年下の男

  • 2014.07.07 Monday
  • 10:01
JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 稲森いずみ、風吹ジュン、高橋克典 他
【放送】 2003年(TBS)

八歳年下の男性と本気の恋をした五十一歳の母と結婚に焦る三十代の娘。それぞれの年代における人生観や恋愛観を絡ませながら描くラブストーリー。『週末婚』、『昔の男』に続く内館牧子脚本のラブストーリー第三弾。

三十歳の山口千華子は地味で平凡なOL。三十歳と言う年齢に達して女としての自信を失いつつある。弟の卓の友人で八歳年下の謙吾から言い寄られて悪い気はしないものの、会社では既に同期は寿退社をして誰もいない。寂しさと焦りを紛らわせるようにスポーツジム通いをする日々を送っている。実はスポーツジムには気になる男性・伊崎がいた。ある日、会社で必要とされない事に落胆した千華子は、帰り道で偶然会った伊崎から花束を貰い、思わずプロポーズしてしまう。しかし伊崎はバツイチで結婚に懲りていた。あっさり断られてしまう。一方、カニ食べ放題の旅行チラシに喜ぶ五十一歳の母・花枝を千華子は女として完全に見下していたが、実は伊崎は花枝の仕事先の弁当屋の常連で、花枝と顔見知りだった。たまたま帰りが一緒になった伊崎は男に媚びない朗らかな花枝を食事に誘う。

この頃、私の肌が水を弾かなくなった。

そんな言葉で始まる内館牧子脚本のドラマは悲観的な本音を連ねて三十歳女の寂しさを写し出していく。独特な比喩で赤裸々な気持ちを浮かび上がらせていくのが内館牧子の作風であり、一見平凡に見える人々の心の中にある狂気や悪意を抉り出してストーリーに絡ませていく。そのため見せかけは普通の人でもやっている事は逐一狂気に満ちて異様な人ばかりが存在する世界観を醸し出す。

真っ先に思ったのは主人公の千華子の気持ちの悪さ。考え方はまるでストーカー。現実を悲観して結婚に執着するのは判るが、その思いが強過ぎて気持ちが悪くなる。このドラマには四人の女性が登場するが、一番まともなのは年下の男性との不倫に走った母親。残る面々は狂気や悪意が強烈で、正気の沙汰とは思えない。怖いと言うよりは馬鹿げているとか、くだらないとか、浅ましいと言った言葉ばかりが頭に浮かぶ。

また年齢に脚光を浴びせているので仕方がないのだが、年齢が○○歳だからという理由で見下したり、馬鹿にしたりという場面が非常に多いのも特徴。若さが全てという風潮に歯止めをかける作者の気持ちがドラマに表れているように感じる。

年下との恋愛。確かにこのドラマのように様々な障害や偏見を持ってしまう場合もあるが、必ずしもこれは全てというわけじゃない。あくまで下地にあるのは一般論として平均的な味方をした場合こうなるといった一例をあげたに過ぎない。そういった意味では


そう言えば伊崎はやたらと煙草を持ってポーズを取る場面が多い。それに対して二十代の男性は煙草を吸う場面がない。煙草は昔は男の格好良さを表す象徴だったが、いつの頃からか健康被害の方が重要視されて煙草は嫌われる対象となった。もしかすると丁度この頃が分岐点になっているのかも知れない。ドラマを通して時代の変遷が垣間見えた。

満足度は★★★★

SINBA,SINBA,植田悦子,COCO
ワーナーミュージック・ジャパン
(2003-02-13)

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ツインズな探偵3 〜美人OL保険金殺人事件 謎の焼死体〜

  • 2014.05.06 Tuesday
  • 22:54
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【出演】 浅野ゆう子、久本雅美、風間トオル 他
【放送】 2003年(フジ)

二億円の生命保険の受取人になったばかりに焼死体となって発見された婚約者の殺害容疑をかけられた双子の姉。幼い頃離れ離れになった双子の姉妹が反発し合いながらも事件を解決する『ツインズ探偵』シリーズ第三弾!

生まれて間もなく引き離された双子は三十年以上経った今、全く異なる正反対の人生を歩んでいた。姉の浅井若菜はリストラされ、現在はスポーツクラブで研修中の身。一方、妹の高千穂春菜は順調に昇進し、保険会社の役員候補と噂される程に。ジム内を走り回る子供達を上手くあやしている若菜を会員の松本が気に入ってしまう。松本は成長著しい通販会社『ライフスタイル』の社長で、若菜の人柄やキャリアを知って引き抜きの話を持ちかける。就活中の若菜には願ってもない話だった。ドリンクの販売企画案を社員の前でプレゼンをすると大好評。松本は若菜を副社長に就任させる。流石の若菜もこの急展開に躊躇いを見せるが、実は松本は若菜に一目惚れをして、公私共にパートナーになる女性だと予め社員に宣言していたと打ち明ける。早速春菜にその事を自慢しに行くと、春菜は渋い顔でライフスタイルの社員が一カ月前に亡くなっている事を打ち明ける。

今回は春菜と若菜はそれぞれに恋愛対象が出来る。勿論、同じ相手ではないので前作のように同じ相手を取り合ってそのせいで仲違いするような事はない。突然何の前触れもなくプロポーズされた若菜と異なり、春菜の方は相思相愛で、これまで惚れっぽく良い男を追い回すだけだった春菜が珍しく普通の恋愛の経緯を辿る事になる。

また今回も浅野ゆう子扮する若菜はノリノリでウサギの格好で歌って踊っている。年齢に似合わない着ぐるみ姿はコミカルで笑えるが、良く見てみると意外にもしっかり踊っているのにビックリ。結構難しそうなステップもあるのだがそちらも難なくクリア。元歌手をやっていただけあると感心した。

さてストーリーは古くから良くあるトリックを使用してこのドラマの設定に組み込んだ形になっている。だからと言って本格ミステリーかと言えばそうでは無くて、どことなく陳腐な感じがするのも事実。エンタメ性を前面に押し出した分だけミステリーの醍醐味が薄れてしまっている。

満足度は★★★★

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ハマの静香は事件がお好き episode1

  • 2014.04.22 Tuesday
  • 01:44
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【出演】 片平なぎさ、山口果林、石立鉄男 他
【放送】 2003年(フジ)

社長以外全員前科者の便利屋がそれぞれの特技を活かして事件を解決する『ハマの静香は事件がお好き』シリーズ第一弾!出所したばかりの新入社員を迎えた便利屋が連続転落死事件に挑む。

横浜でお嬢様学校として有名な仏蘭西山女子高校の生徒があるビルから飛び降り自殺を図る。

三カ月後、便利屋『横浜猫の手商会』の社長・音無静香は得意先の小料理屋『北の家』の女将に頼まれて下水のつまりを直していた。ようやく修理が終わった時、静香は店に飾られた女将の娘・あかりの写真に目を留める。あかりの事を尋ねるものの、女将は心ここにあらず。その日、刑務所から一人の男・朝日虎之助が出所する。迎えに行ったのは山下署生活安全課の磯川警部。磯川は模範囚として刑期を終えた虎之助を、かつての同僚で今は亡き静香の父が前科者を更生させるために開業した『横浜猫の手商会』へ連れて行く。ところが静香はその事をすっかり忘れていたため、元侠客で強面の虎之助に社員達はびびり捲り。ようやく静香が仕事先から帰宅して、虎之助は新入社員として紹介される。虎之助も社員が前科者ばかりと聞いてほっと安堵する。静香は虎之助に仕事を覚えさせるために得意先の一つである上田教授の家へと連れて行き、トイレ掃除を命じる。

刑期を終えても前科があると言うだけで人々から偏見を持たれてしまう前科者。罪を犯した背景には様々な事情が存在し、服役して心を入れ替えても、周囲の冷たい態度や扱いに我慢出来ずまた罪を重ねてしまう。猫の手商会はそんな前科者の更生を手助けするために、犯罪者に最も近い存在であった刑事が開業した便利屋。犯罪者と言えどそれぞれ得意分野がある。中にはその特技を別の方面に活かせば素晴らしい能力を発揮する者もいる。

静香は亡き父親の後を継いで猫の手商会の二代目社長として働き始めて一年になる。前科者ばかりの社員をまとめていく能力は高校教師をしていた頃に培った賜物。まあ、言ってみれば猫の手商会は不良生徒ばかりを集めた大人の学校である。

このドラマでは出所したばかりの朝日虎之助が巻き込まれた事件を通して、この便利屋がいかなる人たちの集まりかを知り、そして自らもその一員となっていく姿を描いている。ミステリーではあるものの人情的な内容の方が多めになっている。

尚、石立鉄男がどうも浮いてしまっているのが難点。静香の父親のかつての同僚の刑事という役どころなのだが、人の好さを出すための演技が挙動不審に見える。一方、若き日の姿を演じる山口果林の化け方の見事さには思わず拍手を送りたい。

満足度は★★★★

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街の医者 神山治郎5 母親

  • 2014.04.08 Tuesday
  • 00:30
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【出演】 高橋英樹、藤田朋子、藤真利子 他
【放送】 2003年(日テレ)

坂道を赤ん坊を乗せたベビーカーが疾走する。これは事故だったのか?それとも故意だったのか?街医者が二人の女性を救うべく働きかける人情ドラマ。『街の医者 神山治郎』シリーズ第四弾!火曜サスペンス劇場で放送されたドラマではあるが、もはやサスペンスではなくなっている。

吉祥寺にある柳井診療所の医師・神山治郎は往診の帰りに坂道を疾走するベビーカーを見かけて慌てて追いかける。丁度坂の下で仕事をしていた花屋の店員・青木恵美子は咄嗟に身を挺して赤ん坊を助けるが、手首を亀裂骨折をしてしまう。赤ん坊の母親・岡部聡美は先日花屋で赤ん坊をヒステリックに叩いた女性だった。その後、聡美は夫に付き添われて恵美子に謝罪にくるものの、恵美子は謝礼金を拒否する。帰ろうとした恵美子は目眩を起こし、安藤医師は恵美子の病状が気になって仕方が無かった。そんな中、聡美に事故の件を黙っていると電話がかかってくる。警察にも匿名の電話があり、聡美は育児ノイローゼだと周囲から白い目で見られるように。神山も警察沙汰になった事を知って聡美を訪ねると、聡美は子供と無理心中をしようとしていた。聡美から脅迫電話のせいだと聞いた聡美の夫は激怒。恵美子の家に怒鳴り込む。

看護師のきつい言葉で母親としての自信を失った女性が、孤独に堪え兼ねて自己保身に走ってしまうストーリー。自分の立場を守ろうとするあまり、他人を悪者に仕立て、世間の同情を買おうとする。そのままなら陥れられた側は悪者の汚名を着せられて去って終わる話だが、神山が事実に気付いて一役買う話になっている。

聡美のしでかした事はあまりに卑怯で同情するに値しないのだが、人情派の神山はそんな聡美さえも決して突き放す事が出来ない。むしろどうしてそういう行動に走ってしまったのかを突き止めて、聡美の心を救おうと立ち回り、非常に心温まる結末を導いていく事になる。但し聡美が神山の話であまりにころっと態度を変え過ぎる嫌いがある。聡美の性格ならもっと意固地になって聞く耳を持たないと思うのだが・・・。そのため改心するまでに至る過程があっさりしていて見応えがない。

尚、終盤は恵美子の話になる。こちらの話は見事にお涙頂戴の感動的な話になっており、ここへ来るとドラマの主役を一気に恵美子が持って行ってしまう。全体的に見れば良い話ではあるのだが、どこか物足りなさを感じるドラマだった。

満足度は★★★★

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街の医者 神山治郎4 消えた母性

  • 2014.04.07 Monday
  • 00:28
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【出演】 高橋英樹、長山藍子、あめくみちこ 他
【放送】 2003年(日テレ)

心臓の痛みを訴えた老人が翌日自宅の布団の中で窒息死していた。老人介護の現状を見つめながら街医者が事件の背景に迫る人情ミステリー。『街の医者 神山治郎』シリーズ第四弾!

ある日、柳井診療所では神山治郎が近所の人々に自慢のパスタを振舞おうとしている中、突然胸の痛みを訴える急患が運ばれてくる。秋村は自分が心筋梗塞だと言い張るが心電図をとっても全く異常はみられない。付き添ってきた娘のあさみに寄れば以前から何度か同じような症状が見られ、診察を受けているもののどの病院でも異常はないと告げられていると言う。ところが翌日、秋山の家の老犬・ゴローが何故か吠えて近所の人を困らせていた。たまたま通り掛かった神山は秋山の家だと知って中へと入って行く。すると布団の中で手を組んだ秋村が窒息死していた。警察は失禁もない事から突然死だと断定する。神山は死因に納得がいかない。秋村の死後、引き取り手のないゴローを引き取った神山は散歩中に倒れている女性を発見。診療所に連れ帰り介抱するものの、女性は起き上がれるようになった途端お金を払わず診療所から出て行ってしまう。

今回のテーマは老人介護問題。看護師の多津子と医師の安藤が老人介護問題について討論し合う場面はこのドラマの最大の見せ場である。昔ながらの考えを持つ多津子は家族の面倒は家族が看るのが当然であると主張し、それに対して安藤は家族の介護に縛られて人生を台無しにしてしまう必要はないと主張する。痴呆症になった家族を老人介護施設に入れるかどうかで二人が意見をぶつけあう場面は、その場面を借りて実際の老人介護の現場にいる人々の現状を代弁しているかのように見える。考え方は色々ある。そして老人介護の疲れから悲劇を迎える話も少なくは無いのも事実。真っ向から対決する二人の主張が何より印象的な場面となった。

また今回登場する秋村と離婚した妻の芳子は、自分の老いに対して正反対の考え方を示す。老いた自分を娘が面倒を看るのは当然だと踏ん反り返る秋村と、自分の介護で娘の手を煩わせてはならないと考える芳子。

かなり極端な例ではあるが、介護する側からも介護される側からも介護の問題に向き合った内容は深く考えさせられる。

満足度は★★★★

安全地帯,安全地帯,松井五郎,玉置浩二,星勝
ソニーレコード
(2002-07-10)

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殺意 調停委員日向夢子の事件簿

  • 2014.02.20 Thursday
  • 16:58
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【出演】 三田佳子、坂井真紀、坂上忍 他
【放送】 2003年(フジ)

偶発的な事故を装った二つの殺人事件が交錯する。一事不再理を利用した巧妙な殺人計画をマイペースな調停委員とパートナーの新米調停委員が暴くミステリー。原作は夏樹静子著の『路上の奇禍』。

東京地方裁判所を訪れた織田麻里は新米調停委員。弁護士の資格を持つ彼女は事務所を構えるも依頼が一件も無く、調停委員として再出発を図ろうとしていた。そんな麻里のパートナーとして紹介されたのが全身ピンクで埋め尽くされた日向夢子だった。主任調停員から「パートナーに振り回されない事」と釘を刺される。案の定夢子はマイペースで担当事件の調書そっちのけで麻里を飲み屋に連れて行く。翌日、調停室に現れた安川初音は公園でゴルフの素振りをしている際に謝ってクラブを散歩中の老人にあてて殺害してしまい、その悔恨から憔悴し切っていた。老人の息子からは法外な損害賠償を請求されているが初音にはその返済能力はない。同情した麻里は初音の肩を持って主任に大目玉を食らう。現場を検証するために公園を訪れた麻里と夢子は銃声を耳にする。駆け付けてみると若い女性が銃殺されていた。近くの別荘にいた河辺が銃が暴発したと名乗り出る。

公園で素振り中に老人を殺害した事件と銃の暴発で散歩者が殺害された事件。二つの事件は一見何の関連もないように思えたが、第一発見者である麻里と夢子が被害女性の葬儀で初音を目撃した事から結びついていくというストーリーで、事件の担当となった調停委員の夢子と麻里が探偵役となって事件の真相を究明していくと言う流れになっている。

夢子は暴走族に入った少年達を更生した過去を持つ元教師だが、マイペースで思い付きがそのまま行動に出るので何をしでかすか判らない女性。周囲はそんな彼女を問題ある調停委員と見ているが、実は洞察力や推理力に富み、真実を究明する強い意志を持った女性でもある。一方、麻里は弁護士の資格を取ったものの一件の依頼も取れないままに挫折。今度は調停員で一旗揚げようと考えている女性。頭が固く融通の利かない彼女は夢子とは正反対。しかし次第に夢子の真実を究明する強い姿勢に影響され、夢子と良いコンビになっていく。

彼女達に協力をするのは夢子が教師時代に世話を掛けた元悪がき共。と言っても現在一人は警部にまで昇進した刑事で、もう一人は居酒屋の店長。互いに恩ある夢子のためにならば協力を惜しまないのは良いのだが、警部なのに夢子に良いように使われてしまうのは何とも・・。

全体的にコミカルなノリで進んでは行くものの、事件自体は至ってシリアスな内容で、小さな幸せを掴もうとした女性の哀愁がドラマ全編に渡って漂っている。一人の男性との結婚を夢見たばかりに人生を踏み外してしまった不憫な女の悲しい運命。それを夢子達がどう裁いていくのかが見物である。二転三転する展開はもとより夏樹静子作品らしい女性の心情に焦点を充てたストーリーは秀逸である。

満足度は★★★★★

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京都金沢浦島太郎殺人事件

  • 2013.10.28 Monday
  • 00:58
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【出演】 賀来千香子、涼風真世、渡辺美佐子 他
【放送】 2003年(日テレ)

ビデオジャーナリストが浦島太郎伝説の取材中に遭遇した事件を暴くミステリーサスペンス。京都金沢シリーズ第四弾!

五代凜子は昔話探訪の取材のため京都府与謝郡伊根町を訪れていた。ここは浦島太郎の発祥の地とも言われる土地で、浦島太郎に因んだ名所が幾つも残されている。浦島神社の宮司に頼んで玉手箱を見せて貰った帰り、境内で子供達に昔ながらの遊びを教えている老人・阿部文男に出会う。文男は駄菓子屋『ゆめみ屋』を営んでいて、浦島伝説にも詳しかった。凜子がインタビューを取っていると、浦島太郎の歌を歌う老女・久保道代が通り掛かる。道代は重度の痴呆症で老人介護施設『竜宮園』に身を置いている。ヘルパーの八幡春香が道代を甲斐甲斐しく世話をしていた。二人と知り合いである文男は道代と玩具で遊ぶのが日課となっていた。文男からもっと浦島太郎について聞こうと駄菓子屋を訪れた凜子は、昔ながらの懐かしい駄菓子屋の店内に大喜び。ところが店に置かれた古い玩具はマニアの間で高値で売買されるため、それらを譲れと男が押し入ってくる。文男に拒絶された男は札束を置いて出て行った。

昔話の『浦島太郎』に登場する玉手箱は開けた瞬間浦島太郎を老人の姿に変えてしまった代物。ドラマの中で凜子は何故乙姫がそんな酷い罰を浦島太郎に与えたのかという点に疑問を持つ。それに対する文男の答えが玉手箱はパンドラの箱。そこからこのドラマ内での玉手箱の扱いは

『玉手箱は真実を悟らせる魔法の箱』

となっている。そのため人には言えない秘密の扉が開いてしまった時、浦島太郎に因んで玉手箱を開けてしまったという表現を用いている。

ところで凜子はいつから昔話探訪の仕事を始めたのだろう?これまでは確か京都の伝統芸能について取材していた気がするが・・・。また今回タイトルは殺人事件になっているが、正確には殺人は行われていない。それも含めて今回のドラマはこのシリーズとしては異色の内容である。

さて涙ぐましいのが凜子の姑である。何とか息子夫婦を呼び戻したい一心で、医者とグルになって認知症になったふりをしてみたり、足を折ったふりをしてみたり。まあ、確かに一人息子がやっとホテルを継ぐ気になったと思ったら、ビデオジャーナリストの妻と一緒に暮らすために出て行ってしまったのだから寂しいのは判る。しかしそこは頭の切れる夫婦だけに姑の浅知恵など簡単に見抜いてしまい、策略は悉く失敗に終わってしまう。可哀想に・・・。

満足度は★★★★

安全地帯,安全地帯,松井五郎,玉置浩二,星勝
ソニーレコード
(2002-07-10)

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京都金沢一寸法師殺人事件

  • 2013.08.25 Sunday
  • 00:59
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【出演】 賀来千香子、杉田かおる、原田龍二 他
【放送】 2003年(日テレ)

ビデオジャーナリストが京人形の取材中に遭遇した事件を暴くミステリーサスペンス。京都金沢シリーズ第三弾!

五代凜子は義母を手伝ってホテルに飾る雛人形を出していたが、つい手が滑って雛人形の鼻を欠いてしまう。この雛人形は由緒正しい伊右衛門平安雛。慌てて販売元の東山人形店を訪れた凜子はここでは直せないと聞いて路頭に迷うが、店員から神谷人形店なら直せると聞いてほっと安堵する。ところが直るまでに10日〜二週間はかかると聞いて愕然とする。取り敢えず別の頭を付けてその場を取り繕った。それがきっかけとなって複雑な京人形の工程に興味を持った凜子は早速ネットで京人形について調べ始める。

昔話の『一寸法師』に因んで、京人形の一寸法師や打ち出の小槌を奉納したり、一寸法師の人形劇が披露されたりといった場面が登場する。但し前作のようにただモチーフにするだけでなく、一寸法師の京人形が遺体の上に置かれていたりと一寸法師に事件とは切っても切れない意味合いを持たせている。

これまで平安雛を一緒に制作してきた神谷人形店と東山人形店。ところが十六代平安雛を巡って対立し合っている。その裏には互いの家の子供達が愛し合ってしまえば、それは正に『ロミオとジュリエット』。ストーリー自体は『一寸法師』というより『ロミオとジュリエット』をなぞらえたような印象を受ける。

さて京都の伝統工芸では職人が古来より受け継いできた見事な技術を守る反面、技術の高さが仇となって価格は高くなっていく。ところがどんな伝統工芸も生き抜くためには利益をあげる必要があり、そうなると多少技術を落としても価格が安いに越したことはない。伝統工芸にはこの問題が常に付き纏っている。ドラマを通じて伝統工芸の抱えた問題点を提示しているのかも知れない。

ところで凜子の夫・善三はと言えば、前作から新聞記者に復帰して同じ事件に乗り出す事に。相変わらず夫婦仲は非常に良好で、善三が新聞記者になった事により長年の別居生活も解消。それにしても凜子のビデオには何故ああも決定的瞬間が収められているのか、それこそが一番の謎のような気がする。

う〜ん、しかしタイトルにある『金沢』がどこに出て来るのかと思いきや、意表をついて問屋が集めた人形コレクションの一つが加賀人形って・・・。それだけかい!

満足度は★★★★

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ソニーレコード
(2002-07-10)

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秘密

  • 2013.03.15 Friday
  • 15:50
JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 三田佳子、風間杜夫、吉田栄作 他
【放送】 2003年(日テレ)

不幸な生い立ちの未亡人が異国の地で野良犬のように暮らす男と出会った時、七年前の殺人事件の幕が再び開く。カナダを舞台に繰り広げられる大人のラブロマン。このドラマは日本テレビ開局50年記念ドラマとして制作された。

パシフィックセントラル駅からバスに乗り込んだ西本美紗は5歳の頃に生き別れになった父親の絵葉書を手にラングレーを目指していた。七年前、美紗は子連れの啓太と結婚していたが、何者かが家に押し入り啓太に酒を大量に飲ませているのを目撃した。美紗もまた背後から襲われ気絶させられている。その際、自分を襲った輩が義理の息子である隆一のブレスレットを目撃した事から、隆一を守るために啓太の死は自殺だと言い張り、頑なにその秘密を胸に留めて生きてきた。身を寄せていた伯母が亡くなったのを機に、美紗は父親を探しにカナダを訪れていた。手がかりは30年前に投函された古い絵葉書だけ。そんな折、同じバスに乗り合わせた若い男から声を掛けられる。

異国の地で偶然出会った男女。年の差はあっても互いの状況が孤独であれば、次第にお互いを必要とし合うようになるのは自然の成り行き。健介は身寄りもなく単身カナダに渡って何年もの間一人で生きてきた。一方、美紗は七年前に最愛の夫を亡くし、今また唯一の血縁であった伯母を失っている。孤独を抱える者同士、恋に落ちるのも不思議はない。

三田佳子演じる美紗は男からしてみれば放っておけないタイプの女性であると同時に、男性に依存しない自立した女性でもある。だからと言って自分を押し出すわけでもなく、自分よりも心の弱った人を守ろうとする。サスペンスドラマには非常に珍しいタイプのヒロインである。しかしその独特な雰囲気が良い。このドラマでは美紗はモテモテの役回りであるが、なるほどこういう女性に男性は弱いのかと納得させるものがあった。

記念ドラマだけあって放送時間が2時間強と長いのだが、非常に丁寧に制作されたストーリーに好感が持てる。最後に明かされる事件の真相は特別凝った内容ではないものの、そこに至るまでの経緯が楽しめるドラマである。

満足度は★★★★★

安全地帯,安全地帯,松井五郎,玉置浩二,星勝
ソニーレコード
(2002-07-10)

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曲り角

  • 2013.02.24 Sunday
  • 21:24
 JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 内藤剛志、藤真利子、村田雄浩 他
【放送】 2003年(日テレ)

俺を信じてくれるか?

親友を信じ切れなかった刑事の前で再び親友が信じて欲しいと懇願する。果たして殺人事件の容疑者となった親友を信じる事が出来るのか?原作は香納諒一著の『エールを贈れ』(『刹那の街角』収録)。

子供達の安全教室に借り出された南多摩署の堀江刑事は三年前まで六本木署のエースだった。三年前、警官に駐車違反を見逃す代わりに金を要求されたと匿名の電話があり、堀江は親友の霧島に疑いを抱いた。無罪を主張する霧島を堀江はそれ以上追及しなかったが、霧島から距離を置いて付き合うのを止めた。直後霧島は警察を辞職。堀江もまた六本木署から南多摩署へ異動となり、結局真相はうやむやのままとなった。ある日、堀江は交差点に佇む妻を見掛ける。突然「会社を辞めたい」という彼女に、堀江は妻に「自分を見捨てても良い」と告げる。翌日、妻は家を出て行った。

このドラマは信じていた人間を疑う事で壊れていく一人の刑事の話である。信頼していた者を疑わなければならないのは辛い事である。しかし刑事は人を疑ってかかる仕事であり、時には友達や家族を疑わなければならない。人は辛さと直面した時、その辛さを乗り越えるために心を封じてしまう事がある。堀江は三年前のあの事件から人を信用出来なくなってしまった。猜疑心は刑事には必要な能力であるが、信じるべき人間を失った堀江は妻にさえも心を許せなくなってしまう。つまり堀江が堀江で無くなったまま三年の年月が過ぎてしまった。

ドラマは金融会社の女社長が殺害された事件の謎を解き明かす過程で、堀江が本来の自分を取り戻せるかがネックとなっている。誰も信じられなくなった世界の中でもがき苦しむ堀江の姿は非常に痛々しく見えた。

ストーリーとは関係ないがFAX受信後のピヨピヨという音が懐かしかった。

満足度は★★★★

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