1925年の明智小五郎「D坂の殺人事件」 

  • 2019.04.08 Monday
  • 20:03

【出演】 満島ひかり、松永天馬、津田寛治 他

【放送】 2019年(NHK)

 

東京のD坂にある古本屋の女房が絞殺された。難解な密室殺人事件を明智小五郎が解決するミステリードラマ。江戸川乱歩の短編小説を気鋭のクリエーターが映像化するシリーズの第一作。原作は江戸川乱歩著の『D坂の殺人事件』。この作品は江戸川乱歩の推理小説ではお馴染の明智小五郎が初めて登場する作品である。

 

東京のD坂の大通りの中程には喫茶店『白梅軒』があって、主人公・私は良くその店を利用していた。その日もいつものように店で珈琲を飲みながらくつろいでいたのだが、女給達の噂話が耳にはいってきた。それは向かいの古本屋の女房が色気のある良い女なのだが、何故か体には無数の何かで叩かれたような傷があるという話だった。しかもそれはその女房だけに限らず、同じ通りにある蕎麦屋の女房にも同じような傷があると言うのだ。私は何の気なしに話に出て来た古本屋を眺めていた。すると丁度そこへ通りがかった知人である明智小五郎が私を見つけて白梅軒にやって来た。明智は髪の毛がもじゃもじゃで美男子とは言えないが何処か愛嬌のある顔をした男で、暫く話している内に古本屋の様子がおかしいと言い出す。それは私も同じ事を考えていた。ほんの三十分程の間に本泥棒が四人も立て続けに現れたのだ。不思議に思った私と明智は古本屋へと向かった。

 

特別高価なセットを用意するわけでもなく、まるで本からそのまま飛び出したちょっと遊びのあるレトロな世界観がなかなか味がある。アイスクリーム屋がアイスクリーム屋の玩具だったり、D坂が模型で作られていたり、そこにリアルな人間が本の中を覗き込むように登場する一種独特な世界である。1925年と言えば大正十四年。その当時のセットを忠実に再現する事も可能だろうが、それを現代の映像技術で行うと何処か作り物感が否めない。それならばいっそこのドラマのようにそもそもが作り物という世界であれば、別段気にもならないものである。

 

そもそもこのドラマの原作は短編小説であり、明智が探偵として密室殺人事件の謎をこつこつ調べて解き明かすタイプの作品では無い。主人公の誤った推理を聞いて、明智はずばりと真相を言い当てる。言わば推理クイズでも解いているようなストーリーである。そこにリアルで高価なセットが必要かと言われれば疑問となる。むしろ遊び心満載の世界観が似合っているような気さえする。

 

満島ひかりの明智小五郎は原作に忠実に再現された明智であるが、何となく横溝正史作品に登場する金田一耕助を思い出す。この後の作品で明智小五郎は都会的な紳士のイメージがついてしまったので稀少な姿を見られたお得感があった。

 

満足度は★★★★

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