殺人鬼

  • 2019.10.17 Thursday
  • 10:31

【出演】 古谷一行、藤真利子、星由里子 他

【放送】 1988年(TBS)

 

お化け屋敷で起きた闇ブローカー殺人事件の謎に金田一耕助が挑む本格ミステリー。原作は横溝正史著の『殺人鬼』。TBSの金田一耕助シリーズ第八弾!

 

お化け屋敷で闇ブローカーの遺体が宙づりになって発見された。事件の担当となった等々力警部はお化け屋敷の近隣で留守番の依頼を受けていた金田一耕助を訪ね、事件現場を見るだけでもと連れ出す。発見された闇ブローカーはいつも大金を身に着けていたが、遺体からは財布が見つからなかった。状況から見て犯行はお化け屋敷で働く全員が可能だった。遺体を吊り上げた雑用係の部屋から被害者のライターが見つかった事から警察は雑用係を犯人として逮捕する。ある夜、金田一は夜道の暗がりから声を掛けられる。声を掛けて来たのは上品な身なりの婦人だったが、その顔はお化け屋敷の前で古着屋の露店を出していた女性と瓜二つだった。しかし彼女は別人だと否定する。彼女は賀川加奈子と名乗り、金田一に家までの用心棒を頼みたいのだと言う。ところが別れ際、二人の前に顔をサングラスやマスク、帽子で隠した義足の片足を引き摺る男が現れ、加奈子はその男を見た途端怯えだす。実はこの男は加奈子の夫――亀井淳吉で、結婚した翌日に出征してその後行方知れずになっていたのだ。加奈子は疎開先で知り合った賀川達也と内縁関係となって暮らしていたが、突然亀井が現れて加奈子を付け回すようになったのだと言う。また賀川も既婚者で、梅子とは愛の無い夫婦を続けていた。加奈子は金田一に自分を亀井から救って欲しいと嘆願する。

 

戦時中には出征が決まった男性と見も知らぬ女性の結婚は珍しくも無い。お国のために戦うのだから、せめて結婚だけでもさせてやろうという気持ちが当たり前のように当時の人々の中に存在していた。しかし逆に考えれば例えそれが当たり前の世の中でも結婚相手として選ばれた女性にとってはどうなのだろう?諦めと不安と嫌悪。相手がどんな男であろうと出征するという事実が全てを正当化してしまう。このドラマは横溝正史作品らしく、夜道を義足の不気味な男がたった一夜だけ妻だった女を追い回すというシチュエーションを作り上げ、おどろおどろしい不気味さを煽っているものの、その実態は終戦直後の日本を必死に生きる人々のヒューマンドラマだった。悪人も善人も誰もが生きるために必死で、人間としての道徳など言ってはいられない。生き延びるためには何をしても構わない。生への執着が人を狂わせていく。

 

難を言えば展開が途中から急で金田一が唐突に解決に導いていく姿が強引に思えた。また加奈子の金田一に対する感情に割り切れないものがある。しかし登場人物が吐く言葉や生き様が非常に印象深く、何度も胸に刺さった。

 

満足度は★★★★★

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