女監察医・室生亜季子 薬殺

  • 2016.07.26 Tuesday
  • 08:37

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 浜木綿子、中山仁、剣幸 他

【放送】 1994年(日テレ)

 

料理教室の参加者が体調不良を訴える中、一人の男が変死する。司法解剖の結果、男はタリウム中毒だった。火曜サスペンス劇場の人気シリーズ『女監察医・室生亜季子』シリーズ第十七弾!

 

川越で三代続いた開業医で、地域の監察医を務める室生亜季子は患者から浜田警部が料理教室でもめ事を起こしたと聞いて、浜田警部の自宅を訪ねていく。浜田警部が通っている『川越料理教室』の同じグループに宮部智之という男が娘・美智子を捨てた相手だったのだ。そのせいで美智子は拒食症になり、浜田警部はどうしても感情が抑えられず宮部と大乱闘したと言う。ところがそれから二週間後、宮部が自宅で急死する。料理教室の面々がお悔やみに駆け付ける中、浜田警部は少し前から宮部が体調不良を訴えていたと聞く。しかも宮部だけでなく浜田警部以外の料理教室の面々が先週の料理教室の後から一様に体調不良を訴えていた。料理教室の仲間達が宮部と揉めていた浜田警部に疑いの目を向ける。その頃、室生医院へ宮部が他殺の疑いがあると記されたFAXが届く。亜季子は死亡診断書を書いた医師から宮部に何かの中毒症状が出ていたと聞いて司法解剖を願い出る。結果、遺体からタリウムが検出され、他の料理教室メンバー四人の尿からも陽性反応が出た者が現れる。

 

亜季子のファッションがお洒落で可愛らしい。普段着の時の鮮やかな色合いの毛糸のワンピースと良い、外出する際のポンチョ風のコートと良い、勿論現代とはシルエットが異なるため通用する服装では無いのだが、それでもそのチョイスに思わず目を惹かれてしまう。

 

今回はタリウムによる中毒死。同じ料理教室に通うメンバーの中に陽性、陰性と混じり、更にはその中の一人だけが死亡する。料理教室が開かれた日にそのメンバーが被害に遭った事からも、料理教室で何らかの形でタリウムが体内に入ったのは間違いない。そうなると考えようによっては無差別殺人だった可能性まで出て来る。被害者となった宮部の死は宮部を狙ったものなのか、それともたまたま宮部が大量に摂取してしまったのか、状況は混沌としてくる。

 

誰が犯人か判らぬ状況で行われた殺人とすると非常にミステリー色が強くなるが、このシリーズはあくまでミステリーより人情的な部分がメインのため、殺人事件の真相に迫る一方で浜田警部の娘・美智子が宮部の元カノという事で色々情報提供をしてくれる。それにより犯人も動機も特定しやすくしている。個人的には混沌としたまま進んでいく方が好きなのだが、流石に決まった時間枠の中でそれを行うのは難しいだろう。

 

それにしても終わってみれば事件に関わった人物は被害者も含めて身勝手な人間ばかり。事件は起こるべくして起こった感じである。

 

満足度は★★★★

白井貴子,秋元康,十川知司,カラオケ
テイチクエンタテインメント
(1994-06-01)

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女監察医・室生亜季子 夕映えの女

  • 2016.07.23 Saturday
  • 10:53

JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

 

【出演】 浜木綿子、根本りつ子、銀粉蝶 他

【放送】 1994年(日テレ)

 

民謡研究家の元妻が雑木林の中で遺体となって発見される。死因が呼吸不全だったにも関わらず彼女には苦しんだ様子が無かった。火曜サスペンス劇場の人気シリーズ『女監察医・室生亜季子』シリーズ第十六弾!

 

川越で三代続いた開業医で、地域の監察医を務める室生亜季子は暇を持て余して民話に凝り出した浜田警部からの誘いを受けて、民話を集めて語り部をしている花井伍市の家を訪ねる。その日はたまたま新潟に嫁いだ伍市の娘・小沢道代が伍市の前妻・田島雪江と孫の万里を連れて遊びに来ていて、伍市の民話の語りを肴に有意義なひと時を過ごした。ところが翌日伍市から背中が痛むと室生医院へ連絡が入る。急性膵炎だった。既に道代が新潟に戻ってしまったため家には万里しかおらず、仕方なく伍市が室生医院に入院している間、亜季子が万里を預かる事になる。何でも道代が結婚した小沢節夫は飲んだくれのろくでなしで、後妻に入った道代や雪江に度々暴力を振るうらしい。万里はそんな父親を嫌っていた。そんな中、雪江の遺体が雑木林で発見される。雪江は新潟の病院に入院中で一時退院を貰って比企郡谷中の妹の元に身を寄せる予定だった。遺体には外傷はなく呼吸不全による死亡だったが、亜季子は遺体に全く苦しんだ様子が見られない事に不信を抱く。

 

今回のテーマは安楽死。生きとし生ける者は誰しも『死』へ向かって生きている。しかしその道は険しく、余りある命を自らの手で絶とうとする者もいる。特に病気を患い、思うように体を動かす事も出来ず、誰かに頼ってしか生きられない病人にとっては病の苦しみから逃れるために安楽死を望む者もいる。但し安楽死は法では認められておらず、こと日本ではどんな苦しみを与えようとも一日でも長く生きる事が美徳とされている。序盤で花井伍市が『姥捨て山』を語り聞かせる場面があり、還暦を迎えた老人を山へ捨てるという下りそのままに雪江は雑木林の中で発見される。しかし実際には森鴎外著の『高瀬舟』、これも花井伍市が酒の席で亜季子や浜田警部に語り聞かせているが、こちらの安楽死の是非を問う問題が主体となっている。いわば今回のドラマは二つの話を上手くドラマに取り入れた形で制作されている。花井伍市が語り聞かせる『高瀬舟』はドラマ内では「味のある」と表現されているが、非常に秀逸で、兄が苦しむ弟を前にして死なすべきか葛藤する場面では胸が詰まる思いにさせられる。

 

さて安楽死の是非の問題と言えば昨今でも度々話題になる事があり、中には安楽死を求めた自殺を認める国もあるのが現実である。未だ明確な結論の出ない問題だけに非常に重いテーマではあるのだが、その重さそのままにドラマに取り入れたのでは話が重くなり過ぎてしまう。そのためドラマではそこまで深くは追及していない。

 

終盤は安楽死問題を離れて、雪江の死から意外な人間関係が明らかになっていく。但しその各々の身勝手な言い分に関しては同情の余地はまるでない。どの面々の言い分もいい加減にしろと腹立たしい限りである。しかし雪江の死はある意味そうした人の心の闇を照らし出したとも言える。何とも皮肉な話ではあるが・・・。

 

満足度は★★★★

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女監察医・室生亜季子 扼殺

  • 2016.07.07 Thursday
  • 01:25

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【出演】 浜木綿子、渋谷哲平、すまけい 他

【放送】 1994年(日テレ)

 

川で扼殺された女性の変死体が発見される。女性が揉めていた相手は元警部の娘の恋人でもあった。火曜サスペンス劇場の人気シリーズ『女監察医・室生亜紀子』シリーズ第十五弾!

 

川越で三代続いた開業医で、地域の監察医を務める室生亜季子の元に久々に田原元警部から連絡が来る。奇妙な事に浦和中央病院の婦人科で田原と再会した亜季子は田原の娘・和子が恋人・島倉洋一に振られたショックで流産した事を知る。付き添ってくれた和子の友人の話では、和子は埼玉に出て来る度に洋一の家に泊まっていたらしい。フレンチレストラン『ジュティム』で勤務中の洋一に事情を尋ねると、洋一は和子と別れざるを得ない事情を抱えていたと判明するが、土下座して謝るばかりで理由は一切告げようとしなかった。翌日、川で女性の変死体が発見される。遺体は扼殺の上、遠方より死体を運んで遺棄されたと亜季子は診断する。東京から駆け付けた母親の証言で、遺体は絵画教室の教師をしている大田弘子と断定された。絵画教室の生徒達の話では弘子が恋人と揉めていたと判明する。その恋人と言うのが洋一だった。

 

五年ぶりに田原元警部ことすまけいが登場。五年の間に男やもめになっていた田原元警部の登場に浜田警部は気が気では無い。おまけにすっかり亜季子に甘えて室生医院に寝泊まりされたのでは、亜季子に完全に惚れている浜田警部としては田原元警部に好意的になれるはずもなく、早速初対面から絡み酒。専売特許だった亜季子へのスキンシップも、あっさり田原元警部に持っていかれて形無しである。もっともこの二人、互いに境遇は良く似ていて、妻に先立たれ子供は娘が一人。一緒に仕事をする内に亜季子に対して絶大な信頼を置き、更には好意を抱いている所までそっくり。但し、田原元警部はもう少し渋い刑事だったような気がするが、浜田警部と張り合って感化されてしまったのかも知れない。

 

ドラマは扼殺遺体の真相へと迫るのだが、ここでもまた二人が張り合う事になる。娘のために洋一の殺人容疑を晴らしたい田原と、洋一に殺害を認めさせようとする浜田。こうなると五年間福島の旅館の番頭をしていた田原も刑事だった頃を思い出して何かせずにはいられず、事ある毎に衝突しつつ捜査協力してしまう二人ににやにやしてしまう。なんだかんだ言って似た者同士なので、心を許せば良き友人となるのは目に見えているのだが・・・。

 

さて二人の張り合いはおいといて、このドラマは意外な方向へと展開していく。最初の方で何となくこうなるだろうなと匂わせる人物が登場するので、真相が明らかになってもまあ想定内ではあるのだが、問題はその動機について。最後の最後に急展開を用意していて畳みかけるように事件は解決する。今回は田原元警部の久々の登場がメインであるので、事件の扱いは少々後回しとなってしまうのも致し方ない所だろう。

 

とにかく田原元警部を堪能出来ればそれだけで十分なドラマである。

 

満足度は★★★★

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みちのく酒田殺人事件

  • 2015.10.19 Monday
  • 01:49
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【出演】 片平なぎさ、大沢逸美、長門裕之 他
【放送】 1994年(日テレ)

車の前に飛び出してきた女性の衣服は血で真っ赤に染まっていた。殺害現場を目撃したと証言する彼女の隠された事情をフリーライターとカメラマンのコンビが調査する。『小京都ミステリー』シリーズ第十二弾!

昨今の米事情を取材して各地の米所を回っていたフリーライターの柏木尚子と相棒のカメラマン・山本克也は最後の取材地を目指して移動する途中、車の前に胸に大きな血の染みがある女性に遭遇する。彼女は病院を拒絶し、何かに怯えるような譫言を口にして意識を失ってしまう。目を覚ました彼女から事情を聞くと酒田の日和山公園で人が殺害される現場を見て逃げ出したと言い出す。尚子は話の内容から死んだ人物が彼女の顔見知りであると察し、山形県の小京都・酒田へ行く決意をする。日和山公園に到着すると彼女を知る沼田という農家の青年が現れる。彼女は沼田の兄・洋平の同棲相手の玲子。都会育ちながら玲子は農業の手伝いをしてすっかり沼田家の一員として暮らしていたが、洋平から連絡があった翌日、染谷という男がやって来た直後玲子がいなくなったのだと言う。玲子の様子がおかしい事に気付いた尚子は取材に来たと嘘をついて暫く滞在する事にする。

殺人事件の犯人を推理して暴くのが目的で無いため、少々毛色の違った小京都ミステリーという感じがしないでもない。小京都を謳って酒田を舞台にしているものの、確かに殺人事件が最初に起きたのは酒田なのだが、実際田園風景を見ている方が遥かに多く、農家の純朴な青年と都会の生活に疲れた女性の純愛を軸にした温かい家族の物語と言っても通りそうなストーリーである。殺人の真犯人も警察やら克也が見当外れにあれこれ言い出す割には何もしなくても向こうから情報が舞い込んでくるため、推理以前に首を突っ込んでいたら真相が判ってしまった雰囲気満載で尚子&克也の活躍があまり感じられない。

もう一点気になったのは、沼田家の人々の一夜で豹変した態度。事情は後で判明するのだが、それを聞かされてもどうにも納得がいかなかった。変化があったにしろ、いきなり攻撃的に変化するのに疑問を持ったし、一方それを仕方ないと受け入れてしまう玲子自身も疑問だった。

まあ、それはさておき最終的にキューピッド役を担った尚子と克也。しかし二人はと言えば、やはり縁遠そうだ。

満足度は★★★★

白井貴子,秋元康,十川知司,カラオケ
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(1994-06-01)

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伊予夢芝居殺人事件

  • 2015.10.14 Wednesday
  • 01:32
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【出演】 片平なぎさ、菅原文太、伊藤つかさ 他
【放送】 1994年(日テレ)

元旅役者が連続して殺害される。殺人容疑をかけられた前科者の元旅役者を救うため、フリーライターとカメラマンのコンビが奔走する。『小京都ミステリー』シリーズ第十一弾!

四国・高松へ取材へとやって来たフリーライターの柏木尚子と相棒のカメラマン・山本克也は真っ先に金丸座を訪れる。そこは今も尚昔の姿を残したままの現存の芝居小屋。幼い頃、芝居小屋に連れて来られた思い出のある克也は大興奮で芝居や当時の思い出を尚子に披露していた。すると役者と見られる男が現れて芝居の続きを演じて見せ、二人を驚かせる。その後、うどん屋で腹ごしらえした二人の前に背中を一突きにされたうどん屋の店主が現れる。店主は死に際に「レオの・・・おり」と言い残して息絶えてしまう。警察の話では店主の岡村浩介は元旅役者で、殺害の前日役者仲間だった小山錦四郎と激しく言い争う様子が目撃されていると言う。岡村のダイイングメッセージから小山の居場所を突き止めた尚子は小山を取材するという名目で取材の延長を出版社に依頼し、事件究明に乗り出す。

あまり知られていない四国の小京都を背景に芝居の演目にかけた親子愛のストーリーのドラマとなっている。小京都と言うより、今回の場合は芝居小屋のある地を回るような内容になっているが、まあそれはご愛嬌。相変わらず仲の良い尚子&克也のコンビが事件に勝手に首を突っ込んで警察を出しぬいて解決するのはこれまでと変わりない。

但し旅役者という事で誰にでもなり切れるというのはいささか都合良く解釈し過ぎの気がする。女形ならばともかく、幾ら旅役者と言えども女性に化けたら何らかの不審点が出て来てもおかしくないのだが、許容範囲が広過ぎる点が不満だった。

ところで伊藤つかさがまたもや違和感のある格好で登場。和服ではなく、もっと似合う格好をさせてあげれば良いのに・・・。

満足度は★★★★

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課長 島耕作2

  • 2014.11.27 Thursday
  • 14:22
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【出演】 宅麻伸、秋吉久美子、安達祐実 他
【放送】 1994年(フジ)

大手電機メーカーの課長として働くサラリーマンの姿を描いた企業ドラマ『課長 島耕作』シリーズの第二弾。今回のテーマは会社乗っ取り。原作は弘兼憲史の人気コミック『課長島耕作』。

離婚して半年。月一回の娘・奈美とのデートに豊島園へ行った島耕作は奈美から元妻に恋人が出来たと聞かされる。初芝電器の課長職がすっかり板についてきた耕作だったが、同じ部署の大町久美子とは未だ関係を続けていた。現在初芝電器ではテレビゲーム機に着手していようとしていた。専務から相談された耕作は曙製作所との提携に乗り出す事になる。曙製作所の社長・松永は元初芝の社員で専務の同期らしい。出張前日、ホテルで久美子との情事を楽しんだ後、耕作は京都へと向かう。松永からはプロジェクトに賭ける気迫が伝わってくるものの、自社ブランドに拘る曙製作所の組合は提携に大反対。松永は苦境に立たされていた。

放送当時はゲーム業界の全盛期。大手電機メーカーがゲーム事業に参入するのも珍しくはなく、次世代ゲーム機への期待も大きかったのが懐かしく思い出される。当然このドラマのようなプロジェクトの立ち上げがあったとしても不思議はなかった。勿論、大手電機メーカーにゲーム機を制作する技術力もノウハウもない。となれば技術力の高い中堅企業と提携してゲーム業界への参入を考えるのは至極当然の成り行きと思われる。また中堅企業にとっては表向きは大手の企業の製品として販売される事に反発を覚えるのも仕方のない所だろう。

もっともドラマの中心となっているのは提携話よりも株買い占めによる乗っ取り話の方。株の所持数が会社の経営に影響してくるだけに、敵対する人間に株を買い占められてしまうとその人物に乗っ取られてしまう。今回はたまたま提携を考えていた曙製作所が所有する特許に目を付けられたが故に危機に陥ってしまうという話になっており、ここで専務に頼まれて島耕作が走り回る羽目になるという流れ。

それ自体は面白いストーリーではあるのだが、如何せん島耕作の女運の強さが物を言う内容にどうも納得がいかない。そもそも恋人の久美子自体が初芝電器創始者の隠し子と言う設定だし・・・。女性に頼って何とかするのではなく、少しは自力で何とかしろと言いたい。

満足度は★★★★

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草の陰刻

  • 2014.06.04 Wednesday
  • 21:38
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【出演】 宅間伸、財前直見、ケーシー高峰 他
【放送】 1994年(フジ)

検察の威信を守るために嘘の報告をした検事が過去の犯罪を隠し通そうとする政治家の罪を暴く本格社会派ミステリー。原作は松本清張著の『草の陰刻』。

法務省庁舎で眠っていた検事・瀬川良一は深夜消防車のサイレンの音で目を覚ます。慌てて服を着て外に飛び出すと、松山地検杉江支部が炎に包まれていた。その夜、宿直していたのは二人の事務官。二人の内、平田事務官は焼死体で発見されたが、もう一方の竹内事務官は翌朝帰宅した所で身柄を確保された。同年六月、瀬川に群馬県の前橋支部への異動が命じられる。一瞬、瀬川は杉江支部火災の責任を取らされたと懸念するが、火災が失火と処理されたため瀬川の責任は問われなかった。実は瀬川はあの火災が放火だと疑っていたが、検察の威信を守るために失火と報告していた。あの火災の夜、二人の事務官は宿直室を抜け出して飲み屋で酒を飲んでいたのだ。また火災現場から昭和三十四年の事件簿だけが紛失していた事実も判明している。昭和三十四年と言えば、平田事務官が急に金回りが良くなった時期でもあった。

何を信じるべきか。

このドラマでは検事・瀬川と渦中の政治家・佐々木の秘書・寺脇の二人の生き様を対比させて描いている。瀬川は己の信念に従って過去の全てを明らかにしようと奔走する。一方、寺脇は崇拝する佐々木のためにどんな手段にでも訴える。二人は元は大学時代の同期であり、親友でもあった。しかし卒業後再会した二人は信じる物が大きく変わり、それが後に敵対する羽目となってしまう。ところが不思議な事にこの二人は互いに信じる物のために行動を起こしているに過ぎず、強い信念を持つ青年である事には変わりない。信じる物が違ってしまったばかりに似た者同士である二人の運命は大きく変わり、ラストではその明暗がはっきりと分かれている。

瀬川が追及するのは佐々木の過去の罪。しかし佐々木と直接対決するわけではなく、悉く先回りをして証拠隠滅する佐々木から如何にして証拠を奪い取るかの双方の駆け引きが主体となっている。瀬川が佐々木から証拠を奪い取った瞬間が非常に興味深い。完全に意表をつかれた。

とは言っても真実が突き止められたから全てが瀬川の勝利かと言えばそうではない。所詮は瀬川の自己満足。真実を明らかにする事は必ずしも最良の選択ではないからである。松本清張作品らしいすっきりしない余韻が何とも言えない。

満足度は★★★★★

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お待たせしました!! 名古屋嫁入り物語6

  • 2013.11.28 Thursday
  • 00:36
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【出演】 植木等、川島なお美、勝村政信 他
【放送】 1994年(フジ)

名古屋の結婚事情をテーマに騒動を描いたホームコメディー。『名古屋嫁入り物語』シリーズ第六弾!毎回植木等&山田昌が異なるシチュエーションで夫婦役を演じ、名古屋と言う土地柄をこよなく愛するが故に起きる騒動の数々が楽しい作品。

名古屋で開業医を営む伊藤康春は伊藤産科の第十八代目院長。自分達の都合を優先して子供を作らなくなった現代の若者達を嘆かわしく思い、時には患者を怒鳴り飛ばして門前払いを食らわす事もある。そんな康春の目下の懸念は一人娘の名美の結婚。名美はテレビ局勤務の美人だが、三十歳を迎える現在、結婚話はさっぱり。東京の三十歳は独身でも許されるが名古屋ではそうはいかないとばかりに、知り合いの名古屋名物お見合いおばさんに頼んで伊藤家に婿入りを希望する産婦人科医を紹介して貰う。ところが見合いの当日、名美の恋人・荒川夏彦が押しかけて、奈美に結婚を申し込む。夏彦は人工授精分野では有名な産婦人科医。人工授精反対派の康春はそれだけでも気に食わないのに、夏彦は一人息子で実家の病院を継ぐ跡取り息子。夏彦に惚れ抜いている名美の気持ちを汲んで、康春は夏彦が婿になるように企てる。

今回は一人っ子同士の結婚を取り上げている。一人っ子同士の結婚に纏わる騒動は何も名古屋でなくても少なからずあるもの。特に跡継ぎをどうしても必要とする家では尚更である。今回の場合、片や名古屋の開業医の娘で片や東京の病院の跡取り息子という事で双方の親同士が衝突してしまう。家を継ぐ人間がいなければその家は絶えてしまう。だからどちらの親も必死である。

しかしここで忘れてならないのは親同士の衝突を見せられた子供達。結婚するのは親ではなく子供達なのである。自分達の都合ばかりを主張すればあちらを立てればこちらが立たないと円満な解決は望めない。ドラマでも結局、悩んだ挙句、子供達は駈落ちしてしまう。そんな悲しい結末にならぬよう思いやりの気持ちを持つ事が大切とドラマでは締め括っている。

これでは名古屋の意味がないではないかと思うかも知れないが、ちゃんとその辺は考えられている。名古屋の家庭への婿入りは婿は茶碗と箸だけを持って来る等、独特の名古屋の風習をドラマ内で紹介している。他所の土地の人間からすれば不思議極まりないが・・・。

ラストは毎度お馴染みの円満解決+その後の幸せな生活。ハッピーエンドはやはり見た後が爽やかである。尚、新郎の家庭は母子家庭で東京在住という事もありあまり大きな喧嘩には発展せずに終了する。この辺りに土地柄の違いが良く表れていた。

満足度は★★★★

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美人OL殺し

  • 2013.05.17 Friday
  • 23:49
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【出演】 愛川欽也、川島なお美、松崎しげる 他
【放送】 1994年(テレ朝)

呪われた山荘で起きた惨劇の謎を名探偵の考古学者が暴く『考古学者シリーズ』第十七弾!当初はロイ・ウィンザー著の『私立探偵アイラ・コフ』シリーズを舞台を日本にして実写化したドラマだったが、四作目以降は登場人物を活かしたオリジナル作品となっている。また今回の警部補役には黒沢年男が病気のため降板した際に代役となった松崎しげるが再登場している。尚、タイトルは『美人OL殺し』となっているが、必ずしも美人OLだけが殺害されるわけではないので要注意!

考古学者の相田博士は助手の若葉かおりと共に天城峠にある『サワムラヤ天城山荘』に宿泊して発掘作業を行っていた。サワムラヤはスーパーマーケットを全国展開している成長著しい企業。丁度サワムラヤの社員旅行で訪れた一行とディスコパーティーの約束をして相田博士は浮かれていた。パーティーではサワムラヤの御曹司と社員の中西礼子が突然婚約を発表する。相田博士とかおりは二人を祝福するものの、社員達には不穏な空気が流れていた。翌朝、バードウォッチングに同行した相田博士は木の上で殺害された礼子を発見する。

おいおい、ハーレムかよ!

いきなり序盤から明かされるのは御曹司を巡るどろどろした男女関係。これはもう社内恋愛のレベルでは無い。やさぐれているもう一方の男性社員・梶山が憐れに思えてくる。挙句の果てに梶山を犯人じゃないが取り敢えず逮捕しておけって・・・。酷過ぎる。

ところで考古学者に名探偵の肩書を持つ相田博士は飄々としてすっとぼけたオッサンである。時折ぽろっとくだらない親父ギャグを口にしては助手のかおりにさらっと流されてしまう。一方、事件となればどこでも出現する顔馴染みの警部補(本来は須田だが、松崎しげるの時だけ戸田)は推理力はいまいちで相田博士におんぶにだっこの状態だが、登場の場面では必ず相田博士の手柄を自分の手柄として紹介する愛すべきお馬鹿なキャラクター。『歩く日焼けサロン』とは良く言ったものである。

さてこのシリーズはとにかくお約束が多いのが特徴でもある。毎回トリックは様々な要素を取り入れてバラエティに富んでいるものの、犯人役の女性と相田博士は何故か大抵いい関係になってしまう。勿論、中には相田博士から捜査状況を聞き出す目的で近付く女性もいれば、本当に相田博士の人柄に惚れていい関係を築いてしまう場合もある。あんな冴えないおっちゃんのどこが良いのかという一般的見解はこの際おいておくとして・・・。そのためクライマックスを迎える前に犯人だけは判ってしまうという前代未聞のミステリーとなっている。今回もそのパターンである事は言うまでもない。それが楽しみの一つでもある。

満足度は★★★★

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わが町5

  • 2013.02.11 Monday
  • 23:22
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【出演】 渡辺謙、川上麻衣子、有森也実 他
【放送】 1994年(日テレ)

間違って誘拐された子供の誘拐事件を追う下町の刑事達の活躍を描いた刑事ドラマ『わが町』のシリーズ第五弾。原作はエド・マクベイン著の『キングの身代金』(87分署シリーズ)。今回は、警察の威信をかけて犯人逮捕を優先するか、それとも誘拐された子供の命を尊重するかで難しい選択を迫られる警察の体制を問う内容となっている。

縁日の賑わいの中、西月島署の刑事・森田吾郎は幼い息子の太郎が初めて『ママ』と喋ったと大喜び!妻の繭と太郎を連れて職場の同僚達に自慢し、親馬鹿ぶりを発揮していた。丁度その頃、浅倉製鋼は個人株主の坂田から持ち株を2億円で買い取ってくれなければ、ライバル社へ売り渡すと脅迫され、経営陣は頭を悩ませていた。そこへ一本の電話がかかってくる。浅倉社長の息子の裕之を誘拐したので身代金1億円を用意しろというものだった。しかし実際に誘拐されたのは運転手の久保の息子の孝だと判明。その途端、浅倉の妻は態度を変え、犯人の忠告を無視して警察に連絡する。

子供の誘拐事件と言う事で、本庁と西月島署の合同捜査となる。勿論そこで対立が起きる。本庁から来た指揮官は子供はどうせ死んでいると高を括って犯人逮捕を優先するように指示を出す。一方、息子を溺愛する吾郎は例え少しでも生きている可能性があるなら人命を優先すべきだと指揮官に真っ向から反発する。ところが結果は吾郎の惨敗。しかしここからが下町の人情ある西月島署の刑事達の本領発揮。粘り強い捜査で吾郎の汚名挽回を全員が一丸となって協力する。

それぞれの登場人物の思惑が誘拐事件をきっかけに露呈していくのが面白い。誰も悪気はないのである。それぞれが置かれた立場で正しいと思った行動を起こし、代わりに何かを切り捨てていく。全てに完璧な人間などいない。何かをするために何かを切り捨てるのは自然の摂理でも、傍から見ればその行動は非人道的と思われる事もある。その反面その人にとって何が大切なのかを考えるとそうした行動に出た気持ちが判らなくもない。そうした人間を多面的に見ている構成がなかなか面白かった。

満足度は★★★
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