信玄伝説殺人事件

  • 2015.08.08 Saturday
  • 16:39
JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 岡田奈々、国広富之、緋多景子 他
【放送】 1988年(テレ東)

会社の金を横領して失踪した男の行方を探して娘が捜索の旅に出る旅情サスペンス。

武田信玄の埋蔵金に魅せられ会社の金を横領した浅見省造が失踪した。報道陣が詰めかける中、省造の娘・圭子は省造について色々探し回っていたが、ある日省造の知り合いと言う週刊誌の記者・関本悟郎が訪ねてくる。関本は信玄の伝記が好きでその縁で省造と知り合ったらしい。二人は省造の目撃証言があった下部へ車で向かう。実はその地には省造と十年前に離婚した圭子の実母がいる。ところが何故か彼女は圭子を避けているようだった。

放送当時の髪型の流行なのか、主演の岡田奈々の髪型が凄い事になっている。前頭部部分の髪を短くしてボリュームを出しているのだが、一歩間違えると長さの短い部分がもっさりと盛り上がってまるでボリュームのあるウィッグを頭の上に乗せたものの、地の髪と馴染まずアンバランスなサンプルのように見える。流行とはその時代ではOKでも他の時代ではNGだと実感する。

甲冑をつけた武士が辞世の句のように埋蔵金の在り処を記した文書を槍に隠して最後の力を振り絞って敵と戦う場面から始まる。てっきりその文書が何らかの形で現代の事件に関わって来るのかと思いきや、期待は完全に裏切られる。あくまで父親の行方を探す事が先決であり、鎧武者が現れた事で取り敢えずお茶を濁した感じだった。一時間枠のサスペンスなので奥行きの深さを出すのは難しいのだろうが、オープニングを見てしまうとその後の展開は落胆を隠せない。

満足度は★★★

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女監察医・室生亜季子 高価すぎた情事

  • 2015.08.01 Saturday
  • 23:53
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【出演】 浜木綿子、夏八木勲、河原崎健三 他
【放送】 1988年(日テレ)

ホテルの一室で変死体が発見される。しかし通報者は行方不明。火曜サスペンス劇場の人気シリーズ『女監察医・室生亜季子』シリーズの第五弾!尚、今回のドラマは島田一男著の『死者たちの合唱』が原作となっている。原作があるのはシリーズ初。

川越で開業を営む傍ら地域の監察医を務める室生亜季子は日課のマラソンの途中で細川真一郎とぶつかりそうになる。細川が弾みで生爪を剥がしてしまったため、亜季子が手当てする事になる。細川は最近付近のマンションに引っ越してきたと言うが、元々は川越の出身で亜季子の亡くなった夫の後輩だった。ある日、大宮シティターミナルホテルの802号室で女性の変死体が発見された事件で田原から呼び出しがかかる。渋々駆け付けた亜季子だったが、現場に細川がいて驚く。実は細川は科学研究所に勤務する研究者で、鑑識の職員の指導のために来ていたのだ。親しい様子の二人に田原は面白くなかった。どうやら情事の相手が通報だけして逃げてしまったらしい。ホテルの宿泊名簿もでたらめで身元の特定が困難だった。遺体はそのまま東都医大の法医学教室へ運ばれ、司法解剖される。女性の所持品のバッグを見た亜季子はこの女性が日舞の名取りではないかと発言した事から身元が割れる。

何はともかくこの遺体となった女性の腋毛処理が全くなされていない事に衝撃を受ける。処理忘れしたどころの騒ぎでは無い。見事に全く手が入っていない状況であるにも関わらず、まるで見せびらかすかのように両手を左右に広げているのである。普通は女性の遺体の腋は綺麗に剃毛されているはずなのだが・・・。これはもしや当時流行のAV女優の影響だろうか?

今回は酸性フォスファターゼ試験に吉川線等々、監察医の活躍が要所に散りばめられてこれまでの作品よりずっと監察医を押し出した内容になっている。しかも今回は亜季子だけでなく、細川の登場で監察医という立場からでなく付着した土の成分にも目を向けて、警察より監察医の活躍の方が重視されている。監察医のドラマという色が濃くなった気がしてこれはこれで面白い。

勿論、突然のライバル登場で田原刑事が面白くないのは明白。しかも今回、田原刑事は何の役にも立っていないので(二つ目の事件が別の管轄で起きてしまったため、応援を要請されたのは田原の相棒の川口)余計に口惜しい限りだろう。最後までライバル心剥き出しの田原刑事に笑った。

満足度は★★★★★

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女監察医・室生亜季子 哀しき母子鑑定

  • 2015.07.30 Thursday
  • 23:14
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【出演】 浜木綿子、白木万理、木村一八 他
【放送】 1988年(日テレ)

不治の病を患った男性が自宅で死亡する。病死か窒息死かで監察医同士で意見が割れる。火曜サスペンス劇場の人気シリーズ『女監察医・室生亜季子』シリーズ第四弾!

川越で開業医を営む傍ら地域の監察医を務める室生亜季子はここ最近老人の患者が増えた事もあり、看護婦の立花よう子と共に往診に出向くようになった。ある日、特発性心筋症で会社を退職した下部進宅へ往診に行くと、介護生活に嫌気が差した妻の良子が酒と博打で貯金を使い果たしてしまった事に腹を立て夫婦喧嘩の真っ最中だった。亜季子が二人を嗜めて事なきを得るが、下部夫妻の喧嘩の原因はむしろ未だ定職につかない息子・聖の事にあった。翌朝、進が死亡したと警察から連絡を受ける。進の死因に不審な点があったため亜季子に連絡が入ったのだが、主治医である亜季子ではない医師に死亡鑑定を頼んだ事や、進の病は快方に向かっていて死ぬような状況でなかった事から不審を抱く。司法解剖の結果、首を圧迫した事による窒息死と判明。良子は一旦は自白するものの、弁護士が現れた途端自供を覆す。

今回の亜季子は屈辱的にも司法解剖の結果にケチをつけられ、自信を失って監察医の退職を決意するまでに追い込まれてしまう。監察医も万能ではないので、死因が判り辛い場合、誤った診断を行ってしまう場合もある。今回のケースでは亜季子は窒息死と診断したのに対し、他の監察医は病死と診断し亜季子の診断を却下する。それだけでも屈辱物だが、亜季子が何よりショックを受けたのは恩師が亜季子ではなく、他の監察医の意見を支持した事。それですっかり自信を失ってしまう。こんな時に頼りになるのが田原刑事。落ち込んで辞表を提出した亜季子を最後まで信じてくれる。こんなに良い仕事をする田原刑事はこのドラマシリーズ始まって以来ではないだろうか。

監察医の仕事を強調するかのように実験場面が良く登場するのが特徴でもあるのだが、今回に限ってはそうした場面は殆ど出て来ない。代わりに遺伝性の色弱について扱う話になっており、色弱かどうかを判断する際に使用した色覚テストが懐かしくてならなかった。そう言えばずっと以前にこのテストを受けた際、何が描いてあるのかさっぱり判らない物が一つありいつも疑問に思っていたのだが、あれは判らない人が正常らしい。当時はまさかそんな回答がありとは思わず、みんなに見えるのに何故自分が読めないのかを悩んだ事もある。大人になってネットで調べてようやくその回答が正しかった事を知った時の感動はなかった。

満足度は★★★★

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土曜サスペンス・モンロー殺人事件

  • 2014.07.10 Thursday
  • 06:12
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【出演】 篠ひろ子、夏樹陽子、相築彰子 他
【放送】 1988年(フジ)

ドラマの撮影中に主演女優が毒殺される。殺人容疑のかけられたベテラン女優とマネージャーのコンビが謎を解き明かすため奔走するミステリードラマ女優夏木みどりシリーズ第一弾!挿入歌となっているのは主演の篠ひろ子自身が歌う『あじさいの人』。この曲はドラマ中で夏木みどりが情感たっぷりに歌い上げている。

ベテラン女優・夏木みどりのマネージャーをしている三木俊介は土曜サスペンスのドラマの編集現場に顔を出しては関東テレビのプロデューサー・谷村の機嫌取りを欠かさない。これも大切なマネージャーの仕事の一つ。しかしみどりも年のせいか若手に人気を取られ、落ち目になりつつある。ある日、みどりは土曜サスペンス『モンロー殺人事件』の犯人役にキャスティングされる。主役のモンロー役に選ばれたのは会田マリ子。彼女は豊満な肉体と甘い声が魅力の人気女優。実はこの仕事も会田マリ子のバーターで手に入れたのだが、みどりは勿論何も知らず主役じゃないと拗ねていた。撮影初日から早速みどりとマリ子は火花を散らす。主役なのを良い事に言いたい放題のマリ子にぶち切れたみどりがマリ子に水をかければ、マリ子はシナリオにケチをつけてみどりの出演場面を減らして仕返しする。やっと撮影が進んだと思っていた矢先、犯人役のみどりが毒薬に見立てた白い粉を入れた水を飲んでマリ子は本当に死亡してしまう。

夏木みどりは我儘でプライドが高いベテラン女優だが、実は女優としての人生に全てを捧げてしまった孤独な女性でもある。結婚して子供を育てる平凡な幸せもあるが、みどりはその幸せを捨てて女優一本で生きている。俊介に無理難題をふっかけるのもいわばそんな寂しさの裏返しで、頼る相手がいないから、ついマネージャーに甘えてしまうのだろう。

だからと言って常にみどりのとばっちりを受けるマネージャーの俊介に同情していたら、この男、結構やる事はやっている。深夜のみどりの電話攻撃で安眠妨害されるわ、仕事を貰うためにテレビ局関係者を自腹で接待するわ、多忙を極めているはずなのに、何故か女には困っていない。一体どこから時間を捻出しているのか教えて貰いたいくらいだった。

さてドラマはマリ子殺害容疑をかけられたみどりが俊介を無理矢理巻き込んで自分の潔白を晴らす話へと展開していく。調べていく内に意地、焦り、プライド等々、女優ならではの本音が飛び出し、女優という職業を活かしたストーリーに仕立てている所が秀逸である。

まあ、何はともあれマリ子の飼っているもふもふの仔猫が可愛い!あれは反則!ついつい見入ってしまう。

満足度は★★★★

マリリン・モンロー,ジェーン・ラッセル
ビクターエンタテインメント
(1999-07-07)

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影を愛したわたし

  • 2014.04.20 Sunday
  • 03:23
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【出演】 石田えり、井上順、船越英一郎 他
【放送】 1988年(フジ)

崖から転落した車の中に黒焦げの男性の遺体が発見された。殺人容疑のかけられた愛人が事件に見せかけた偽装殺人の謎を究明するミステリーサスペンス。原作は海渡英祐著の『影を愛したわたし』(『罠のなかの七人』所収)。

新宿の歌舞伎町にあるスナック『リッチマン』で働くホステスの野口久子は店にふらりと現れた眼鏡と髭の似合う紳士・篠原と恋に落ちる。付き合い始めて三カ月も過ぎた頃、篠原は久子をドライブ旅行に誘う。モーテルで激しく愛し合った後、身も心も満たされた久子は車の中で熟睡してしまう。ところが次に目を覚ました時、久子は頭に包帯を巻かれた姿で病院のベッドの上にいた。目の前には刑事が二人。彼等から聞かされた現実は久子を驚愕させる。車が崖から転落し、車の中から篠原と見られる黒焦げの遺体が発見されたと言う。しかも遺体は顔と手にガソリンがかけられて判別がつかない程に焼け焦げていたらしい。刑事達は一人助かった久子の事故を装った偽装殺人だと睨んでいた。

恋人との幸せな旅行のはずが、一転して殺人事件の容疑者に。何が何だか判らぬままに恋人殺しの容疑をかけられてしまった久子が刑事達の厳しい取り調べに耐えながらも、真実を探り出していくというストーリーで、最初から最後まで久子が不幸のどん底にいるという救いようのない話である。久子からすれば真実が判らなくても地獄、真実が判っても地獄。あまりにも悲惨な状況に最初は久子を疑って厳しく罪を言及していた刑事達も、最後は半ば同情気味に久子に接するようになる。

男運の悪さもここまで来るとむしろ天晴と言うほかない。

一時間にきっかり収められたドラマであるため余計なエピソードが一切ないストレートな話となっている。判り易い反面、ミステリーとしては捻りが少々足りないのが玉に瑕。判別出来ない程に顔や手が焼け焦げている時点でもう殆どからくりが見えて来るし、最後の最後に物を言ったのは女の勘とは・・・。流石の刑事も女の勘には敵わないという括り方は果たして良いのかどうか。

満足度は★★★

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不吉な福の神

  • 2014.04.10 Thursday
  • 00:17
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【出演】 水谷良重、鶴見辰吾、小林稔侍 他
【放送】 1988年(フジ)

毎日ポストに放り込まれる一万円札を不審に思った主婦が夫への疑惑を深めていくサスペンス。原作は多岐川恭著の『不吉な福の神』(『血の色の喜劇』収録)。

友松保枝はスーパーマーケットの社長を務める夫と司法試験を間近に控えた自慢の息子と共に幸せな生活を送っていた。ある日、保枝がポストを見ると中に一万円札が入っていた。不審に思った保枝は張り紙をするが持ち主からは音沙汰がなく、更に翌日は二万円と徐々にポストに放り込まれる金額が増えていく一方。怖くなった保枝は夫に相談するが、面倒には巻き込まれたくないと夫は警察に届けるのを断固拒否する。しかし法律に詳しい息子から拾得物の着服は刑法に触れると諭され夫の忠告を無視して警察に連絡する。ところがその話が新聞に掲載されてしまい、夫は大激怒。相当動揺したのか財布を忘れて出勤してしまう。保枝が財布を届けに行くと、仲の良い従業員から夫が経理の若い女性と浮気していると教えられる。

昔は仕事の話を家庭に持ち込まないというのが一家の大黒柱の美学だった。仕事上何が起きてもそれは家族には無関係で解決するのが美徳で、家族には余計な心配を掛けまいとする気遣いでもある。しかし時代は移り変わり美学も変貌を遂げている。余計な心配を掛けまいと外で起きた事を話さないのは妻の疑惑を呼び、却って不安を煽る結果となってしまう。このドラマはそんな夫婦間の疑惑を風刺した内容で、夫の隠された一面が露わになる度に妻の夫への気持ちがどんどん離れていってしまう。最初から全てを打ち明けていれば・・・と後悔した時にはもう遅い。妻にとっての夫は単なる邪魔者でしかなくなっている。

ポストに投げ込まれるお金から始まった妻の夫への疑惑のドラマは最後は少々怖い結末に終焉する。注意すべきは夫の単身赴任。ここで夫婦がどんな生活を送るかがその後の夫婦生活に影響してくる。そんな教訓がドラマから伝わってくる。

それにしても夫が怒りを爆発させる場面が度々登場するのだが、どうにも夫の怒り方が不自然極まりない。これは何とかならなかったのだろうか?

満足度は★★★

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抱きしめたい!

  • 2013.10.07 Monday
  • 00:06
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【出演】 浅野温子、浅野ゆう子、岩城滉一 他
【放送】 1988年(フジ)

25年来の親友である二人の女の友情と揺れ動く心をお洒落でコミカルに描いたトレンディードラマの先駆者。主演の二人は『W浅野』と呼ばれ、トレンディードラマを代表する女優としての地位を築いた。

スタイリストの池内麻子は現在28歳の独身。家賃25万円のお洒落なマンションに住み、仕事もバリバリこなすスタイリッシュな女性。ある日、麻子に憧れるアシスタントの山下純と共にマンションへ帰ると幼稚園の年少組から短大までずっと一緒に過ごした大親友の早川夏子が大きなトランクを持って訪ねてくる。話を聞けば夏子は家を飛び出し麻子の部屋で暫く厄介になるつもりでいるという。原因は夫・圭介の浮気。浮気相手の女子大生・吉沢知佳から電話で妊娠したから別れて欲しいと告げられたらしい。

全く性格の違う麻子と夏子は25年来の親友同士。女の友情は成り立たない。恋愛の前では女の友情は無力と言う人もいるが、この二人に関してはそんな言葉は当てはまらない。彼女達は心の内を何でも素直に話し合える関係。喧嘩をしたり、口論の末相手を傷つけたりはするものの、結局は仲直りをして元通りの関係に戻ってしまう。25年の月日の重さは伊達では無い。もしかすると彼女達は二人で一人なのかも知れない。そんな風に思える程、深く結ばれている。そんな親友がいるという事は非常に幸せな事で羨ましくなる。

確かにバブリーな時代のドラマなので時代は感じさせるが、麻子と夏子の掛け合いは今でも十分通用するくらい軽快で面白い。むしろ現代のドラマの方が却って凝った事をしようとして失敗しているように思える。ドタバタした展開ではあるのだが、意外にも二十代女性の心理を突いていて共感する部分も多い。人気があったのも成程と頷ける秀作である。

それにしてもW浅野の自然体が際立っている。同じ時代に美人でスタイルの良い女優が二人いるというのは非常に稀である。しかも完全に自分特有の色を持っていて、決して誰とも交わらないのである。あそこまで魅力のある主演が二人もいるのでは共演の女優陣は翳むどころの騒ぎでは無い。本来なら初々しくて若さ爆発の知佳でさえ平凡な女子大生にしか見えない。それくらいW浅野はカリスマ的威力を発揮している。

気になったのはやはり当時の出来る男(女)の象徴が煙草である事。煙草を吸っている場面が如何に多いか、現代の感覚では驚かされるばかりだが、これも時代の流れなのだろう。

満足度は★★★★★

カルロス・トシキ&オメガトライブ 1986オメガトライブ
ワーナーミュージック・ジャパン
(2009-06-24)

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幸福な朝食

  • 2013.08.21 Wednesday
  • 02:09
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【出演】 浅野ゆう子、渡辺典子、相築彰子 他
【放送】 1988年(日テレ)

女優を夢見た女が夢を打ち砕いた自分と瓜二つの女に復讐する。第一回日本推理サスペンス大賞優秀作を受賞した乃南アサのデビュー作『幸福な朝食』のドラマ化。

女優を夢見て田舎から家出同然で上京した少女・沼田志穂子は劇団の研究生となったが、なかなかチャンスに恵まれない。ある日、やっとお呼びがかかったのはそっくりさんのコンテスト番組。そこで志穂子はアイドルの柳沢マリ子のそっくりさんとして呼ばれたと知り愕然とする。一方、マリ子もあまりに自分と似過ぎている志穂子に不快感を示す。結果、志穂子はマリ子のそっくりさん以上の存在にはなれないと察し、女優デビューを諦めざるを得なくなる。

沼田志穂子と柳沢マリ子は瓜二つという設定のため、少女時代を五十嵐いづみが、十五年後の三十代になってからの話は浅野ゆう子がそれぞれ一人二役を演じている。

内容は因果応報という言葉がぴったり当てはまるような内容で、誰かが幸せを掴もうとした瞬間、それはほんのひとときの幻と化していく。原作は心理描写の秀逸さが魅力の作品だが、ドラマではそこまで人間の心理を追求した内容ではないので流石に見劣りを感じるのは否めない。しかしそのドラマ内に登場する人を殺す時の残忍さは非常に印象的で、その場面を頭の中で想像すると気分が悪くなる。

ドラマの中心となっているのが志穂子の復讐。但しそれに至るまでの経緯や、復讐を果たした志穂子が辿った運命も作品を構成する重要な要素であるため、実際に志穂子が復讐を行う部分は意外とあっさりした印象を受ける。むしろ復讐方法が非常に可愛らしく思えてしまう。裏を返せばそれ以外の部分の方にインパクトの強い場面が含まれているという事になる。

ラストは良い意味で期待を裏切られる。手付かずのままの朝食に、この先また悲劇が続くような布石。サスペンスのラストシーンとしては最高である。

満足度は★★★★★

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晩餐会

  • 2013.08.12 Monday
  • 00:30
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【出演】 栗原小巻、近藤正臣、鈴木瑞穂 他
【放送】 1988年(フジ)

かつて恋人同士だった二人がパーティーで再会。二人の悲しい恋愛の行方を追ったラブサスペンス。原作は森瑶子著の『晩餐会』。

資産を増やす事にしか興味のない佐々の妻・小夜は友人に頼んで新鋭の画家の絵を買い漁り、コレクションにしていた。その画家とは小田龍。かつて小夜は龍と恋人同士で同棲していた。芸術家として誇り高い龍は絵を描く以外の事は何もせず、龍の才能を信じた小夜は昼は証券会社、夜はBARで働いて生活費を稼いでいた。あれから年月が経ち、夫の同伴で出席したパーティーで小夜は世界的デザイナーの高村リサのジゴロとなった龍と再会する。

特に何かが起きるわけでもなく、かつての恋人と再開した小夜が過去を淡々と振り返っていくストーリーで、別れてからも小夜が如何に龍を愛しているかがこのドラマの焦点となっている。

お互い愛し合っていても上手くいかなくなる事はある。特に芸術家肌の龍は画家としてのプライドが高く、独自の美学を持っている。そんな龍が最も忌み嫌うのはプライドを傷つけられる事。彼には一般常識は通用しない。龍を深く愛している小夜は二人の生活を大切にしたいからこそ働いて生活費を稼ごうと必死なのだが、それは同時に龍を『薄汚い紐』と卑屈にさせる要因にもなっている。

汚れちまった悲しみに・・・

ドラマの中で龍は時折中原中也の詩の一節を口にする。これは龍の自分の思い通りにいかない葛藤を表した言葉。二人が別れた日に雪が降っていたのは、その詩を引用したのだろう。

小夜の本心を知らない龍は実業家の妻となり裕福な暮らしを送る小夜を裏切り者だと決めつけて責め立てていく。とっくに別れているので今更と思うが、そこが龍の芸術家たる所以。自分を中心にしか物事を考えられない。一方、小夜はその龍を別れた今も密かに愛し続けていて、自分の愛情の最大の表現として自分だけの物にしたいと願ってしまう。

最後まで静かに進んでいくドラマで、小夜の愛情が龍を破滅させるという皮肉な内容は一つの愛の形を描いている。短い内容ながら女性心理をついた巧妙なドラマである。

満足度は★★★

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Mの悲劇

  • 2013.07.24 Wednesday
  • 00:48
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【出演】 名取裕子、宅間伸、原田芳雄 他
【放送】 1988年(フジ)

平穏な陶芸家夫妻の暮らしが一人の青年の出現で破綻していく。妻、夫、青年、同じ家で暮らす三人のそれぞれの思惑が入り乱れる心理サスペンス。原作は夏樹静子著の『Mの悲劇』。

北海道で平穏な暮らしを送る陶芸家の真淵夫妻の前に怪我をした青年・中沢が現れる。中沢を助けるために自宅へ連れ帰った所、中沢は真淵のファンで益子焼の大御所の陶芸家からの推薦状も持っていた。これまで弟子をとった事の無い真淵だったが、大御所の陶芸家が中沢の身元を保証した事もあり、また真淵が左手に支障を来している事情もあり渋々住み込みの弟子として迎える事にする。ところが中沢が同居してから二十歳年下の妻の早奈美の様子が妙に明るくなったように感じて、真淵は中沢の若さに嫉妬するようになる。ある晩、海霧で真っ白に煙る中、中沢と二人きりになった早奈美は自分から誘ってキスをする。それは夫との生活から逃れたい願望の表れであったが、以来、早奈美は中沢からの執拗なアプローチに悩まされるようになる。

ドラマは真淵、早奈美、中沢の三人がそれぞれの心情をナレーションとして語りながら進んでいく。中沢の正体に疑問を抱く真淵、夫と中沢の間で不安な日々を送る早奈美、決して真淵の家から出て行こうとしない中沢。一軒の家の中ではそれぞれの複雑な感情が入り乱れ、やがて三人の間に殺意が芽生えるようになる。

同時進行で七年前の殺人事件を追う刑事が登場し、少しずつ七年前の事件のあらましを掴んでいく過程で徐々に真淵夫妻と中沢の関係性が明らかになっていく。

ドラマの中で早奈美は悲劇のヒロイン的な扱いで、常に何かに怯え、日記に早奈美への愛を綴る真淵を愛しているのではなく縛られていると感じながら日々を過ごしている。その一方で、早奈美は心の中で中沢に真淵から奪い去って欲しいと願っている。しかし見方を変えれば早奈美は若さと美しさを武器に男達を思うがままに操る魔性の女とも思える。真淵に縛られるのも計画の内なら自分の非劇的な運命を中沢に仄めかせて殺意を抱かせるのも計画の内。彼女の言動が男達を狂わせてしまう。本人がそれを意識しているかいないかに関わらず。

人間の深層心理に潜む心情こそがミステリーの作品。事件の真相は明らかになっても事件が解決するわけではない。誰もが念願の何かを手に入れたようで、同時に何かを失ったような曖昧な結末はこのドラマを象徴する海霧の中に迷い込んだかのようでもある。

満足度は★★★★

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