するためだけに邁進する弁護士の孤軍奮闘ぶりを描いた作品であるのだが、今回はかなり球摩子の生い立ちを重視して、事件の真相よりも球摩子の人間性を問う部分に重点が置かれていた。また卓子の設定にもかなりこだわっていて、事件そのものを中心としたドラマでは無く、ヒューマンドラマとして成り立たせた印象がある。

 

この作品の見せ場は球摩子と卓子の女優同士のぶつかり合いにある。しかしそれについては共に迫力のある女優同士ではあったのだが、やや物足りなさを感じた。直接的なぶつかり合いの場面が少なかったように感じる。

 

ストーリーとしてはラストのどんでん返しに期待していたのだが、このドラマが遺作となった津川雅彦が演じた原山弁護士の葬儀で締めくくるに留まった。故人を崇敬する気持ちからの演出とは思われるが、松本清張作品のグレーな後味の悪さが無くなってしまい寂しい限りだった。

 

満足度は★★★★

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