黒水仙の美女

  • 2011.06.03 Friday
  • 14:09
JUGEMテーマ:日本のTVドラマ
 
【出演】 天知茂、江波杏子、ジュディ・オング 他
【放送】 1978年(テレ朝)

天知茂扮する明智小五郎が数々の難事件に挑む土曜ワイド劇場の人気シリーズ。このドラマはその第五作目として放送された。原作は江戸川乱歩著の『暗黒星』。タイトルの暗黒星には非常に深い意味が込められており、その意味は最後まで明かされないが、判った時の驚きと感動は凄まじい。テレビドラマでは必ずタイトルは『○○の美女』と付けられているため、その絶妙なタイトルの素晴らしさが伝わらないのが残念である。

差出人不明の招待状を持って明智小五郎は彫刻家の伊志田鉄造の美術展に足を運んだ。会場では伊志田の長女・待子がじっと明智を監視していた。不審に思って話を聞いてみると、実は伊志田邸では怪現象が起こっていて、最初は声だけが暗闇から聞こえていたが、今では庭を黒い影が飛び回っていると言う。待子はその黒い影を悪魔と呼び、明智にその悪魔を家から追い出して欲しいと依頼するために明智を招待したと判る。

黒水仙とは香水の黒水仙のこと。これは主役の待子が愛用している香水の名前で、タイトルで示される黒水仙の美女とは待子のことを指している。今回のドラマではこの香水の香りがドラマの重要な場面で度々登場する。とは言ってもテレビからその香りが伝わって来るわけではないが・・・。

このドラマは不審な黒い影のアクションが見どころともなっている。元々原作では黒い影の動きが人間業とは思えない身軽さのようなニュアンスで表現されている。それを実現させるにはやはり厳しいものがあるが、それでもCGのない時代のアクションシーンとしては魅せてくれる。全身を黒で埋め尽くされた人物が暗闇の中を飛び回る場面は、不気味というよりもアクションに見入ってしまった。

そして最大の見せ場がラストの場面である。事件は解決し、犯人の正体も明らかにされた後、犯人の一世一代の舞台がテロップが流れる中で行われるのも非常に珍しい演出である。当時としては画期的だった。

満足度は★★★★★
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白髪鬼

  • 2011.05.27 Friday
  • 03:55
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【出演】 中村敦夫、大谷直子 他
【放送】 1978年(フジ)

妻と情夫に殺された男の復讐劇。このドラマは日曜恐怖シリーズとして夏場に放送された一話完結のホラードラマの中の一作。原作は黒岩涙香著の『白髪鬼』。尚、この小説はマリー・コレリ著の『ヴェンデッタ』を元に作られた翻案(原作の内容を元に作品を改変する)小説である。

資産家である波野家の当主・辰彦は若く美しい妻と人里離れた豪邸で幸せに暮らしていたが、実は妻には愛人がいて遺産目当てに辰彦の殺害を企てていた。ある日、二人はとうとう計画通り辰彦を殺害する。ところがその現場を下女が目撃していて二人を強請ろうとしたため、下女をも殺してしまう。これで安泰かと思われた矢先、白髪にサングラス姿の男が現れる。

『白髪鬼』と言えばどうしてもまず頭に思い浮かぶのが江戸川乱歩の『白髪鬼』。そのため江戸川乱歩の小説だと思いこんで見ると、途中から首を傾げることになる。調べてみると江戸川乱歩の『白髪鬼』は黒岩涙香の『白髪鬼』の翻案小説らしい。もっとも1時間枠のドラマなのでかなり端折った内容になっている上に、最後にはオカルト要素まで盛り込んでいる。そのためどちらが原作と言われても大概の場合あまり抵抗を感じないかも知れない。

因みに黒岩涙香版と江戸川乱歩版の『白髪鬼』の大きな違いは復讐に対する捉え方にある。黒岩涙香版は復讐を肯定的に捉えているのに対し、江戸川乱歩版は法秩序の概念を交えて犯罪と捉えている。

『白髪鬼』の見せ場は主人公の復讐劇はさることながら、殺された男が白髪鬼となって生還するまでの過酷な経緯にある。ところがこのドラマに関してはその点についてあまり触れられていない。正確に言えば主人公が果たして生き返った辰彦なのかどうかさえ特定しないままに終了する。はっきり言って物足りなさをひしひし感じるドラマでもある。

満足度は★★★
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図太い奴 危険な賭け

  • 2010.08.23 Monday
  • 00:49
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【出演】 坂上二郎、田村亮、市毛良枝 他
【放送】 1978年(テレ朝)

毎日訪れる客に脅かされる床屋の主の恐怖を描いたサスペンスドラマ。原作は西村京太郎著の『優しい脅迫者』。このドラマは土曜ワイド劇場にて放送された。

床屋の主は毎日のようにやって来る客を不審に思っていた。その客は何故か主の神経を苛立たせるような事ばかりを口にして帰っていく。気に入らなければ来なければ良いのに、何故か毎日判をおしたようにやって来るその客。徐々に精神的に追い詰められた主は客に殺意を抱くようになり、その客を殺害する夢にうなされ始める。そしてとうとう髭剃りを待つ客を前にした主は剃刀で客の喉笛を切ってしまう。

客の真の目的は何だったのか?

上記の粗筋だけだと、ただ床屋の主が勝手に殺人を犯してしまったつまらない話になってしまうのだが、このドラマの面白さは客が目的を持って床屋に通い詰めていた事にある。客の正体は大部屋の役者。既に年齢的にはベテランの域に入る役者ではあるが、仲間からは芝居が古いと見下され、未だにうだつの上がらない役者を続けている。そんな彼が役者として最後のプライドをかけた行動こそが床屋に通い詰める事だったのである。そんな侘しい役者を坂上二郎が好演している。

衝撃的な殺害シーン(画面では殺害する場面はカットされている)に目を奪われがちになるが、本当に驚愕すべきは客の目的である。そして何故その床屋の主を選んだのかに唖然とさせられてしまう。

人間の心理をついた良作ドラマだけに非常に印象に残るドラマである。

満足度は★★★★★
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黄金仮面

  • 2010.02.20 Saturday
  • 00:16
JUGEMテーマ:日本のTVドラマ

【出演】 天知茂、由美かおる、伊吹吾朗 他
【放送】 1978年(テレ朝)

土曜ワイド劇場の人気シリーズである天知茂扮する明智小五郎シリーズの一作。年末特番で放送されたため、それまでのドラマより長い二時間枠での放送となっている。

このドラマの原作は江戸川乱歩著『黄金仮面』。かの有名なアルセーヌ・ルパンの再来かと言われる怪盗黄金仮面の宣戦布告に明智小五郎が挑むと言うスケールの大きい作品のドラマ化。黄金仮面と明智小五郎の一進一退の攻防が楽しめるエンターテイメント性に富んだ展開になっている。

世間を騒がす怪盗黄金仮面がはびこる中、石油王・大島の元に黄金仮面からの予告状が届く。警察はそれまで悉く黄金仮面にしてやられ、全く歯が立たない有様。そこで明智小五郎の腕を見込んで依頼が飛び込み、明智対黄金仮面の頭脳戦が繰り広げられるというストーリー。

これまでの歴代の怪人や怪盗とは異なり、黄金仮面の盗みに対する美学は相当なもの。それだけに今回ばかりは明智小五郎と言えど一筋縄ではいかない。美術品は守れても犯人を捕まえることは出来ず、毎回寸でのところで逃してしまう。

まるで少年探偵団シリーズに登場する怪人二十面相。但しこの怪人は大人向けの明智小五郎シリーズには登場しないので、黄金仮面のように最後まで明智小五郎をてこずらせる相手は珍しい。

この作品では結局のところ黄金仮面と明智小五郎の対決は引き分けに終わる。しかし黄金仮面が盗んでいった最高の宝には思わずにやりとしてしまう。

満足度は★★★★★
江戸川 乱歩
東京創元社
¥ 651
(1993-10)
Amazonおすすめ度:

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人はそれをスキャンダルという

  • 2010.01.29 Friday
  • 00:05
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【出演】 山口百恵、夏夕介、永島敏行 他
【放送】 1978年(TBS)

タイトルにもあるスキャンダルとは今ではさほど珍しくも無くなったシングルマザーのこと。このドラマが制作された当時はまだシングルマザーという呼称も無く、結婚もせずに子供を生んだ所謂『未婚の母』に対しての世間の風は冷たかった。このドラマはそんな未婚の母としての生き方を選んだ一人の女性にスポットを当てたヒューマンドラマである。原作はロマンロラン著の『魅せられたる魂』。

裕福な家庭で何不自由なく育った信子は父親の死をきっかけに腹違いの妹の存在を知り、父親が莫大な借金を残していたことに驚愕する。亡き父の友人・堂島が借金の肩代わりに出した条件がその息子・俊樹との結婚。しかし恋人もいる俊樹の愛情に疑問を抱いた信子は俊樹との婚約を解消するが、皮肉にも別れた直後妊娠が発覚。仕方なく信子は一人で子供を産み育てる決意をするというストーリー。

「『健』と書いて『たつる』と読みます」

不思議な事にドラマの中に出てくる台詞の中で最も印象に残ったのがこの台詞。俊樹の恋人が信子の生んだ子供を敵状視察に来た際、名前の札の『健』という札を見て「けん」と誤って読んだ際に信子が訂正する台詞なのだが、あの何気ない言葉がどうも心に引っ掛かってならない。

勿論、読み方が珍しかったので感心したという理由もあるとは思う。しかしそれ以上に、そのさりげない言葉の中に子供は自分だけの子供だと誇示する母親の執念が薄っすらと表れていたからかも知れない。

息子は俊樹の血を受け継ぐ子供。つまり堂島家の正式な跡取り。堂島家に息子を渡してしまえば息子は満たされた生活が送れるだろうし、信子もわざわざ子供を抱えて苦労などせずに楽に暮らせたはず。でも信子の中の母親としての自覚や意地がそういう選択を拒んでしまう。自分のお腹を痛めて産んだ子は自分だけのもの。そんな気持ちが窺えるようだった。

本音を言えば、このタイトルを見てどれだけスキャンダラスなヒロインなんだろうと期待をしていた。しかし実際のヒロインはただズルイ生き方が出来ない自分の気持ちに正直な女性。主役がビッグネームなだけにやはり・・・という感じだった。

満足度★★★★★
ロマン ロラン
岩波書店
(1989-11)
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浴室の美女

  • 2010.01.19 Tuesday
  • 00:54
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【出演】 天知茂、夏樹陽子、高橋洋子 他
【放送】 1978年(テレ朝)

土曜ワイド劇場で絶大な人気を博した天知茂扮する明智小五郎シリーズ第二弾。原作は江戸川乱歩著『魔術師』。江戸川乱歩作品の中でもかなりの長編作品となる。この作品が後の明智小五郎の良き伴侶となる文代との出会いの作品となるのだが、テレビ版では文代を助手役で前作に登場させてしまった手前、文代は今回も助手として登場している。以降、テレビ版の文代は明智小五郎を崇拝する助手に据え置かれる。コミカルなキャラになってしまっているのはテレビ故だろう。

大富豪の玉村家に毎日のように送りつけられる奇妙な数字。まるで何かを暗示するようにその数字は1つずつ減っていく。玉村家の美しい娘・妙子から相談を受けた明智小五郎は事件に乗り出すが、明智は誘拐され、その間に妙子の叔父が殺害されてしまうというストーリー。

原作を知っている人には内容や犯罪手口の陳腐さに物足りなさを感じてしまうかも知れない。しかしながら1時間半という短い時間枠に収められた点や当時の映像技術などを考えると止むを得ないと思う。とは言っても十分面白いドラマには違いない。原作の陰鬱な雰囲気はあまり無いが、テレビ向きのエンターテイメント性には富んだ内容になっている。

この作品から明智小五郎がドラマ内で死亡し、浪越警部が涙の記者会見を行うスタイルが確立した。浪越警部がおちゃらけキャラのためあの場面は毎回爆笑してしまう。一体、明智小五郎は何度死んでいるのだろう?

さて今回のドラマには二人のヒロインが登場する。しかしどうしても妙子を演じる夏樹陽子の華やかな美しさに目がいってしまう。勿論登場場面が多いのもあるが、それ以上に女優オーラを存分に漂わせた存在感に圧倒される。一方、もう一人のヒロインを演じているのが高橋洋子。どちらもドラマ内では悲しい運命に翻弄された女性という役どころには変わりないのだが、もう一方の印象が強過ぎるだけに存在感が薄く印象にあまり残らない。

当然満足度は★★★★★
江戸川 乱歩
東京創元社
¥ 693
(1993-03)
Amazonおすすめ度:

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