恐怖の人喰い鱶 鱶女

  • 2010.05.27 Thursday
  • 00:00
JUGEMテーマ:日本のTVドラマ
 
【出演】 夏樹陽子、大和田獏 他
【放送】 1980年(テレ朝)

鱶(フカ)の化身である女と傷心の青年の愛を描いた怪奇ロマン。原作は現在東京都知事を務める石原慎太郎著の短編小説『鱶女』。

急死した恋人を偲んで小さな島を訪れた敏夫はそこで亡き恋人とそっくりの女を見掛ける。女は島の人間では無く人付き合いも悪いことから地元の人間に疎まれていた。しかし敏夫にだけは次第に心を開いていく。丁度その頃、海では人が鱶に襲われて命を落とすという事件が立て続けに起こる。漁師の間で女が鱶の化身だと噂が流れ、女の存在を快く思わない青年達に女は乱暴されてしまう。

小さな島の夏の海を舞台にしたドラマでドラマの殆どが砂浜や海を背景にストーリーが進んでいく。しかし夏の空のように決して爽やかな展開ではなく、常に陰惨とした空気が流れている。主軸に切ないラブストーリーがあるにも関わらず、グロテスクな表現も多分に含まれているのはやはりホラー作品としての色合いが濃いせいなのだろう。特に生魚を血を滴らせながら美味しそうに食べる場面は目を逸らしたくなる。

昔から日本では人間の正体が実は別の生き物でしたとなれば怪談話として扱われる。このドラマの場合は鱶。何故鱶が人間の姿をしていたのかは後々判ってくるが、そこには悲しい事情が隠されていて、その裏に人間の暴挙に対する自然界の怒りが見て取れる。しかし本当にこのドラマで怖いのは鱶が人間に変身することでは無く、むしろ群集心理の方。小さな島だからこそ島民同士の団結力が強い反面、そうでない者を受け入れる気持ちは薄い。時としてそれは暴走し行き過ぎた行動に走ってしまう。例えどんな犯罪行為であろうと暴走した彼らにとっては全てが正義となる。それが一番怖いと思った。

この手の怪談話の場合、大抵最後は正体がばれてアンハッピーエンドになる話が多い。ところがこのドラマは驚いたことにハッピーエンドを迎える。ラストの海からの撮影が非常に印象的で、それまでの陰惨な空気を打ち払うかのように爽やかな海の色が生える画面となっている。

満足度★★★★
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京都妖怪地図1 嵯峨野に生きる900歳の新妻

  • 2010.03.19 Friday
  • 00:09
JUGEMテーマ:日本のTVドラマ
 
【出演】 三田村邦彦、宇津宮雅代 他
【放送】 1980年(テレ朝)

土曜ワイド劇場にて夏になると放送される京都を舞台にした怪談話シリーズ・京都妖怪地図。このドラマはその第一弾として放送された。原作は上田秋成の『雨月物語』。

京都のとある家に住む美しく妖艶な女主人は行きずりの若い男を招き入れては情事を重ね、その挙句男の生き血を吸って900年もの間生き長らえていた。実は彼女はその家でいつまでも帰宅せぬ夫を待ち続けていたのである。ある日、夫とそっくりの男に出会った彼女は男と愛し合うようになる。しかし男は徐々に人間とはかけ離れた彼女の正体に気付いていくというストーリー。

夫を愛するが故に人間あらざるものへと身を落としてしまった女の悲しさが際立っている。怪談話ではあるのに怖いというよりは物悲しい悲恋話といった方が良いのかも知れない。どうしても最愛の人に会いたい。その手段が人の生き血を吸うという禁忌の行為であったとしても。そんな選択しか出来なかった女が哀れで仕方が無い。

何しろようやく再会出来たとしても月日は既に900年も経っている。当然巡り合った相手は彼女の夫と同一人物であることはあり得ない。それなのに再び愛し合ってしまった彼をドラマ内では『生まれ変わり』という言葉で表現している。

しかし男にとっては化け物でしかないという現実が彼女を絶望させていく。彼女はもう人間としては生きられない。若い男の血を啜らなければ、最愛の人と生きていくことさえ出来ないのである。そんな化け物を受け入れる男などいるわけもない。

ラストシーンはまるで日本画のような寂しさと不気味さをあわせ持ったような1場面となっている。これが実に印象深い。ハッピーエンドなのかどうかは見る側に委ねられている。

満足度は★★★★
上田 秋成,高田 衛,稲田 篤信
筑摩書房
¥ 1,470
(1997-10)
Amazonおすすめ度:

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黄金仮面

  • 2010.02.25 Thursday
  • 00:03
JUGEMテーマ:日本のTVドラマ
 
【出演】 天知茂、小手川佑子、伊吹吾朗 他
【放送】 1980年(テレ朝)

土曜ワイド劇場の人気シリーズ・天知茂の明智小五郎シリーズの一作であり、同番組枠で二年前に放送された『黄金仮面』の続編。ドラマの基盤は江戸川乱歩著『黄金仮面』だが、原作の内容は既に前作にて採用されてしまっているので、今回はそれを元に考案されたオリジナルストーリーとなっている。前作では引き分けに終わった明智小五郎と黄金仮面の対決。黄金仮面が前作の最後に国外へ逃亡してしまったために二人の対決はお預けとなっていた。毎回華麗に事件を解決する明智にとってはこの灰色感はどうにも釈然としない。おそらくファンにとってもやきもきする種となっていたと思われる。このドラマはその要望に答えるためのドリーム対決ともいえる。

日本から去っていった黄金仮面の消息は全く音沙汰が無かったが、あれから二年の時を経て唐突に黄金仮面から美術品を頂くとの予告状が届く。当然、対決経験のある明智が事件に乗り出すことになるのだが・・・。

本の中に登場する明智小五郎は常に完璧主義者で、誰にも出来ない謎を解明することに意欲を燃やす知的な紳士と言うイメージがある。まあ、難解な数学の問題を解いてにやにやしているという嫌味な所もあるのだが、どちらにしろあまり犯人に必要以上に感情移入をしないクールな印象が強い。

ところが天知茂演じる明智小五郎は確かに紳士的であるものの、どこか憎めない人間味を持ち、情に厚い所が至る所に現れている。このドラマの中の明智小五郎も然り。黄金仮面は明智にとって唯一汚点を残した相手である。ところが明智が黄金仮面に対する感情は良き好敵手を通り越して、友情を感じている節が見られる。

黄金仮面が美術品を求めて日本にやって来たことは特に不思議なことではない。黄金仮面は元々世界中を飛び回って美術品を狙う怪盗なのだから。ところが明智は何故なのかと不審に思う。そして黄金仮面が狙ったもう一つのお宝に何故だと質問をぶつける場面が見られる。

この対決の白黒はともかく、まるで昔からの友人同士のような明智と黄金仮面のオリジナルストーリーは推理要素は薄いが、エンターテイメントとしては興味深い。

満足度は★★★★★
江戸川 乱歩
東京創元社
¥ 651
(1993-10)
Amazonおすすめ度:

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妻の再婚

  • 2010.01.26 Tuesday
  • 00:09
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【出演】 岩井友見、山内賢、小野進也 他
【放送】 1980年(フジ)

男女の激しい情愛を描いた日本舞踊の演目。それを踊った男女の心は燃え上がり、結ばれてしまうと伝えられている。このドラマでは誰と誰がその踊りを踊るかが論点となっていて、踊り終わると必ずベッドシーン(布団だけど・・・)になるというのが売りだった。

しかし本当にそんな演目があるのだろうか? 日本舞踊には全く詳しくないので何とも言い難いが、本当にそんな危険な踊りがあったらと思うと恐ろしい。

ドラマの主役は平凡な一人の主婦。少々だらしない夫に愛想を尽かしながらもそこそこ幸せな暮らしを送っていた。ある日、彼女は昔の恋人に出会う。相手は日本舞踊・吉野流の家元の息子。実は彼女も吉野流に身を置いていた踊り手だったが、突然彼の前から姿を消し、逃げるように今の夫と結婚したという過去がある。もう二度と関わるまいと思っていた日舞の世界。しかし夫への失望から再び彼女は日舞の世界へと戻っていく。元恋人からあの情愛の舞の相手を務めて欲しいと言われ思い悩むと言うストーリー。

この当時のドラマは今のような際どい場面があるわけでは無い。ただそういったシチュエーションが随所にあるだけで、これこそが昼ドラだと訴えているような感じさえする。特に家元は片っ端から弟子に手をつけるのが当たり前のような状況にあり、吉野流はまさに家元のハーレム状態。高齢だと言うのに具合が悪いと偽って十代の若い女の子にまで手を出すのだから始末に終えない。おまけに家元夫人の座を狙った醜い女達の争いと言ったら・・・。日本の伝統芸能は必ずしもこんなドロドロじゃないと信じたい。

さて話の半ばでは揉めに揉めたじれったい展開ではあるものの、ラストは意外にあっさりしたものだった。結果的に主人公の主婦は堅実な選択をしている。それまでの展開が展開だっただけに何となく物足りなさを感じるのも事実。

尚、タイトルは『妻の再婚』となっているが、主役の主婦の再婚を考える内容にはなっていない。もしかすると放送途中で方針変更があったのかも?

満足度は★★★★
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