Dの複合

  • 2014.03.07 Friday
  • 18:50
JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 野村宏伸、いしだあゆみ、津川雅彦 他
【放送】 1993年(フジ)

売れない純文学作家に持ち込まれた企画で訪れた取材先は全て東経135度または北緯35度線上にあった。やがてその法則に沿った場所で殺人が行われる。作家夫妻が巻き込まれたミステリーサスペンス。原作は松本清張著の『Dの複合』。

平成五年、雑誌『Move』に地方の伝説を探る旅『浦島・羽衣伝説』という紀行文の連載が掲載される。担当編集員の浜中は早速作家の伊瀬に雑誌を持って行き、取材中に京都の木津温泉で出くわした遺体探し騒動も織り込みサスペンス要素が加わって好評だと告げるが、伊瀬はあまり良い顔をしなかった。実はこの企画は浜中の発案だったが、伊瀬のプライドを傷つけないように表向きは伊瀬の企画にすると話がついていた。ある日、編集部に女性から企画を発案した人物を尋ねる電話がかかってくる。浜中から伊瀬の企画だと聞いて、女性は伊瀬の自宅に直接訪ねていく。伊瀬はふと彼女・坂口みま子が取材中に明石の人丸神社で会った女性と思い出す。第二回の連載で辿ったコースを聞いた途端みま子は驚愕し、「先生はやっぱり御存知だった」と謎めいた言葉を口にする。

探偵役は作家の伊瀬だが、何かと事件に首を突っ込みたがる好奇心旺盛な妻が印象的なドラマである。まるで推理パズルを楽しむように彼女は次々事件の関連性を作って楽しんでいる。しかし事件の核心に迫る推理力は無いので、事件関係者と思われる人物に平気で情報を漏らしてしまう迂闊さもあって、その抜け具合が何とも可愛らしい。好奇心の強さが災いして、つい客の前で下着姿を披露してしまう場面も笑わせてくれる。因みにタイトルとなった『Dの複合』は彼女が夫に書かせようとした推理小説のタイトルから来ている。

やがて事件は解決するが、このドラマはそれが終点では無い。その事件の背景にある事情というのがむしろこのドラマの軸となっており、解決編では探偵役を務めていた伊瀬が完全に蚊帳の外になってしまう。また諸悪の源は何の咎も受けず、一切自分の手は汚さない。灰色なエンディングは松本清張らしいと言えるだろう。

満足度は★★★★

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灰色の記念碑

  • 2013.11.25 Monday
  • 00:30
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【出演】 古谷一行、黒田福美、阿藤海 他
【放送】 1993年(フジ)

二軒並んだ家の間にある境界を巡って双方の家族が対立。過敏になる妻に翻弄される男の苦悩の日々を描いたホームコメディ。

平凡なサラリーマンの志田は会社帰りに川に浮かぶ浮きをぼんやり眺めるのが日課となっていた。ある日、妻の民子が「大変だ!」と言って息子と共に帰宅する。いつもの事と聞き流そうとした志田だが、血の付いた破れたシャツを見せられて尋常じゃないと気付く。何でも双方の息子達が遊んでいて隣家との境界にある梅の花を取ろうとした所、鉄条網に引っ掛かって隣の家の息子が怪我をしたと言う。隣の家の主婦は危険なので一刻も早く双方の負担で鉄条網を取り払おうと提案。早速翌日から工事を開始する。しかしブロック塀が嫌いという理由で志田は大して深刻には考えていなかった。一方、民子は隣家が勝手に境界線を変更して志田家の庭に攻め入るのではないかと危惧し、予防策として釘を立てかけて牽制する体勢を見せる。

家を構えれば大なり小なり隣人トラブルはつきもの。一軒家の場合は境界の土地を巡ってトラブルになる事もある。紙面上では隣家との境界は線一本で済むが、実際に住んでいる住民にとってはそうはいかない。塀には幅があり、塀を境界線上に立てるのか、それともどちらかの家の土地に立てるのかでまた問題となる。双方が互いに譲歩する気持ちを持っているならばまだ良い。しかし大抵の場合、これから先の自分達の生活に有利になるように話を運びたいのが心情である。隣人トラブルはそんな気持ちの表れから始まるもの。

今回のドラマで最大の関心事は塀の高さ。隣同士とは言っても土地の高さが違うので、互いの家から見た塀の印象は異なる。1段ブロックを増やすか減らすかという傍から見れば些細な違いが双方の家族には大問題になる。特に家にいる時間の長い主婦にとってはこの違いが大問題と捉えがち。だからついムキになって喧嘩に発展してしまう。このドラマではそんな双方の家族の様子をコミカルに描いている。

さて二つの家族は和解できるのか?

後半に向かうにつれ事態は意外な方向へ発展する。夫達のお馬鹿な行動に思わず大爆笑。隣人トラブルは結局の所互いの価値観の違いから起こる摩擦。少し譲歩する気持ちさえあれば大事にはならないのである。つくづく隣人トラブル等馬鹿らしいと思わせてくれる面白いドラマだった。

満足度は★★★★★

オムニバス,Puffy,ゴスペラーズ,Crystal Kay,小田和正 with 山弦,Miss Monday Feat.Martin,Skoop On Somebody,アブラーズ,AJI,クレモンティーヌ,Salt & Sugar
ソニーミュージックエンタテインメント
(2004-02-25)

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名古屋嫁入り物語 〜初孫戦争の巻〜

  • 2013.11.22 Friday
  • 18:51
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【出演】 植木等、石野真子、三木良介 他
【放送】 1993年(フジ)

名古屋の結婚事情をテーマにした騒動を描いたホームコメディー。『名古屋嫁入り物語』シリーズ第五弾!毎回植木等&山田昌が異なるシチュエーションで夫婦役を演じ、名古屋と言う土地柄を愛するが故に起きる騒動の数々が楽しい作品。二十五年後の世界にきんさん、ぎんさんが125歳の役で登場する。残念ながら実現はしなかったが・・・。

百年の伝統を持つ花嫁学校の講師を務める康信は歴史を守り伝統を守る大和撫子こそ愛知の女だと豪語する時代錯誤の講師。グラビアでTバック姿を披露した生徒に無条件で赤点をつけた事で生徒に大顰蹙を買ってしまう。しかし信念を曲げる気はさらさらなく、先細りの学校経営を危惧した学園長には文句を言われる始末。ある日、結婚三年目を迎えた娘の豊子が身重の体で帰ってくる。しかも夫の両親・山田夫妻も一緒。早速まだ見ぬ孫が男か女かで討論が始まる。そんな中、豊子の陣痛が始まり、女児を出産。豊子の義母は名古屋のしきたりに沿って出産費用を嫁の実家に払わせ、実家に孫をいさせるのは十五日までと勝手に定めてしまう。そんな両家の親のやり取りを目の当たりにして豊子は気が気ではなかった。

今回ドラマの中心となっているのは初孫。初めての孫となれば夫の家族にとっても妻の家族にとっても可愛らしいもの。両家の争いは孫が生まれたその時から始まる。まずは命名問題。名古屋のしきたりでは人生の先輩が名前を付ける事になっているらしい。そのため親と言えど子供に名前を付ける事を禁じ、双方の祖父が『玉子』か『撫子』かで睨み合い。仕方なく仲人が間に立って有名な易者に占って貰うと、今度は『亀』に。せめて『子』をつけてってそういう問題?

おいおい、結局『亀子』って・・・。子供が可哀想。

次は『孫渡し』。何かと思えば赤ん坊が生まれた際に嫁の実家から夫の実家に贈る品々の事。何でも相場は婚礼家具の金額の一割だとか。初孫ならば金に糸目を付けず贈り物をするところは見栄っ張りな名古屋の気質そのもの。他にも地元の人間にしか判らない風習が目白押し。他の地域の人間からすれば面白おかしく話を作っているのかと思うくらい不思議な所である。

他にも何かにつけ張り合う両家の親達。そういう土地柄を知っている人には「そうそう」と頷く場面も満載。傍から見れば馬鹿馬鹿しくくだらない事だが、本人たちは真剣。それがまた笑いを引き出してしまう。

教訓は幾ら孫が可愛くても祖父母が口を出し過ぎるとロクな事にならないという事だろう。

満足度は★★★★★

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思い出の青函連絡船

  • 2013.05.10 Friday
  • 13:50
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【出演】 高橋英樹、中山仁、山口果林 他
【放送】 1993年(テレ朝)

青函連絡船廃止から七年。かつての摩周丸の船長が船内で起きた未解決事件に挑む。土曜ワイド劇場の人気シリーズ『杉崎船長シリーズ』の第五弾。原作は今井泉著の『碧の遺稿』。

摩周丸が出航して二時間後、船内に積んであった公金の入った貨物が素人同然の手段でこじ開けられ、複数あったジェラルミンケースの中から少しずつ現金が抜かれる事件が起きた。被害金額は二億円。異変を知った杉崎船長と船員が手分けをして船内をくまなく探すが、犯人らしい人影も盗んだ現金も見つからなかった。結局、その事件は未解決のまま青函連絡船の廃止が決まり、今でも杉崎の心残りとなっていた。七年後、摩周丸のイベントの手伝いを頼まれて杉崎は妻と共に函館を訪れていた。

何故に児島がいる!

このシリーズの主な登場人物と言えば杉崎夫妻と杉崎を慕う部下の児島。しかし今回のドラマでは函館に呼ばれたのは杉崎だけ。ところがどう嗅ぎつけたのか杉崎が誘ってもいないのに、まるで当たり前のように杉崎夫妻の宿泊する旅館に現れ、図々しくも夫妻の食事からおこぼれを貰う有様。本当に神出鬼没なキャラクターである。

さて今回は青函連絡船の船長時代の汚点となっている未解決事件を杉崎が調べる一方で、あの事件に関わっていた元刑事が杉崎を犯人だと疑っていると判明。結局、杉崎は自分の汚名を晴らすためにも事件を解決しなければならなくなる。それに関与が疑われるのが、杉崎が結婚前に付き合っていた女性。ところがこの女性、序盤から如何にも怪しげな行動をとり、疑って下さいとでも言っているような挙動不審ぶり。サスペンスではこうした如何にも怪しい人物を登場させるのも良くある事だが、それにしても怪し過ぎる!まあ、こういう場合大抵事件と無関係であるのもサスペンスならではのお約束だろう。

杉崎船長のシリーズは必ず夫婦の危機と安泰を絡ませたストーリーにするのが特徴。今回もその線は崩してはおらず、事件の真相も決して人間の悪意だけが事件を起こすものではないと語るような結末を用意している。がちがちのミステリーを望む人には物足りなさを覚えるかも知れないが、人間の温かさを大切にする内容がこのシリーズの良さである。

満足度は★★★★
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わが町2

  • 2012.11.23 Friday
  • 17:45
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【出演】 渡辺謙、美保純、有森也実 他
【放送】 1993年(日テレ)

猟銃で殺害された男の事件を追う東京下町の刑事達の活躍を描いた刑事ドラマ『わが町』のシリーズ第二弾。原作はエディ・マクベイン著の『殺しの報酬』。

臨月を迎えた妻・繭が腹痛を訴えたため、森田吾郎は産婆を背負って妻の実家に駆けつけると、西月島署から男の変死体が発見されたと連絡が入る。後ろ髪を引かれるような思いで現場へ向かった吾郎が見たのは、散弾銃で撃ち抜かれ頭が粉々に飛び散った男の遺体だった。死亡していたのは相田という中年男性で、座った状態で首の辺りを目掛けて引き金を引いたと思われる。自殺とも他殺とも断定し兼ねる状況だった。調べてみると相田には社会的地位の高い人間から毎月決まった額が入金されている事が判った。また相田は美佳という若い女性を愛人にしている事が判り、早速吾郎と同僚の鳴海は美佳の部屋を訪ねる。ところが美佳に初恋の人の面影を感じた鳴海は、刑事の本分を忘れて美佳に本気で恋をしてしまう。

まだ携帯電話が普及していない時代。刑事と言う職業柄、幾ら約束してもお産に立ち会えない場合もある。吾郎もそれを危惧していて、もし自分が仕事中に生まれた時の連絡手段として指定したのがポケベル。ポケベルと言えば通信手段として一世を風靡した代物ではあるが、今やその存在すら知らないのが現状である。男が生まれたら『5』、女が生まれたら『3』を送ってほしいという下りは、おそらくポケベルを知らない世代には何の事やら判らないだろう。数字だけで意思疎通を図っていた時代が懐かしい。思えばこの時代のミステリーにはポケベルを使ったトリックを用いた作品が随分出回ったものである。

それはさておき、今回のドラマでは鳴海の恋愛が中心となっている。鳴海は吾郎が刑事の先輩として尊敬している同僚の刑事。その鳴海が容疑者の一人である美佳に恋をしてしまう。しかし刑事たるもの容疑者に必要以上に近付いてはならない。それなのに鳴海は若くて自分の気持ちに正直な美佳に惹かれる気持ちを止められず、刑事の職務を越えて美佳にのめり込んでしまう。刑事と言っても所詮は人間。怒りもすれば我を忘れる事もある。勿論禁じられた恋に身を焦がす事もある。鳴海は既に中年。妻子もいてそこそこ平穏な家庭は築いているものの、この先の事を考えると寂しくなる。だからこそ余計に遠い昔に忘れた恋のときめきを感じてしまうとそこから抜け出せなくなってしまう。そんな鳴海の葛藤が見どころである。

刑事ドラマというより人情ドラマと捉えて楽しんだ方が良いかも知れない。

満足度は★★★★
岩崎 宏美(益田 宏美)
ビクターエンタテインメント株式会社

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わが町3

  • 2012.10.28 Sunday
  • 00:07
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【出演】 渡辺謙、有森也実、平田満 他
【放送】 1993年(日テレ)

警察に届けられたのは殺人予告だった。東京下町の刑事達の活躍を描いた刑事ドラマ『わが町』のシリーズ第三弾。原作はエディ・マクベイン著の『レディー・キラー』(87分署シリーズ)。オープニングでは江戸情緒溢れる隅田川の花火大会の解説がとくとくとナレーションで語られている。

隅田川の花火大会に人々が酔い痴れる中、森田吾郎を始めとする西月島署の刑事達は血塗れの刃物を持った男を追っていた。犯人を追いつめて吾郎が少しずつ間合いを狭めていると、同僚の刑事の拳銃が火を吹いた。後の調べで犯人の体内から覚せい剤が検出され、拳銃を放つべきではなかったと攻める吾郎に同僚は自分の行為が正当であったと一歩も引かない。ある日、西月島署に野球のユニフォームを着た小学生の男の子が手紙を持って尋ねてくる。そこには新聞の切り抜き文字で『たか子を殺す』と記されていた。受け取った警察官は慌てて捜査一課に持ち込む。

下町情緒溢れる街並みの中で刑事達もまたその町で日常生活を送っている。愛する妻と生まれたばかりの子供にべたべたの吾郎の姿や、妻と晩酌を楽しむ同僚の刑事の姿などを所々に織り込みながら事件に取り組む刑事の姿を描いており、刑事の職務から離れた部分では普通の生活を送る人間的な面を強調している。がちがちの刑事ドラマとは異なりどこかユーモアや人情を感じる部分にこのシリーズの良さがある。

さて今回の事件は殺人予告から始まる奇妙な事件。男の子に手紙を渡したのは警察官の服を着た男だと言うが、まるで見当がつかない。おまけに『たか子』が誰かも判らない。以前、拳銃で撃たれた時にクロさんが譫言で『たか子』と口にしていた事を刑事達は咄嗟に思い出すが、それも空振りに終わる。やがて男の子はある警官が手紙を渡した男に似ていると証言する。しかしその警官は優秀な警官で、その警官を取り調べるか否かでまたもや吾郎とストイックな同僚の刑事が対立してしまう。

信条の違う刑事同士衝突はあっても、それはあくまで刑事として真剣であるから故の衝突。分かち合える部分が見つかれば次第に分かり合える。ラストでは人と人との繋がりを様々な人々が移り住む下町の情景になぞらえて締め括っている。こうしたナレーションも味があって良いのかも知れない。

満足度は★★★★
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影の地帯

  • 2012.09.08 Saturday
  • 14:03
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【出演】 古谷一行、増田恵子、矢崎滋 他
【放送】 1993年(日テレ)

別れた妻への未練から巨悪と対峙する事になった写真家の重厚な社会派ミステリー。原作は松本清張著の『影の地帯』。

写真家の田代は湖の畔で撮影中、突然フレームに入った女性が別れた妻の礼子だった事に驚く。礼子は見知らぬ男と共に車で去って行った。田代はネガの中に写った礼子の姿を見ながら礼子と別れた日の事を思い出す。あの日、礼子は「やり直したい」と言って離婚届を差し出した。原因は田代の浮気だった。田代が友人・草野の誘いで『エルム』という店に飲みに行くと、何故かその場に礼子が現れ、ママと共に店を出て行った。韓国で仕事を終えた田代が帰国すると、ママがあれからずっと行方不明になっていると聞かされる。

人生とは何が起きるか判らない。ほんの小さな綻びがある人間を止め処なく転落させていく事もある。田代と礼子は夫婦で無くなった時点からその人生を大きく分け隔ててしまった。田代は仕事を順調にこなし、今では海外からもオファーの来るほどに成功を収めた写真家。一方、礼子は田代との離婚以来不幸が続き、転落していくだけの人生を送っていた。しかし深く結ばれた絆は再び二人を呼び寄せてしまう。礼子が田代のフレームに入ったのは運命が与えし、偶然だったのかも知れない。

さてドラマは初っ端からきな臭さがぷんぷんする要素をばら撒くように始まる。礼子に付きまとうチンピラのような男。湖への不法投棄。違法に建てられた合成大理石の作業場。そんな謎に包まれた状況下で起こったスナックのママの殺人事件。田代は否応なしに事件に首を突っ込む事になり、やがてその背後にある闇の存在に巻き込まれていく。

二転三転するスリリングな展開に驚愕の殺害計画。しかし話はあくまでその状況を作り出した組織の下々の中で起きている話であり、結局の所、田代は悪の根源にまで行きついていないという所が何とも松本清張作品らしい顛末である。救いは田代の元妻への変わらない愛情。地獄の底にまで落ちた礼子はもうそれ以上転落する事はない。二人の幸せな未来に希望を残したラストは清々しくもあった。

満足度は★★★★★

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誰にも言えない 総集編

  • 2011.12.08 Thursday
  • 23:13
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【出演】 賀来千香子、佐野史郎、野際陽子 他
【放送】 1993年(TBS)

『誰にも言えない』の総集編として放送されたドラマの名場面を追いながら一挙に振り返っていく。このドラマの中では本編では明確にされなかった前作『ずっとあなたが好きだった』と『誰にも言えない』のドラマがどんな関係性を持っているのかが詳細に語られている。年末特番として二日間に渡って放送された。

海を見る年老いた女性がいる。彼女の名は美和。かつて結婚相手の冬彦に執拗に追い回されつつも、初恋の人と結ばれた女性である。美和は娘の加奈子に語りかけるようにこれまでの出来事を振り返っていく。

冒頭から加奈子が実は美和の娘だったことが判って、それで二つのドラマにはかなりの年代差がある母と娘二代に渡る愛の物語だと判明する。勿論二つのドラマの関連性はそれだけには留まらない。『ずっとあなたが好きだった』のラストシーンで流れる円満な一家の光景は、加奈子の産んだ長男・春彦が無意識に父である冬彦と同じ仕草を行ったことで冬彦さんの呪いだと騒がれたが、そこに登場した春彦は一体どうしてしまったのか? そして何故美和は麻利夫を愛さずにいられなかったのか。春彦と麻利夫の関係は? そうした様々な謎が次第に明らかにされていく。

総集編なのでドラマを楽しみにしていた人には懐かしい名場面ばかりでうれしい内容となっている。そしてそこに新たなる真相が解き明かされることで、更にドラマにどっぷりとはまってしまう。

最近のドラマ(『冬のサクラ』)では高嶋政伸がこの冬彦さんモドキの役柄を演じており、どうもそれが板についてしまったのか、その後出演するドラマの中でもどこかそうした演技が見え隠れする。それを目にする度、冬彦さんを演じた佐野史郎の偉大さ、そして影響力を感じずにはいられない。

満足度は★★★★★
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誰にも言えない

  • 2011.12.07 Wednesday
  • 01:24
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【出演】 賀来千香子、佐野史郎、山咲千里 他
【放送】 1993年(TBS)

『ずっとあなたが好きだった』から1年。あの話題作を再びとばかりに制作された同一スタッフによる第二弾。今度はかつて恋人同士だった二人が互いに異なる伴侶を得て隣人同士になったことから始まる狂気のラブストーリー。前作から引き続きヒロインを賀来千香子が演じ、前作では異常な親子愛を見せた佐野史郎と野際陽子は義理の母と息子という関係になっている。賀来千香子が逃げ惑うサスペンスタッチのオープニングが話題となった。

専業主婦の加奈子は夫の伸吾と平凡ながら幸せな家庭を築いていた。唯一の悩みは子供が出来ないこと。実は加奈子は結婚前に恋人に捨てられ中絶した経験があり、そのせいで子供ができにくい体になっていた。ある日、マンションの隣の部屋に山田夫妻が引っ越してくる。夫妻と顔を合わせた加奈子は愕然とする。山田家の夫・麻利夫は出世欲に駆られて加奈子を捨てたかつての恋人だったのである。しかしそのことを伸吾は何も知らなかった。

前作の雰囲気を保ちつつ危険な愛情表現が満載のドラマだが、表向きは前作と全く異なる独立したストーリーのように見える。しかし隠された真相が明らかになるとようやく関連性が見えてくる。ドラマを見ている内に何となく想像がつく人がいるかも知れない。とは言え、全く前作とは異なるストーリーであるのは間違いない。

さて今回は麻利夫の加奈子に対する執着心は一緒であるものの、同時に麻利夫に対する妻・美雪の執着心も凄まじい。婿養子である麻利夫が強く出られないのを良いことに、加奈子へ執着する夫に加えるおしおきは次第にエスカレートし、SMの世界へと突入していく。

また別の意味で狂気の世界に踏み込んでいるのが美雪の母。前作では息子を溺愛する母を演じた野際陽子が、今回は占いに全てを任せる怖い義母へと転身している。

二組の夫婦の行く末がどうなるかがこのドラマの見所。かつての恋人の魔の手を逃れて果たして加奈子は夫を愛し続けることが出来るのだろうか?

満足度は★★★★★
松任谷由実,松任谷正隆
EMIミュージック・ジャパン
(1998-11-06)

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十年愛スペシャル

  • 2011.08.02 Tuesday
  • 21:43
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【出演】 田中美佐子、浜田雅功、大江千里 他
【放送】 1993年(TBS)

昨年放送されたドラマ『十年愛』のスペシャルドラマ。『十年愛』は実は小説だったという設定で、小説のモデルとなった男女の本当の愛の結末のドラマ化。単発のドラマのため連ドラのような波乱に満ちた恋愛にはなっていないが、もっと現実味のあるラブストーリーになっている。

青空が書いた小説『十年愛』が大ヒットし、青空は一躍注目の作家となっていた。作品について問われた記者からの質問に青空は実際の自分と嵐の恋愛の軌跡について話し出す。

ひょんなことから知り合った嵐に励まされて親友と結婚する片想いの相手・雅一に告白しようとした青空だったが、結局告白する勇気を出せなかった。傷心の青空の心を慰めてくれたのは他でもない嵐。雅一への思いを断ち切れない青空は嵐と雅一の間で心が揺れ始める。

誰の人生にもあるターニングポイントでどのような選択をするかによって人の人生というのは時として天と地ほどに変わってしまう。連ドラの『十年愛』とスペシャル版の『十年愛』はターニングポイントでどの選択肢を選んだかで変わってしまった青空の人生を描いている。

あの時○○していれば・・・。

誰しもがそんな後悔を一度は経験した記憶があるだろう。いわば青空は別の選択肢を選んだ時のストーリーを小説に記したことになる。

本編とスペシャル版のドラマを見て思ったのは、どんな選択をしようと決して変わらない運命もあるのだと言う事。どんなに回り道をしても青空は必ず嵐を選び、嵐は青空を選ぶ。運命さえも乗り越えてしまう絆もあると思わせてくれることがこのドラマの何よりの魅力である。

満足度は★★★★★
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