黒猫亭事件

  • 2012.09.27 Thursday
  • 00:08
JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 古谷一行、太地喜和子、長門勇 他
【放送】 1978年(TBS)

黒猫亭で発見された顔のない女の死体の正体を探る本格ミステリー。原作は横溝正史著の『黒猫亭事件』。このドラマは古谷一行主演の横溝正史シリーズ2の第七作目として放送された。尚、元が短編のため前後編の二回だけの放送になっており、前編のラストでは金田一耕助自身が視聴者に事件の謎について語りかける場面が導入されている。

昭和二十二年。バー『黒猫亭』のマダム・繁子は土建会社の社長・風間との密会中、「亭主に殺されるかも知れない」と妙な事を口走っていた。ある日、駐在が黒猫亭の外で妙な物音を耳にする。塀から中の様子を窺っていると、一心に庭を掘る日兆の姿があった。土の中から人の体の一部が覗いているのを見て、駐在が土を掘り進めると、顔も体も損傷が激しい女の死体だと判明する。翌日、中学時代の先輩である風間を訪ねた金田一耕助は、風間から来るのが一日遅かったと告げられる。実は風間は愛人の繁子の身を案じて金田一を呼び寄せたのだが、その日の新聞には土の中から発見された女の死体は繁子だと特定する記事が掲載されていた。

不思議な事にこのドラマには殺されたと思われる繁子も、繁子を殺害する動機を持つ繁子の夫・糸島も情婦の鮎子もドラマの中に登場して来ない。全てが人づてに情報を得ると言う形で進められ、金田一は成り行き上事件の調査に奔走するものの、まるで雲を掴むように実感を持てないと苦言を漏らすほど。つまり女の遺体がある以上何らかの事件が起きているはずなのだが、全てが現実的ではないのである。それがこの事件の特異性であると言える。

バーの名前からも判るように何かと黒猫に関わってくる今回の事件。黒猫は不吉だと謂れがあるだけに、ストーリーと関係がなく登場する黒猫が不吉な雰囲気を煽る効果を担っている。女の遺体に猫の死骸。まるでポーの『黒猫』の世界に迷い込んだような不気味さである。

さてさて事件の捜査は進みやがて解決を迎える。その時、金田一の名推理が挙げた事件の真犯人の正体には痺れる。短編ではあるものの事件を通して人間の悲哀を表現した秀逸なドラマである。

満足度は★★★★★
横溝 正史
角川書店(角川グループパブリッシング)
(1973-04-20)

にほんブログ村 テレビブログ 推理・サスペンスドラマへ
コメント
コメントする

calendar

S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      
<< June 2019 >>

にほんブログ村

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered by

無料ブログ作成サービス JUGEM