1925年の明智小五郎「屋根裏の散歩者」

  • 2019.06.25 Tuesday
  • 09:35

【出演】 満島ひかり、篠原信一、村杉蝉之介 他

【放送】 2016年(BS NHK)

 

屋根裏を散歩するのに魅入られた男が同じアパートの住人を殺害した。完全犯罪を狙った殺人事件を明智小五郎が見事に解き明かすミステリードラマ。江戸川乱歩の短編小説を気鋭のクリエーターが映像化するシリーズ第三作。原作は江戸川乱歩著の『屋根裏の散歩者』。

 

明智小五郎の知人である郷田三郎は常に刺激を求めていた。三郎は色々な事に手を出して暫くは夢中になるものの、変化のない物事にはすぐに飽きて別の刺激を求めてしまう癖があった。ある日、三郎は押し入れの天井に屋根裏へ出る入り口を見つける。三郎の住んでいるアパートは新築でまだ屋根裏は蜘蛛の巣などがはられていない。あちこちから漏れる光はそこに同じアパートの住人の部屋がある事を示している。そこから覗く光景に三郎の心は躍った。人には幾つもの姿があり、三郎に覗かれている事も知らない住人達は人には見せない姿を三郎の前に曝け出すのである。その中には三郎が生理的に好かない遠藤の部屋もあった。非常に几帳面な彼はその性格を表すかのように部屋の中もきちんと整理整頓され、私物は全て乱れなく並べて置かれていた。無防備な遠藤の寝顔を見ている内に、三郎の中にあった犯罪者的嗜好が働き出した。人を殺めてみたいという思いがふつふつと彼の中で膨らんでいったのだ。

 

主演の篠原信一の格好が恐ろしくレトロで逆に目を惹く作品である。元々ぬもーっとした面長の顔をしている彼が当時のごく一般的な肌着であろうラクダの下着に腹巻をした姿はあたかも肌色の肌襦袢に身を包んでいるようにも見え、エロティックとはまるで無関係ではあるが見てはならぬものを見せられたような気持ちになってしまう。一方、遠藤もまた特徴的な顔をしており、さながら顔芸だけでこのドラマは成功してしまうのかとさえ思わせてくれる。それに対して何故に満島ひかりがおかっぱ頭で明智小五郎を演じているのか、それが一番の謎である。

 

さてストーリーに目を向けると、本来推理小説とはこういうものであるとお手本を示してくれるようなストーリーで、何もヒューマンドラマをこてこてに詰め込んで、猟奇的な殺人を犯さなくてもミステリーはちゃんと成立するのである。そこが現代のミステリーとの大きな違いであり、同時に簡潔で判り易い。謎を呼ぶ謎といった作りになっていなくても面白いものは面白い。それに気付かせてくれるドラマであった。

 

満足度は★★★★★

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