パーフェクトワールド

  • 2019.07.05 Friday
  • 14:40

【出演】 松坂桃李、山本美月、瀬戸康史 他

【放送】 2019年(フジ)

 

高校時代に好きだった彼と再会した。だけど彼は障害者になっていた。車椅子生活の建築士と彼に恋をする女が様々な困難を乗り越えて愛を成就させる美しくも切ないラブストーリー。原作は有賀リエのコミック『パーフェクトワールド』。

 

川奈つぐみはインテリアデザイン会社『クランベリーズ』で事務員として働いている。ある日、社長の東美千代に頼まれて設計事務所との打ち合わせの席に届け物をすると、そこには高校時代の同級生・鮎川樹がいた。樹はつぐみの初恋相手だが、高校時代の樹はバスケ部のキャプテンを務めていてつぐみからすれば手の届かない存在。おまけに同級生の雪村美姫とも付き合っていて、結局つぐみは思いを打ち明ける事が出来ないまま卒業を迎えた。再会を喜ぶつぐみは浮かれて「もうバスケはやってないの?」と聞いてしまう。つぐみの発言にその場にいた面々は一斉に黙り込んでしまう。つぐみは知らなかったのだ。樹は大学時代に事故に遭って下半身不随となっていた事を。自力で車椅子に乗る樹を見てつぐみは樹を傷つけるような発言をした事を激しく後悔する。

 

昨今恋愛ドラマが殆ど制作されなくなる中、恋愛の王道を行く稀少な純愛ラブストーリーである。特にこのドラマが放送された時期は唯一の恋愛ドラマであったと言っても過言ではない。またこのドラマは車椅子生活を強いられる障害についてもきちんと描かれていて、それによる生活面の困難や発症する病、排せつの問題等々、勿論実際はもっと多くの問題が生じるのであろうが、主人公の樹が粗相をしてしまってプライドが傷付く姿は胸が詰まるような思いがした。

 

好きになった人が障害者だった。

 

と、不倫している人の言い訳ともとれる言い分だが、実際このドラマのヒロイン・つぐみにとってはまさにそれが真実なのであろう。障害を持つ人間と暮らしていくには相当な困難が見込まれる。だから周囲の人達はつぐみと樹の恋愛を引き裂こうとする。でもつぐみにとって樹は初恋の相手であり、人間性に惹かれる相手でもある。ただ好きという感情だけで恋愛が成就するのかがこのドラマのメインテーマとなっていて、メインとなる二人が自分の気持ちに正直に生きるための覚悟が出来るかというのがネックとなってくる。それは当然この設定を見た段階で何となく想像のつく話ではあるが、やはり一つ一つの困難を乗り越えていく純愛は美しく見えるものである。つい心の中で「頑張れ!」と応援したくなってしまう。

 

恋愛ものはもう食傷気味であまり受け入れられない時代なのかも知れないが、甘い恋愛ではなく現代の社会と真摯に向き合ったラブストーリーには心惹かれてしまう。

 

満足度は★★★★★

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小説王

  • 2019.07.03 Wednesday
  • 18:59

【出演】 白濱亜嵐、小柳友、桜庭ななみ 他

【放送】 2019年(フジ)

 

小学校の頃の友人同士が大人になって再会。売れない小説家と三流編集者になった二人が斜陽と呼ばれる出版業界に戦いを挑み、日本一の小説を作る熱い友情と成長の物語。原作は早見和真著の『小説王』。

 

小説家の吉田豊隆は『空白のメソッド』で華々しいデビューを飾ったが、十年経った今、作風が時代に合わないという理由で作品を持ち込んでも出版社に冷たくあしらわれる日々が続いていた。小説では暮らしていけず、バイト暮らしをしているものの、小説家の経歴を妬まれ店長から嫌味を言われる始末。またせっかく稼いだ金も父親からせびられて、貧しい生活を送っていた。一方、豊隆の小学校時代の同級生だった小柳俊太郎は小さい頃の夢であった小説家にはなれず、文芸雑誌『ゴッド』編集部の新米編集者となっていた。手始めに豊隆の小説を『ゴッド』に掲載させたいと思い、豊隆を探し回る。やっと見つけた豊隆はかつて彼等が一緒に作っていた学級新聞と同じ名前の居酒屋『ぶんぶく』で飲んだくれていた。翌日、俊太郎の家で目を覚ました豊隆は俊太郎から小説を書いて欲しいと言われて困惑する。何故なら豊隆が昨夜飲んだくれていたのは小説家を断念すると決めたからだったのだ。

 

時代が悪かった。このドラマの主人公である吉田豊隆が小説家としてぱっとしないのはそこにある。小説家としての実力があっても、現代は出版不況で本がなかなか売れない状況にある。小説として売れるのは純文学ではなくラノベ。しかも異世界ファンタジーが主流であり、大半の購買者はそれしか買わない。そんな中にモロ純文学で挑もうとしているのだから、端から分の悪い話なのである。実力はあるのに・・・。

 

そんな時代に生きる豊隆と、小説家としての夢は破れたものの代わりに小説を世に出す編集者としての道を選んだ俊太郎。この小学校の同級生二人が小説界の頂点を目指す物語と聞いて、一体頂点って何だろうと考えてしまった。この世にロクな内容でもないのにベストセラーになった作品は幾らでもある。別の何かで話題になって、その副作用として本が売れた。売れる本を作る事が目的なら内容以前に何かで自分自身が有名にならなければならない。正直言って本末転倒であるのだが、今はそれがまかり通っている時代。それだけに真面目に小説家を目指してこつこつ書く努力を重ねている者にとっては正当な評価を得られているとは言い難い過酷な世界と言えるだろう。

 

それでも実力があれば頂点に立てる。そう信じて出版業界に挑んでいく二人の戦いを描いたストーリーはある意味バトル系のドラマと言えるくらい熱かった。

 

満足度は★★★★

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もみ消して冬2019 〜夏でも寒くて死にそうです〜

  • 2019.07.02 Tuesday
  • 08:50

【出演】 山田涼介、波瑠、小瀧望 他

【放送】 2019年(日テレ)

 

昨年放送されたドラマ『もみ消して冬 〜わが家の問題なかったことに〜』がスペシャルドラマとして帰って来た。誰もが羨む華麗なる一族がまたもやスキャンダルに見舞われる。家族の危機を救うべく例の如く次男が火消し役を押し付けられる羽目になる華麗なる一族の物語。

 

警視庁のエリート警察官だった北沢家の次男・北沢秀作が家族を守るために逮捕されてから一年が過ぎていた。現在、失職した秀作は実刑判決が下されたが執行猶予がつき、就職活動を続けている。当人は昔から憧れていたパティシエになりたいとケーキ屋の面接を受けているが、秀作を採用する店はなかった。ある日、アメリカから北沢家の長男・博文が帰国する。博文は医療にAIを取り入れた画期的な術式でその名を世界中に知らしめていた。また北沢家の長女・千晶もAIでマッチングされた恋人と順調な交際を続けていてAIを信頼している模様。唯一秀作だけはAIに否定的だった。ところが彼等の父・北沢泰蔵の次回作のノンフィクション作品『教育失敗』のゴーストライターを引き受けた秀作は何度書いても泰蔵から駄目出しを食らい、とうとうAIサユリの力で自分の書いた原稿を書き直させると言う荒業に出る。すると出来上がった原稿は素晴らしい内容だったが、脚色されて秀作は超極悪人のモンスターとして描かれていたのだ。愕然とする秀作に追い討ちをかけるように泰蔵は原稿を大いに気に入り、そのまま発売すると言い出す。

 

北沢家のスキャンダルをもみ消すために犯罪者となった秀作が相変わらず北沢家の中で理不尽な扱いを受け、それでも愛する家族のために犯罪に加担すると言うストーリーで、教育者でもあり人格者でもある父親が『教育失敗』を掲げた秀作の生涯を父親目線で書く本をよりによって秀作本人にゴーストライターを頼むとかもう鬼かと。そんな理不尽さを笑ってしまう不謹慎極まりないドラマスタイルは健在。虐げられる秀作が現実逃避してAIのサユリにのめり込んでいく姿につい笑いが込み上げてしまう。執事がその姿をこっそり盗み見てドン引きするのも頷ける。

 

とはいえ、兄と姉が以前よりは秀作に対して優しくなっているのはほっとする。何度も駄目だしされる秀作のためにサユリを貸してやる兄、秀作の危機に一応協力を申し出る姉、昨年の連ドラ開始当初よりは家庭内の人間関係は優しくなっているように感じる。

 

まあ、一回だけのスペシャルドラマなので、温情ある父親の采配により大団円の締め括りも良いだろう。

 

満足度は★★★★

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人類学者・岬久美子の殺人鑑定7

  • 2019.06.28 Friday
  • 21:09

【出演】 大塚寧々、戸次重幸、市毛良枝 他

【放送】 2017年(テレ朝)

 

廃工場で発見された人骨は一年前に失踪したガラス工房の社長だった。老夫婦と社長のかつての恋人。殺害動機は三角関係のもつれなのか? 骨が語る真実を暴く骨鑑定ミステリー。『人類学者・岬久美子』シリーズ第七弾!

 

城徳大学の准教授・岬久美子が発掘された人骨や土器から当時の生活を再現するイベントが開催される中、なかなか買い手のつかない廃工場で人骨が発見されていた。第一発見者は不動産会社の社員。早速、警視庁捜査一課の資料班から自らが指揮をとる班長となった加治川法雄とその部下、二階堂達也、守屋直樹らが現場へと駆け付ける。人骨の状況を見た二階堂は首を吊った形跡がある事から即座に自殺と判断するが、加治川は久美子に鑑定を依頼すると譲らず、渋々二階堂が人骨を久美子の研究室へ運ぶ事に。ところが何故か二階堂は久美子に対してやたらと素っ気無い態度をとり、鑑定結果を急がせるばかり。挙句の果て、この写真の男じゃないかと写真を取り出し、一致するとさっさとその男が誰なのかも告げずに去って行ってしまった。あまりの態度の悪さに腹を立てた久美子だったが、乗りかかった船だけに放ってはおけない。詳細な情報を聞き出そうと捜査本部へと向かう。実はこの人骨は廃工場から二キロしか離れていない高倉ガラス工房の社長・高倉徹郎だった。一年前から行方が判らなくなり、妻の豊美子が捜索願を出していた。加治川から事件の情報を入手した久美子は、目を合わせようともせずやたらと鼻を掻く二階堂の癖を見てはっと思い出す。二階堂は久美子の幼馴染みだったのだ。

 

土曜ワイド劇場から始まったこのシリーズも土曜ワイド劇場が無くなってしまった今、なかなか新作を拝めない状況にある。そんな中で昨年久々に第六弾が放送され、このドラマはその一年後の放送となった。最先端科学で事件の謎を解く現代の殺人事件物とは大きく異なり、人類学者が人骨から知識を活かして人骨の生存の姿や殺人事件の真相を導いていくスタンスはレトロ感が漂う。しかし昔のミステリーを知っている人には懐かしいの一言だろう。このドラマシリーズが続いているのはそんな背景あってのことなのかも知れない。

 

さて、今回はこれまで出世とは無縁だった久美子のファンの加治川がついに出世を果たしている。またそれに伴い、加治川の部下として久美子の幼馴染み設定の二階堂が登場する。しかしこの新キャラは最初の久美子に対する態度の悪さは何処へやら。途中からはすっかり一致団結して事件の謎に迫っている。ただこの二階堂の存在が、逆に元からいる加治川と守屋の存在感を薄れさせ、特に守屋は脇役どころか顔を拝める機会すらレアである。うーん、これはメインキャラの世代交代か?と思わせるドラマとなっていた。

 

しかし他のドラマシリーズもそうなのだが、開始から何年も経てば当然主人公の年齢も高くなってくる。そうなると必然的に登場する人物の年齢もあがってしまうものである。今回のドラマはそれが顕著で、ちょっと絵面が悲しい展開だった。

 

満足度は★★★

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わたし、定時で帰ります

  • 2019.06.27 Thursday
  • 13:31

【出演】 吉高由里子、中丸雄一、向井理 他

【放送】 2019年(TBS)

 

定時帰りをモットーとするOLを中心に現代社会の働き方について描いたお仕事ドラマ。原作は朱野帰子著の『わたし、定時で帰ります』。

 

WEB制作会社『ネットヒーローズ』の制作4部では眼鏡商人サイトのプロジェクトが今まさに終了しようとしていた。ディレクターの東山結衣がクライアントのOKを貰って無事終了。十八時になったのを見て結衣は帰りますコール。実際、会社全体で残業ゼロを目指すと言う目標を掲げているので、結衣の行動は咎められるものではない。しかし吸収された会社から来た三谷佳奈子には全く信じられない状況だった。定時で会社を出た結衣が向かったのは上海飯店。仕事帰りにこの店のハッピーアワーでビールを飲むのが結衣の日課となっている。有休休暇を取って人間ドッグを受けた結衣は鬼怒川グランドホテルに宿泊し優雅な休暇を過ごしていたが、仕事の協力をしてくれる愁から気になる情報提供があった。それは元婚約者の種田晃太郎が本社に帰り、結衣と同じ部署に返り咲くというものだった。情報通り、晃太郎は制作4部の副部長に、そしてやたらと元気の良い福永清次も部長としてやってくる。この日、新規案件のプレゼンの話が舞い込み、佳奈子が名乗りを上げる。早速打ち合わせが始まるが、結衣は助けてと言われない限りノータッチ。ところが運悪くエレベーター前で晃太郎と福永に出くわし、福永から定時帰りを非難される。

 

一度社会に出て会社員として働いた事のある人なら、このドラマを見て胸が痛くなるような体験をするかも知れない。昨今、働き方改革が推進され、どの企業も努力はしているもののまだまだ完全に政府の推奨するような職場にはなっていない。働き方改革によって残業を減らし、できるだけ定時帰りを社員に強いるようなシステムにしようとしてもすぐに会社自体がそういう体質になれるわけではないのが現状で、このドラマのように毎日定時帰りをするヒロインを仕事をしない不真面目な社員と冷ややかな目で見たり、或いは社員の仕事の時間を減らしたせいで出来なくなった仕事を下請けに回し、下請けの負担を大きくする企業もある。身を削って働く事が美徳とされた時代を生きている人々が上に立っている以上、職場の体質はなかなか変わらないものである。実際、このドラマで取り上げられた会社の実態はリアルで、共感する内容が多かった。それだけに「あるある」と思いながらも、身につまされてしまう。

 

今の時代、働くならどういうスタイルで働くのか。それは個人の自由ではあるのだが、今は昔と違って仕事中毒は好ましいとは言えない。仕事よりも私生活を大事にするよう呼び掛けている。ただ人間と言うのは不思議なもので何かで存在意義を見い出せないと不安で生きられない生き物である。趣味を持たない人にとっては仕事しか自分の存在意義を示せるものがないため、他人が何を言おうと聞く耳は持たず仕事中毒になっていく。

 

非常に内容が秀逸であるが故に、あまりのリアルさに見るのが辛くなってしまうドラマだった。

 

満足度は★★★★★

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